荒川区議会2月会議で横山幸次区議が行った日本共産党区議団の代表質問をご紹介します(2/14~3/14まで開催)
【質問要項】
1、政府の統計偽装、消費税増税などについて
①国の基幹統計の不正や偽装などは、区政運営上も深刻な影響を与えると考えるが、区の認識を問う。
②実質賃金が前年比マイナスなど増税の前提が崩れた中、少なくとも統計不正の事実解明抜きの消費税10%増税強行には、区として反対を表明すること。
2、高齢者の暮らし応援について
①区立高齢者住宅の入居基準について、立ち退き、老朽危険住宅などの住宅困窮度を考慮した枠を設ける制度の検討を行うこと。
②高齢者住み替え家賃助成制度は、エレベーターのない集合住宅の2階以上に居住し生活支障のある方、劣悪な住環境、老朽化した住宅なども考慮した要件も加え、助成額も実態に合わせて改善すること。
③空き家、銭湯、ひろば館、商店街など地域資源を活用し、生活圏域の中で高齢者が地域でつながる「コミュニティ」の場をつくる構想を策定すること。
④困難ケースに継続的に対応するため高齢者福祉課のケースワーカーの増員を行うこと。
⑤加齢性難聴者などの補聴器購入補助について区の検討状況と実施について見解を問う。
⑥特別障害者手当について在宅の要介護4、5の方に周知し申請の援助を行うこと。
3、子どもの貧困の改善に向けた取り組みについて
①荒川区として政府に対し、生活保護を安心して利用できる「生活保障法」に改定、最低賃金の大幅引き上げ、賃金・雇用状況の改善など求めること。
②義務教育完全無償化についての区の認識を問う。また子どもの貧困解消のためにも当面就学援助の対象者の拡大に真剣に取り組むこと。
③区として学校給食無料化の検討をおこなうこと。
④首都大学東京「子ども・若者貧困研究センター」などとも協力して、区内の子ども生活実態調査などを実施するとともに、貧困の改善目標と結果に応じた対策を行うこと。
⑤子ども家庭支援センターを児童相談所に統合するのでなく、引き続き身近な相談窓口として充実すること。また各地域に子育て支援の専門家を配置した相談窓口を設置すること。
4、自然現象を災害にしないために
①公的住宅の建設も含め全住民が耐震不燃化された安全な住まいで暮らすことを目標にしつつ、そこまでの間、最低限命を守る簡易耐震工事補助など多様な対策を実施すること。
②最も災害危険度の高い町屋4丁目付近にふれあい館などコミュニティ・防災施設を早期に具体化すること。
5、公共空間での全面禁煙を柱にした受動喫煙防止条例制定の検討状況と区の決意を問う。
《質問の全文》
私は、日本共産党区議会議員団を代表して質問します。
国の統計で公共性の高い重要な「基幹統計」に不正・誤り・未集計があったことが判明しています。この間のメディアの世論調査でも「政府統計の信頼が揺らいだ」「政府発表の統計を信用できない」など政府統計そのものに国民の多数が大きな疑念を抱いていることが浮き彫りになっています。これは国だけでなく、地方自治体にとっても、行政の信頼性そのものを根幹から揺るがす重大かつ深刻な問題です。
荒川区も予算編成や区政運営に当たっては、政府の基幹統計を参考にしてきたのではありませんか。
こうした国の基幹統計の不正や偽装などが区政運営上にも深刻な影響をあたえると考えますが、区の認識をうかがいます。
昨年の11月会議で区は、安倍政権による消費税10%増税について、愚策・奇々怪々と酷評されている「複数税率、ポイント還元」などを「切れ目のない景気対策」と評価し増税を容認する姿勢を示しました。そもそも安倍政権は、「賃金上昇」、「景気回復が戦後最長」などを根拠に消費税増税を決めました。しかし国会審議で、実質家計消費も実質賃金も低下、GDPベースでも家計消費支出が前回増税前と比べ3兆円も落ち込んでいることなど、安倍首相も否定できなくなっています。最新のNHK調査で「戦後最長の景気回復」を実感していないが70%近くに達していますが、これが現実です。こんな時に消費税増税など論外です。いま「増税されたら暮らせない」「商売がこれで終わり」など怨嗟の声が広がり、専門家からも「こんな時に増税すれば、経済が壊れる」などきびしい増税批判の声が上がっています。
実質賃金が前年比マイナスなど増税の前提が崩れた中、少なくとも統計不正の事実解明抜きの消費税10%増税強行には、区として反対を表明すべきです。お答えください。
