2018年度一般会計歳入歳出決算の認定に対する共産党区議団の反対討論(全文)

私は日本共産党荒川区議会議員団を代表して、認定第一号、2018年度一般会計歳入歳出決算の認定に反対の討論を行います。
この区議会のさなかに消費税10%増税が強行されました。日本共産党荒川区議団は、区民の暮らしと地域経済を壊すことを顧みない愚行に強く抗議するものです。同時に、区民の暮らしと地域経済、景気の回復のためにも消費税の当面5%への減税に向けて全力を挙げることをまず、表明するものです。
以下決算認定に反対する理由を述べます。
本決算に反対する第一の理由は、消費税増税を容認し、区民への影響と大変さに十分向き合うことができていないことです。荒川区の2018年度歳入決算では、歳入957億円、歳出928億円、28億円の黒字です。基金は368億円に達しています。しかし、区民の暮らしに寄り添う点で不十分だといわなければなりません。
この決算年度の各定例会で、消費税増税下での区民のくらしと経済に対する影響について繰り返し区の認識など質してきました。区は、「消費税による負担の増加は将来の国民生活の安定に資する。結果、地域経済の安定にもつながっていく」という政府の見解をくりかえし、消費税増税を一貫して容認、区民の暮らしや区内経済への影響について具体的な言及はありませんでした。どんなに立場や考えに違いがあっても消費税10%増税が暮らしと経済に影響がないとは言えないはずです。そうした姿勢では、区民に寄り添い「住民福祉の増進」という自治体本来の役割を果たせないと指摘しておきます。
この決算年度は、国民健康保険、介護保険、後期高齢保険料のトリプル値上げ、生活保護の削減などが社会保障削減が行われました。区政執行上も暮らし応援が最優先で求められていましたが、極めて不十分でした。この決算にかかわる予算審議のとき、わが党区議団は、就学援助の対象拡大、小中学校の入学祝金、介護保険料の低所得者への軽減、住宅リフォーム支援など8施策、約5億円余の修正提案を行いました。今回の決算剰余金の2割程度で実現でき、毎年の計画的な財政運営で継続できる規模でした。やはりこうした施策の決断が求められていたのです。
第二に、税金の使い方、まちづくりや住宅政策の問題です。区は西日暮里駅前再開発を都市基盤整備の最優先課題と位置づけ、1000戸の住宅建設、事業費190億円規模の大ホールの建設を推進しようとしています。とりわけ、将来の財政需要を口実に暮らしにかかわる子育て、医療介護、住宅の負担軽減や経済的支援に消極的な一方で、総額190億円の大ホール建設を推進しようとしていることは大問題です。この地域には、旧道灌山中学跡地など貴重な区有地もあり、どういった公共施設が必要なのか、区民的合意もありません。防災上も必要だとしていますが、木造密集地域の整備はまだまだ先が見えません。自然災害が全国各地で起こっています。木造密集地域の整備促進や聞こえの悪い防災無線のデジカル化と防災ラジオの一刻も早く実施にふみきるよう求めます。災害時の在宅避難を進めるうえでも家具転倒防止、感震ブレーカー、ガラス破損防止など100%実施へ向けた本気の取り組みが大切です。また、住宅政策で区民が最も求めているのは、低家賃で安心安全な住宅、公的住宅の拡充やひとり親家庭などの家賃補助など切実な問題です。政府の持ち家政策推進、住宅は自己責任ではなく「住まいは人権」の立場で自治体の責任を果たすべきです。
第三に、基金の積み立てについてやはり過度になっていないかという問題です。財政調整基金は、区の標準財政規模600億円の30%近い、177億円に達しています。また、公共施設、義務教育施設関連基金は、区の建築物の減価償却累計額700億円の20%程度の維持が適切だといわれています。基本的に、この水準を維持し、起債や補助金など計画的に活用していくことで対応することができます。現に、この決算年度でも、スポーツセンター、荒川遊園の大規模改修や児童相談所、新尾久図書館、日暮里活性化施設など建設を着工しています。やはり、基金積立の適切な基準を設けるべきです。公共施設の中長期の更新計画など将来への備えと区民の暮らし応援のバランスが問われています。
最後に決算に関する特別委員会で指摘してきましたいくつかの問題について触れます。
区が行った「子ども子育てニーズ調査」で生活困窮層とその周辺層を合わせると15%~20%にも上ります。さらに詳細な子ども生活実態調査と支援の検討が求められます。来年7月開所の児童相談所は、人材確保とともに東京都に必要な財源確保に全力をあげることともに、ツインズサポート事業の充実と保育園、保健所など子ども関連事業との連携強化を求めます。 私立認可保育園が急増している中、保育の質を確保していく上で区立保育園の役割がよりいっそう重要です。これ以上の公立園の民営化はやめるべきです。私立認可保育園、私立幼稚園への保育の質の確保のために、保育士の処遇改善などを進めることが重要です。人件費割合が異常に低い私立保育園などにへ適切な指導・検査を行い改善を援助することが求められています。また、学童クラブの定員オーバーへの対策として必要な増設計画を持って進めることを求めます。
消費税増税の深刻な影響を受けている区内小規模事業者への支援強化が求められます。経営支援で効果が認められてきた中小企業向けの「製造業等経営力向上支援事業補助金」について区内事業者を使った設備投資の補助を引き上げることを改めて強く求め、生産性の向上とともに区内事業者の仕事おこし、企業育成、料飲を含む区内商業者にもお金がまわる一石三鳥の効果が期待できます。
加齢性難聴対策としての補聴器購入の助成などは、各会派からも出されており新年度予算で具体化されるように強く求めておきます。

以上、申し上げて反対討論とします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)