荒川区議会9月13日本会議での斉藤くに子議員の質問を紹介します

 

一般質問要項

1健康で文化的な最低限度の生活を保障するために

①2013年からの生活保護基準引き下げの影響を利用者から聞き取り、実態を政府に上げること。

②保護の基準引き下げで生活保護廃止になる世帯、ボーダーライン層への手当支給など対策を検討すること。

③生活保護申請を諦める人が出ないようにホームページやしおりを見直すこと。また医療扶助単給について区民に具体的に周知すること。

④熱中症対策エアコン助成は来年も実施すること。また都営住宅へのエアコン設置を東京都に求めること。

⑤生活保護の夏期手当を政府に求めるとともに区として法外援助を行うこと。また本人非課税高齢者には7月8月に電気代補助を創設すること。

2保育の質と安全確保、保育要求に応えるために

①産休代替や延長保育は常勤で対応すること。課付の保育士を確保し病欠などには速やかに対応すること。

②0才児の11時間開所は常勤保育士の増員と私立保育園への財政的補助で産休あけから実施すること。

3高齢者の認知症予防と聴こえの改善について

①高齢者実態調査で「聴こえに障害を感じているか」の項目を設けること。

②特定健康診査や後期高齢者健康診査の項目に聴力検査を入れるよう、国に働きかけるとともに、区として65才以上の健康診断に聴力検査を加えること。

③高齢者への補聴器購入助成を始めること。

4東京女子医大移転後の医療機関誘致について

①誘致が必ず実現するように、東京都の責任も明確にして連携を密にすること。

②災害拠点病院としての体制、小児科、産婦人科など現診療科目の継続や地域での新病院の役割、現在求められる医療と介護の連携など区の方針をはっきりさせて臨むこと。

③医師、看護師の確保を医療機関任せにせず区も協力すること。

5荒川の暮らしに息づいた観光文化行政について

① 伝統工芸を重要な観光文化資源と位置づけ発信すること。

② 若手クリエイターの活躍の場を提供し下町荒川の観光の一つとすること。

③ 息づいている生活や仕事が観光文化に繋がる発信の仕方を考えること。

④ 東京芸術大学の学生の発表の場をつくり区民との文化芸術交流を広げること。

 

【一般質問全文】

日本共産党、斉藤くに子です。以下5項目の質問を致します。

第一に生活保護・低所得者対策についてです。

安倍政権は食費や光熱費など日常生活費に充てる「生活扶助費」の最大5%削減を今年10月から3年かけて行おうとしています。2013年には最大10%という過去最大の生活扶助削減を行い、その後も住宅扶助、冬季加算を減らしてきました。

10月からの削減がすべて実施されれば、安倍政権下での削減総額は年1480億円にものぼります。米軍思いやり予算は1946億円、思いやる所が違います。

母子加算を、子ども1人当たり月平均2万1千円を1万7千円に削減することや、3歳児未満の児童養育加算を1万5千円から1万円に削減です。夫婦と子ども二人世帯で年間10万円以上も少なくなるケースもあります。養育加算の高校生への拡大、大学進学準備金の創設はありますが、全体として子育て世帯にとっては、子育て・教育に多額の費用がかかるにもかかわらず、この削減見直しは子どもの貧困対策に逆行するものです。

厚労省の試算では生活保護を利用する世帯の7割で生活扶助費が減額されます。都市部の単身世帯のほとんどが減額となります。2013年から行われた生活保護基準の大幅な引き下げ、そして今回の2018年10月からの引き下げについて利用者の生活への影響を聞き取り、政府に実態をあげるべきではないでしょうか。お答えください。

また2013年の基準引き下げによる生活保護廃止ケースは荒川区ではなかったと言いますが、今回の引下げではどうなるでしょうか。そもそも基準引き下げを撤回し元に戻し引き上げることが必要ですが、廃止になる世帯や生活保護基準を少しオーバーするボーダーライン層低所得者に対して最低限の生活を支えるための手当支給などの支援が必要です。お答えください。

生活保護利用の要件がある人のうち実際に利用している人の割合「捕捉率」は、厚労省の推計によれば2~3割とされます。

生活保護を利用することは、憲法25条で保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の「正当な権利」であることや制度を周知して、自分が生活保護を利用できることを多くの区民のみなさんに知らせることが大切です。生活保護への偏見をなくし、保護を必要とする区民が確実に利用できるようにする。自治体として捕捉率を上げるために、すぐに出来ることは生活保護のしおりなどの改善です。

