「荒川区個人情報保護条例及び荒川区個人番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例」に反対の討論

私は日本共産党荒川区議団を代表して、議案第38号「荒川区個人情報保護条例及び荒川区個人番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例」に反対の討論を行います。本案は、今年5月に公布された、いわゆる「デジタル関連法案」のうち、番号法第19条の改定とデジタル庁創設による変更にかかわるものです。

反対理由の第一は、改正の根拠となる番号法第19条4号について、問題があることです。

番号法第19条4号は、マイナンバーをふくむ特定個人情報の提供が可能となる条件について、「従業員等が転職などした際に、退職前の勤務先から、再就職した勤務先に、本人同意をもとに当該従業員等の特定個人情報を提供できる」ことを追加したものです。

国は改定の理由として「転職の際に再就職後の勤務先へ改めてマイナンバーを提供しなければならず、国民・事業者の負担が極めて大きいため」としていますが、そもそも事業者が作成する諸々の書類にマイナンバーは必須ではなく、それ以外の個人情報はすでに第三者提供が認められているため、現行法で十分対応可能です。にもかかわらず負担がおきているのであれば、従業員に対してマイナンバーの提出を必須としている事業者が多いためではないでしょうか。内閣府・国税庁・厚労省も認めているとおり、マイナンバー提出は任意であり、拒否した場合も本人と事業者に不利益はないということを、国はきちんと周知すべきです。個人情報保護の観点から、安易に法を変えてリスクを高めることはやめるべきと申し上げます。

第二に、区の「個人情報保護条例」の内容が不十分であることです。

今回の改定にかかわる部分の条文は「番号法第19条の各号のいずれかに該当する場合」となっており、引用号数が明記されていません。そのため、項ずれのみの修正となり、追加された番号法第19条4号そのものの内容について、表立って議論の対象にならないつくりになっています。国の改定内容が、区民のくらしにどうかかわってくるのか、どういうところに問題があるのか、議論を経ないまま追認するような条文になっていることは問題であり、改善の必要があると考えます。

第三に、「デジタル関連法案」やデジタル庁の創設など、そもそもの国のデジタル政策が、人権を土台にしたものとなっていないことです。

マイナンバーを個人情報とは別の特定個人情報として、法律上厳重な取り扱いを求めているにもかかわらず、マイナンバーカードを健康保険証や運転免許証、預金口座と紐づけようとするなど、気軽に持ち歩くことを推進するような施策をすすめていることは、大きな矛盾であり、個人情報流出のリスクを高めるだけです。マイナンバーがなくても、行政手続きなどにおいてデジタル化は可能であり、同時に対面サービスを充実させ、多様な住民の要望に応えるための活用こそすすめるべきです。

今後、各自治体が独自に定めている個人情報保護条例について全国共通ルールの設定、情報システムの一元化など、自治体の裁量を認めない方針が出されています。これでは、住民要望にそった自治体独自の施策は行えず、個人情報保護も後退するおそれがあります。行政が保有する個人情報は、区民が行政手続きを行う際に義務的に申告する情報であり、その取扱いは極めて慎重に行わなくてはなりません。区の個人情報保護条例等が、区民の個人情報をまもる防波堤となるよう、区として区民の基本的人権を尊重した対応を要望して討論といたします。

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