2022年2月区議会 横山幸次区議の一般質問(質問項目・全文)です

質問項目

1、新型コロナ感染拡大から区民の命を守るために

①3回目のワクチン接種について区民に正確な情報を周知し、迅速、安全に進めること。

②今後にも備え、いつでも、どこでも、誰でも、無料で受けられるPCR検査体制の拡充とともに、抗原定性検査キットを区として最大限確保し希望する区民に配布すること。

③増加する自宅療養者に対し健康観察、生活支援などで地域ネットワークの活用も含めた区独自の支援体制を抜本的に拡充すること。

④保健所の現場の要求を聞き、臨時採用や応援派遣など体制を強化するとともに、必要人員について定員化と正規職員の増員につなげること。

⑤保健所機能強化の一環として、保健センター設置を検討すること

2、長期化するコロナ感染拡大から区民の暮らしと営業を守るために

①区内金融機関とも連携して、「新型コロナウィルスによる区内中小企業等への影響調査」を実施し支援策を具体化すること。

②国に対し、「事業復活支援金」の給付額の引き上げなど求めるとともに、区として独自の支援を強化すること。

③生活の困難が広がるなかで、国保料、後期高齢者医療保険料の値上げは行わないこと。

④「国民の権利」としての生活保護の利用について積極的に周知するとともに、あらためて庁内の全窓口が区民のSOSを捉え支援につなぐ役割を果たすよう徹底すること。

3、子どもたちの現状に寄り添った支援について

①コロナ禍での子どもたちの現状とその認識を問う。コロナ禍の長期化が子どもの心や成長に大きく影響しているもとで、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー緊急増員と児童相談所との連携を一層強化すること。

②子ども医療費無料化の18歳までの引き上げは、2023年度の都制度実施を待たず、来年度から区独自で実施を決断すること。

③家計急変世帯に対し生活保護制度や就学援助などの利用について丁寧に周知徹底すること。

4、区政における公的部門の再構築のために

①区が直接運営する区立保育園・幼稚園、ひろば館などがコロナ禍で果たした地域のセーフティネットとしての役割を検証し、住民福祉に直接携わる公的部門を強化、再構築すること。

また計画中の民営化は凍結し見直すこと。

②指定管理導入から10年を経過したもとで、区施設や事業運営のあり方の検証と見直しを行うこと。

5、「移動の権利」を保障するまちづくりのために

①コミュニティバス町屋さくらは当面補助金で運行を継続すること。また補助金での運行や代替え交通手段なども含めた住民の移動手段を具体化すること。

②区内の交通不便地域について、高齢化などの進行に見合った地域公共交通政策を策定すること。

 

質問全文

私は、日本共産党荒川区議会議員団を代表して質問します。

新型コロナウィルスオミクロン株による感染拡大の第6波、これまでにない規模での爆発的な感染拡大下での議会です。しかも新型コロナウィルス感染拡大は、2年越しという長期間に及び、この先も収束のめどが見えない中、住民のいのち、くらし、仕事、そして子どもたちの育ちなどあらゆる分野でかつて経験したことのない深刻な事態に直面しています。

いま住民のいのちと暮らしを守り、福祉を増進するという基礎自治体荒川区としての役割を発揮できかが、まさに問われているのではないでしょうか。また非常事態下にふさわしい予算編成になっているか、問われています。

以下大きく5点にわたって質問します。

第一は、何よりも区民の命を守るためのとりくみです。

いま、感染拡大から命を守るための対策の基本は、いうまでもなく大規模検査による感染者の隔離と保護、ワクチンの3回目接種を加速することです。しかし、検査キットが品薄になり、検査そのものができない、という深刻な事態が生じてきました。ワクチンブースター接種は、依然として先進国・OECD最下位です。ブースター接種と大規模検査という要の二つが遅れ目詰まりしています。政治の責任がきびしく問われています。

区内でも高齢者施設で深刻なクラスターが発生するという深刻な事態が生まれています。また保育園、幼稚園、学童クラブなど子ども関連施設での感染も相次ぎ、休園などの対応を余儀なくされる事態も続いています。いのちを守る上でも、社会の機能を維持する上でも、全職員、利用者への検査の頻回での実施を行うことが求められています。

そのため3回目のワクチン接種について区民に正確な情報を周知し、迅速、安全にすすめることを求めます。また今後にも備え、いつでも、どこでも、だれでも、無料で受けられるPCR検査体制の拡充とともに、抗原定性検査キットを区として最大限確保し希望する区民に配布することを求めます。お答えください。

