2019年荒川区議会9月会議での横山幸次区議の代表質問をご紹介します

【質問項目】

1、区の基本姿勢を問う

①区民のくらしと地域経済を守る地方自治体として、いまからでも消費税増税中止を求める声を上げるべきと考えるが、区長の見解を問う。

②社会保障財源をきわめて逆進性の強い消費税に求めることを肯定し続ける限り、区民のくらしと地域産業の大変さに寄り添えないと考えるが、区の認識を問う。

2、子どもの貧困問題への取り組みについて

①全国調査待ちになることなく、区独自の「子ども生活実態調査」を実施すること。またその結果なども踏まえ「子どもの貧困対策計画」を区として策定すること。

②区の調査でも明らかになった子どもの「物質的剥奪」の区内での表れについてどう認識し、どういった対策を検討しているのか。

③当面子ども貧困対策の観点からも、就学援助を生活保護基準の1.5倍に引き上げるとともに、給食の無料化に向けた具体的検討を開始すること。

④都営住宅の所得基準に該当するひとり親世帯への家賃助成を検討し実施すること。

3、「幼保無償化」と保育の質の確保について

①来年4月に認可保育園希望者全員の受け入れを確保するための対策を講ずること。

②最も保育料の負担の重たい0~2歳児の世帯のうち、当面年収360万円以下について区独自に無料にすること。また政府に対し0~2歳児無償化の実施を求めること。

③今回の「幼保無償化」は、低所得層に恩恵は少なく子育て世代への全体的な経済的支援の拡大が求められていると考えるが認識を問う。

④区の認可保育園への指導検査は最低限、年1回実施すること。また、保育従事者の人件費比率が5割を切る保育園の実態把握と必要な改善措置を講ずること。

4、児童相談所の開設と切れ目のない支援について

①児童相談所の開設では、予防的支援をいっそう重視し、気軽に交流、相談できる子ども家庭支援センターの役割を生かし、妊娠、出産から切れ目のない相談と支援を身近なところで受けられる子育て支援の拠点を全地域に整備すること。そのため健康部をはじめ関連部署で保健師などの体制強化を行うこと。

②児童相談所開設にあたっては、児童福祉司の増員、弁護士など専門職員を常勤で配置するとともに、開設後の専門職員の確保、養成のシステムを確立すること。

③児童相談所開設を契機に、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利など明確にした(仮称)「子どもの権利条例」の制定を行うこと。

5、認知症の人も家族も地域でともに安心して暮らせるために

①認知症の人とその家族の「困ったこと」「ニーズ」などの調査を実施し、初期相談から負担の軽減をはじめとする家族支援まで切れ目ない治療と支援をいっそう拡充すること。

②介護予防・日常生活総合事業の対象者で、サービスを利用してない人の実態をつかむとともに、本人の力を生かす認知症対策に逆行する軽度者からのサービス削減は行わないこと。また政府に対して、現在計画している要介護1、2の介護保険外しや利用料の原則2割負担導入をやめるよう求めること。

6、区内産業の再生をめざして

①歴史的に集積した区内産業の技術、技能を生かしたものづくりの新たな創出にむけた、新たな支援や場の提供を検討すること。

②製造業等経営力向上支援事業補助金制度について、区内の仕事興しや区内企業育成にもつながるよう区内事業者を使った設備投資の補助率を思い切って引き上げること。

7、税、保険料などの滞納を区民の生活困窮ととらえ、訪問も含めた接点をもち問題解決にあたるため、関係部署でアウトリーチなどのくらし応援の体制をつくること。

 

