区議会だより

2009年第4回定例会

2009年 第1回第2回第3回



【小林行男区議】

  1. 「地方分権改革」に対する区の見解を問う
    1. 介護、障害者福祉、保育、生活保護などの国基準の緩和・廃止に反対し、社会保障の国の責務と財源確保を自治体として求めるべきと考えるがどうか。
    2. 特に保育所の最低基準の緩和、市場化を止めるように働きかけること。
  2. 失業者・家族をホームレスにしない緊急対策について
    1. 失業者の職業訓練と生活保障を行う支援策を国に求めること。特に失業給付を半年以上に延長や雇用調整助成金の期間延長・給付引き上げなど改善を求めるとともに区として可能な支援策を検討すること。
    2. 政府の失業者の住宅費助成制度の内容と支給期間など改善を求めること。
    3. 年末を控えて、区の仕事生活サポートデスクなど総合相談窓口の強化と充実を行うこと。うつ相談・対策などにつなげられるような専門員を配置してはどうか。
  3. 暮らしと雇用、営業を守る対策について
    1. 高齢者家賃助成制度の対象年齢の引き下げや支給内容の改善すること。
    2. ふろわり200の月回数の増や風呂の日・26日などに無料デーを実施してはどうか
    3. 小規模工事を地元業者に発注する仕組みづくりを再検討すること。また、シルバー人材センターの区発注を思い切って増やすこと。
    4. 区として地元製造業など長年の経営努力に応える金融機関の融資努力を求めること。
    5. 住宅ローンボーナス支払いなどの緊急支援に応急小口資金の活用を図ってはどうか。
  4. 生活困窮への緊急対策について
    1. 子どもの貧困と合わせて要保護状態の区民の実態把握を行い、多様な支援策について検討すること。
    2. 若年者や就労可能を理由に生活保護を要しないと判断するのでなく、適切な申請受理と適用を行うこと。
    3. 生活保護受給に当たって無料低額宿泊所の利用をすすめる理由を問う。
  5. 保育園のゆきとどいた基準と増設について
    1. 保育園の増設計画を緊急に策定し、定員の弾力化で保育定数を引き上げたところは順次元に戻すこと。
    2. 当面、新築園とあわせて現在の南千住保育園園舎も活用してはどうか。
    3. 未来をつくるこどもたちにゆきとどいた施設内容とする設計理念を確立し、専門家や関係者の意見を良く聞くこと。
  6. 新型インフルエンザへの積極的な対応と高齢者・小児に対する肺炎球菌ワクチン接種への助成制度を行うこと。
  7. 区の平和事業の充実について
    1. 平和市長会議への参加について問う。また、戦後65年、荒川区平和都市宣言15周年にふさわしい取り組みを求める。

《質問》

 私は日本共産党区議団を代表して質問をします。
 新政権が誕生して、3ヵ月目に入りました。国民が求めた「政治を変えてほしい」という期待に応えるものになっているでしょうか。いま、デフレと円高で国民生活はいっそう窮地にさらされています。その根本を招いてきた原因となっている社会保障の削減や非正規雇用などすすめた構造改革路線と決別し、国民の切実な願いである後期高齢者医療制度廃止、労働者派遣法抜本改正などに速やかに踏み出すかどうか、まさに問われています。
 地方分権をめぐって、今後の国と地方のあり方などを審議している地方分権改革推進委員会は、10月8日に「第3次勧告」、11月9日に「第4次(最終)勧告」を鳩山首相に提出しました。第3次勧告の892項目の中には保育所などの最低基準を定めた「児童福祉施設の設置・運営基準」をはじめ「小中学校等教職員定数の標準」「病院等の人員・施設基準」など自治体が行う住民サービスの最低基準を定めたものが多く含まれ、教育委員会の設置の有無を各自治体の判断に任せるべきだとしています。
 さらに重大なことは、この勧告を受けた内閣府が、保育園や特養ホームなど最低限の国の配置基準など103項目の「義務付け」の廃止・見直しを優先して押し進めようとしていることです。
 そもそも「地方分権推進委員会」は、自民党安倍内閣のときつくられました。そこでいう「地方分権」は、国家制度のあり方を大再編する狙いのもとに社会保障や教育など国民の基本的な権利を守る国の責任を投げ捨て、地方に押し付け、道州制の導入を前提にしたもので、住民、自治体のための地方自治の拡充から出たものではありません。自公政権が進めた「三位一体」の改革によって地方交付金が大幅に削減され地方の疲弊が進みました。
 地方分権というならば、「住民の福祉の増進を図る」という自治体本来の役割を果たすため、まず地方の財源を保障すべきです。
 同時に、社会保障分野などの国基準の多くは、全国どこでも一定水準の福祉が受けられるように定めた憲法25条、地方自治体はその最低基準を上回り住民福祉を向上させることにこそ努力することが法の精神であります。
 介護、障害者福祉、保育、生活保護などの国基準の緩和・廃止に反対し、社会保障の国の責務と財政確保を自治体として求めるべきだと考えるが区長の見解を求めます。
 厚生労働大臣は、「待機児解消」を口実として「東京など待機児童の深刻な都市部での一部に限り、保育園の設置面積について地方自治体に基準を定める権利を移譲する」と自治体の裁量に任せ国の責任を放棄する方針を打ち出しました。
 また、厚生労働省は「構造改革」路線に基づき、措置制度を廃止し、保護者と保育園の直接契約にする動きの中で、認可制度を残しながらも、国基準に達しなくとも保育所として認める改定案を打ち出しました。「じゃんぐる保育園」の例を見るまでもなく、子どもたちの成長・発達の権利を脅かし保育の質を低下させることは、はっきりとしています。
 保育所の最低基準の緩和、市場化をやめるように働きかけることを求めたいと思います。見解を求めます。

《答弁》

【福祉部長答弁】
 始めに、地方分権改革に関して、国基準の緩和・廃止についてのご質問にお答えいたします。
 本年十月、国の地方分権改革推進委員会は、第三次勧告を内閣総理大臣に提出しました。その中で、国が地方の業務を細かく縛っている「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」を柱の一つとし、老人福祉施設等の設備・運営基準等については、廃止又は条例へ委任の措置等の方針が示されました。
 これは、住民の身近な暮らしに直結した分野において、地方自治体の裁量範囲が広がることを意味し、より地域の実情に合った対応ができると考えられるものであります。
 とりわけ、地価が高く、施設建設に多くの負担がかかる大都市部においては、基準の見直しが行われることで、施設建設が促進されるものであります。
 一方で、国の最低基準の見直しは、一人当たりの利用面積の変更など、環境の悪化を招くとの意見もあります。
 区といたしましては、地方分権改革の動向を注視し、財源や質の確保などについて、必要があれば、国や東京都に対し意見を申し述べてまいる所存でございます。