こうした国政問題についての区は、政府の見解を述べたり、「国政問題であり動向を注視」などの答弁を行ってきました。果たしてそれでよいのでしょうか。
沖縄の辺野古新基地建設に対して県民の圧倒的多数は、明確に反対の意思表示をしていますが、安倍政権は違法な土砂投入を強行しました。乱暴極まりない地方自治を破壊する行為であり、憲法の原則に基づく住民自治の蹂躙であり強く抗議するのは当然です。
私の郷里山口県萩市の陸上イージス配備予定地に隣接する阿武町の町長は、自民党員ですが、「めざすまちづくりと陸上イージス配備は両立しない」をきっぱり反対しています。こうした地方自治体の長の矜持こそ立場の違いを超えて求められると指摘しておきます。
我が党区議団は、地方自治体の責務からして「だれもが大切にされる」「一人も置き去りにしない」荒川区政をめざすべきと考えます。今回の1000億円を超える予算案については、今後の予算に関する特別委員会などの審議で詳細にチェックして行きますが、率直に言って、区民のくらしの実態からみてやはり不十分だといわざるを得ません。我が党区議団は、この予算案に対し、区財政の現状と区長の予算編成権も十分に考慮しつつ、議員の権限を行使してくらし応援に必要な施策として、6種の条例案を提出いたしました。こうした点を踏まえ以下質問します。
第一は、高齢者のくらし応援についてです。
この間、高齢者の貧困が大きな社会問題となっています。その背景・要因には、低年金、社会保障の機能不全、とりわけ介護保険と医療保険の構造的矛盾によるものがあげられています。同時に、地域コミュニテイーの衰退、経済的困難ともあいまって高齢者の社会的孤立がクローズアップされています。
その一つが高齢者の住まいの確保です。
全国的に火災での死者の7割が高齢者です。経済的困難、貧困、受け入れ先の住宅や介護施設の不足などから事実上の介護難民になった高齢者が火災被害に遭遇しているのです。2015年の川崎市の簡易宿所の火災、1年前、北海道で生活保護利用者が暮らすアパートの火災で11人が死亡、かつての「たまゆら」の火災も記憶に新しいものがあります。今年に入り横浜寿町での簡易宿泊所での火災など続きました。まさに、経済的格差が命の格差につながるといっても過言ではありません。
「住宅は人権」をすえた区の住宅政策・介護施設の整備によって地震や火事から命を守るための支援が必要ではないでしょうか。
区内には、少なくない老朽化した木造アパートや戸建ての住宅が残っています。ご近所の90歳近くの一人暮らしの女性の方は、木造2階建てアパートの2階部分に一人だけ住み、階段から落ちたこともあるといいます。その方も含め多くの方が都営住宅に申し込むが、10年、20年と申し込んでもあたらないとの嘆きを多くの方からお聞きします。区内の募集戸数が極めて少ないことも要因で、確率が高い他区にも高齢でもありいけないという方が多くおられます。区営の高齢者住宅は、最初の抽選で登録されても1年以内に空きが出ないと入居できません。登録漏れになると翌年また申し込むしかありません。
根本的解決は、「住まいは自己責任」から脱却し、やはり公的住宅を軸に安全、人間らしい住環境を整備することです。以上をふまえて緊急に次のことを求めます。
まず、区立高齢者住宅の入居基準について、立ち退き、老朽危険住宅などの住宅困窮度を考慮した枠を設ける制度の検討が必要ではないでしょうか。お答えください。
もう一つは、現在の高齢者住み替え家賃助成制度は、住戸の専用床面積が18平方メートル未満、住戸に浴室又はトイレが設置されていないなど限られた要件となっています。
エレベーターのない集合住宅の2階以上に住み生活に支障のある方、劣悪な住環境、老朽化した住宅なども考慮した要件を加え、助成額も実態に合わせて改善することを求めます。
次に高齢者が安心して暮らすための支援です。
最近、高齢者のお宅をお訪ねすると、ほんとう一人暮らしの方が増えており、またそのことによる困難が増大していると実感します。木造密集地域の中では、周辺が空き地になり、いつしか連れ合いもお亡くなりになり一人暮らしになる。しかも外出がおっくうになるばかりか、来訪者も減り、付き合いも希薄になる方の増加など、社会的孤立の要因が広がっていると実感します。しかも地域でのコミュニティーの場であった銭湯などもなくなり、かつて近くにあったひろば館も統廃合で廃止、遠くのふれあい館しかなくなった地域もあります。介護予防事業としてふれあいいききサロン事業もありますが、歌や体操、食事会など決まったプログラムの場に足が向かない方も多くおられます。こうした状況に対し、全国で商店街の空き店舗や空き家など使った高齢者の交流の場やたまり場を提供し、高齢者を閉じこもりにさせない地域の拠点づくりなど様々に取り組まれています。