同時に、爆発的な感染によって2月2日時点で2500人を超える方が自宅療養を余儀なくされています。保健所業務は、さらにひっ迫し、積極的疫学調査まで手が回らないのが実情です。いま無症状、軽症の自宅療養者で50才未満基礎疾患のない方は、うちさぽ東京で自己健康観察、50才以上・基礎疾患のある方が都のフォローアップセンター、70才以上を保健所で対応しています。なかなか保健所業務のひっ迫もあって、絡が来ないという声や、食料やパルスオキシメーターの配布などの目詰まりも報告されています。こうした状況下で、重症者や亡くなられる方が増加していることは重大です。この1月、警察発表によれば、自宅待機中になど病院以外で亡くなられた方が全国で151人、うち東京35人で過去2番目に多い人数になっています。最低限、適切な健康観察によって対応が必要な場合直ちに医療につなぐ、食料など生活必需品をはじめとする十分な生活支援体制の拡充強化が必要です。

増加する自宅療養者などへの健康観察や生活支援で地元事業者などの地域ネットワークの活用も含めた区独自の支援体制を抜本的に拡充することを求めます。

この30年間に少なくとも30の感染症が出現し、2009年の新型インフルエンザ感染拡大をうけ、2010年政府の新型インフルエンザ対策総括会議の報告書は、保健所や地方衛生研究所の人員・体制の強化、国立感染症研究所の研究機能の充実、感染症有事に対応する専門的機関の構築などを提言しています。しかし実際は真逆で、歴代政権による社会保障費抑制政策によって、感染症病床の縮小、国立感染症研究所の予算削減、保健所の統廃合など、日本の感染症対策は後退・縮小でした。この状況を直撃したのが、今回の新型コロナウィルスです。この教訓を受け止め、区の保健所行政再構築が求められます。

現状の危機だけでなく、今後必ず出現する新たな感染症・パンデミックを見据え、保健所の現場の要求を聞き、臨時採用や応援派遣など体制を強化するとともに、必要人員について定員化と正規職員の増員につなげることを求めます。また、保健所機能強化の一環として、区内の必要な地域に保健センターの設置を検討するべきです。お答えください。

次に、長期化するコロナ感染拡大から区民の暮らしと営業を守る対策です。

東京商工リサーチがまとめた昨年の負債1000万円以上のコロナ関連倒産は1668件と、前年の2倍に増えました。倒産全体の約3割、圧倒的多数が中小企業です。加えて休廃業・解散件数は、帝国データバンクの集計で、昨年5万3000件前後と見込まれ、倒産の9倍です。区の景況調査をみても、新型コロナウィルス感染症の影響を受けている区内事業者は引き続き7割前後となっています。いま「コロナ関連の返済が始まり、苦しくなる」「原油価格の高騰、原材料値上がり分を販売価格に転嫁できない」などの声は、区内事業者からも聞かれ、二重三重の不安が広がっています。

区は、製造業調査を実施しているようですが、可能な範囲で全事業所対象に行うべきです。コロナ感染の影響に対して国の「事業復活支援金」もありますが、金額も少なく、対象時期も昨年一番大変だった緊急事態宣言の期間が入っていません。改めて産業振興基本条例を据えた取り組みが求められます。

まずは、区内事業所の実態を最もリアルにつかんでいる区内金融機関とも連携して、「新型コロナウィルスによる区内中小企業等への影響調査」を実施し支援策を具体化するときです。

また国に対し、「事業復活支援金」の給付額の引き上げ、対象期間の見直しなど求めるとともに、区独自の事業継続の給付はじめ支援を抜本的に強化することを求めます。お答えください。

くらし応援では、非課税世帯などへの臨時給付金支給が開始されていますが、実際のコロナによる生活困窮者を今回の支給範囲でカバーできません。住民税課税でも、実質非課税世帯と同じ状態の世帯も少なくありません。そうしたところへも支援が必要です。物価の高騰も深刻な影響を与えています

この時期に政府は、公的年金を0・4%引き下げ、2年連続の引き下げをおこなうとしています。加えて、国民健康保険料と後期高齢者医療保険料の値上げです。国民健康などの保険料については、コロナ禍での減免が実施され多くの世帯に適用されました。生活困窮世帯が増加し、コロナ減免を適用する世帯が増加してきた下での保険料値上げが暮らしを二重三重に直撃することは明らかです。

生活の困難が広がり、非課税世帯などへの臨時給付など行っているなかで、国保料、後期高齢者医療保険料の値上げはありえません。保険料は、最低限据え置くべきです。お答えください。

区は、コロナ禍でも保険料等の滞納者への差し押さえを継続しているようです。もちろん悪質者へは当然ですが、大多数は、払いたくても払えないから滞納しているのです。生活に困難を抱える区民、住民のみなさんに対し適切な支援に結びつけるのは、区の第一義的な仕事であり責務だと思います。コロナ禍という緊急事態下で、特にその機能を最大限発揮することが求められています。そのため「国民の権利」としての生活保護の利用について積極的に周知するとともに、あらためて庁内の全窓口が区民のSOSを捉え支援につなぐ役割を果たすよう徹底することを求めます。