【子育て支援部長答弁】
 保育所の最低基準の緩和についてのご質問にお答えします。
 認可保育所の最低基準につきましては、昭和二十三年に国が認可保育所の設置、変更に当たって順守すべき基準について定めたものです。
 全国一律であることから、待機児の多い都市部については基準を緩和することで保育供給量が拡大し待機児解消に効果的であるとのことで、本年十月に国の地方分権改革推進委員会より勧告されました。
 最低基準に規定しております保育室の面積基準を緩和することで、既存の施設で定員の増加を図ることができるのは確かですが、一方で保育の質を確保していくことも大切であり、区といたしましては、基準緩和の効果と影響について他区の動向等も踏まえ、十分検討してまいりたいと考えております。
 また、保育所の市場化につきましては、保育サービスの質を確保しつつ量的拡大を図るため、新たな保育の仕組みとして現在国の社会保障審議会少子化対策特別部会において鋭意検討がなされております。区といたしましては、今後とも国の動向を注視してまいりたいと考えております。

《質問》

 次に失業者・家族をホームレスにしない緊急対策についてです。
 厚生労働省の調査で、解雇や雇い止めで仕事を失った人のうち、年末までに雇用保険の失業給付が切れるのは約39万人、そのうち約6割は再就職できず収入が途絶える見込みで、年末年始に約23万人への支援が必要なことが明らかになりました。
 9月の「完全失業者」は363万人、失業時の生活保障となる失業保険は派遣や契約社員など非正規は90日から180日しかありません。しかも受け取っているのは失業者の4人に1人で、もともと失業給付が受給できない人の方が多いのです。
 自殺者は8年間連続年間3万人を越え、今年は史上最悪になるといわれています。その7割は健康、経済的な理由によるものです。失業者の不安は計り知れません。失業と自殺、うつ病の関係も言われています。荒川区のうつ病患者は8年前と比べて実に4倍になっています。
 この間、私の所に相談に見えた方は、働き盛りの40代男性です。昨年の暮れに派遣切りにあい、仕事と住まいを奪われました。荒川区の姉を頼って、子どものいる姉夫婦のアパートで気兼ねしながら厄介に。ハローワークに通いながらアパート探し。ようやく安いアパートを見つけましたが、雇用保険の給付期限切れがせまり、早く仕事につかなければと慣れない初めての仕事でしたが就職。やっと一息つきましたが仕事は月に7日程度、収入は5万円。区報で見た失業者家賃補助制度は半年の期限付きで生活保障にはならず、結局生活保護に。
 雇用保険の給付期間がもっと長ければ、就職活動も落ち着いて出来たのではないでしょうか。生活困窮者への最後のセーフテーネットである生活保護適応は当然ですが、失業時の雇用対策と付随する社会保障制度の充実がもっと必要ではないでしょうか。失業対策としても雇用の7割を占める中小企業への支援も重要です。
 昨年の年末には、東京・日比谷公園での「年越し派遣村」など、緊急の炊き出しや生活支援に頼る事態が出現しました。このままでは今年もこうした事態を繰り返すことになります。失業者とその家族が寒空のもと路頭に迷い、ホームレス状態にならないよう支援を強めることが急務です。
 第一に失業者の職業訓練と生活保障を行う支援策を国に求めること。失業給付を半年以上に延長・雇用調整助成金の期間延長・給付引き上げなど改善を求めるとともに区として可能な支援策を検討すること。
 第二に政府の失業者の住宅費助成制度の内容と支給期間など改善を求めること。
 第三に年末を控えて、区の仕事生活サポートデスクなど総合相談窓口の強化と充実を行うこと。うつ相談・対策などにつなげられるような専門員を配置してはどうか。

《答弁》

【福祉部長答弁】
 次に、失業者の支援策等についてのご質問にお答えいたします。
 我が国の景気は、本年七月から九月期の実質経済成長率が年率四・八%となるなど、持ち直しの動きも見られますが、失業率が高水準にあるなど、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。
 こうした中で、ご質問の失業手当や雇用調整助成金につきましては、失業者の生活安定や増加抑制に必要不可欠なものであると認識しております。
 現在、国において、本年度の第二次補正予算の編成が検討され、その中で、雇用確保対策が柱の一つになっていると伝えられているところであり、それらの動向を注視してまいりたいと考えております。
 また、区といたしましても、JOBコーナー町屋での就労支援や仕事・生活サポートデスクでの相談受け付け、住宅手当の支給などにより、区民の皆様の生活再建を全力で支援してまいる所存でございます。

【福祉部長答弁】
 次に、国の住宅費助成制度についてのご質問にお答えいたします。
 本年十月から、国の経済危機対策に基づき、就労能力及び就労意欲のある離職者のうち、住宅を喪失している者又は喪失するおそれがある者に対して、住宅手当を支給することにより、住宅及び就労機会の確保に向けた支援を行う住宅手当緊急特別措置事業が開始されました。
 本区では、十月十五日から、福祉部の「仕事・生活サポートデスク」において、住宅手当の相談と申請の受付を始め、十月の半月間で延べ三十一件の相談を受け付け、二件の支給決定を行ったところでございます。
 本住宅手当につきましては、国の実施要領により、支給期間が最長六か月であること、支給上限額が生活保護の住宅扶助基準額に準拠することなどが定められております。
 区といたしましては、今後、雇用情勢がますます厳しくなることが予想される中で、離職者の就労に当たり、住宅確保が不可欠であると認識していることから、住宅手当受給者等の状況を見据え、必要があれば、特別区の部長会等を通じて、国や東京都に対して、本事業の改善を申し入れてまいる所存でございます。

【福祉部長答弁】
 次に、総合相談窓口の強化と充実についてのご質問にお答えいたします。
 区では、未曾有の不況の中、区民の安心の砦として、本年三月、庁舎一階のロビーに「仕事・生活サポートデスク」を開設し、仕事や生活、住宅など、区民の総合的な相談に迅速かつ的確に対応することといたしました。
 本年六月から、「仕事・生活サポートデスク」を福祉部に移設し、職業あっ旋や雇用保険業務等の知識と経験を有する専門相談員を配置するとともに、総合相談窓口や保護課相談係、JOBコーナー町屋、社会福祉協議会等との連携を強化し、相談者の意向や希望を正確に把握した上で、最も適した機関への引継ぎや制度を紹介できる体制を構築いたしました。
 専門窓口開設以来、就職や生活困窮、住宅など、月平均約四十件の相談を受け付けており、今後も、区民の相談に真摯に対応してまいる所存であります。
 また、精神的な問題を抱えた相談者については、障害者福祉課と連携を図り、対応を図っているところであります。

