2019年荒川区議会6月会議で相馬ゆうこ区議が初めての質問を行いました。ご紹介します

【質問項目】

1.幼児教育・保育無償化について
①副食費の実費徴収はせず引き続き公費で行うこと
②認可園の増設・質の確保・職員の処遇改善について、国の責任で実施することを強く求めること

2.乳児健診の環境整備と拡充について
①利用者や現場の声を把握し、安全・安心な父親も参加しやすい環境づくりをすすめること
②乳児健診の実施場所を増やすこと

3.子育てしやすい町づくりについて
①子どもの声など「煩音」問題について区の考え方を問う
②「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」を荒川区でも取り入れること

4.荒川区環境美化条例の進捗状況と今後の具体的な対策について

 

《質問全文》

日本共産党の相馬ゆうこです。私は、子どもを安心して産み育てることのできる環境づくりが、老後の安心にもつながっていくと考えます。子どもから高齢者まで、人と人とのかかわり合いを大事にした地域づくりのために全力を尽くしてまいります。区民の暮らしを本当によくするためには、国のやり方にもはっきりと物を言える区政が必要です。現状維持ではなく、暮らしに希望が持てるこれからの荒川区について前向きなお答えを期待します。
まず、先月十日に成立した幼児教育・保育無償化をうたう改定子ども・子育て支援法について伺います。財源が消費税増税分であり、公立の廃止と民営化を加速させ、保育の質、量の確保ができないことから、私たち日本共産党は反対の立場をとりました。今回の改定で、三歳から五歳児は認可保育園、幼稚園、認定こども園、地域型保育、企業主動型保育の保育料が無償化になります。類似幼稚園についても上限二万五千七百円まで無償化、幼稚園の預かり保育も一万一千三百円まで無償化するとしています。認証園など認可外の保育施設も、三万七千円までは無償化になり、ファミサポやベビーシッター、病児保育を同時に利用した場合も対象になります。その一方で、これまで保育料に含まれていた副食費は実費負担となり、保育園でも副食費四千五百円相当は施設が徴収することになります。政府は、年収三百六十万円未満の世帯は免除するとしていますが、それ以上の所得階層では、第一子と第二子は、この副食費が新たに実費負担になってしまいます。ゼロから二歳児は住民税非課税世帯のみ無償化としていますが、この世帯は今も既に無料です。東京都の独自支援で始まる第二子の保育料半額、第三子以降無償化は、荒川区では既に実施がされています。消費税増税分を財源とした今回の改定では、暮らしに大変な思いをしているこの低所得層の世帯には増税の負担だけが押しつけられることになります。また、無償化に係る費用は、私立は区の負担が四分の一なのに対し、公立は全て区の負担になります。政府の受け皿整備は、企業主導型保育を推進するだけで安易な民営化を誘導するのであれば、今後の保育の質の確保、公的責任の担保が難しくなります。そして、三歳から五歳児の無償化で利用がふえ、施設の整備が追いつかずに待機児がふえるとすれば、政府がやるべきことの優先順位が問われます。新聞各紙も子育て支援見切り発車、ニーズ増加で保育の質低下や保育士不足の深刻化などと報道しました。国が自治体や現場の声を聞かずに進めたことで、荒川区としても対応に苦慮しているのではないでしょうか。三歳から五歳児の副食費の実費徴収は、食育は保育の一環として位置づけられ、各自治体が学校給食無償化に向けた努力を進めている今の流れにも逆行しています。施設が徴収することとする政府の方針では、不必要な個人情報が明らかになる上、現場の事務負担が増大します。厚労省の調査では、現在の職場の改善希望状況について、保育士の三四・九パーセントが事務雑務の軽減と答えています。ただでさえ大変な今の状況で、新たに事務作業をふやすというのでしょうか。この政府の方針に対し、板橋区では全階層の副食費を区が負担すると表明しました。世田谷区は年収七百六十万円未満の世帯の副食費は免除するとしています。荒川区でも保育料と給食費のあり方について、区の条例改定の基本方針をはっきりと示すことが必要です。そこで、無償化というのであれば、最低限給食費の実費徴収は行わず、所得階層に関係なく保護者負担なし、現場の事務負担なしの無償化を実施するように決断していただきたいと思います。答弁を求めます。