次に、子どもたちの現状に寄り添った支援についてうかがいます。

2年前、何のエビデンスもなく行われた「全国一律休校」、子どもたちは科学に基づかない政権の政策に振り回されてきました。そして第6波では、荒川区内でも学校や保育園で感染が拡大し、休校、学級閉鎖、休園などが相次ぎ、保護者だけでなく子どもたちに様々な要素の負担が大きくのしかかっています。長期にわたって、給食は黙って食べる、大きな声を出さない、友達と一緒に遊ぶ機会少なくなるなどが続いているのです。

国立生育医療研究センターの第6回調査では、「学校に行きたくない」と感じているこどもが38%いることが分かりました。今回の調査ではその理由についても、対人関係の悩み、感染への恐怖、精神的な不調など様々になっています。また、日常的な運動機会がないこどもは過半数にのぼっています。

昨年10月時点で、自殺した児童や生徒は初めて400人を超え、小中学生の不登校は19万人以上と、いずれも過去最多となったことが分かりました。調査した文部科学省は「極めて憂慮すべき結果で、コロナ禍による環境変化が大きな影響を与えていることがうかがえる」として、SOSを発信しやすい取り組みが重要だとしています。翻って荒川区ではどうでしょうか。オミクロン株の急拡大がによって小中学校の休校、学級閉鎖もありました。現在、選択制で登校とリモート授業が併用されています。こうした一連の状況が、子どもたちの成長にどう影響するか心配です。

この問題についての区の現状とその認識をうかがいます。またコロナ禍の長期化が子どもの心や成長に大きく影響しているもとで、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー緊急増員と児童相談所との連携を一層強化することを求めます。

昨年内閣府は、子どもの生活状況についての調査報告書を発表、子どものいる世帯で「食料が買えなかった経験」があるとの回答が、収入の水準が低い世帯では4割、ひとり親世帯では3割に上るなど、経済的に厳しい家庭の生活がコロナ禍で深刻になっていることが明らかになりました。コロナによる精神的ストレスや親の経済状況による貧困化が、子どもの成長に大きく影響を与えています。区としてまずできることから、子どもと子育て世帯への支援を行うべきです。我が党区議団は、繰り返し医療費無料化を18歳まで引き上げることを求めてきました。ようやく、東京都も来年度から子ども医療費の無料化対象年齢を18歳までに引き上げるとしています。

子ども医療費無料化の18歳までの引き上げは、2023年度の都制度実施を待たず、来年度から区独自で実施を決断してはどうでしょうか。お答えください。

子育て世帯にとって義務教育に関わる私費負担は、家計を圧迫しています。コロナ禍による所得の減少などになれば、さらに苦しい状況となり、子どもにも大きな影響を与えることになります。我が党区議団は、繰り返し就学援助の対象拡大を提案してきましたが、本来義務教育無償の原則の完全実施することこそが政治の責任です。

また区の制度運用で今すぐできることもあります。コロナ禍による家計急変世帯などが就学援助や生活保護制度が利用できるよう、家計実態に見合った柔軟な運用が必要です。

まず家計急変世帯に対し生活保護制度や就学援助などの利用について丁寧に周知徹底することを求めます。

次は、区の公的部面の再構築についてです。

コロナ感染拡大、パンデミックは、公衆衛生の最前線保健所をはじめ公的部門の重要性を可視化しました。また、保育や医療、看護・介護などのケア労働、販売含む流通過程、清掃、運輸などのエッセンシャルワーカーの存在なしに人は生きていけないこと、その安定的確保こそが重要であることを示しました。しかしケア労働の多くが非正規、低賃金労働によって支えられています。しかもその多くを女性が担っているのです。コロナ禍で真っ先に女性が、職を失い、収入減少、貧困状態に陥っているのです。ここにもジェンダー不平等が根深く横たわっています。こうした事態は、国、地方自治体による「民営化」「徹底したアウトソーシング」路線の推進で公的部門の縮小廃止等による官製ワーキングプアにも通底しているのです。区は指定管理制度を導入し住民の福祉や児童事業などに関わるほとんどの公的事業を民間に委ねてきました。目的は、色々理由をつけても結局「コスト削減」にあり、低賃金労働に依拠していたのです。