《質問全文》

私は、日本共産党荒川区議会議員団を代表いたしまして質問をいたします。
この議会は、安倍政権が国民の声も、また、暮らしや経済の状況も全く無視する形で、財界の強い要請を受けて消費税大増税を強行しようとする直前に開かれています。
消費税増税については、直前になっても過半数の国民が増税反対の声を挙げています。それは区民も含めたリアルな暮らしの実感です。
小売、卸売の販売額は八カ月連続のマイナス、七月のスーパーや百貨店の売上も大幅に減少しています。実質賃金も何と六カ月連続減少です。増税前に駆け込み需要が起こるどころか、駆け込む体力すら残されていないのが現実ではないでしょうか。こうした現実から目を背けることは、地方自治体として許されません。区民の暮らしと地域経済を守る地方自治体として、今からでも消費税増税中止を求める声を挙げるべきと考えますが、区長の見解を伺います。
荒川区は、消費税は社会保障の安定的な財源であり、将来の国民の生活の安定に資する、中長期的には地域の安定につながるとの認識を示し、増税を容認し続けてきました。既に三十年、消費税は存在し、増税をされてきました。そもそも諸外国と違い、日本の消費税はほぼ全ての商品とサービスの流通過程にかかるために、家計支出に占める生活必需品の割合が高い低所得者層に負担が重くなる極めて逆進性の強い税です。また、社会保障財源を消費税に求める限り、際限のない増税か、社会保障の削減か、こうした最悪の選択の道しか残されていません。
安倍政権は、増税は社会保障のためと言ってまいりましたが、今回も既に介護保険利用料の原則二割負担や要介護一、二の保険外しなど給付の削減、負担増の準備を既に始めているではありませんか。低所得者層が多い荒川区の場合、特段に消費税増税が区民生活と地域経済に深刻な影響を与えるであろうことは明らかであります。
応能負担と生活必需品、最低生活費には税をかけないという民主的な税制の原則に立ち返るべきです。消費税にかわる別の財源はあります。所得税の累進性と最高税率の問題や金融所得への課税、法人税の税率や大企業向け優遇税制などの見直しこそ求められると思います。社会保障財源を極めて逆進性の強い消費税に求めることを肯定し続ける限り、区民の暮らしの区内中小業者の大変さに寄り添えないと考えますが、区の認識を伺います。
次に、子どもの貧困問題への本気の取り組みについて伺います。
日本の子どもの貧困率は一三・九、パーセント七人一人、母子世帯では二人に一人という極めて高い水準のままであります。荒川区の場合はどうでしょうか。区当局による区内の子どもの貧困率を示す数字はありません。そこで、私は、区民の総所得金額段階別世帯数を使って単純に所得の中央値の半分以下の線、これはある時期の数字ですが、百二十二万円で区切って試算をしてみました。十八歳以下の子どものいる世帯の約二五パーセント、ひとり親世帯では六〇パーセント以上が相対的貧困状態にあると推計される結果を得ました。あらあらでありますが、こうしたことをやはりきちんと見ていくことが必要だと思います。全国平均は上回っていると推測されます。
子どもの貧困対策法が改正され、子どもの貧困対策大綱の見直しが行われています。また、国は来年度、統一指標で子どもの貧困全国調査を実施するとしています。また、今回の法改正によって、各区市町村も子どもの貧困対策計画の策定が努力義務とされました。
荒川区は、全国の自治体に先駆けて、子どもの貧困・社会的排除について調査研究を行い、子どもの貧困対策を区政の課題に掲げて十年を経過いたしました。しかし、荒川区における子どもの生活実態についての詳細の調査はまだ行われておりません。子どもの居場所づくりや子ども食堂への支援、学習支援が始まったことは重要だと思います。しかし、子どもの貧困は、その世帯の貧困問題であり、そうした施策の限界も指摘をされています。子どもの実態に立った施策の検証と今後の対策が必要であると感じます。
この間、東京都だけでなく、都内の基礎自治体でも子どもの生活実態の調査が始まっているようであります。国の調査内容がどういったものかはまだ不明ではありますが、荒川区の子どもの実態に立った対策を進めるため、区としての実態調査が求められているのではないでしょうか。
我が党区議団は、この間繰り返し実態調査と貧困率削減目標も含めた子どもの貧困対策の計画の策定を求めてまいりました。この際、全国調査待ちになることなく、区独自の子どもの生活実態調査を実施するとともに、その結果も踏まえ、子どもの貧困対策計画を区として策定すべきと考えますが、お答えください。