そこで、空き家、銭湯、ひろば館、商店街などの地域資源を活用して、生活圏域の中に高齢のみなさんが地域でつながる「コミュニティー」の場をつくる構想を策定することが必要だと考えます。お答えください。
この間、地域包括支援センターでの見守りステーションの開設など区も取り組んできましたが、現実の進行には追い付けないのが現実です。
また一人ぐらし高齢者世帯の増加は、社会的孤立や引きこもりにもつながり、介護保険制度や福祉施策につながる機会を奪われるリスクが拡大しています。区も困難ケースの対応を少ないケースワーカで必死に行っています。年末年始の閉庁時にも昼夜間問わず命にもかかわる緊急対応に追われたとの話もお聞きしました。地域包括支援センターでの見守りステーションの開設など区も取り組んできましたが、体制含めて対応できないくらいの業務量になっているようです。公的に介入しないといけないケースの多いようです。困難ケースに最初から区のケースワーカーが地域包括と一緒に関わっていくことで、未然に問題を防ぐことも可能です。
以前から申し上げてきましたが、困難ケースに継続的に対応するため高齢者福祉課のケースワーカの増員を行うべきです。お答えください。
次に加齢による難聴の問題です。加齢による難聴の進行が社会生活の困難を拡大し、孤立だけでなく、認知症のリスクを高めることが明らかになっています。しかし日本では補聴器の普及は、14%程度、欧米で30~50%と大きな差が生じています。様々な要因がありますが、その一つに、公的補助が日本の場合限定され、多くの難聴者が対象外となっていることがあげれられています。補聴器は高額です。
そこで、23区の少なくない区で実施している補聴器購入補助について区としてのこの間の検討状況と実施についての見解を伺います。お答えください。
次に、特別障害者手当についてです。特別障害者手当は、精神又は身体に著しい重度の障害があるために、日常生活において常時特別の介護が必要な20歳以上の在宅障害者に支給される手当で月26,940円が支給されます。主治医の診断書が必要ですが要介護4、5かたでも申請でき、要件を満たせば支給されます。しかし、この制度自体多くの方が知りませんし、最も受給漏れが多い公的制度といわれています。
区として、特別障害者手当について在宅の要介護4、5の方への周知と申請を積極的に働きかけてはいかがですか。お答えください。
次に、子どもの貧困問題の改善に向けた取り組みについてです。
今年は、子どもの貧困対策法施行から5年、荒川区が子ども貧困問題に取り組み始めて10年が経過しました。この問題に国や荒川区がどう取り組んできたのか検証が必要です。
はっきり申し上げて、安倍政権は、立ち遅れているばかりか、生活保護基準の削減、ひとり親家庭の母子加算の減額など貧困解消に逆行する政策を続けています。そして子どもの相対的貧困率は、13.9%で7人に一人という高い水準のままです。
これで低所得者により重たい負担となる消費税増税になれば、一番被害を受けるのは貧困状態に置かれている子どもたちではないでしょうか。消費税増税と引き換えで実施するという「幼児教育無償化」も貧困世帯やそこで暮らす子どもたちの実態とは、かみ合っていません。子どもの貧困対策の抜本的見直しは不可欠です。対策大綱見直しに関する政府の有識者会議でも、子どもの貧困の原因は世帯収入の少なさであり、親の経済支援の位置づけを高める必要性を説く声が出されました。子どもの貧困を解消する基盤である世帯全体の暮らしの底上げが急がれます。安心して利用できる生活保護にする「生活保障法」への改正、最低賃金の大幅引き上げ、賃金・雇用状況の改善など、政府の本腰を入れた真剣な対策が求められます。荒川区としても政府に対し、こうした対策の実現を求める必要があると考えます。区の認識をお聞かせください。
次に区としてできる具体的な課題についてです。
区の子どもの貧困対策について、この間取り組んでいる学習支援、子ども食堂など引き続き支援を強化していただきたいと思います。しかしそれだけでは限界があります。
