2021年度6月会議 日本共産党小島和男区議の代表質問の全文です

小島和男区議

《代表質問要項》
1、区民の命と暮らしを守るコロナ対策の抜本的強化について
①学校・保育園・幼稚園等に勤務する職員のワクチン優先接種については、ワクチン休暇や職場体制の維持のために必要な支援を行うこと。
②ワクチンの個別接種・訪問接種を行う病院診療所の財政支援を強化すること。またPCR検査を実施する医療機関への区の支援を継続すること。
③学校、保育園、福祉施設などで感染が確認された時点で、利用者及び職員全員の検査を実施すること。また独自にPCR検査を実施した事業所には区が必要経費を助成すること。
④コロナ禍のもとで増大する業務量に相応しい保健所職員をさらに増員すること。
⑤コロナ禍で頑張る区内中小業者の事業継続支援の助成制度を創設すること。
⑥感染症対策で重要な役割を果たしてきた都立病院・公社病院の独立法人化は止め、直営で継続することを東京都に求めること。
⑦今夏のオリンピック・パラリンピック開催についての区の認識を問う。
2、事務事業については、不要不急の事業を見直し、くらしに直接関わる施策を継続・拡充することを基本とすること。
3、生活保護行政の改善について
①区のホームページや生活保護のしおりに「国民の権利」を明記し「誤解」を解消する内容とすることなど抜本的な改善を行うこと。
②今後、生活保護申請の増大に対して民間委託ではなく、正規職員の増員で対応すること。
4、不要な西日暮里地域の都市計画道路補助92号線については第5次事業計画から除外するよう東京都に働きかけること。

《質問全文》
私は、日本共産党荒川区議会議員団を代表して4項目の質問をします。
菅政権の新型コロナウィルス対策は、科学にもとづく「封じ込め」戦略の欠如によって、感染拡大を防ぐためのワクチン接種が世界111位、人口比のPCR検査、世界140位とワクチンと検査など、失政そのものです。こうした対策の遅れが克服できないまま、6月20日に東京など9都府県に出されていた緊急事態宣言が解除されました。
現在、国内ではインド由来のデルタ株が拡大し、その影響が小さい場合でも7月後半には1日の新規感染者数が1000人を超えると国立感染症研究所が試算しているように、緊急事態宣言がすでに予測されているもとで解除するのはあまりに危険ではないでしょうか。
下げ止まりに加えリバウンドの兆しもあると指摘されています。今やるべきことはワクチンの迅速な接種と大規模検査の両方を一体的に推進すること。また事業所や医療現場の保障です。
国や東京都の責任はもちろんですが、区としてのコロナ対策の強化が重要になっています。
第一の質問は、区民の命と暮らしを守るコロナ対策の抜本的強化についてであります。
荒川区では、7月初旬から荒川さつき会館において、認可外を含む保育施設、公私立幼稚園、学童クラブ・にこにこすくーる、小学校、中学校、清掃・資源回収等の従事職員、福祉事務所・児童相談所などのエッセンシャルワーカーを対象に優先接種を行うことを明らかにしました。
ワクチン接種後の副反応として発熱、倦怠感、悪寒、頭痛などが言われています。職場を休むことが必要でも、職場の人員が確保できずに出勤が求められるケースも考えられます。体調不良で勤務したのでは仕事に支障をきたすことになります。こうした事態が起きないように区として責任を持たなければなりません。
学校、保育園、幼稚園などに勤務する職員のワクチン優先接種については、ワクチン休暇や職場体制の維持のために必要な支援をおこなうことを求めます。
荒川区では、集団接種会場だけではなく、区内の病院や診療所でも6月14日からワクチン接種ができるようになりました。
通常診療とは別に夜間や休日に体制を取らなければならない病院や診療所もあります。訪問接種も、一本のワクチン6人分を6時間以内で回らなければなりませんから通常の往診の時に合わせてやることは出来ません。人件費や事務費の支出が必要になります。一日60人以上接種できる病院で一日17万5千円都の財政支援を受けられる病院診療所はわずかです。区は月15万円の支援を考えていますが、全く足りません。
またPCR検査を行う区内の医療機関には区の助成が出ていますが、6月で終了予定となっています。
ワクチンの個別接種・訪問接種を行う病院、診療所の財政支援を強化すること。PCR検査を実施する医療機関への区の支援を継続することを求めます。
コロナ感染が起きてから、すでに1年6ヶ月経過しました。区内のコロナ感染状況は6月16日現在、感染者は2703人、入院34人、宿泊療養21人、在宅療養19人、死者22人にもなっています。学校・保育園など児童生徒にも広がっており、保育園で職員14人、園児19人の計33人のクラスターも発生し、一か月以上休園となりました。
子どもたち、保護者、職員の皆さんはどんなに不安だったでしょうか。感染が出た時すぐに全園児職員の検査を実施していたら状況は違ったのではありませんか。
学校、保育園、福祉施設などで感染が確認され時点で、利用者及び、職員全員の検査を実施するよう求めます。
