2019年荒川区議会6月会議で小林行男区議が行った質問をご紹介します

【質問要項】

(1)消費税増税や「アベノミクス」の破綻によって区内の貧困と格差がかつてなく広がっているが、区の認識を問う

(2)くらし応援の区政に

①長期・反復雇用や専門的な図書館司書、区立幼稚園の担任など正規雇用にすること。

②官製ワーキングプアをつくらないために、非常勤、臨時職員の交通費支給をはじめ処遇改善をおこなうこと。

③区の工事等の契約で労働者の適正賃金・福利厚生の確保が「要綱」で本当にできているのか検証するとともに、公契約条例で確実に確保できるように検討をはじめること。

④シルバー人材センターの配分金について、最低賃金が割り込まないようにするため、民間事業者への協力要請の現状について問う。

⑤高すぎる国民健康保険料の引き下げにつとめるとともに、せめて子どもの均等割の保険料については、実質的に減額免除する支援制度を創設すること。

(3)「8050」問題への取組強化について

①専門家を配置した、引きこもり相談・支援専門窓口を設け、広く周知し相談に応じること。

②保健、医療、福祉、教育、親の会をはじめ各種NPO団体などとのお互い顔の見える連携できる体制・ネットワークをつくること。

(4)命を守る震災対策について

①「一人の犠牲者も出さない」ため予防原則に立脚し、最低限倒れないようにするため住宅簡易耐震工事にも助成を実施すること。

②家具転倒防止、感震ブレーカーなど屋内安全対策の100%実施へ取り組みを抜本的に強化すること。

(5) 日暮里・舎人ライナー、赤土小前駅前に自転車の一時置場を設置すること。

(6)核兵器廃絶を促進するために

①平和都市宣言をしている自治体としてあらゆる核実験に反対の表明をすること。

②核兵器禁止条約の批准を日本政府に求めること。

 

《質問の全文》

私は日本共産党荒から区議会議員団を代表して質問をします。

消費税増税が行われた2014年から5年間、貧困と格差が広がり、区民の暮らし地域経済が深刻な大打撃をうけました。

区民の総所得金額を世帯別に見ると、年所得200万円以下の低所得層が引き続き全体の約5割に及んでいます。一方、年所得1000万円以上の階層は、この数年間増加しています。こうした所得格差の広がりに加え、消費税8%増税で年収入200万円の場合、8.9%の負担率、ところが年収2000万円以上の場合、負担率は1.5%です。可処分所得でもても、大きな格差が生まれてきた4年間といえます。

また区が昨年、一昨年と実施した調査では、この4年間に区内製造業は3分の2まで減少しており、商業を含めた事業所の減少が続いています。

消費税の負担は日本生協連の調査では、4人家族の場合、3%で約12万円、5%で約18万円、8%で約24万円の負担になっており、所得税より消費税の負担が多くなってきている家庭も増えてきているといわれています。

5年前の8%への増税が家計消費を年間25万円も冷え込ませて、地域経済の悪化をいまだに引きずっているのではないでしょうか。

最近の朝日新聞の世論調査では、10%増税反対が65%、賛成が27%と半年で大きく変化しています。

また、政府金融庁の老後を安心して暮らすには、公的年金以外に2000万円必要だという報告とその対応に、国民の怒りが沸騰しています。年金月額20万円の世帯でも大変だが、国民年金をはじめ低水準の受給者の方が多いわけで、「公的年金が老後の生活に十分かどうか」「医療や介護の負担増大」などで生活の不安は増すばかりであります。実際、民間生命保険会社が行った60才の預貯金の調査では、100円万未満が前年度から4ポイント増の24.7%、と4人に1人がこういう状況に置かれています。500万円未満42%にも及びます。その一方で1億円以上が8.7%へと増加しています。格差が拡大されています。

付け焼刃的な低所得者対策は、まさに一時しのぎです。貧困と格差がさらに広がることは明らかです。貧困と格差の広がりの認識がなければ政策判断を間違えます。

このように消費税増税や国民の所得と年金を減らした「アベノミクス」の破綻によって区内の貧困と格差がかつてなく広がっていますが、区の認識を伺います。

第2にくらし応援について具体的にお伺いします。

非正規労働者が全体の40%をしめ、その75%が年収200万円以下のワーキングプアといわれています。厚労省の就業構造基本調査によれば、30代後半の男性労働者のうち、年収が500万円以上の割合は、1997年には55%だったものが2017年には39%に下がりました。物価も加味すればその割合はさらに下がるのではないでしょうか。

最低賃金法9条二項は「地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払い能力を考慮して定められなければならない」としています。