《質問》

 つぎに暮らしと雇用、営業を守る対策についてです。
 政府は、「デフレ」状況であるとしました。原因ははっきりしています。給与が年々下がり、1992年の金額まで戻っていること。懐がさびしいから物を買えない、値段が下がり、経済が冷え込むという悪循環になっています。その一方で大企業の内部留保は、10年間で倍増し約429兆円にも達しています。それにもかかわらず、今また「使い捨て」を前提とした「期間工」の募集をはじめています。こうした横暴勝手をやめさせ「雇用は正社員が当たり前」として雇用の安定、景気対策に抜本的な施策が必要です。また、高齢者はどうでしょうか。暮せない年金から、介護保険料・後期高齢者保険料などが天引きされ、改定されれば値上げ、お医者さんにかかれば窓口負担が大変。将来はもちろん今も生活不安がつきまとう生活です。
 無秩序に大型スーパーが次から次へと出店していますが、安売り競争であちこちのスーパーをめぐって少しでも安いものを求める区民の実態もあります。生活そのものの底上げが重要です。
 そこで伺います。
 高齢者の家賃補助事業が6月から実施をされましたが、残念ながら、20件の問い合わせ・相談があったものの実施にはいたっていないようであります。
 75歳以上という年齢制限は、生活環境の変化や引っ越しというエネルギーに対して二の足を踏んでしまうのではないでしょうか。また、支給限度額が超えてしまえば、新たな負担が増えます。せっかくの施策が利用できず、事業目的が達成できません。直ちに改善を求めたいと思います。答弁を求めます。
 次に、「ふろわり200」は今年の所得制限の撤廃で利用者は5000人を超えて喜ばれています。福祉の増進とともにコミュニケーションの貴重な場になっています。また、銭湯の経営にもいい影響が出ているようであります。さらに一歩進めて月・回数を増やすことや風呂の日を設定し無料デーを実施してみたらいかがでしょうか。見解を求めます。
 次に、小規模工事などに地元業者が受注しやすいようにするために、かつて登録なども促進していたようですが現在はありません。あらためて、小規模工事を地元業者に発注する仕組みづくりを再検討してはいかがでしょうか。また、シルバー人材センターへの区発注を思い切って増やすことを求めたいと思います。見解を伺います。
 荒川区の製造業は、戦後工場数では都内1位の時もあったが、自転車や家具工場の移転や廃業で関連企業が打撃を受けています。そしていままた、景気悪化の中、必死で、国制度なども活用して雇用と営業を守るために努力されています。オンリーワンの先端技術を支えている事業所もたくさんあります。「町工場は日本の宝」です。年の瀬を向かえ、資金繰りは大変であります。区として地元業者など長年の経営努力に応える金融機関の融資努力を求めていただきたい。見解を伺います。
 不況のために住宅ローンの返済に行き詰まり、マイホームを競売で失う方が増えています。今年の夏のボーナスは前年の19.39%もの大幅減。支給できない事業所も増えています。この傾向は年末でもかわらないようであります。金融機関への「猶予法案」が衆議院通りましたが、相手のあることです。区が住宅ローンボーナス支払いなどの緊急支援に応急小口資金の活用を図ったらどうでしょうか。見解を伺います。

《答弁》

【福祉部長答弁】
 高齢者家賃助成制度についてのご質問にお答えいたします。
 今年度新たに開始いたしました「高齢者家賃等助成事業」につきましては、高齢者世帯の住環境改善や居住の安全・安心を図るため、良質で、防災上にも優れた住宅に転居する高齢者世帯や、住宅の取り壊し等により立ち退きを求められている高齢者世帯に対し、転居後の家賃等の一部を助成するものであります。
 この事業を本年六月に開始して以来、これまで、区民や民生委員の方々から、様々な問い合わせや相談が寄せられておりますが、対象者が七五歳以上の高齢者であること、転居が要件となっていることなどから、実際の利用にまでは至っていない状況にあります。
 このため、高齢者の方により快適で安全な居住環境を確保していただけるよう、事業の利用促進に向け、現在、要件の見直しについての検討を進めているところであります。

【福祉部長答弁】
 次に、ふろわり二〇〇についてのご質問にお答えいたします。
「高齢者入浴事業」は、満七〇歳以上の高齢者が、週一回程度、区内の公衆浴場を二百円の自己負担で利用できる事業でございます。
 事業を開始した昨年度は、対象者が前年度の区民税が非課税の方であったことから、入浴カードをお使いになった方は約二千二百名にとどまっておりましたが、今年度はその所得制限をなくし、満七〇歳以上の方ならどなたでも利用いただけることといたしました。
 その結果、これまで約五千名の方が入浴カードをお使いになっており、多くの高齢者の健康の保持・増進や地域でのふれあいに役立っているものと考えております。
 こうしたことから、今回、対象者を拡大したことにつきましては十分な効果があったものと認識しており、今後も引き続き、更なる周知に努め、この事業を実施してまいります。

【管理部長答弁】
 暮らしと雇用、営業を守る対策のご質問のうち、契約発注に関するお尋ねにお答えいたします。
 現在、区が発注する工事案件につきましては、制限付き一般競争入札によることを基本としており、業者が競争入札に参加するためには、事前に経営状況等の審査を受け、競争入札参加資格の登録を行う必要があります。
 一方、予定金額が百三十万円以下の小規模工事では、競争入札参加資格の登録がない業者でも受注が可能となっております。
 そのため区では、小規模工事等を受注した登録外の業者の情報を共有し、各部署から発注を行う際には、競争入札参加の登録をしている業者の情報とともに活用しているところです。
 工事等の発注におきまして、より多くの区内業者が参加できるようにすることは、大切なことと認識しておりますので、今後も、適切な発注方法について検討してまいります。
 また、シルバー人材センターに対しては、この間、従来の区刊行物等の配布や筆耕業務等の業務に加え、学校安全パトロールや児童の安全見守りなど、発注業務を大幅に拡大してきておりますが、高齢者の就業機会を拡大していく観点から、今後も、積極的な発注に努めてまいります。

【産業活性化担当部長答弁】
 中小企業融資に関する質問にお答えいたします。
荒川区の製造業を中心とする中小企業の多くは、不断の努力により経営革新を進め、柔軟な適応力と高い技術力を活かし、幾多の経済不況を乗り切ってまいりました。
 荒川区においては、区と金融機関、東京信用保証協会の三者が協調した「荒川区中小企業融資」において、多くの融資メニューを用意し、このような中小企業への円滑な資金供給を図ってまいりました。
 昨年来の経済不況においても、いち早く「原油原材料高緊急対策融資」や「緊急年末融資」を実施するなど、三者が協力して迅速かつ柔軟に対応してまいりました。また、昨年十月末から実施している「緊急保証制度」においては、区長認定件数が一年間で三千二百件を超えており、本制度に基づいて区内中小企業の多くが融資を受けております。
 一方、国会においては、中小企業向け融資などの返済猶予を受けやすくする「中小企業金融円滑化法案」が審議されており、また、政府においては、新たな信用保証制度として「条件変更対応保証(仮称)」を措置することとしております。
 区としましては、これらの動向に注視するとともに、資金需要が増す年末に向け、荒川区しんきん協議会等の場において、金融機関に対して、区内中小企業への円滑な資金供給を重ねて要請してまいりたいと存じます。