区は、我が党区議団の指摘も受けて、直近の子ども子育てニーズ調査で初めて子どもの生活実態の調査項目を入れました。この調査は部分的な抽出調査であり、対象も就学前と就学後だけに限られているものですが、子どもの貧困を見る指標として注目されている物質的剥奪指標にかかわる項目も入っています。
結果を何項目か見ると、子どもを取り巻く厳しい実態が浮かび上がってまいります。食料が買えなかった六・八パーセント、衣類が買えなかった一〇・五パーセント、家族旅行に行けない一一・六パーセント、学習塾に行けない九・六パーセントなど、いずれも「よくあった」、「時々あった」、「まれにあった」、この経験の合計でありますが、さまざまな時点でそうした事態に子どもたちが直面をしたことは事実であります。
子どもたちの生活の苦しさやその社会で当たり前の生活ができない物質的剥奪が現に起こっていることが可視化された点は重要です。問題は、この数字をどう見るかであります。まずこうした子どもたちの物質的剥奪の区内でのあらわれについて、どう区は認識し、どういった対策を検討しているのかをお聞かせください。
義務教育をはじめ教育にかかる費用が極めて大きな負担となり、子育て世代の家計を圧迫しています。就学援助の要保護世帯や準要保護世帯の中でも、学校に毎月納付するお金がその中で賄われることはなく、上回っているわけであります。また、ボーダー層は全く支援の手が差し伸べられておりません。荒川区としてすぐにでもできる子どもの貧困対策としては、就学援助の対象拡大や学校給食の公費負担拡大から無料化への取り組み、これを区の政策判断として決断することも必要です。幼保の給食費の公費負担を実施したこととも相通じるものであると思いますが、最近ではお隣北区が来年度から学校給食を第二子半額、第三子以降無料にすることを決めたようであります。義務教育の家庭の経済的負担を思い切って軽減し、完全無償化への道を地方自治体から発信していくことの意義は、子どもの貧困対策にとっても極めて重要です。
そこで、当面、子どもの貧困対策の観点からも、就学援助を生活保護基準の一・五倍に引き上げるとともに、給食の無料化に向けた具体的な検討を開始することを求めます。
ひとり親家庭、とりわけ母子家庭は極めて厳しい状況に置かれていることは皆さん方共通の認識だと思います。その中でも居住の貧困が大きな課題になっている、こんなふうに私は感じます。
直近の二〇一五年国勢調査で、区内母子世帯の七割が借家、うち五割近くが民間借家であります。これは全国平均や二十三区と比べてみても高い数値となっています。
また、荒川区は、二〇一六年、児童育成手当受給対象世帯の調査を行っております。これを見させていただきますと、ひとり親家庭では税、社会保障料込みで年収三百万円未満の低所得層が六割以上、民間賃貸住宅居住が先ほど言いましたように四割以上います。そのうち収入に占める家賃とローンの負担率を比較してみますと、ほぼ七割が二〇パーセントを超えております。
母子家庭の場合、収入に占める家賃負担率は、民間住宅の場合、こちらはもっと高くて三〇パーセント以上となっている数値が出てまいりました。家計で最も大きな負担となっています。東京都の子どもの生活実態調査では、家賃負担率が収入の二〇パーセントを超えると、家計の赤字や衣類や食料が買えなかった経験の比率が高くなっていることが調査で実証されています。低所得ほど負担率は高く、住宅の質も劣悪な場合が多く、子どもの成長や学習に与える弊害の大きな要因となっています。
実は私に届いた匿名でありますが、母子家庭のお母さんのメールには、母子家庭で養育費もなく、毎日の生活に苦労している。小学校の子ども二人を育てていく中で、賃貸アパートの家賃を払うのは極めて厳しい状況、都営住宅が抽せんなのは重々承知しています、もう少し母子家庭にも手を差し伸べてください、こんな声がつづられておりました。
家賃は二DKで七万三千円、収入はわかりませんが、大きな負担だと思います。区独自の母子世帯支援は、サポート事業や休養ホームなどありますが、独自の経済的支援は見られません。家賃に関しても、住みかえ時の保証委託料最大五万円ぐらいであります。実態と支援に大きなずれがあるのではないでしょうか。最も困難な暮らしを強いられているこうしたところにこそ、支援の手を差し伸べるべきだと思います。