しかし、生計費についてまともに考慮されていないのが実態です。

実際、東京都の標準生計費は月27万9千3百円です。これを東京都の最低賃金985円で割ると283時間分です。月に100時間以上の残業が必要になります。残業しないとすると時給1860円が必要となってきます。

全国労働組合総連合の調査では、生活に必要な物やサービスを一つ一つ積み上げて割り出すやり方で、25歳単身者が賃貸ワンルームマンションに居住するという条件で札幌市、福島市、さいたま市、福岡市では22万2千円から24万5千円となっており、都市部で居住費が高く、地方では交通費が高い傾向がありますが総額では大差ありませんでした。

例えば、最低賃金を1500円に引き上げたとしても、週5日8時間労働で、月、額面で24万円、手取りで20万円弱です。これでも生活するには大変ではないでしょうか。

だから、非正規雇用のみなさんがダブルワーク、トリプルワークが恒常化しているのではないでしょうか。

荒川区役所が直接雇用関係見てみますと、正規職員1624人、非常勤職員 723人、再任用 67人、再雇用 92人の合計2506人これに加えてアルバイト(臨時職員)が多数存在しています。

一般非常勤 報酬月額 172.700円(1393円/h)、臨時職員 時間単価1000円(最低賃金985円)特例パートとして保育士は1400円/h 障害児補助員 1062円/hなどがあります。

非常勤の中には、図書館司書や公立幼稚園の担任の先生なども含まれています。本来は正規職員として安定的な保障のもとで働いてもらうことがご本人はもとより区民の福祉の増進、区民サービスに繋がっていくのではないでしょうか。

臨時職員・アルバイトを見ても、保育園の早番、遅番などの対応のための保育士確保が大変になっています。交通費の支給なども含めて待遇の改善がないと安定した公務労働の確保ができません。まずここから改善をすることを求めたいと思います。

そのため、第一に長期・反復雇用や専門的な図書館司書、区立幼稚園の担任など正規雇用にすること。

第二に官製ワーキングプアをつくらないために、非常勤、臨時職員の交通費支給をはじめ処遇改善をおこなうこと。答弁を求めます。

また、事業・業務の民間委託、指定管理制度の広がりや公務労働での非正規の拡大、公共工事の競争入札拡大の中で、労働者の賃金・労働条件の低下や雇用不安などが危惧され、暮らせる賃金を保障することが求められます。こうしたことを背景に公契約条例は、公契約の建設工事に従事する労働者の適正な労働条件を確保することにより、当該業務の質の確保及び公契約の社会的な価値の向上を図り、地域経済の活性化と住民の福祉の向上に寄与するものとして、2009年の千葉県野田市で制定。これを皮切りに都内でも足立区、千代田区、世田谷区、渋谷区、目黒区と、全国で51の自治体まで広がりを見せています。

荒川区は「荒川区が発注する契約に係る労働環境の確認に関する要綱」で最低賃金の遵守など法令順守や労働環境報告書の提出など求めてきましたが、建設業界の重層構造の中でも末端の労働者にいたるまで徹底されているのでしょうか。

とりわけ、公共工事設計労務単価は、この間毎年増額改訂されていますが、残念ながら強制力がありません。しっかりと実行力のあるものにしていかなければなりません。

そこで、区の工事等の契約で労働者の適正賃金・福利厚生の確保が「要綱」で本当にできているのか検証するとともに、公契約条例で確実に確保できるように検討をはじめること。答弁を求めます。

つぎに、昨年度シルバー人材センターの配分金について最低賃金改定に合わせて最賃が下回らないように区からの発注の仕事は改善していただきました。あわせて民間事業者への協力を求めましたが、民間事業者への協力要請の現状について伺います。答弁を求めます。

次に高すぎる国民健康保険料についてであります。

加入者は無職の人や高齢者、非正規労働者が加入、収入も低く、暮らしの基盤がぜい弱の人に最も高い保険料を課しているのが国保です。全国知事会も1兆円の公費負担を要求しています。

また、国保だけにある「均等割」世帯人数が多いほど保険料が高くなる均等割り、赤ちゃんひとり生まれたら、年間52200円保険料が発生します。多子世帯となれば本当に大変です。

全国市長会は「国民健康保険制度等に関する重点提言」で国保の安定的かつ持続的運営ができるよう国庫負担割合の引き上げなど国保財政基盤強化を国の責任において講ずること。特に低所得者に対する負担軽減策を拡大強化とともに保険者への支援を強化すること。また、「子育て世帯の負担軽減を図るため、子どもにかかわる均等割り保険料を軽減する支援制度を創設すること」などを求めています。