【福祉部長答弁】
 次に、応急資金貸付金の活用についてのご質問にお答えいたします。
 応急資金貸付制度は、災害や傷病等により、応急に必要とする費用の調達が困難な方に対し、資金を貸し付け、その生活の安定と生活意欲の増進を図ることを目的としております。
 このため、応急資金貸付金の使途は、住宅等の復旧や傷病の治療、就職・修学・出産・冠婚葬祭、転居、生活必需品の購入などに要する費用に限定されており、借入金の返済は対象にしていないところであります。
 区といたしても、現下の雇用経済情勢の下、失業や収入減少など、区民の皆様の生活が大変厳しい状況にあることは認識しております。
 しかしながら、借入金をまた別の借入金で返済することは、極力避けなければならないこと、住宅ローンの返済繰り延べや減免などの措置につきましては、国全体で取り組むべき課題であることから、区の応急資金貸付金の使途を借入金の返済にまで拡大することは適当ではないと考えております。

《質問》

 次ぎに生活困窮者への対策についてうかがいます。
 生活保護は、今回の定例会でも補正予算が組まれるように急増しています。10月31日時点で荒川区の生活保護世帯は、4230世帯5153人、昨年同月比423世帯526人増になっています。
 政府が先ごろ発表した貧困率は15.7%、子どもの貧困率14.2%となっています。経済大国といわれる日本で貧困率がOECD加盟国30国中、4番目という異常な状態であります。
 これは、国民の6人に1人が月約10万円以下で生活していることになり、要保護状態であるにもかかわらず、放置されていることになります。
 区では、子どもの貧困に立ち向かうとして「総合自治研究所」のはじめの仕事として位置づけています。これに合わせて要保護状態の区民の実態把握を行い、多様な支援策を検討していただきたいと思います。お答えください。
 また、若年者や就労可能を理由に生活保護を要しないと判断するのではなく、適切な申請受理と適用を行うことを求めます。
 貧困に寄生し、儲けをむさぼる「貧困ビジネス」が社会問題になっています。無料低額宿泊所は、今年6月末時点で入所者数14089人うち保護受給者12894人、施設数は439ヶ所で都内に約4割が集中しています。法的根拠のない施設には1月時点で12587人、施設数は1437ヶ所にも上っています。全体の約3割の施設が入所者の金銭管理をし、また入所者の保護費から利用料を引いた額が3万円未満になる施設が全体の4割にも達しています。
 荒川でも同種の有限会社やNPOが経営している低額宿泊所に女性DV用の施設も含め5施設に25人の方が入居しています。
 生活保護受給者にあたって無料低額宿泊所の利用をすすめるのか理由をお聞かせください。

《答弁》

【福祉部長答弁】
 次に、生活困窮対策に関して、区民の実態調査と支援策についてのご質問にお答えいたします。
 昨年秋の米国の金融危機を契機とした世界同時不況により、我が国の経済・雇用情勢も悪化し、荒川区の生活保護世帯が、本年十月末現在、四千二百三十世帯と、前年同月と比較し、四百二十三世帯、一一・一%増加するなど、区民の皆様の生活は厳しさを増しております。
 こうした中、個々の世帯が要保護状態にあるかどうかについては、生活費や収入・資産の状況、扶養義務者の有無など、それぞれの世帯の置かれた状況を総合的に勘案し、判断する必要があるため、一律的な調査は困難であると考えております。
 このため、区では、区民の皆様の生活状況について、各窓口における相談や各種調査結果の分析、様々な経済指標等により、その実態の把握に努めているところであります。
 今後とも、窓口等での相談をきめ細かく行い、区民の皆様の生活状況とニーズに応じた対応を図っていく所存でございます。

【福祉部長答弁】
 生活保護の適用についてのご質問にお答えいたします。
 生活保護制度は、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長する制度でございます。そのため、働くことが可能な方には、能力に応じて働いていただくことが基本となっております。
 しかしながら、昨年末以降の景気の後退により、仕事を失い、働ける能力がありながら、生活に困窮する方が増加しています。
 このため、区では、ハローワークや東京都・社会福祉協議会と連携をとりながら、就労の支援や住宅の確保・生計維持のための支援に取り組んでおりますが、これらの支援策によってもなお、仕事に就くことができず、生活に困窮する場合には、生活保護が適用になります。
区といたしましては、生活保護の適用に当たっては、生活保護法に基づき、申請者の状況に応じ、適切な保護を実施しております。

【福祉部長答弁】
 無料低額宿泊所についてのご質問にお答えいたします。
 無料低額宿泊所は、社会福祉法第二条第三項に規定する「生計困難者のために無料または低額な料金で宿泊所を利用させる事業を行う施設」であり、法に基づき、都道府県知事に届け出がされております。
 荒川区では、主に、住所不定者に対し、金銭管理や健康管理、あるいは対人関係など、社会生活に馴染めないと判断した場合は、当面の間、更生施設等に入所していただいておりますが、施設が満室の場合は、無料低額宿泊所に入所していただいております。
 区といたしましては、引き続き、利用者の状況に応じた、適切な保護に努めてまいる所存でございます。