区内認証保育園で子どもの安全安心のために、新年度スタートに向けて職員全員のPCR検査を実施したそうです。本来区がやらなければならないことです。独自にPCR検査を実施した事業所には、さかのぼって区が必要経費を出すことを求めます。
コロナ感染対策の要として保健所の役割は重要です。区としてこの間、職員・保健師を増やす努力をしていることは承知していますが、保健所では、感染症対策以外にも、がん検診、乳幼児健診、公衆衛生など事業は多岐にわたっており、超過勤務が続いています。最前線で頑張る保健所職員、体調を崩されてはいないでしょうか。保健所全体での業務拡大の業務量に相応しい保健所職員をさらに増員することを求めます。
次にコロナ禍での区内の中小企業者への支援強化についてであります。
荒川区の1~3月期の景況速報では、企業の良し悪しの判断について、今期は前期に比べマイナス53%で、4~6月はマイナス64%と悪化を予測しています。1 月~3 月期では、経営や事業活動でコロナ感染拡大のマイナス影響について、大いにある36.0%、ある39%で合計75%です。
「なんとか持ちこたえていたものの、今年に入って緊急事態宣言が延長されて、当社も当社のお客様の会社も受注減、売上激減にみまわれ、先もみえず途方に暮れている」「新型コロナウィルスが収まればと頑張っているが、今のままでは限界が近い」など深刻な企業の状況がリアルに出されています。
私の知り合いのシール印刷の業者は、最近、ぱったり仕事がなくなり、今後の見通しも立たない状況です。営業拡大のために印刷機械を入れ替えたが、リース代を三か月支払いできなかったら、印刷機械を返すことになり商売をやめるしかない、とても深刻な状況だと話をされていました。
今年になって東京では飲食業では6月20日までの181日間中129日も営業時間の短縮や休業です。いよいよ、がけっぷちです。
国や都のコロナ対策は自粛を求めても補償は不十分、しかも支給が遅いのです。国に対し十分な補償、および持続化給付金、家賃支援給付金の再開が必要ですが、区としてもコロナ禍で頑張る区内中小業者の事業継続支援の助成制度創設することを求めます。
コロナ対策などで重要な役割を果たしている駒込病院など都立病院・公社病院について都は財源を減らし独立採算で運営する独立行政法人化にするとしています。その一方で、都は独立行政法人化の検討の中で、儲ける医療として最先端技術や都立・公社病院の豊富な症例を活用し、東京での治療を求めて来日する外国人へのニーズに対応した「医療ツーリズム」を実施しようとしています。貴重な医療資源を都民のためではなく、外国の富裕層に振り向けられてしまいます。しかも医療独立行政法人化となれば、コロナ感染対策・障害者医療・難病医療などで公の役割が果たせなくなります。
感染症や救命救急、周産期医療、がん医療、精神科医療などで大きな役割を果たしている都立病院・公社病院の独立行政法人化は止め、直営で継続するよう東京都に働きかけるよう求めます。答弁を求めます。
コロナ感染から1年半、緊急事態宣言が繰り返され、いまだに終息の見通しは立っていません。
こうしたなかでオリンピック・パラリンピックが開催されようとしていますが、世界から10万人が来日し、国内でも観戦者が増えるなど感染リスクが高くなり、8月にはコロナ感染の大波となるとも指摘されています。
世界で最も権威のある医学誌のランセットは、6月12日付けで、オリンピック・パラリンピック新たな感染拡大を引き起こしかねないと指摘、日本国内にも「悪影響を及ぼす可能性がある」との懸念を表明するなど国内外でオリンピック・パラリンピックについて様々な問題点が指摘されています。五輪開催で感染者を増やし、亡くなる方が増えるなどあってはなりません。
小池都知事は、4日前、競技会会場以外で観客を集めて競技の中継を行う予定だった都内でのパブリックビューイングはすべて中止することを明らかにしました。これはコロナの感染拡大を防ぐためです。実施する予定を都知事が中止にしたことは、計画しても中止することができることを示したものです。
オリンピック・パラリンピックは避けられない自然現象ではありません。人間が行うもので、止めることはできるものです。
今夏のオリンピック・パラリンピックについての区の認識をお伺いします。
第二に、事務事業見直しについてであります。
昨年9月に、コロナ禍のもとで、リーマンショック以上の景気後退となるとして、財政難に対応するためにサンセット方式による280項目の事務事業見直しを行うことを昨年9月に明らかにし、今年9月までに計画策定を行うとしています。
日本共産党区議団は、効率的な行財政運営は当然と考えますが、どの事業を削り、どの事業を生かしていくのか、さらにコロナ禍にどの事業を拡充していくのか区民のくらし福祉を守る視点で重要です。
補正を含む今年度予算では、コロナ対策の区独自事業は極めて不十分であり、多く事業が国や都の財政の裏付けのある事業で、地方創生臨時交付金を含む国庫支出金、都支出金などの財源が確保されています。
学校や保育園など老朽化に伴う施設の建て替えについて計画的に実施すれば、財政難に陥ることはないのです。