荒川区・生活保護でホームページを開くと『生活保護は25条の理念に基づいて、ケガや病気、高齢などの要因で収入が少なくなり最低限度の生活ができないときに、その不足分を補うとともに、自力で生活していけるように援助していくことを目的とした制度です。現に暮らしに困っていれば、国民のだれもが等しく生活保護を受けることができます』と案内しています。ここまではいいのですが、続けて『できますが、そのためには次のことが必要です』と資産の活用・働くこと・親や子等からの援助・他保障の活用が明記されていて、持ち家ならダメ、子どもからの援助を受けないとダメと思い申請を諦める人がいるのではないか心配です。

ジャンパー問題生活保護バッシングを行った反省から小田原市は利用者の立場に立って若手職員が中心になって保護のしおりが大きく改善しました。資産・働ける能力の活用、扶養や他の制度の活用について、書いてありますが、「居住用の不動産は原則として保有が認められますし個別の事情によっては自動車やオートバイの保有が認められる場合がありますのでご相談ください」「親族の扶養は可能な範囲で行うもので、生活保護の利用が出来ないということにはなりません」と丁寧な説明があります。

また日弁連が「あなたも使える生活保護」パンフレットを作成しましたが、しんどいあなた、ためらわずに申請しましょうと呼びかけています。こうした取り組みに学んで荒川区のホームページやしおりを見直すこと。答弁を求めます。

生活保護基準を収入でほんの少しオーバーする。ボーダーライン層の暮らしで大変なのは医療費や介護保険利用料の負担です。

「生活保護基準を上回る収入があるのだけれど、病気やケガで大きな医療費負担が必要になり、医療費を支払うと生活保護以下の生活になってしまう」という場合の医療扶助単給についてです。

例をあげると毎月の月収は14万円・最低生活費は13万円で1万円基準をオーバーしている。医療費が1万8000円というときに、医療費1万円だけは自己負担し、8000円は医療扶助で支給を受けることができます。

区内では月の医療扶助約5400件のうち120件が医療単給となっています。医療等の支払い困難な状況での相談は切羽詰まった緊急時です。生活全体を把握し、生活扶助では基準をオーバーしても医療扶助単給が可能かどうか確認をして支援をすぐに開始することが必要です。医療扶助単給について区民に広報すること。答弁を求めます。

熱中症対策エアコン設置5万円助成を間髪入れず実施したことは素晴らしいことでした。300世帯1500万円の予算に対して、高齢者174件・障害者13件・子育て世帯 6件・9月10日現在で合計193件8,836,653円の助成となりました。

うち生活保護世帯は74件。保護世帯でエアコン未設置は約400世帯ですから18,5%がこの制度を使ったことになります。ケースワーカーの皆さんは忙しい中、担当世帯に電話なども入れて周知したようで、本当にご苦労様です。この数字から生活保護世帯や低所得世帯で未設置の所がまだ残されていることになります。政府は今年4月以降の生保利用開始世帯には5万円のエアコン設置費の支給を始まましたが、それ以前にも支給を認めるべきです。

地球環境の変化で、夏の猛暑は来年も続くことが予想されます。区民のいのちを守る緊急対策を、引き続き来年度は夏到来前に実施すること。また都営住宅については東京都の責任でエアコンを設置することを求めること。

せっかくエアコンがあっても、せっかく設置しても、またエアコン設置そのものをためらっているご家庭も電気代を心配しています。省エネタイプのエアコンは一日中つけていても一か月の電気代は2千円以下のようですが、生保や低所得者にとっては家計のやりくりが大変です。

生活保護世帯への夏期手当の実施を政府に求めるとともに区としての法外援助を検討すること。また高齢者の熱中症死亡をなくすために本人非課税世帯について7月8月の電気代補助制度をつくること。お答えください。

 

次に保育の質と安全確保と保育要求実現についてです。

私も32年前は保育士でした。当時は16時半過ぎにはお帰りの支度をはじめ、17時にはお迎えのご家庭が一定あり、17時以降は乳児と幼児の二クラス保育に移動しましたから休憩は4時半から交代で30分程度は一応取れました。昼食は子どもたちを一緒に、お昼寝の間にクラスや行事の打ち合わせや連絡帳に記載、夕方の職員会議は遅番2人を除いて行っていました。それでも保育日誌や保育計画、保育準備は家に持ち帰りか職場に残って行っていました。

30年40年前に比べて保育園の現場はゆとりが出来たでしょうか。いえ、さらに厳しくなっていると推測します。

保育開所時間は11時間保育と延長保育で朝7時15分から19時15分です。朝夕の保育では常勤保育士が2名いなければなりません。圧倒的にお迎えは18時以降ではないでしょうか。アレルギーのお子さんも増えましたから給食の時も目が離せません。安全対策への要請も高まり午睡中は5分おきに子どもの状態を確認しなければなりません。打ち合わせなど出来ないと思います。