《質問》

 次に保育園のゆきとどいた基準と増設についてです。
 保育所の面積などの最低基準は戦後まもない1948年に制定されてから60年間、ほとんど改善されることなく放置されてきました。最低基準に省令では第3条では、厚生労働大臣は最低基準を常に向上させるよう努めること・最低基準を超えて運営している施設は、最低基準を理由に低下させてはならない」としているのに、90年後半から基準緩和が進められ、認可保育園でも今でも大変な事態になっています。
 98年に「定員の弾力化」で4月当初定員の15%、年度途中は25%超まで入所を認め、01年度からは、年度後半は何人超過してもかまわないというところまで規制緩和をしてきました。これによって南千住のとちのき・さくら・はなみずきも当初予定の定数も引き上げ、現在では定員の130%を超えています。せっかく少しはゆとりを持って建設した保育室の平米数も、すでに一人当りの平米数はクリアーしておらず、ホールやテラスなども換算して最低基準をやっとクリアーしている状況です。さらに園庭の基準も屋外遊技場に変わる公園、ひろば、境内等が近隣にあれば必ずしも保育園と隣接する必要はなしと緩和したために、現在建設中の南千住保育園の園庭は本当に狭く、隣接の若宮八幡遊園の平米数でやっと一人当りを確保しているのです。政府は待機児解消を名目に都市部は面積基準を引き下げようとしています。避難階段や耐火基準の緩和も伝えられています  今では、遊びも食事も午睡も同じ場所、せっかく夢中になっているお絵かきや工作など途中で片付けなければならない。食事をしている子どもの側で片づけをしながら布団を敷くため埃が舞い上がることあります。ゆっくり食べている子どもの席を隅っこに移さなければならない。当初、異年齢交流で給食を取れるスペースを設置したのに、定員増の中で今では乳児の遊び室になっています。
 赤ちゃんの急死を考える会が1961年から2008年の死亡事故240件を調査分析し、規制緩和が進んだ01年以降に22件発生しており、面積基準の緩和撤回を申し入れ、厚生労働省が20日、認可保育園などで増えている乳幼児の死亡事故の実態調査を行うことを明らかにしています。また厚生労働省の委託研究報告でも保育室の必要面積は2歳未満4,11平米(現在は3,3)2歳以上2,43(現在1,98)と引き上げを提案しています。
 保育園の子どもたちは一日の大半を過ごすのです。一日一日かけがえのない成長の場です。更なる基準緩和で押し込めるようなことはやはりやってはなりません。
 国・自治体の責任で保育園を増設し、待機児解消とより良い保育環境を整えること、そのどちらもきちんと位置づけて進める事こそ、荒川区の次世代育成支援の柱とすべきす。そこで伺います。
 第一に保育の増設計画を緊急に策定し、定員の弾力化で保育定数を引き上げたところは順次元に戻すこと。
 第二に、202名もの大規模園はやはり考え直すべきです。当面、新築園とあわせて、現在の南千住保育園園舎も活用してはどうでしょうか。子どものためです。ふれあい館建設が遅れても住民のみなさんは理解していただけるはずです。
 第三に、未来をつくる子どもたちにゆきとどいた施設内容とする設計理念を確立し、専門家や関係者の意見を良く聞くことを求めます。答弁を求めます。

《答弁》

【区長答弁】
 議員のご質問のうち、私からは保育園の環境整備に関する基本的な考え方についてお答えいたします。
 私は、区長就任以来、子育て支援施策の充実を区政の最も重要な柱の一つに掲げ、行政サービスの向上に努めてまいりました。
 国家百年の計と申しますが、未来社会の守護者であり、地域社会発展の礎である子どもたちを大切に育てあげていくことは、区の将来を見据えた自治体としての基本的責務であると考えております。
 この考え方のもと、お尋ねの保育園の整備につきましても、認可保育園の開設や大改修、認証保育所の誘致や保育ママの増員等により、区におきましては平成十六年以降これまでに六百人にも及ぶ保育利用定員の増加に努めてまいったところです。
 さらに社会経済情勢の変化などによる急激な保育需要増への対応として、大幅な定員増を含めた南千住保育園の移転開設、汐入こども園の本設園開設、汐入地域内の認証保育所の開設、南千住駅前認可保育園の整備支援、仮称第三東日暮里保育園の整備など、今後予測される厳しい財政状況を見据えつつも、本年九月にお示しした「区の保育事業充実に向けた基本的な考え方」に基づき、保育サービス供給量の計画的な拡大に全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 また、一時保育の充実、延長保育の全園実施、年末保育の実施、子育て交流サロンの拡充、第三子以降の保育料無料化など、保育事業の充実と保護者負担の軽減等にも積極的に努めているところでございます。
 区といたしましては、子育て世代の方々が安心して快適に子育てができ、保育が必要な子どもたちが快適な環境の下で質の高いサービスを受けられるよう、民間活力の活用や区施設の有効活用などの視点も考え合わせながら、保育サービスの充実に向けて、今後ともより一層努力してまいる所存でございます。

【子育て支援部長答弁】
 保育園に関する質問のうち、まず始めに定員弾力化に関するご質問にお答えいたします。
 定員の弾力枠の活用につきましては、増大する保育需要に対応するため、設置基準の範囲内で、保育サービスの質を維持しつつ施設の有効活用を図る観点から順次実施してきたものであり、待機児解消策の一つとして効果的かつ適切なものと考えております。
 次に、南千住保育園園舎の活用についてのご質問にお答えいたします。
 現在南千住保育園の建て替えを行っております土地につきましては、当初ふれあい館を建設する予定でしたが、園舎の老朽化と近隣の大規模マンション計画等、南千住地域における逼迫する保育需要に対応するため、定員を二百名規模とする保育園を建設することとしたものでございます。
 現在の南千住保育園の土地につきましては、乳幼児から成人、高齢者に至るまで多くの区民の交流と地域活動を推進することを目的にふれあい館の建設を予定しており、区として現存の施設を保育園として活用する考えはございません。
 続きまして、保育園の設計等についてのご質問にお答えします。
 保育園の新設や大規模改修に当たっては、保育課、保育園長、建設担当部署による庁内プロジェクトチームを設置し検討するとともに、必要に応じて現場の保育士や保護者の意見も参考とするなど、適切に対応しているところです。
 区といたしましては、今後とも、園児たちが過ごしやすく、良質な保育環境となるよう努めてまいりますので、ご理解のほどをお願いいたします。

《質問》

 次に新型インフルエンザなどの対応についてうかがいます。
 新型インフルエンザが猛威を振るっています。予防接種への助成を決めたことを歓迎し、予防接種のすみやかな実施に尚いっそう取り組んでいただきたいと思います。輸入ワクチンの取り扱いやいつ予防接種ができるのか情報が錯そうしています。いつ重症化する可能性を否定はできません。区民の安心を確保する上でも敏速で確かな情報提供と対策を求めたいと思います。
 また、肺炎は日本人の死因の4番目になっており、高齢者を中心に肺炎で亡くなる方は、年間8万人に達しています。インフルエンザにかかった高齢者の四分の一が細菌性肺炎になり、高齢者の肺炎の原因となる病原菌の中で、最も頻度の高いのは「肺炎球菌」です。予防効果とともに「軽症ですむ」「抗生物質が効きやすい」などの効果もあるとの研究結果もあります。東京でもすでに9区8市で実施をはじめています。
 また肺炎球菌の感染により、多くの小児が細菌性髄膜炎や肺炎、重篤な中耳炎・菌血症・敗血症などにかかっています。すでに安全と効果が立証されている「小児用肺炎球菌ワクチン」です。
 高齢者・小児に対する肺炎球菌ワクチン接種への助成をはじめてみてはいかがでしょうか。答弁を求めます。

