2023年度荒川区一般会計予算に反対の討論

私は、日本共産党区議団を代表して議案64号荒川区2023年度荒川区一般会計予算に反対の討論を行います。

これまで経験したことない新型コロナウィルス感染拡大の収束が見えないまま、政府は5類に引き下げ、公費負担の縮小を行うとしています。これで命が守られるのか、大きな懸念が広がっています。加えて、賃金、年金は上がらない中での、異常な物価、エネルギーの高騰が区民のくらしと営業を直撃し、格差と貧困がますます拡大しています。

荒川区の新年度予算案は、1133億円、前年度比5.8%増と過去最大規模の大型予算となっています。子ども医療費18歳までの無料化、区独自の学校給食無償化、ジェンダー平等での一定の前進は、評価します。

しかし、日本共産党区議団は、くらし応援やまちづくり、コロナ禍で求められた公共の再生など「福祉の増進」という地方自治体の本旨に照らして容認できない予算であると考えます。

第一は、区民のくらしと営業への支援が不十分であることです。

コロナ禍で高齢者のくらしは、極めて厳しい状況に置かれています。年金の削減が続き生活を切り詰めることも難しい状態に置かれています。また、長期の感染拡大は、高齢者の社会的孤立や人との接触がなくなるなどによる認知機能の低下、フレイルの増加など現実問題となっています。また、生活困窮も進み、生活福祉資金の返済も始まります。この問題に真正面から向き合うことが求められています。

高齢者のくらし支援の思い切った施策が必要な状況です。重点施策中、高齢者福祉の充実事業は3事業700万円にしかすぎません。介護保険制度で対応できない高齢者の生活を支援する区独自の福祉サービスも緊急課題です。また福祉は人です。地域包括支援センターや高齢者福祉課のケースワーカーなどの増員も必要です。こうした分野への施策が見えません。

また、区内経済の礎である中小事業者の事業継続の直接支援は、今回もありません。せめて、住宅リフォーム助成制度や事業継続のための給付事業なども検討すべきでした。

また、子育て支援では、中間所得層への支援が欠如しています。

区民生活の全分野でくらし応援が不十分と言わざるを得ません。

第二に、まちづくりについてです。

西日暮里駅前・三河島駅前北地区再開発に7億5千万円余の税金を投入し、計画を推進する予算となっています。しかも2つの駅前大規模再開発で1760戸のマンション建設などに400億円もの税金投入は容認できません。区内に高齢者をはじめ、多くの住宅困窮者が存在し、都営住宅も高倍率、区営住宅の登録でさえ10倍という難関です。こうした区民を置き去りにして、貴重な区有地を種地にして高額のタワーマンション建設に巨額の税金使うこうした市街地再開発は、根本から間違っています。高齢者、ひとり親世帯など住宅困窮者への家賃助成こそ最優先すべき課題ではありませんか。住宅は福祉の立場から施策を考えるべきです。

この問題では、新たにコカコーラ跡地にマンション建設が計画され、小中学校、保育園など必要な施設整備が間に合わなくなることも強く懸念されます。これまでのマンション建設主体の再開発を優先した結果、学校など社会インフラが後回しとなり、峡田小に新校舎を建設する事態となりました。まちづくりのあり方が、問われています。

また、町屋さくらの廃止から1年経過、代替え交通の見通しもなく、従前の利用者は置き去りにされているのです。区は、区内に交通不便地域はないとして実態調査もしない、コミュニティバスに税金投入しないことなどに固執しています。実態さえつかもうとしない姿勢は、行政として決して許されません。

第三に区立幼稚園廃園や公設公営の保育園・ひろば館などの民営化路線をそのまま続けることは容認できません。

区立幼稚園5園廃止方針は、幼稚園教育・保育の充実を求める保護者などの声に背を向ける姿勢であり今からでも見直すべきです。いま大事ななことは、区立幼稚園の一クラスの人数を35人から10人、20人に減らして、区立・私立ともに幼稚園を充実させるための支援です。

また、全国で私立認可保育園、とくに株式会社が経営する保育園での虐待や保育の質を巡る問題が社会問題になっています。こうした中で、全額税金と保育料で賄われている各保育園の運営費を子どものためでなく、本部の経費に流用し、他自治体での事業拡大の原資にしている事例が、荒川区でも3年間だけで5億5千万円となっています。こうした本部費用に流用している法人が運営する保育園と人件費比率の低い保育園が一致しているようです。こうした問題について、日本共産党区議団は、一貫して問題を追及、保育の質を確保するための指導・監査の強化を求め、区も対応してきました。

しかし、問題は保育や児童福祉に精通し、現場経験もある職員がいなければ、指導監査もできません。しかも児童相談所も開設している中で、保育の専門職はまだまだ足りません。それでも区の公設公営の保育園を従来の計画通り8園に縮小する計画をそのまま続けることは、容認できません。この問題は、区立幼稚園5園廃園することにも共通する問題です。加えて、直営の児童事業を行うひろば館もあと2館です。

もう、職員人件費をコストと見る考えを改め、区民の財産としての職員という見方に変えるときではないでしょうか。

第四に、本庁舎建て替えに新年度12億5千万円、8年間で100億円を積み上げる計画は見直すべきです。

本庁舎建設の具体化はこれからです。区民生活への支援が各分野で急がれる中、12億5千万円という区の独自財源投入は見直し、先送りすべきです。

日本共産党区議団は、区の予算編成に対して、感染症対策、区民の暮らしと営業の支援強化など21施策、12億4千万円の歳出増、大規模再開発や本庁舎基金の見直しなどの歳入減などの予算組み替えを提案しました。

今回の予算委員会の審議を通して、区は、学校給食無償化をはじめ新規重点施策約8億円、本庁舎建て替え基金12億5千万円、合わせて20億円を計上しても、他の区民施策に影響がないと答弁しました。これまで、福祉や教育などで経常的に経費がかかる施策の要望について、それが1千万円、二千万円規模でも「財政的に困難」であることを理由にして拒否してきました。今回20億規模でも、予算のやりくりで十分対応できることを区は認めました。また、委員会審議で明らかにしましたが、毎年、基金繰入金が50億から80億円予算化されていますが、その殆どが財政調整基金です。しかし、この10年前後の決算では、一円も財政調整基金を取り崩していないのです。予算のやりくりで賄ってきたことは明らかです。要するに、その時々の政策判断で、予算のやりくりで10億、20億規模の区民施策が可能であり、区民の大変さに寄り添った対応こそ求められると指摘しておきます。

以上申し上げ、予算案に反対の討論と致します。

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