愛知県名城大学箕輪明子さんが愛知県の保育士1万人調査を行いました。休憩なし6割・持ち帰り7割、多くの保育園で保育士の労働時間イコール保育時間となっていて勤務後に会議、打合せ、保育や行事の準備などをしていること。勤務前も保育準備、たまっている事務や保育室等の環境整備をしている。朝や帰宅後も仕事をすることが常態化されていることが改めて明らかになりました。

基本的保育の責任は常勤なのに、保育士の配置基準は昔と全く変わっていません。延長保育、地域交流、障害児対応などなど、全て非常勤での人の配置を増やしているだけです。

20人程度の常勤職場で産休育休もあります。早番、中早、普通番、中遅、遅番、延長番、少ない人数で5交代7交代のシフトをまわして保育にあたっています。一日一日の保育がどうなっているのか行政はしっかり現場を掴んでいるでしょうか。保育士は疲れ切っていると思います。これで荒川の保育の質は守れません。

延長保育の非常勤保育士は午後2時半から7時半の勤務です。保育士の資格を持つ方で5時間、この時間帯では募集しても集まらないのが現状ではないでしょうか。人が集まらず派遣やアルバイト対応になっている園があります。入園進級の忙しい時期、子どもたちも落ち着かない時期に保育士が揃っていないことがあるのです。まずは産休代替とこの延長保育については常勤対応を行うこと。

途中で病欠や退職など欠員が出た時に、すぐに対応できるように一定数の保育士を保育課の課付で確保しておくべきです。新規採用試験に50名以上がきましたが、この時に多めに採用しておかないと、欠員が出た時に募集しても間に合いません。最低限の区が責任を果たすべきです。お答えください。

0才児保育の11時間開所を約束しましたが、そのためには、今お話しした保育現場の状況を考えた時、常勤保育士の配置が必要です。公立園での準備の具体化を明らかにしていただきたいと思います。

また準備のできた私立園は今年度から開始してもらうという事でしたが、実際には正式に始めた所はないようです。やはり財政的支援が必要です。

区は11時間開所の月例を6カ月園からと考えているようです。しかし今年4月新年度の時点で6ヶ月前のお子さんは第二南で3か月1名・さつき5か月4名、ひぐらし4カ月2名の6名だけです。育児時間の取得で11時間保育が必要のないご家庭もあるかとは思いますが、全員がそうとは言いきけれません。

区は離乳食を家庭でまず行ってから言っていますが、6ヶ月前のお子さんの数が多いわけではありません。離乳食のことが心配なら保護者との連絡を密にして、保育士の配置も手厚くするなど環境を整えて、6カ月児からと限定するのではなく、産休明けから必要な方は受けられるようにすること。お答えください。

 

次に高齢者の認知症予防と聴こえの改善について伺います。

近年の国内外の研究によって、難聴のために、音の刺激や脳に伝えられる情報量が少ない状態にさらされてしまうと、脳の萎縮や、神経細胞の弱まりが進み、それが認知症の発症に大きく影響することが明らかになってきました。

また、難聴のためにコミュニケーションがうまくいかなくなると、人との会話をつい避けるようになってしまいます。そうすると、次第に抑うつ状態に陥ったり、社会的に孤立してしまう危険もあります。

補聴器をつけるなどして難聴に正しく対処し、適切な「聞こえ」を維持して脳を活性化し、さらに家族や友人とのコミュニケーションを楽しんでいれば、認知症を予防したり、発症を遅らせる可能性が高いと日本耳鼻咽喉科学会が指摘しています。

70歳以上の高齢者のおよそ半数は加齢性の難聴と推定されています。40才代から高音部(4000hz)言葉の聴き分けに必要な音の聴こえが悪くなる人が多くなるそうです。

難聴者支援の拡充・強化は、本格的な超高齢社会に対応するための重要かつ緊急の課題です。

加齢にともなう聴力の低下はゆっくり進行し、視力の低下とくらべて自覚しにくく、気づくのが遅れがちです。聴力検査をうける機会が少ないことも、気づきにくい原因のひとつです。早期発見、早期対応が必要です。日本は両耳聴力レベルが70デシベル以上だと公的補助が受けられますが、多くの人は対象外です。WHOは41デシベル以上に補聴器を推奨しています。難聴者への補聴器購入助成を実施する自治体がふえています。

2013年2月本会議で補聴器補助の創設を求めましたが、「他区の状況などを参考にしながら検討してまいります」と答弁されました。江東区、江戸川区、葛飾区、中央区は65歳以上、新宿区、大田区は70歳以上の、軽中度の高齢者への補聴器購入助成を区独自に実施しています。