《答弁》

【健康部長答弁】
 まず、新型インフルエンザのワクチン接種についての情報提供に関するご質問にお答えします。
 ワクチンの接種回数や接種の開始時期については、これまで国・都の方針が何度か変更になりましたが、区では、その都度、区報やホームページを通じ正確な情報を迅速に区民に提供してまいりました。また、十一月九日から、妊婦や基礎疾患のある方などへのワクチン接種が始まったことに伴い、区民の問い合わせも増加しておりますが、区では保健所に設置したインフルエンザ相談センターに専門スタッフを配置し、きめ細かな対応を行っております。
 次に、高齢者と小児に対する肺炎球菌ワクチンの接種費用の助成に関するご質問にお答えいたします。
 肺炎球菌は、細菌性肺炎の主たる原因菌であり、高齢者においては、インフルエンザの流行時期に細菌性肺炎を合併した症例が増加した場合、肺炎球菌ワクチンを接種することで一定の予防効果が期待できるものと考えられます。
 一方、小児用の肺炎球菌ワクチンは、今年十月に国内での製造販売が承認されたばかりであり、定期接種に向けての検討にあたっては研究段階にとどまっているのが現状です。
 区といたしましては、高齢者と小児の肺炎球菌ワクチンの接種費用助成につきましては、国の動向を見守りつつ、慎重に検討してまいります。

《質問》

 最後に区の平和事業についてうかがいます。
 今、被爆者の声や世界の世論の高まりのまえで、アメリカのオバマ大統領のプラハでの発言をはじめ、核保有国の大統領や首相が相次いで「核兵器のない世界を」との声を上げています。鳩山首相も国連で「核兵器廃絶の先頭に立つ」と決意を述べました。
 来年2010年は5年に一度の核不拡散条約(NPT)再検討会議が開催が予定されており、核兵器全面禁止条約の交渉を開始など核兵器廃絶への確かな一歩を踏み出すよう求められます。広島・長崎市長が提唱する国際NGO「平和市長会議」は、廃絶への具体的道筋をしめした「ヒロシマ・ナガサキ議定書」をこのNPT会議で採択することをめざしています。この一年半で国内の自治体の加盟は364都市が加わりました。西川区長も参加し、核兵器廃絶の先頭に立っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、来年は、戦後65年・荒川区が「平和都市」宣言をして15周年の年に当たります。昨年の第3回定例会では、私の質問に平和事業へのとりくみの重要性は十分に認識している。「原爆の火」被災樹木の保存、子どもたちの平和ツアーなどの提案に、有意義な素材として調査検討したいとしてきました。調査・検討は進んだでしょうか?節目の年にふさわしく、平和マップの作製など、東京初空襲の地にふさわしく後世に語り継ぐ取り組みを進めていただきたい。答弁を求めます。
 第1回目の質問を終わります。

《答弁》

【総務企画部長答弁】
 区の平和事業に関するご質問にお答えいたします。
 区では、平成七年に議会の御議決を経て、荒川区平和都市宣言を行い、以後、今日に至るまで、宣言に込められた永遠の平和を願い、育み、明日の世代に伝えるという区民の皆様の思いを大切にして、平和への取り組みを行ってまいりました。核兵器についても、恒久的平和の実現にとって大きな障壁となるものであり、唯一の被爆国として、その廃絶に向け積極的に関わっていかなくてはならないと考えております。
 委員ご質問の、広島市長が会長となっている平和市長会議では、2020年(平成三十二年)までに、核兵器廃絶に向け各国政府等が遵守すべきプロセスなどを定めた議定書を、来年開催予定の核不拡散条約再検討会議において、我が国が提案国になることを目指す運動をすすめているとのことであります。今後、市長会議の活動内容等を十分調査し、議会のご意見も伺いながら、区としての対応を検討してまいります。
 また、区の平和事業につきましては、平和の大切さを広く区民の皆様に伝えていくため、講演や映画の集い、ふるさと文化館や図書館での平和関連の展示等、多彩な平和事業を展開してまいりました。
 今年は、新たに二つの事業を実施いたしました。一つは、平和のバラ事業として、平和を願う区民の意志を広くアピールするために、町屋駅前に平和のバラコーナーを設置し、第一回バラの市で区民の皆様にお披露目をし、平和宣言の意義等を紹介したパンフレットの配布などを通じて、大勢の方に平和への関心を高めていただけるよう努めたところでございます。
 二つ目は、「平和を語る会」として、小学生が実際に戦時下のメニューを自分たちで作り食べるという事業を実施しました。参加者の多くからは、人が生きていく上で欠かせない食べ物の大切さ、戦時下の大変さを身をもって知ることができたという感想をいただきました。
 区としては、今後もこうした地道な活動を通じて、より多くの区民の皆様に平和への大切さを感じていただけるよう、平和事業の充実を図ってまいります。


2009年第3回定例会

2009年 第1回第2回第4回



【横山幸次区議】

  1. 政権交代のもとでの区民生活について
    1. 総選挙の結果から後期高齢者医療制度、障害者自立支援法、生活保護母子加算廃止など見直しの可能性が高まっているが区長の認識を問う。
    2. 麻生内閣による14兆円の景気対策に基づく区の補正予算は、自治体と区民生活、景気回復に役立つのか慎重に検討すべき。
  2. 子どもの貧困は許さない…教育、子育てにいっそうの支援強化を
    1. 区内の子どもの貧困について調査分析を行い、早急に対策をまとめること。
    2. 就学援助の所得制限をいっそう緩和するとともに、現に就学援助を受けている場合4月から支給できるよう仮認定など制度を改善すること。
    3. 就学援助の給付水準と内容について改善すること。また、お知らせについても給付内容やわかりやすい基準の明示など改善すること。
    4. ドリル、ワークテスト、教科用実習材料など教材教具は幅広く公費負担にすること。
    5. 区の学力テストをやめて、保護者負担の軽減にふりむけること。
    6. 待機児童解消について、基準の緩和による対応でなく、認可保育園の計画的増設を基本にすること。
    7. 南千住東部地区などで保育園設置が遅れている主な原因と責任についての認識を問う。
    8. 町屋ひろば館で行っている児童館事業については、今後も区の専門職員で運営するとともに、新たにつくるふれあい館などに本格的な「中高生の居場所」をつくること。
  3. 高齢者の介護・医療の負担軽減を
    1. 新介護認定方式による介護度の軽度化の実態を明らかにし、この方式を止めるよう国に求めること。
    2. 支給限度額内で必要な介護給付が受けられない要介護高齢者について区独自に必要な福祉サービスで提供すること。
    3. 国に介護職員処遇改善交付金について、2年6ヶ月の期間限定をなくし、現場労働者がすべてが対象になるよう改善するよう求めること。
    4. 老老介護、認認介護の実態把握とともに、見守りや散歩でのヘルパー派遣など福祉施策として実施すること。
    5. 高齢者の医療費負担軽減策について、「入院見舞金」の支給などの検討すること。
  4. スポーツセンターの食堂又貸し疑惑問題の徹底解明と区のすべての指定管理者、業務委託について調査を行い公表すること。
  5. 新型インフルエンザについて区として今後の見通しを明らかにするとともに、区内関係医療機関の状況把握を早急に行い、必要な支援をおこなうこと。また区民への周知をいっそう徹底すること。