これまで区は、待機児童解消のために認可保育園の増設を進めてきましたが、マンション建設も続いており、区内の人口は依然増加傾向にあると言えます。保育サービス利用率は五四パーセントと、二十三区内で最高で、これは子育て世帯の経済状況を示しています。今後の就学前児童の動向を正確に読み、引き続き必要な認可保育園の増設が求められます。保育士を確保し、豊かで安全な保育を全ての施設で提供することが区の責務です。今回の消費税増税分を財源として子育て支援や社会保障を行うという政府の姿勢は将来に禍根を残します。今後も無償化や社会保障の拡充のためとさらなる増税が迫られかねません。消費税に頼らずとも、政治の質を変えれば財源はほかにもあります。私たち日本共産党の提案は、法人税などにおける大企業優遇をやめ、軍事費の使い方を見直すなど、七・五兆円の財源で消費税三%減税と同じ分を確保し、幼児教育、義務教育、大学までの負担軽減を実施するものです。また、公定価格を改善し、介護、保育職員の給与を五万円引き上げる提案も行っています。職員の処遇改善をして保育士を確保することが、安心・安全の保育と待機児解消につながります。消費税に頼らない、本当の待機児対策として、認可園の増設と質の確保、職員の処遇改善など国の責任を果たすよう、保護者の一番身近にいる地方自治体として政府に求めることを強く望みます。お答えをお願いします。
次に、区の乳幼児健診についてお伺いします。荒川区では現在四カ月、一歳六カ月、三歳児の三つの健診をがん予防健康づくりセンターの地下で行っています。率直に言って、母子保健専門の場所があってもいいのではないでしょうか。昨年、三・四カ月健診に夫婦で参加しましたが、子どもの着がえをする場所と授乳できる交流スペースが一緒になっており、男性は立ち入り禁止ですので、母親と一緒に来た父親は、その間、壁際で待っていなければいけませんでした。父親が子どもを連れてきている場合は、別に着がえ用のベッドが用意されていましたが、交流スペースに入ることはできません。授乳場所は必要なので別に用意して、父親も一緒に交流できるようにしてもいいのではないかと思います。また、このセンターは、成人の利用を前提としているため、ほかの健診のたびにベビーベッドのセッテイングが大変で置き場所にも苦労していると聞きました。現場では最大限工夫をしながらやっておりますが、スペース的にも限界があります。ある親からは三・四カ月健診に来て、始まるまで一時間二十分待たされたという話も聞きました。現場も利用者も気持ちよく使うことのできる乳幼児健診の施設が身近な範囲にもっと必要なのではないでしょうか。また、ふれあい館など既存の施設を健診に利用するといった検討も必要かと思います。現状で十分という解釈でなく現場や利用者の声を反映した改善を求めます。男性の育児休暇取得に関する問題がインターネット上で話題になり、抱っこひもで子どもと外出する父親を見かけることもふえました。母体と子どものための母子保健は大切ですが、母親だけが子育ての中心ではなく、父親も育児の主役となれるような保健所づくり、そして地域の環境づくりが求められていると思います。区の考えをお伺いします。
今、国も自治体も子育てしやすいまちを目指して、さまざまな対策に取り組んでいる一方、子どもの声に対する理解を得にくくなっている現状があります。区内のある保育園では、園児の声がうるさいと苦情が寄せられ、子どもたちが園庭で遊ぶのを控えていると聞きました。インターネット上では静かに遊びましょう。声を出さないでという張り紙のされた公園が話題になりました。電車などの公共交通機関や人の集まる場所で、子どもが泣いたらどうしようと不安で気軽に外出できないという親の声も少なくありません。東京都福祉保健局の調査では、子育て中の父母に、子育てをする上で整備してほしいものを尋ねたところ、子どもが泣いても周囲の目を気にすることなく利用できる電車車両と答えた母親が三九・七パーセント、父親が三四・三パーセントもいました。これは、両方とも二番目に高い割合でした。子どもたちの声は、子どもも地域生活の中の共同の一員という共感があればトラブルになることは少ないはずです。こういった、そのときの人間関係や心理状態によってうるさく感じてしまう音のことを煩音と呼ぶ考え方があります。煩音とは、煩わしい音と書きますが、出す側と聞く側の関係性が深くかかわっているといいます。地域のコミュニティの中で人と人とのかかわりが薄れ、この煩音問題がふえていますが、音を抑えるのではなく、お互いの交流を深め、理解を得ることによって解決するというところで、騒音問題と区別して対応する必要があります。地域のコミュニティづくりの大切さは実感されていると思いますが、これに対する区の認識と対策をお答えください。