280項目の見直し項目は区の独自施策として積み上げてきた事業です。高齢者向けの風呂割200と紙おむつ券購入助成、35歳から39歳の健診、経済サイエンス活動調査などなど区民のくらしと営業を支えるものが多く含まれています。こうした事業を見直して、さらに削減、廃止などを行うことは、区民の願いに逆行するものです。
事務事業については不要不急の事務事業を見直し、くらしに直接かかわる施策を継続・拡充することを基本とすることを求めます。
第3に、生活保護行政の改善についてであります。
コロナ禍のもとで、区内でも暮らしと営業は深刻さを増していますが、この1年間、生活保護受給は横ばい状況に留まっています。こうした背景には、生活保護についての誤解や偏見があることが大きな問題になっています。
厚労省のホームページでは、生活保護を申請される方へと呼びかけ、「生活保護は国民の権利です。ためらわずご相談下さい」と明記しています。また生活保護の申請について、よくある誤解として、同居していない親族に相談してからでないと申請できないというものではない、住むところがない人でも先生できますなど記載されています。
しかし、荒川区のホームページと生活保護のしおりには、「生活保護は国民の権利です」「生活保護についてのよくある誤解」について全く記載がされていません。
区のホームページや生活保護のしおりに「国民の権利」を明記し「誤解」を解消する内容とすることなど抜本的な改善を行うことを求めます。
コロナ感染で生活困窮した方に対して生活保護ではなく、社協の緊急小口資金と総合支援資金の貸し付けで対応してきました。昨年4月から実施され、合わせて延べ7,200人、33億6千万円となっていますが、今月末で貸し付けが終了し、生活改善の見通しが見えない世帯も多いことから今後生活保護の申請が増えることが予想されます。
生活保護のケース件数はワーカー一人80とされていますが、現在担当平均世帯数は100となっています。定数管理の縛りもあり大幅はワーカーの増員が出来ていません。このために職員の業務軽減のためとして2001年度のレセプト点検委託が始まり、高齢者居宅介護支援、金銭管理支援、今年度から生活保護受給者等就労支援事業など民間委託を広げてきました。
生活が安定しているとした高齢者や介護認定を受けている方など高齢者保護世帯の約40%にあたる1,200世帯を民間事業者に委託しています。
この担当、高齢者援護係の区職員は5名で一人当たり240世帯を持っています。その補助業務だとして訪問調査、サービスの相談援助連絡調整、収入申告病状報告などのデーター入力を委託業者の支援員8名にお願いしています。民間委託支援員の一人は150世帯になるのです。これで年を重ねていく高齢者世帯の方々の一人ひとりに寄り添た対応が出来るのでしょうか。
補助的と言っても実際には常勤ワーカーの肩代わりをしているのではないでしょうか。現場で区の職員が請負契約の支援員に指示は出来ませんが、現実には飛び越えざるを得ない状況ではないかと思います。
生活保護法19条4項では、保護の決定・実施について、その管理に属する行政庁、つまり福祉事務所長に限り委任することができると規定されており、事実上、民間委託はできないことになっているはずです。
ところが国は2019年12月にケースワーク業務の民間委託方針を閣議決定しさらに委託拡大を検討し、21年度中に結論を出すとしています。
今後、生活保護申請の増大に対して、民間委託ではなく、正規職員の増員で対応することを求めます。
第4に都市計画道路補助92号線、西日暮里4丁目の拡幅についてであります。
2016年から10年間の優先整備路線を選定した第四次事業化計画では、西日暮里3丁目から上野区間の約2520mの廃止にしました。その後、必要な手続きを経て、昨年10月27日に東京都は廃止を正式決定しました。
その結果、補助92号線の終点は、道灌山通りになりましたが、東京都は終点が変更になって、交通量はどうなるのか、今でも道灌山通りが混雑しているのに、補助92号線の車が道灌山通り西日暮里4丁目交差点に入り込むといっそう混雑が激しくなるのではないかなどの疑問に東京都の第六建設事務所や都市整備局道路課は回答ができない状況が続いています。
この間、地元住民が東京都の第6建設事務所や都市整備局道路課などを粘り強く交渉してきた結果、一昨年6月には、第6建設事務所の副所長が、西日暮里4丁目の補助92号線道路拡幅については、住民の反対が強く、事業実施は困難であると回答したことが文書で住民に提示され、都市整備局道路課もこの文書があることを確認しています。
実際に、この間、西日暮里4丁目地域では、補助92号線道路拡幅のための測量や用地買収は全く行われていないのです。ほんらい補助92号線西日暮里4丁目地域は計画から外すべきですが、第4次事業計画実施中は外すことはできません。
不要な西日暮里4丁目地域の都市計画道路補助92号線については、第5次整備計画から除外するよう東京都に働きかけること。答弁を求めます。
第一回目の質問を終わります。

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