《質問》

 私は日本共産党荒川区議会議員団を代表して質問します。
 先の総選挙では、格差と貧困を広げ国民に痛みを押しつけたこの10年間の「構造改革路線」に対する国民の怒りが噴出、自民公明政権退場の国民の審判が下りました。
 同時に、「民主党支持」というより「自公政権ノー」の審判であったことは、選挙後の世論調査でも明らかです。
 我が党は、建設的野党として国民の願い実現と政治の転換に向けて力をつくします。国民の願いに応える良いことには、賛成し積極的な提案も行って推進するとともに、消費税増税などには断固反対、防波堤としての役割を果たす決意です。同時に新しい政権の政策についても、その問題点をただす立場です。
 こうした政治状況のもとで、後期高齢者医療制度、障害者自立支援法、生活保護母子加算廃止など見直しの可能性が生まれています。この間、区長は、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法の負担のあり方など問題点を指摘され、その是正についても発言してこられました。これまで自治体として制度そのものについては、容認するという限界はありましたが、政治状況の変化で根本的な見直しの可能性も生まれています。より積極的な対応をすべきと思いますが、西川区長の認識をまずうかがいます。
 選挙前に麻生内閣が打ち出した14兆円の「景気対策」は、エコカー購入補助、家電購入エコポイントなどに加え、地デジ付き電子黒板の全小中学校設置など今議会にあらためて実施が出てきたものもあります。しかし、財源は2年後の消費税増税で、新政権が財源を閉ざす可能性もあり、よくよく検討が必要です。また新政権が打ち出そうとしている子ども手当も財源は、配偶者控除、扶養控除の廃止で充てるとしています。どちらも財源は、庶民増税であり、諸手をあげて賛成とはいえません。景気対策をいうなら国民の暮らし雇用を守り、家計を温め、社会保障などの充実にこそお金を回すべきです。今回区は、麻生政権の「景気対策」を具体化した補正予算を提出しました。ふれあい館用地の取得やプレミア付きお買い物券発行など必要な施策もあります。しかし「地デジ付き電子黒板」や子育て応援手当などよりも優先順位の高いものがあるのではないでしょうか。国の財源とはいえ税金です。慎重に精査、検討すべきと考えます。お答え下さい。

《答弁》

【福祉部長答弁】
 後期高齢者医療制度や障害者自立支援法等の見直しについてのご質問にお答えいたします。
 近々発足する予定の新政権が、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法の廃止、生活保護の母子加算制度の復活をマニフェストに掲げ、現在、連立政権の共通政策として、協議を進めていることは、新聞報道等を通じ、承知しているところでございます。
 区といたしましては、これまでと同様、将来にわたり持続可能な社会保障制度の構築が最も求められていると認識しておりますが、新政権による制度の見直し内容や時期などが明らかになっていないため、今後の動向を注視してまいる所存でございます。

【総務企画部長答弁】
 区の補正予算についてのご質問にお答えします。
 このたびの区の補正予算案の中では、国の緊急経済対策に基づき実施する事業にかかる予算を提案させていただきました。その内容は、住宅手当緊急特別措置のような雇用情勢の悪化に対応したセイフティネットに係る予算、学校におけるエコ改修など教育環境の整備に係る予算など、七つの事業であります。これらの歳出予算額は合計で約八億三五〇〇万円で、国庫補助金を約六億一五〇〇万円活用する内容となっております。
 区といたしましては、国の補助金を有効に活用して、区が実施すべきと考える施策について、庁内で十分に議論を重ね、予算編成を行ったものでございますので、施策が実施されれば、区民生活の向上や景気回復に大きく寄与するものと確信しておりますので、ご理解いただけますようお願いいたします。