そこで、住宅は人権の立場で、まず都営住宅の所得基準に該当するひとり親世帯への家賃助成を検討し、実施してはどうでしょうか、お答えください。
次に、幼保無償化と保育の質の確保について伺います。
この十月から幼児教育・保育無償化が国の制度として始まりますが、給食費は実費負担の制度であります。負担の大きい〇-二歳児は対象外であり、無償化というより部分的な補助制度に近いものであります。
今回、区として、食材費を公費負担としたことは評価をいたします。しかし、財源が消費税増税分としていることや、待機児童対策、保育士の処遇改善など、後送りになっていることはやはり大きな課題として重大です。
今回の制度改正に伴って、全ての子どもの幸せ、最善の利益という視点から、区としての課題は多くあります。その第一は、十月の制度実施に伴って、必要のある全ての子どもたちが認可保育園に入れることができる措置をとることが児童福祉法の定めとあわせて強く求められていると思います。
これまでも児童福祉法は、必要な全ての対象児童に対して保育を実施する責務を地方自治体に課しています。今回、全所得階層の別なく、保育料を三歳から五歳を無料したことは、法の要請に加えて、公平性の観点から見ても、希望者全員の認可保育園入園が強く求められると思います。認可保育園に入れない事態を絶対につくらないことが大前提となっています。
そこで、来年四月に認可保育園希望者全員の受け入れを確保するための対策を講ずることを強く求めます。
一方、保育料も一番高く負担の大きいゼロ歳から二歳児に基本的な支援は今回ありません。子どもの貧困対策の観点から見ても、やはり大問題です。
これまでも非課税世帯は無料でしたが、特に住民税課税のボーダーラインの皆さんの負担軽減はやはり必要ではないでしょうか。このままでは、消費税増税の負担によって格差が広がるだけであります。国も三歳から五歳児の給食費実費負担で以前より負担のふえる年収三百六十万円以下の給食費を無料にいたしました。子どもの貧困解消に取り組むには、ここへの支援をぜひ取り組んでいただきたい。そのため、当面最も保育料の負担が重く、育児でも大変な〇-二歳児の世帯のうち、せめて年収三百六十万円以下について、区独自に無料にするとともに、政府に対し〇-二歳児無償化の実施を区として求めるべきであります。
また、今回の幼保無償化は、低所得層に恩恵は少なく、子育て世代への全体的な経済的支援の拡大がやはり求められると考えますが、認識を伺います。
同時に、荒川区として保育の質を確保し、充実させることは極めて重要となっています。保育の質は保育環境整備、とりわけ保育士の十分な体制確保と経験の蓄積、専門職としての力量の発揮が大事であります。
荒川区の認可保育園は、こども園も含めて五十三園のうち、私立園が七五パーセント、近年、株式会社の参入も相次いでいます。公設民営、私立の各保育園の収支状況の一覧を見せていただきました。社会福祉法人では、おおむね人件費の比率が七割から五割台、国の言っている基準に大体適合しております。株式会社では五割から六割台が多く、中には、ちょっと驚くのでありますが、四割台、三割台というところもあります。なぜそうなっているのか、そこで保育の質は確保されているのか、本当に心配であります。
さきの文教・子育て支援委員会で、その理由の一つとして、株式会社、法人などが新規に保育園を開設する際に経験豊かなベテランの保育士や経験のある方々たちを新規園に振り向ける、その結果として、経験年数の少ない保育士、また、新規採用の方がふえて人件費比率は下がるという趣旨の御答弁をされました。新規開設のために子どもたちが置き去りにされていないのか、区は指導検査を二年に一回程度、巡回指導をそれぞれ二名の体制で行っているようですが、それで足りるでしょうか。当面、区として認可保育園の質を確保するために、区の認可保育園への指導検査は最低限年一回実施するとともに、保育従事者の人件費比率が五割を切る保育園の実態把握と必要な改善措置を強く指導することを求めます。お答えください。
次に、来年七月開設予定の児童相談所について伺います。
この問題では、児童相談所を身近な基礎的自治体につくることの意義はどこにあるのか、何が必要なのか、改めて確認していかなければなりません。
荒川区の児童虐待にかかわる相談件数は、東京北児童相談所と荒川区の子ども・子育て支援センター合わせて年間約五百件と言われます。この数字は二十三区の各区と比べてどんな状況なのか、相対的に少し比率も高いのではないかと、私もこんな感じもいたします。