すでに東京の昭島市、東大和市、清瀬市、武蔵村山市はじめ、いろいろな形で減免制度が全国で25自治体に広がってきています。荒川区は23区統一国保ですので国保特別会計での減免は制度上難しいと思いますが、子育て支援として均等割り部分を子育て応援手当として工夫して実施することが求められるのではないでしょうか。

そこで、高すぎる国民健康保険料の引き下げにつとめるとともに、せめて子どもの均等割の保険料については、実質的に減額免除する支援制度を創設すること。求めたいと思います。お答えください。

第3に「8050」問題への対応についてです。

川崎、練馬の事件後、引きこもりの人が「犯罪予備軍」であるかのような報道や「なぜここまで放置したのか」と家族を責めるバッシングに当事者や家族は不安を大きくしています。

今年内閣府が3月に公表した40歳~60歳の「引きこもりの中高年者」の数が推計61万人に上るという調査結果を発表した。前回の調査では15歳から39歳までの推計は54万人。中高年の引きこもりが若者層よりも多いという衝撃的な数字でした。厚生労働省が「新しい社会問題だ」との見解を示したが引きこもる人たちの中核層が長期高齢化している実態については、多くの引きこもる当事者や家族、実態を知る専門家たちが以前から指摘して各地の自治体での調査結果もあり、わが党も繰り返し質問してきました。

今回の調査でもひきこもりになった期間を見ると「3年から5年」がおよそ21%と最も多かった一方、「5年以上」と答えた人が半数を超え、中には「30年以上」といった長期化の傾向が見られたとしています。また、どんな年代であっても、ある日突然、ひきこもりになることがうかがえます。「今の40代を中心に就職氷河期時代を体験し、不本意な就職をして不安定な雇用状態のまま過ごしてきた方も多く、社会的に孤立するきっかけを多くもっている。また、ひきこもるきっかけは、学校や就職だけでなく何十年も働いてきた中で途中でつまづいてしまったり、親の介護のために仕事をやめてしまったりした人などいろいろな人が含まれている。」といいます。

40才を超えるひきこもりの子どもを抱える親たちは、「子どもの今後を考えると不安だらけ、夜も眠れない」と深刻な状況をかかえ、親があせって接すると子どもも敏感に感じて余計、不安定な状況を作ります。ひきこもりを抱える親たちのケア・支援がまずは大事ではないでしょうか。

専門的に相談できる場所を広く周知に気軽に相談できる体制、同じ悩みを持つ家族会での交流などが大切になっています。

地域包括センターをはじめ介護の現場の中からも「どういう支援が必要なのか」、「どうすればいいのか」多く報告されているといいます。包括支援センターやケアマネジャーや民生委員などへの周知徹底が大切になっていると思います。

荒川区では、家族会が毎月開くあつまりに保健師さんが参加し参加者を励ましています。

またね社会福祉協議会も場所の提供など支援していただいております。こうした支援が大切だと思います。こうした中で就労につなげたケースもあるそうです。

一人一人が違った状況・環境など様々なケースがあり、専門の相談員がメールや電話、地道な訪問を重ねていくことなども必要でしょう。こうした自治体としての決め細やかな取り組みが必要ではないでしょうか。

地域の住民がひきこもりについて学ぶことや家族同士が話し合うことで「ひきこもりは誰にでも起こりうる」ということを感じてもらうことで少しづつ偏見が減っていくのではないでしょうか。

そこで、第一に専門家を配置した、引きこもり相談・支援専門窓口を設け、広く周知し相談に応じること。

第二に保健、医療、福祉、教育、親の会をはじめ各種NPO団体などとのお互い顔の見える連携できる体制・ネットワークをつくること。答弁を求めます。

第4に命を守る防災対策についてです。

18日、新潟・山形地域で震度6強の地震が発生しました。甚大な被害をもたらす地震が「日本のどこで、いつ発生してもおかしくない状況」が続いています。阪神淡路大震災以来、この24年間で震度7の東日本大震災をはじめ5回発生、震度6以上が30回以上を数え、現在、日本列島はほぼ全域で大地震の活動期に入りつつあると、ほとんどの地震学者が共通に考えています。

木造密集地域を多く抱える荒川区で、肝心の木造住宅耐震化は、喫緊の課題です。

現状は、借地や借家、個人所有でも高齢世帯が多く、区の耐震補助制度でも多額の自己負担が生じます。自力では建て替えや耐震改修ができない経済状況の方が取り残されています。さらに補助は、新築並み・評点1が必要、厳しい接道要件が要求されることなど、耐震化に結びつきません。その結果、荒川区の耐震補強補助制度は、一昨年13棟、昨年27棟過ぎません。これでは本格的な改善にはほど遠い状況です。ここでも貧困と格差社会の付けが回っているのではないでしょうか。