現在区では、子育て世帯が利用しやすい店舗や企業に、荒川子育て応援店の認定をし、そのPRに努めています。私はさらに一歩進めた取り組みとして、WEラブ赤ちゃんプロジェクトを荒川区でも実施することを提案します。これは、赤ちゃんが泣いてもいいよと書かれたステッカーやポスターを配布し、子どもが泣いても保護者が必要以上に気にしなくて済むようにと始められたものです。個人で気軽に参加でき、携帯電話の裏などに、目立つ場所にステッカーを張れば、公共交通機関や人の多い場所でさりげなく意思表示ができます。現在、全国十四県と七つの自治体を含めた二百以上の企業や団体が賛同しています。ことし世田谷区が児童相談所の開設に合わせ、二十三区で初めてこのプロジェクトに自治体として参加することを表明しました。荒川区でも、児童相談所の開設を控えています。安心して子育てできるまちへ、そして赤ちゃんの声だけでなく、さまざまな人がいてそれぞれの事情があること、相互理解を深め、多様性を認め合える社会にしていくことが必要です。区として検討し取り組んでいくことを求めます。積極的なお答えをお願いします。
最後に、荒川区の環境美化について伺います。先ほどの保坂議員の質問の中にもありましたが、私も今改めて考えなければならない問題だと思っています。区では、まちの環境美化条例を定め、環境美化の日と美化推進期間をつくって活動を実施しています。二〇〇一年からはアダプト・プログラムという市民と行政が協働で進める清掃活動に取り組み、グリーンサポーターやバラの会、まちなか花壇づくりで多くのボランティアの方々が参加をしてきました。スポゴミという、ごみ拾いとスポーツを合わせたイベントも開かれ、楽しく環境活動ができるという声を聞いています。私の子どものころと比べても、まちはきれいになり、生活環境がよくなったという印象はあります。しかし、実際の様子はまだまだポイ捨てが多く見られます。荒川区が行った二〇一八年度の世論調査の中で、転居したいと答えたのは、居住年数五年未満の方が多く、またその理由として、まち並みなどの生活環境が悪いからが一八・一パーセント、まちの雰囲気が嫌いだからが一五・三パーセントあり、この結果は大変にショックでした。また、東日暮里は、居住年数五年未満の割合が二九パーセントで、ほかの地区に比べ断トツに高く、今後、区に力を入れてほしい事業は、騒音、ポイ捨て対策などの生活環境の充実という答えが第一位でした。区内では主に新規の住民の方々が生活環境について不満を持ち、改善を求めていると考えられます。この騒音、ポイ捨て対策などの生活環境の充実は、二〇一五年度の調査から少しずつ上位に挙げられるようになり、二〇一八年度の調査では、荒川区全体で第三位になっています。世論調査からは、二十代、三十代の若い層の関心が高いという結果も出ており、子育て世帯の住民の増加とともに関心も高まったと推測されます。もし、住みやすさを求めて荒川区に転居してきた子育て世帯の若い人が、生活環境の悪さを理由に出て行きたいと思っているのなら、こんなに残念なことはありません。世論調査の結果を重く受けとめて、本気で改善していかないと、住民の定着率は下がっていく一方になるのではないでしょうか。この結果を区ではどのように受けとめ、対策をとっていくのか、お答えをお願いします。
荒川区環境基本計画の中で、基本目標③の施策の方向性に、まちの美化の推進が定められています。その課題の中で、一人一人が積極的に参加する意識を広めていくこと、新たな区民や事業者が活動に参加する仕組みをつくることとあります。この課題に対する取り組みとして、アダプト・プログラムの周知を改めて徹底し、参加してくれる住民をふやし、広げていくことを求めます。また、今後の方向性については、まちづくりを推進します、向上に取り組みますなど抽象的な表現だけで、具体的な記載がありません。区民は、区が本気で取り組むことを求めています。ごみ箱の形状を工夫した海外の例を参考にするなど、思い切った対策も必要かと思います。この課題に対する今後の取り組みを具体的にお聞かせください。
以上で第一回の質問を終わります。

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