荒川区は予防的支援を重視するとしています。妊娠から出産、その後、子育ての全過程に切れ目なくかかわりを持てるのは基礎的自治体の強みだと私も思います。その強みを本当に生かすためには、基礎自治体らしい児童相談所の理念をしっかり据え、人口当たりの児童福祉司や児童心理司など配置基準だけでなく、荒川区の地域特性、子育て世代の実態に見合った手厚い人的配置を思い切って行うことが必要です。
また、子育て支援を行う拠点園が地域にどうしても必要です。荒川区は、妊娠届から産後三カ月にかけて、健康部で助産師による「ゆりかご面談」を実施、必要があれば、地区担当の保健師につなぐなどしているようです。大事だと思います。
同時に、今回の計画では、児童相談所とこれまでの子ども家庭支援センターの相談体制を一元化するとしています。これは当然です。しかし、現在の子ども家庭支援センターを児童相談所の建物内に移すとしています。これでは、地域の子育て支援の拠点が統合されてしまいます。機能として一元化することと身近で気軽に立ち寄れる拠点が大事です。拠点としての子ども家庭支援センター機能を児童相談所内とともに、当面最低限、東西に二カ所設置することなども検討されなければいけないと思います。ここを中心に、保健所、各保育園、学校、学童クラブ、各ふれあい館などでの児童事業、福祉事務所、子ども食堂、また、図書館などで行う事業の中で自然な形で必要な支援につなげることができる、これが重要です。そして、児童相談所内に配置された児童福祉司など専門職員がそうしたところに直接出かけていくことも基礎自治体ならではの取り組みだと思います。そうした事業展開をぜひ進めていただきたい。
そのため、児童相談所の開設では、予防的支援を一層重視し、気軽に交流・相談できる子ども家庭支援センターの役割を生かし、妊娠、出産から切れ目のない相談と支援を身近なところで受けられる子育て支援の拠点を全地域に整備することを改めて求めます。そのため、健康部など関連部署で必要な体制の強化なども進めていくことを求めたいと思います。
加えて、人的配置では、児童福祉司の増員、弁護士などの専門職員を常勤で配置するとともに、開設後の専門職員の確保、養成のシステムを確立していただきたい。お答えください。
児童相談所の開設の基本理念は、児童福祉法や子どもの権利条約に基づき、権利の主体が子どもであり、子どもの最善の利益を守ることとなっています。この基本理念を広く区民で共有し、発信していくことが大事だと思います。そのため、児童相談所開設を契機に生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利など明確にした(仮称)子どもの権利条例の制定を求めます。お答えください。
次に、認知症の人も家族も地域で安心して暮らすための支援についてです。
認知症高齢者は四百六十二万人とされ、軽度認知障害の人も四百万人と推計され、高齢者の三人から四人に一人は認知症か軽度認知障害という状況です。
荒川区の場合、要支援、要介護認定者の約八割が軽度の認知障害も含め、何らかの認知障害を有している、こんな結果もあります。決して他人ごとではありません。住みなれた地域でその人らしく暮らす環境づくりが必要です。
同時に、認知症の人とその家族の皆さんが置かれた状況は厳しいものがあります。公益財団法人である認知症の人と家族の会が昨年実施した介護保険の困りごとアンケートでは、回答者の過半数から介護保険に困っていることがあると回答、利用料の負担が重くなるなど経済的な影響の回答も四割に及んでいます。また、介護保険で利用できるサービスに限界があり、専ら家族任せになっている深刻な実態も明らかになりました。
認知症の人の暮らしは、医療、介護だけでは解決できない課題も含まれています。こうした状況から、認知症の高齢者に対応する公的介護サービス、介護基盤を大幅に拡充するとともに、認知症の早期発見、診断、初期の相談と家族への支援から終末期のケア、看取りまで切れ目なく治療と支援を行う医療、保健、福祉の連携体制が必要だと思います。そのための第一歩として、認知症とその家族の困ったこと、ニーズなどの調査を実施してはいかがでしょうか。初期相談から負担の軽減をはじめとする家族支援まで、切れ目のない治療と支援を一層充実することを強く求めます。