いま義務教育にかかる多くの部分が各家庭の支出によって支えられ、子育て世帯の大きな負担となっています。では、経済的に困難な世帯に給付される、就学援助で足りているでしょうか。また生活保護の1.2倍という区の就学援助基準で相対的貧困層の子どもたちの世帯に手が届いているのでしょうか。検証が必要です。
小学校入学時に安いものでもランドセル3万円以上、指定の体操着、シャツなどなどで約1万円以上、入学式の服も一定額の支出、途中から鍵盤ハーモニカ6100円、絵の具セット3000円その他多数の学用品の用意が必要だとお聞きしました。ある学校では、毎月の学校徴収金は、テストなど毎月1500円。これ以外に学用品が継続的に当然かかります。就学援助の学用品費は、小学校1年生で、1308円ですから学校徴収金にも届きません。中学校の場合、制服代含めてさらに多額の費用が必要です。生保保護世帯も含め就学援助だけでは、全く足りません。また就学援助の対象範囲も実態に合っていません。
この分野の改善は、地方自治体の政策判断で直ぐにでもできます。世田谷区は、来年度予算案で就学援助の基準について、国の高校授業料無償化のモデル基準給与収入約590万円に合わせて生活保護の1.4倍に引き上げるとしています。また、就学援助の品目のうち学校給食費について東京都の高校授業無償化のモデル基準給与収入約760万円に合わせて生活保護の2.06倍に引き上げ支給することを打ち出しています。国や都が決めた高校授業料無償化の基準を就学援助の基準にする考えは一つの見識です。わが党区議団は、以前より就学援助基準の緩和を行い、実質的な無償化への取り組みを求めてきました。
あらためて義務教育完全無償化についてどう考えるのか、また子どもの貧困のためにも就学援助の対象者の拡大に取り組むべきと考えますが、見解をお聞かせください。
この中でもとりわけ、学校給食は重要な位置を占めています。すでに給食は学校教育の一環として食育として位置づけられています。また子どもの貧困対策としての有効性も専門家から指摘されてます。経済的な理由で生じる子どもの食生活の格差は、きわめて大きく、学校給食には、その格差を縮小する機能があります。すでに、就学援助とは別に、全児童生徒対象に学校給食の全面無料化ないし部分的無料化に踏み出している自治体が増加しています。子ども貧困と向き合うためにも、区として学校給食無料化の真剣な検討をおこなうべきです。お答えください。
子どもの貧困対策を進めるには、実態調査が不可欠です。この間、東京都が首都大学東京「子ども・若者貧困研究センター」が行った「子供の生活実態調査」では、満足に食料品が買えない家庭が予想以上に多いことも明らかになりました。また世田谷区は、独自に区内の小学5年、中学2年の子がいる約13,000世帯を対象に、生活実態アンケート調査を実施、約300世帯が「経済的に食材を購入できないことがよくある」と回答したことをうけて新事業を具体化しています。荒川区の子どもたちの生活実態はどうなっているのでしょうか。また子育て世帯の等価可処分所得の分析による区内の子どもの貧困率などの割り出しや、改善目標を持つことも必要です。我が党区議団は、繰り返しこうした調査などの実施を求めましたが、区の姿勢は残念ながら消極的と言わざるを得ません。
区として首都大学東京とも協力して、子どもの生活実態調査など実施するとともに、貧困の改善目標と結果に応じた対策の実施に行うことを求めます。お答えください。
いま荒川区は、児童相談所設置の取り組みを行っています。そんな最中、また、親から虐待を受けて子どもの命が失われる悲劇が起きてしまいました。教育委員会や児童相談所の対応など問題点も指摘され、体制の強化が緊急課題となっています。荒川区における児童相談所設置事業の要は、児童福祉司です。その仕事は、子どもの保護、家族のケアを含めた関係構築など複雑多岐にわたり専門的な技術や豊富な経験が欠かせません。この体制構築にしっかり力を入れてほしいと思います。同時に子どもと家庭の身近な相談窓口として親しまれてきた子ども家庭支援センターを児童相談所に統合するとしています。しかし、地方自治体で求められているのは、経済的、社会的に困難な事情をもった親、家族など身近に相談できる体制を整備拡大することです。今回の統合案は、その流れに逆行するといわざるを得ません。現在の子ども家庭支援センターを児童相談所に統合せず、引き続き機能させるとともに、各地域に子育てを支援する専門家を配置した相談窓口の設置が必要と考えますが、区の見解を伺います。