そこで

①高齢者実態調査で「聴こえに障害を感じているか」の項目を設けて調査をすること。

②高齢者の特定健康診査や後期高齢者健康診査の項目に聴力検査を入れるよう、国に働きかけるとともに、区として65才以上の健康診断に聴こえの検査も行うこと。

③高齢者への補聴器購入助成を始めること。以上お答えください。

 

次に東京女子医大の移転に伴い医療機関の誘致について伺います。

東京女子医大の足立区への移転に伴って、荒川区は土地、建物を購入し、外来棟と東病棟を改修し200床以上の災害拠点病院の誘致を決定しました。2021年移転までの3年間で準備と新病院の開設をすすめることになりますが、区民と地域の要望に応えていかなければなりません。

そのために、やるべき課題を早急に具体化することが求められます。

第一に医療全体の責任は東京都です。二次医療圏を決めているのも東京都ですし、女子医大の足立区移転は都の土地を売却によるものですから、女子医大移転後の医療機関誘致が必ず実現するように、東京都の責任も明確にして連携を密にすること。

第二に災害拠点病院としての体制、小児科、産婦人科など現診療科目の継続や地域での新病院の役割や、現在求められる医療と介護の連携など区の方針をはっきりさせて臨むこと。

第三に勤務地との関係で、新病院に残りたい、移りたいと言う看護師等病院関係者がいらっしゃるかもしれません。女子医大との調整なども行い、医師、看護師等の確保を医療機関任せにせず、区も協力すること。

以上、区の見解を求めます。

 

最後に下町荒川の特性を生かした観光文化行政についてです。

訪れてよし住んでよし、観光と地域振興を結び付け、人の暮らしこそ地域資源として観光文化を考えることが大事ではないでしょうか。

荒川区は他地域に類を見ない伝統工芸の集積したまちです。特に江戸時代になって広く庶民を対象に、消費都市江戸の発展と共に数多くの職人が生まれ、創意工夫が加えられ優れた芸術作品もつくりだされてきました。暮らしに役立つ、長く使い続け受け継がれる手仕事の工芸品の価値を、産業振興の面と合わせて荒川区の観光文化資源として高く位置づけ日本全国、世界に発信すること。お答えください。

京都「あじき路地」を観てきました。そこには焼き菓子店、アクセサリー店、照明の店、帽子店、三味線職人の工房、革製品店、切り絵作家のアトリエ、ドライフラワー専門店など若手作家がお店を出していました。

2016年には路地の長屋を活用したものづくり支援と歴史的建造物・景観の維持が評価されて、京都ブランド推進連絡協議会が取り組む事業のひとつ「京都創造者大賞」において「未来への飛翔部門」を受賞したそうです。

京都のような場所はないとしても、その精神を学んで下町荒川でも若手クリエーターの活躍の場を提供し下町荒川の観光の一つになるような検討してみては如何でしょうか。お答えください。

東京新聞に折りこまれる荒川のミニコミ紙「すまいるたうん」が8月25日で400号を迎え、地元情報や地域の歴史などを発信しています。

文京区の若手建築家や学生らでつくる「文京建築会ユース」は文京区の魅力を「発掘」「発信」し、また「新たに作り出す」活動を行っています。また同じ文京区で中学生や小学生が地元の魅力を発信するフリーペーパーを作成しています。大阪では大学生に観光特使を委嘱し、大学生観光まちづくりコンテストなども行っています。

葛飾区では若い世代にも葛飾区をPRする冊子を作成し異例の重版となりました。また観光課には学芸員がいて「葛飾柴又文化的景観」が国の重要文化的景観に選定されています。

これまでにない視点で、その生活が、その街が、その仕事が観光文化に繋がるような発信の仕方を考えたらと考えます。答弁をお願いします。

東京藝大出身の若手作家が主催するアートイベント「コモゴモ展」が毎月、上野公園噴水前広場で行われています。芸術を身近に感じられるように「つくり手と来場者がコミュニュケーションをとりながらお互いに学び合える生涯学習の場」をコンセプトに活動しています。

私も4月にフルート、声楽など学生さんたちのミニコンサートを聴き、主催者にお話も聞いてきました。荒川でも出来る場所があったらとのことでした。

また、台東区では生涯学習センターでは学生による木曜コンサートを行っていますが、参加費は500円、身近にお安く本物の音楽を楽しむことが出来ます。荒川区も東京藝大との交流があります。

ゆいの森や文化センターなどでミニコンサートが開催されているようですが、さらに学生さんの発表の場を増やし、区民の文化芸術交流を検討しては如何でしょうか。伺います。

 

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