介護予防・日常生活総合事業が始まって四年目となりました。この間をみますと、実態の調査や問題の洗い出しが必要だと感じております。例えば、対象者の増加数に反比例して、訪問介護利用者数、率が減少しています。一方で区が独自に行っているおうちでリハビリ、お元気ランチなどの利用もふえておらず、横ばい状態です。調べてみましたら、二〇一八年二月時点の対象者全体で要支援、要介護、またこれに類する方たち約二千八百九十人のうち、約五割近くが何らかのサービスを受けておりません。本当に必要がないのか、本人の状態を無視したサービス取り上げはないのか、経済的な要因はないのかなどしっかり調査検証を行い、必要なサービスがきちんと届く対策が求められています。
こうした軽度者への介護サービスは認知症対象として、早期発見、早期治療の入り口にもなります。軽度者の方が支援を受けることで、地域で自立した生活や社会的なかかわりができることにもつながります。そこで、介護予防・日常生活総合事業の対象者でサービスを利用していない人の実態をつかむとともに、認知症対策に逆行する軽度者からのサービス削減を行わないこと、これを区に求めます。
また、今、国が計画している要介護一・二の介護保険外しや利用料の原則二割負担導入、これもやはり認知症の遅延には逆行しています。やはりきちんと政府に対してやめるよう求めるべきと思いますが、お答えください。
次に、区内産業振興についてです。
この間、区は、製造業、商業などの事業所調査を行ってきました。どの調査結果を見ても、区内産業は極めて厳しい状況に置かれています。区の産業振興基本条例、国の中小企業憲章という原点に立ち返った取り組みが今、求められていると思います。
中小企業憲章は、中小企業について、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献し、伝統技能や文化の継承に重要な機能を果たす、小規模企業の多くは家族経営形態をとり、地域社会の安定をもたらす、国家の財産とも言うべき存在、こう高く位置づけております。こうした精神に立った中長期の産業振興策を今、策定するべきときだと思います。
ウイーンに伝統工芸技術の職人さんを派遣されました。たまたま若手の方たちが顔を合わせる機会があったようであります。聞きますと、そこでお礼の品をつくろうというので相談をした、指物、木版、漆、寄席文字、こうした技能が合わさって、小さな名刺入れができたそうであります。
小さな出来事ですが、異なった技術や技能の出会いで新しいものができる可能性を示している一つの小さな出来事だと思います。荒川区の物づくりとして、大量生産、大量消費でなく、いいものをつくり、いいものを長く使う、大企業ではできないものを目指してはどうでしょうか。そのため、歴史的に集積した区内の物づくりにかかわる技術や技能を区としてもう一度つかみ直し、データ化して蓄積し、その出会いと新たな創造の機会をサポートすることで新しい製品開発などの糸口を見出すことができるのではないでしょうか。
そのため、当面、歴史的に集積した区内産業の技術、技能を生かした物づくりの新たな創出に向けた新たな支援や場の提供を検討することを求めます。
また、この間、大変喜ばれてきた製造業等の経営力向上支援事業、設備投資補助でありますが、これについて私も繰り返し申し上げています。さらにバージョンアップさせて、区内の仕事起こしや区内企業育成にもつながるよう、区内事業者を使った設備投資の補助率を思い切って引き上げること、また、拡充することを求めます。お答えください。
最後に、滞納処分についてです。
税金や保険料滞納の機会を捉えて区民の困窮した暮らしを立て直すきっかけにはできないでしょうか。区は、税や保険料の滞納処分の際、年金や給料が振り込まれたと同時に預金債権として差し押さえる手法をとっております。催告しても相談に来ない、仕方なく差し押さえるとのことです。
徴税は義務です。徴税業務の大変さはよくわかります。しかし、差し押さえても相談に来ないまま債権が換価される方はそのままになっているようであります。給料や年金を原資とする預金債権を差し押さえられた区民がその後どうなっているのでしょうか。やはり想像力を働かせることが必要です。
税、保険料の滞納を区民の生活困窮と捉えて、訪問も含めた接点を持ち、問題解決に当たるため、関係部署で必要な人員体制もとってアウトリーチなど暮らし応援の体制をつくることを求めます。
以上で第一回目の質問を終わります。

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