こうしたやり方が本当に住民サービスの向上や利益になるのか、いま問われています。

以前相馬議員も取り上げましたが、直営ひろば館のとりくみは、公的部門の重要性を示しています。区のホームページの新型コロナウィルス感染症の関連情報に、イベント・事業の項目があります。そこには、ひろば館の底力「こんなときこそひろば館」とあります。①地域巡回 ひろば館職員が地域を巡回、子どもへの声掛け、保護者の育児、子どもの悩み相談など事務室や電話で受付。伝言板やポスト等を設置。②おうちdeひろばかんは、ひろば館で実施し家でできる遊び、料理、工作など270項目ずらり並んでいます。

これらは、区の直営で専門職員を配置し、長期の児童事業の蓄積があるから、非常維持にも機動的に対応できたのです。ふれあい館などで各指定管理者が実施している児童事業のあるべき質、標準的な事業内容を示し、指針になると思います。

公設公営の区立保育園においても、保育の質を確保するため区職員である保育士が各私立園を巡回し指導にあたっています。民営化した保育園に、区の保育士が長期間張り付いて援助もしています。問題が発生した場合など、区の指導や援助が必要になります。保育の標準的質の確保は、公設公営保育園の大きな役割です。また人口急増に対応した保育室も直営で実施したように、緊急対応は公務労働で機動的に対応することが求められます。感染拡大で休園したときなど、公立保育園の保育士や保育資格を持つく職員が公共施設を使って緊急保育を行っている自治体もあります。区立幼稚園は、先の議会で南千住第三幼稚園の3歳児学級編制を求める陳情が採択され、クラス編制が実現しました。また、区立幼稚園は、特別に支援の必要な幼児のほとんどを受け入れるなど、なくてはならない存在です。8園が地域バランス良く配置されています。いずれも公的な部門が、地域の子育てのセーフティネットを担っているのです。ここをギリギリまで削ぎ落とし、切り捨てた行政は、脆弱な組織となり、住民福祉、危機管理に対応できないのです。計画中の民営化は凍結見直しすべきです。

区が直接運営する区立保育園、幼稚園、ひろば館などがコロナ禍で果たした地域のセーフティネットとしての役割を検証し、住民福祉に直接携わる公的部面を強化、再構築することを求めます

また、指定管理導入から10年を経過したもとで、区施設や事業運営のあり方を検証し必要な見直しを行うべきです。お答えください。

最後に、「移動の権利」を保障するまちづくりについてうかがいます。

町屋さくらの廃止予定の3月31日が迫っています。

10年間運行してきた町屋さくらがなくなると、事実上移動手段を奪われる方が多くおられます。頻繁に利用する方だけでなく、何らかの機会や目的があった際、このバスがあるので外出できるという方も少なくありません。高齢者だけでなく、コミュニティバスがあることも一つの要因となってマンションを購入した方もおられます。移動の自由保障は、街の魅力にもなるのではないでしょうか。

10年間走ってきたバス路線の廃止に対し、区は、利用者の実態調査もなく同意しました。全国で鉄道やバス路線廃止問題が起こった時、最低限代替え交通手段の確保が廃止の大前提となっています。しかし区は、調査も代替え交通確保の検討もなく、区内交通網が充実していることを町屋さくら廃止受け入れの根拠にしています。

しかし高齢化はさらに進み、移動手段の整備がますます重要になってきます。代替え交通手段は、全国の自治体で実証実験なども行っていますが、導入に時間も経費もかかります。また住民の移動を支えることで、健康維持や社会活動にどう影響するか、クロスセクター効果について分析することも必要です。交通移動の権利は、居住、移動、生存、幸福追求という人権を保障するものであり自治体の責務です。

そのため、コミュニティバス町屋さくらは当面補助金での運行を継続すべきです。また補助金でのさくらの運行や代替え交通手段も含めた住民の移動手段確保策について検討を直ちに開始することを求めます。

区は、町屋さくらへの補助金投入について、「補助金を入れて存続すると、他の地域にも導入という話になる」などといって拒否しました。しかし、区がコミュニティバスさくら導入の行政目的として掲げていたのは、高齢化が進行している地域に合わせた交通政策が必要、高齢化に伴い障害がでる人が増えることもあり、移動制約者への対策の検討が必要、鉄道駅までのアクセスが不便な地域がある、大型集合住宅建設に伴う交通需要、福祉施設・大型商業施設等へのアクセス確保などでした。こうした行政目的は、導入当時から比べても今日ますます必要になっています。地域住民が、いつでもどこでも自由に安全に移動することは、健康で文化的な生活を営むうえで欠かせません。区内の交通不便地域についてバス停から200m以上、鉄道駅まで500m以上と設定した実態把握も必要です。

区内交通不便地域について、高齢化の進行に見合った地域公共交通政策を策定することを求めます。お答えください。

以上で第一回目の質問を終わります。

 

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