2019年荒川区議会11月会議で斉藤くに子区議が行った質問をご紹介します

【質問項目】

1、ジェンダー平等、だれもが自分らしく生きられる社会について
①来年改訂作業が始まる荒川区男女共同参画推進計画は人権保障の新たな発展、ジェンダー平等を求める潮流の中で、男女平等・多様性社会をめざす計画に発展させること
②荒川区でも公的認証制度の具体化に向けて検討を始めること
③選択的夫婦別姓の早期実現に対する区の認識を問う
④審議会女性委員の割合を大幅に引き上げ、基本的には半分は女性にすること
⑤所得税法56条の廃止と国民健康保険に出産手当金・傷病手当金制度創設の区の認識を問う
⑥厚労省「総合労働相談コーナー」の「紛争解決援助」の窓口で学生、就活生からの相談受付が始まっていることを広く広報すること

2、来年7月開設する児童相談所について
①児童相談所運営の要となる確実な人的体制準備について
②安定的な体制をつくっていくためのスタート後の人的ビジョンについて問う
③児童相談所運営の視点から、現在の公立幼稚園・保育園の存続が必要と思うが認識を問う
④児童相談所を取りまく関係団体の力が発揮できるよう連携組織を強化すること

3、「児童発達支援」民間事業者の支援内容や支援員の配置状況などを把握し、子どもたちの発達成長を保障する体制構築を、区の責任ですすめること

《質問全文》

日本共産党斉藤くに子です。

第一にジェンダー平等、だれもが自分らしく生きられる社会についてです。

2015年に、国連は、貧困や環境など17の目標と169項目の具体的な達成基準が盛り込まれた「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択しました。ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは、全目標達成のカギ、すべての目標にジェンダーの視点をすえ、2016年から2030年の国際目標となりました。

荒川区の男女共同参画社会推進第4次計画は2016年から2020年までの5年計画で、来年度が改訂作業の時期になります。

あまりに遅れた日本の実態から、性暴力・ハラスメントに声を上げた#Metoo(ミートゥー) 声を上げた人を孤立させない#Withyou(ウィズユー)など、ここ1,2年の当事者運動が急激に高まり社会的共感が広がっています。

ジェンダー平等社会の推進、性暴力、DV女性に対する暴力を許さない社会、ハラスメントに苦しむ人々をなくす、LGBT・SOGIに関する差別のない社会、国籍や民族の多様性を認め合い共生する社会をつくること。

国際的な人権保障の新たな発展、当事者の切実な声を受けて今日的に男女平等・多様性社会をめざす計画に発展させる必要があると考えます。お答えください。

 

私は以前の本会議質問でLGBTを取り上げました。同性カップルのパートナーシップの公的認証に関する陳情は本会議では採択14で過半数に1足りず議決に至らずと言う結果になりましたが、総務企画委員会では採択となったことを受け止める必要があるのではないでしょうか。

もちろん今年2月、13組の同性カップルが東京、大阪、札幌、名古屋で一斉に提訴したように、主要7カ国で認めていないのは日本だけですから、国による同性婚の法制化の必要があります。国の制度化がすすまない中、自らの切実な運動により同性パートナーシップ制度26自治体で実現しています。国立社会保障・人口問題研究所が昨年、全国既婚女性約6千人を対象に行った調査では同性カップルにも何らかの法的保障が認められるべきが75.1%にのぼっています。多様性が認められ、だれもが尊重される社会への一歩として荒川区でも公的認証制度の具体に向けて検討を始めるべきと考えます。お答えください。

 

次に選択的夫婦別姓についてです。住民票や健康保険証に旧姓が併記できるようになりました。また旧姓での印鑑登録も出来るようになりました。12月1日から運転免許証も旧姓がへいきできるようになるそうです。総務省は旧姓で活動する女性が増加しているからとしていますが、夫婦別姓にすれば住民票の旧姓併記のシステム変更の194億円の国費は必要ありませんでした。やはりカッコ付の旧姓併記ではなく自分の名前のままで生きたいという当たり前の思いに応えるべきだと改めて思います。

夫婦同姓を定めている現行法では改姓しているのは96%が女性です。政府の世論調査でも選択的夫婦別姓に賛成が42.5%、反対の29.3%を大きく上回っています。選択的夫婦別姓で不利益を被る人はいません。国連女性差別撤廃委員会が日本政府に導入を勧告しています夫婦同姓を法律で義務づけているのは、世界で日本だけです。

男女平等共同参画社会推進の一つとしても選択的夫婦別姓を早く進めるべきと考えますが区の見解を求めます。

 

日本の男女平等度は149か国中110位と大変低く、特に政治と経済の分野の遅れが際立っていると言われています。日本共産党は先の参議院選挙での女性候補者は55%、現在の都議会議員団は18名中13名が女性議員、荒川区議団も3対3となっています。今後も議員の半分は女性にすることに力を注ぐことを確認しています。

第4次計画では全団体に女性委員を置くことが目標となっていますが、2018年度で62団体中53団体と計画当初から3団体しか増えていません。また区の部課長係長の女性割合の目標は38%以上となっていますが現状は32.4%です。

まずは区の審議会等における女性委員の割合を大幅に引き上げ、基本的には半分は女性にすることを求めます。お答えください。

 

荒川区は家族で業を営む方の多いまちです。家族従業者に支払う給与が経費として認められていない所得税法56条が以前残ったままです。自営業に従事している女性に対する人権侵害です。国連女性差別撤廃委員会は、所得税法56条が家族従業女性の「経済的自立を事実上妨げている」として、見直し・検討をもとめています。また国民健康保険には病気やけが、出産の際の休業補償がありません。

