2020年度荒川区一般会計予算への共産党区議団の反対討論…

日本共産党荒川区議会議員団を代表して2020年度荒川区一般会計予算に反対、修正案に賛成の討論を行います。
政府はGDP年率マイナス7.1%に下方修正しました。新型コロナウィルスの影響のない時期であり、今日的にはさらに深刻です。内閣府発表の景気動向指数も5カ月連続悪化です。その大きな要因が消費税10%増税であることは明らかです。
一般会計予算原案は1069億円昨年度比4.6%増で、2年連続で1000億円を越える過去最大の大型予算となりました。「区民の安心と元気を育む幸福実感予算」と銘打ちましたが、消費税増税、雇用の不安定、収入減に苦しむ区民を応援する思い切った新規事業は残念ながらありませんでした。
入(い)るを量(はか)りて出(い)ずるを為(な)す・収入の額を計算し、それに応じた支出を行う。国や都の補助金制度があり歳入が見込めることを事業決定の一つの目安にすることなどの議論が交わされました。
区におりる補助金が高いのは再開発事業や都市計画道路交付金で、逆に公立で保育園を建設することには一切補助金を出さない、就学援助も一般財源化するなど国の責任を放棄し次々削減してきました。
国のあり方に異議を唱えるとともに、幼稚園保育園の給食費負担軽減に3億円、子ども医療費無料化9億円を一般財源で予算化出来たように、区民のくらしを守るための必要性から判断し、地方自治の本旨である住民の福祉と安全のための予算編成を行うべきです。
財源の使い方が間違っているのは、西日暮里再開発事業です。西日暮里駅前再開発は、総事業費1000億円です。そのうち、区の負担金も含めて税金が約250億円、区の大ホールなど建設に190億円、あわせて440億円の税金が投入される計画です。一般会計の単年度予算の半分近い額です。
不思議なことに、これだけの多額な税金を使うことが健全な財政運営なのかの検討がされていません。ささやかな区民のくらし応援の施策については、将来にわたる財政負担が大きいと拒否することが度々です。
大規模改修したばかりの区民ホールの移転だけでなく区庁舎建設まで出てきます。まさに投資的経費確保のために区民のくらし応援の施策が後回しされ、安定的財政のためと言いながら事業の縮小、廃止・民間委託を検討するような姿勢は行財政運営の逆立ちと言わざるを得ません。
我が党区議団が提出したくらし応援の条例や予算修正は予算の0.35%を組み替えで、経常的にも十分実施可能です。スタート時の基金活用については、新年度の当初予算案でも基金繰入が73億円、その内財調基金は64億円で一般財源として活用するのです。私たちの提案3億7千万円は無理なことではありません。
本予算原案に反対の理由の第一にこの政治姿勢に賛成できないからです。
第二に新たに児童相談所の設置に向けて福祉職など専門職を増員したことは、児相設置を決断した地方自治体として当然の対応です。国や東京都からの財政的な措置が基本的にない中でも、地方自治体独自の判断で、人員増も含めた事業を実施できることを示したものです。
一方、高齢者福祉や生活保護行政なども専門職の増員が必要ですが、この点は十分とはいえません。区民の命と暮らしを直接守る分野であり、児相と同様な対応をすべきです。
第三に税や国保料などの滞納処分「特別な事情」を考慮することなく機械的な差し押さえが引き続き行われていることです。滞納は、くらしのSOSという立場が弱いことです。
第四に保育の質の確保と保育士の処遇改善、私立保育園の人件費の流用と運営費の占める人件費割合の低さに歯止めをかける対策を早急に進めるべきですが、抜本的な対策強化がすすんでいません。
第五に住宅は暮らしの土台です。高齢者・障害者・ひとり親など、荒川区で最後まですみ続けることが出来るように、区内高齢者施設、公的住宅の確保や家賃補助の拡大に消極的です。
第六に介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険の保険料負担は大変です。多子世帯の均等割の減免制度など値上げを抑えるための独自対策の検討がなく、高すぎる保険料の押し付けを容認しています。
第七に公共施設総合管理計画は80年周期に長寿命化しても、向こう40年間で毎年平均48億円かかる計画ですが190億円の大ホールが入ったら、どうなるのか財政運営上も大きな問題です。大ホールなど区民的合意も計画の詳細は非公開のまま進んでいることは問題です。
まちづくりの最優先課題は、木造密集地域の改善です。不燃化特区整備促進予算の平均は約6億円、190億円はその30年分以上です。被害を最小限にするための事前復興の理念からも区民の命守る上でも優先順位が間違っています。
次に予算委員会の質疑から何点が申し上げます。
防災減災対策では聴覚・視覚障害に限らず高齢者など必要な方への防災ラジオの早期配布と全区民への身近な情報伝達手段の確保普及をすすめること。医療的ケア児を持つ家庭の避難時の対応、保育園の臨時休園の基準を現場の職員の参加ですすめること。
介護保険では要支援の住民主体型の訪問・通所サービスをすすめていくようですが、従来型の予防給付サービス利用が落ち込んでいます。必要なサービスの提供が削減されることのないようにしていただきたいと思います。
障害者福祉では、相談支援の中核的な役割を担う基幹型障害者支援センターの設置については三障害ワンストップの役割が充分果たせる人員体制を求めます。スニーカーの避難誘導の障壁は直ちに取り除く措置をしないといざという時に大問題になります。
環境分野では荒川遊園の喫煙所設置は見直すべきです。地球温暖化問題は深刻です。減プラスチックゴミを減らすための実効性のある仕組みづくりが自治体からも強く求められます。
差別や分断をなくし、誰もが自分らしく生きられる社会へジェンダー平等の実現の取り組みは今日の重要課題の一つになっています。男女平等推進センターがふさわしい役割を果たすよう事業も体制も強化して欲しいと思います。
最後に、新型コロナウィルス対策について申し上げておきます。
PCR検査と医療の体制の強化です。国に対して民間医療機関や都立病院、大学病院も一体となってすすめることが出来るよう強く求めて欲しいと思います。また迅速で正確な情報提供のために保健所の窓口の体制強化が必要です。
国保証について資格証明書発行世帯への短期証の送付、並びに窓口留め置きの短期証を直ちに届ける措置を求めます。学校給食もなく子ども食堂も休止になる中、ひとり親家庭をはじめしわ寄せが広がっています。給食提供の実施など検討するべきです。
学校休校で子どものストレスも高まります。校庭開放など外遊びの保障は政府も言い始めました。安全を担保して早急にすすめること。休校措置そのものについても独自検討を求めます。
ころばん体操など事業の中止で高齢者が行き場をなくし、筋力体力、認知の低下で介護が必要な方が増えるのではないかの心配にも応えなければなりません。
地元業者の苦境に応えるためにコロナ融資の実効性を上げるため、無利子にするなど更なる検討も必要です。また休業補償について政府の対応や不十分さをカバーする対策も求められます。
対応すべき課題が山積しています。パンデミック認定で新しい事態に敏速適切な対応も求められます。国の指示や要請通りではなく実態をつかみ、緊急補正予算も組む構えで、すすめることを強く求めて討論といたします。

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