平田直東京大学地震研究所教授は首都直下地震への備えにかかわって優先すべき第一は、命を守ることとし、住宅の耐震化・住宅を倒さないこと、とりわけ木密地域の改善が不可欠と指摘しています。また東大の目黒教授は「家屋はつぶれるとすぐ燃える。つぶれていなければ消せる。延焼火元数は倒壊で増える。耐震性を高めると火事が減る」といっています。国の中央防災会議の被害想定では、建築物耐震化を図ることで建物倒壊が首都直下地震で最大95%も軽減できるとされています。

簡易な耐震補強への補助制度は、最低限住宅の倒壊防ぐことで、火災の発生、延焼を防止し、避難路の確保にも有効であり、「一人の犠牲者も出さない」ためにも必要ではないでしょうか。

阪神淡路大震災では、地震後対策で仮説住宅建設に1400億円、復興住宅に4600億円が投じられたといわれています。予防対策に思い切った支援を行うべきです。

また、屋内対策も大切です。昨年の大阪北部地震においても建物が大丈夫でも家の中で家具の転倒によって、亡くなる方がいらっしゃいました。

通電火災を防ぐ感震ブレーカーの設置も大切です。現在荒川区の屋内安全対策の取組状況は、家具転倒防止器具設置、48,1%、必要なしを含めて68.6%、感震ブレーカー設置は昨年度、特例世帯を対象に3000世帯を目標としたが1092 世帯にとどまっています。本気の対策が必要です。

そこで、第一に「一人の犠牲者も出さない」ため予防原則に立脚し、最低限倒れないようにするため住宅簡易耐震工事にも助成を実施すること。

第二に家具転倒防止、感震ブレーカーなど屋内安全対策の100%実施へ取り組みを抜本的に行うこと。を求めます。答弁をお願いします。

第4に日暮里・舎人ライナー、赤土小前駅前に時間借りの駐輪場の設置を

2008年開通した日暮里舎人ライナー、10年が経過して、利用乗客が伸び続け通勤通学時には、熊野前、赤土小前など大変な混雑で乗車すら躊躇するぐらいに満員であります。開設当初から駅前には自転車置場も設置していただきました。混雑の状況からも赤土小の駐輪場の利用よりも西日暮里などに利用する方も多くいます。そのためもあり大きくない自転車置場そのものには余裕のある状態が続いています。昼間時間には通院やお買物でかけるには大変便利な乗り物です。こうした時に一時的に駐輪できる場所の確保の要望も少なからずあります。小学校の目の前という立地条件も考えれば放置自転車は許されません。

日暮里・舎人ライナー、赤土小前駅前に自転車の一時置場を設置すること。お答えください。

 

最後にアメリカが今年2月13日にネバダ州の施設の未臨界核実験をしていたことが5月下旬にわかりました。アメリカの未臨界核実験は1997年にはじまって以来29回目であります。 未臨界核実験は核爆発を伴なわないものの、核兵器を「使える兵器」として維持・強化するためのものです。核不拡散条約違反と共に、核兵器禁止条約の早期発効を求める国際社会の大きな流れに対する重大な挑戦です。また、北朝鮮に核兵器と核開発の放棄を求めながら、自身は核兵器の近代化と強化を公然と進めることは、朝鮮半島の非核化へ悪影響を及ぼすことは許せません。こうした下で、唯一の戦争被爆国として断固抗議するのは当たり前のことです。広島、長崎の市長をはじめ、平和市長会議の参加市長の港区長、三鷹市長、川崎市長などなどトランプ大統領に抗議文送付いたしました。安倍首相は直接会談を持っているのにもかかわらず抗議すらしませんでした。

荒川区も北朝鮮の核実験を巡っては、これまで何回となく、機敏に抗議声明をしておりましたが、今回はありませんでした。

そこで、平和都市宣言をしている自治体としてあらゆる核実験に反対の表明をすること。

平和都市宣言をしている自治体としてあらゆる核実験に反対の表明を求めます。

また、前回もお聞きしましたが、いま、核兵器禁止条約への批准行動が世界で広がっています。今年4月11日現在、70カ国が調印、23カ国が批准しています。条約は50カ国批准で、90日後に発行されます。

あらためて核兵器禁止条約の批准を日本政府に求めること。要請します。答弁を求めます。

これで第1回目の質問を終わります。

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