所得税法56条の廃止と国民健康保険に出産手当金・傷病手当金制度をつくることも差別解消の課題と考えますがご書見をお聞かせください。

 

この項の最後です。就職活動中の学生が深刻な被害を受けている「就活セクハラ」について、厚生労働省は都道府県労働局にある「総合労働相談コーナー」の「紛争解決援助」の窓口で相談を受け付け、事業者に必要な助言・指導を行うよう、今年6月にホームページを改定し、案内に「学生、就活生からの相談もお受けします」新たな表示が加わりました。

これまでほとんど泣き寝入りするしかなかった就活セクハラ、就活ハラスメントに開かれた相談窓口が出来たのです。若いみなさんへの広報を行うことを求めます。お答えください。

 

次に来年7月に開設が迫ってきました児童相談所についてです

この議会には児童相談所開設に伴っての条例改正案が8本提案されます。区として児童相談所を持つことの責任の重さを改めて感じるものです。

第一に職員の確保と今後の定着についてです。担当課によれば、現在の子ども家庭支援センターと研修派遣中の職員でほぼ必要な人数は確保できると聞きました。それでも数名は23区統一採用からの荒川区雇用が必要です。経験者採用試験選考状況によると、児童福士・児童指導・児童心理の採用予定数に見合うだけの応募がないようで、しかも合格者が荒川区に来てくれるかわかりません。そうなると足りない分については一般職採用して他の職場からの移動で補うことになるかもしれません。いずれにしても児童相談所の要は人です。確実な体制でスタートしていただきたいとおもいます。見解を求めます。

 

児童相談所所長と児童福祉士スーパーバイザー2名、児童心理士係長は区で独自に採用できる5年の任期付き職員で確保しました。児童相談所の役割や仕事の重要性からも2年3年で移動してしまうのでは蓄積が出来ません。一定期間で移動するにしても他の福祉関係の課へ異動し,再び児童相談所に戻ってくるなど特別の手立てが必要になるのではないでしょうか。また児童相談所運営の中核になる所長やスーパーバイザーが任期付き採用では安定しません。安定的な体制をつくっていくためのスタート後の人的ビジョンをお聞かせください。

 

児童相談所が関わる前の段階からの、子どもと家庭の変化の気づきや貧困対策を含めた支援の強化が改めて求められます。

幼稚園保育園学校がプラットホームの役割を果たすことが重要です。今後の人材確保の面からもやはり公立の存在が大事です。児童相談所運営の視点から現在の公立園の存続が大きいと思いますがお答えください。

 

以前区議団で視察もしましたが、京都の山科醍醐こどものひろばは学校の先生からの紹介で子どものナイトケアを行っています。また日光市ではネグレクトとして受けた事例をNPOの居場所につないで支援しています。11月6日の東京新聞「子どもの虐待を防ぐ」でホームスタートこうとうの活動の記事がありました。「一見すると悩んだり困ったりしているようには見えないママたち、子どもと二人きりでは息苦しいから社会とのつながりは欲しい。でもママ友とも深く関わることが出来ず本音を打ち明けられない。」話を聞くちょうどいい存在として役割を果たしています。荒川区では産後サポネット、子育て安心サポートなどNPO法人にお願いをしています。子ども食堂のネットワークをつくりました。今年4月から教育センターは課体制になりました。子どもの貧困克服のために官民協同の取り組みも大事です。

児童相談所を取りまく関係団体の力が発揮できるような連携組織を強化することを求めます。お答えください。

 

次に乳幼児からの発達支援についてです。

福祉区民委員会の視察で松江市の保健福祉総合センターに伺いました。子育て支援センター・検診等の保健センター・発達教育相談支援センターが入っています。福祉関係の建物に教育関係部署が入ったことが大きな意味があると思いました。

乳幼児からの切れ目ない相談体制と支援が行われ、早期の気づき早期の支援のためには任意ですが5才児検診。公立幼稚園の多さを強みにして公立幼稚園29園中8園で13の特別支援幼児教室、年2回日曜日に医師や大学教授と市のスタッフで相談会を開催などが行われていました。今後の荒川区の施策展開に生かしていきたいと思います。

障害者福祉課が発行する「児童発達支援」「受給者証」は10月末で250名です。これは、発達障害に対し理解が進み、乳幼児からの療育の重要性についても認識されてきた結果だと思われます。

荒川区の障害児支援ではたんぽぽセンターや保健所検診後のめだか・パンダ取り組みは歴史ある子ども支援の拠点となってきました。たんぽぽセンターでは心理担当、言語聴覚訓練、理学療法士、作業療法士、視覚訓練士等の専門職や経過豊富な保育士が支援を続けてきました。

しかし全体の需要に応えることが難しくなってきているようで、待機者も出ていると聞きます。

一方、親とこどもの要望に応えるように現在では、民間の「児童発達支援事業所」は11月1日現在で10カ所とふえています。区が関わる施設でも民間事業所でも、とりわけ小さい子どもたちの発達に大きな影響を持つだけに医学的にも科学的にも、一人ひとりの子どもに適して療育が求められます。児童相談所設置区として障害児通所支援の事業等の人員・設備・運営等の基準に関する条例が11月会議に提案されます。そこで伺います。

「児童発達支援」民間事業者の支援内容や支援員の配置状況などを具体的に把握し、子どもたち初誘費の発達成長を保障する体制構築を区の責任ですすめること。お答えください。

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