次に、地震などの自然現象を災害にしないための対策についてです。
昨年来、大阪、北海道をはじめ各地を大きな地震が襲いました。向こう30年間に70%の確率といわれる首都直下地震が今この瞬間に発生してもおかしくありません。地震や豪雨などは自然現象ですが、そのもとで起こる災害の多くは人災であるといえます。
荒川区の場合、区内の全域に木造密集地域が存在し、地震による被害想定が最も大きい地域の一つとされています。そのため、東京都の事業である不燃化特区が町屋、尾久地域、荒川2、4、7丁目で行われていますがあと2年で終了します。また、同地域では区の事業として密集市街地整備事業も引き続き実施されています。この事業では道路拡幅と同時に、同地域内で対象件数7000戸といわれる非耐震住宅の耐震化も事業化されています。ここが改善されないと、一人の犠牲者も出さないは「掛け声倒れ」になってしまいます。しかし道路拡幅した一帯は、道路も広がり新しい耐震化された建物が建っています。しかしその内側は、一部を除いて老朽化した建物が依然として多く残り、耐震化の目途も立っていないのが現状です。
自然現象を災害にしないためには、自助共助だけではできません。自助共助は、災害発災時の時系列、つまり流れの中で大きな役割を発揮します。しかし、災害の予防対策は、やはり公助がないと進みません。ここに自助と共助を拡大解釈して持ち込むと公的責任の放棄につながるからです。西日本豪雨で甚大な被害を受けた尾道市真備町での河川氾濫は、計画されていた河川改修が遅れていたことに起因し、人災の側面が指摘されています。
荒川区ではどうでしょうか。予防対策で自助共助を中心にすることは、対策上の格差が生じてしまいます。
現状では、大地震で多数の犠牲者が出ることがはっきりしているのですから、最低限命を守るための対策が必要です。これまで我が党は、最低限建物倒壊を免れるために評点0.7以上にするための簡易耐震工事にも補助を出すべきと求めてきました。しかし区は、古い住宅が残るとして拒否し続けています。現状を放置すれば、建物倒壊、火災による犠牲者だけでなく、延焼被害や避難通路の封鎖など困難が拡大します。全国的には、各家庭毎の経済事情などに合わせて、命だけは守る簡易耐震工事を含めた多様なメニューを実施している自治体も少なくありません。兵庫県では、木造住宅の耐震リフォームで「まず評点1をめざす、命を守る観点からは少なくとも0.7以上を」と呼びかけ、住宅建て替え補助、住宅耐震化補助、屋根の軽量化や筋交いの補強など部分耐震化助成補助など様々なメニューを紹介し、住まいや予算に合わせた工事とその助成事業を紹介しています。
「一人の犠牲者も出さない」ためには、住宅耐震化100%、屋内安全対策100%をめざしあらゆる公的な支援を抜本的に拡充強化すべきです。
そのため、当面公的住宅の建設も含めた全住民が耐震不燃化された安全な住まいで暮らすことを目標にしつつ、そこまでの間、簡易耐震工事への補助を行うべきです。
また、最も災害危険度の高い町屋4丁目付近にふれあい館などコミュニティー・防災施設を早期に具体化すべきです。お答えください。
最後に受動喫煙対防止対策についてです。
受動喫煙を原因とする国内の死亡者は毎年1万5千人、交通事故死の4倍に上っています。荒川区は、生涯健康都市宣言で「まちをあげて健康づくりを進める環境を整える」とし、たばこの煙で困らないまちづくりをめざすことも表明しています。しかし、区の取り組みは、啓発などが中心で、具体的な受動喫煙防止対策が不十分といわざるを得ません。
兵庫県は、受動喫煙防止条例の効果について国内ではじめての調査を行い、条例施行前とその後の2年間の急性心疾患の発生件数について神戸市で3年間に急性心疾患の患者が1割減少していることがわかりました。イタリアでは、2005年1月からカフェやレストラン、クラブなどの飲食店を含む公共の場で喫煙が禁止され、受動喫煙防止対策を実施。広くイタリア国民に支持された結果、急性心筋梗塞の患者の入院率が下がったり、心臓発作や心筋梗塞、狭心症といった急性冠症候群の発症率が下がっています。
そこで、公共空間での全面禁煙を柱にした受動喫煙防止条例の制定を検討しているのか、区として進める意思があるのか明確にお答えください。