《質問》

 いま来年度予算編成中ですが、我が党区議団は、切実な区民要望第一次分を提出しました。不況、貧困と格差の拡大から区民の暮らし、子どもの現在と未来を守る対策が求められています。
 第一に、子どもの貧困問題の解決についてうかがいます。
 私は、2008年の二定で「子どもの貧困を断ち切るために」という内容で質問させていただきました。区長も今年の二定で他会派の質問に答えて、子どもの貧困に立ち向かう対決意を述べられました。たいへん重要なことです。貧困と格差が子どもに連鎖していく社会は、将来の希望をうしなうものです。
 OECEの報告で日本は、「構造改革」のもと7人に1人の子どもが貧困状況といわれ悪化し続けています。たいへん衝撃的です。
 東大の「大学経営・政策研究センター」が、2005年から3年間、高校生の4年生大学への進学状況を調査、親の年収200万円未満だと28%、1200万円以上で62%など親の年収で進学率が大きく左右される結果を発表しました。
 日本学生支援機構「学生生活調査」を見ると、国立で自宅の場合105万円、アパートだと177万を超え、私立だと自宅で172万円、アパートだと247万円となっています。支出が必要となれば当然の結果ですが、数字としてみると衝撃的です。しかも無理をして奨学金を借りても卒業と同時に、何百万という借金を背負うことになってしまいます。生まれた家庭の経済的環境で、教育の機会が奪われ、低位に置かれた社会的環境から脱出できないのです。
 またひとり親家庭は、いっそう深刻です。全国では、母子世帯の所得が低いだけでなく、5人に1人はダブルワーキング、トリプルワーキングで、子どもとの時間も犠牲にしている実態が報告されています。非正規の雇用しかなく、児童扶養手当も削減、母子加算も廃止など貧困を防ぐ給付すら切り下げられてきた結果です。
 どれだけの子どもたちが、教育の機会を閉ざされ、未来を閉ざされているのでしょうか。政策によって子どもの貧困がつくられているといっても過言ではありません。
 荒川区の生活保護でゼロ才から19才までの被保護者は、2008年で351名、過去10年前と比べて272%増です。この子たちの進路はどうなっているでしょうか。区は、「早寝早起き朝ご飯」を保護者と子どもに呼びかけています。それはそれとして、朝ご飯が食べられない子どもの原因や個食の実態、親の長時間、深夜、早朝労働、あるいはDVや精神疾患など家庭の実態の解明に努力してみてはどうでしょうか。実態把握と可能な対策はすべてやる、こうした姿勢で臨むべきです。あらためて、区内の子どもの貧困について調査分析を行い早急に対策をまとめることを求めます。
 次に当面の対策です。
 日本における重たすぎる教育費負担は、子どもの未来を閉ざす大きな壁となっています。日本の場合、大学、高校の学費だけでなく、義務教育でも教育関係費の保護者負担が高く、家計を圧迫する大きな要因の一つになっています。憲法の保障する義務教育無償の原則を政治の責任で実現することが求められています。
 文部科学省の2006年「子どもの学習費調査」では、学校教育費の内保護者の私費負担は、公立小学校で56,655円、公立中学校では133,183円にのぼり、家計の大きな負担になっています。そして、塾や習い事など学校負担の4倍から5倍の支出も家庭によってはなされています。これに加えて、給食費や学校外活動費がかかります。義務教育無償といいながら学校運営費の多くの部分が保護者負担になっており、さらに有名校の進学には教育への多額投資が必要です。
 親の経済的状況によって幼稚園、小学校から格差が生じ、教育の平等、教育機会の平等が壊されています。憲法の定める義務教育無償の原則に近づけることが求められます。
 まず就学援助のいっそうの充実です。
 一昨年から生活保護の1.2倍の収入まで対象にされました。一定の改善と評価しますし、その効果も現れています。しかし生活保護の1.4倍程度の収入まで対象を拡大しても公租公課など考えると最低生活費もまかなえません。そもそも荒川区でも以前は、1.5倍まで支給していたのです。
 実態の把握もふまえ、就学援助の所得制限をいっそう緩和することを強く求めるものです。また、就学援助の最初の支給は7月からです。年度初めにこそお金が必要です。板橋区では、4月から仮認定して支給している例もあります。4月から支給できるよう仮認定など制度を改善することを求めます。
 区立小中学校で教材費に関わる学校徴収金は、毎年上昇しています。そのほか直接購入する日々の文房具、体育用品、通学用品など多くのものが必要です。また、メガネやコンタクトレンズの給付についても切実な要望が出ています。給付内容は、実際の教育費の支出に合っているのでしょうか。
 現状の掌握の上に立って、就学援助の給付水準と内容について改善することを求めます。また、全国の例を見ても、就学援助のお知らせの仕方で就学援助の申し込みに差が出ていると聞きます。広島市のお知らせを見ますと、所得の目安だけでなく、具体例も記述して分かりやすくなっています。
 お知らせについても給付内容やわかりやすい基準の明示など改善することを求めます。
 次に、教育費の公費負担拡大についてです。
 経済的に困難な子どもたちへの支援とともに、全体の公費負担を拡大することが大事です。
 学校で行う授業、実験、実習など必要な教材教具の実費負担は、おかしいのではないでしょうか。区として教育費無償の原則に沿った基準を示すべきです。府中市では、保護者負担について「通常家庭にあるもの」「あるいは、家庭になくても家庭教育上必要なもの」に限定しています。ドリルや教科実習材料など公費負担すべき品名を提示しています。
 そこで、区としてもドリル、ワークテスト、教科用実習材料など教材教具は幅広く公費負担にすることをもとめます。
 OECD諸国の中で日本の教育費支出の内税金負担分は、対GDP比で3.4%、最低となっていることが、報道されました。国に政策転換を求めるとともに、区として予算の使い方優先順位を変えればできることもたくさんあります。例えば、毎年実施の区独自の一斉学力テストは、事実上ベネッセ任せで実施されてきました。毎年一千数百万円の費用です。全体の傾向はすでに明らかです。見直しが必要です。また、今回補正予算の区一億八千万円「地デジ付き電子黒板」についても、他に優先するものがあるのではないでしょうか。子どもの立場に立った見直しも必要です。
 こうしたこともふまえて、区の学力テストをやめて、保護者負担の軽減にふりむけることも合わせて求めたいと思います。
 次に、保育問題です。
 「保育は、貧困の防波堤」という見方が大事だと思います。
 不安定雇用、収入減、家庭の困難など多くの問題を抱え、その上保育園に入れることができずに働くことを断念したり、劣悪な環境での保育を余儀なくされている方もいるのではないかと心配です。
 今年4月時点で南千住や日暮里地域で多くの待機児童が生まれました。区は、南千住東部地区を対象に認証保育所の6月開園をめざすとしましたが、いまだに見通しが立っていないのが現状です。育児休暇が明けて復職しようにも入れる保育園がなく、たいへんな思いをされた方、ローンの支払いが滞っているかもしれません。子ども園と南千住保育園の建て替えによる定員増で十分なのでしょうか。
 定員や保育基準の緩和や保育ママによる対応で乗り切るのは限界です。また、認証保育園では、保育料負担に耐えられれない父母も多いのです。もうすぐ保育園の入所申し込みも始まります。
 待機児童解消について、基準の緩和による対応でなく、認可保育園の計画的増設を基本にすることを強く求めます。
 あわせて、南千住東部地区などで保育園設置が遅れている主な原因と責任についての認識をうかがいます。
 この問題の最後に、区として児童事業に責任を持つ問題です。もともと児童館事業は、18歳までを対象にした児童福祉法に基づく施設であり事業です。今回町屋ひろば館がふれあい館に移行することになりますが、やはり区として児童福祉法に基づく児童事業の拠点施設として今後も直営で運営すべきではないでしょうか。これまで児童館事業で区の職員が培った実践は、大変貴重であり引き継ぐべき財産です。また新たにつくるふれあい館などに本格的な「中高生の居場所」をつくることもあわせて求めます。お答え下さい。

《答弁》

【区長答弁】
 区内の子どもの貧困についてのご質問にお答えします。
 今日、経済情勢や産業構造の変化などにより、ワーキングプアや非正規雇用者の増加に見られるような格差社会と呼ばれる状況が顕在化し、弱い立場にある子どもたちにも深刻な影響を及ぼしています。いわゆる、子どもの貧困問題は、子どもたちの健やかな成長、さらには、子どもたちの明日への希望をも奪いかねないものであります。
 マスコミにおいても、中途退学や進学の断念、修学旅行に行けない等の事例が取り上げられており、また、つい先日の新聞紙上では、「虐待をする親は援助を拒否し、手に負えないとの先入観で見られがちだが、深刻な虐待をした親であっても相談等の援助を求めている。虐待につながる状況としては、経済的な困難や虐待者の心身の状態などが背景となっている」という記事も目にしたところです。
私は、住民に最も身近な政府である区が、「区民の安心の砦」となり、最優先の課題の一つとして、この問題に早急に取り組む必要があると考えております。
 このため、本年五月に、私が委員長となり、全庁的なプロジェクトチームである「子どもの貧困問題検討委員会」を設置し、子どもを取り巻く個々の具体的な事例から、より現実的な解決手法を見出すべく、その発生原因や傾向を分析し、今後区が取り組むべき方向性を検討しているところであります。
 子どもの貧困問題は、家庭の経済状況が大きな発生要因であることはもちろんでありますが、その背景には、親の養育力の不足、親の就労や精神面での不安定、社会からの孤立など様々な要因が複雑に絡み合っており、その対策を検討するにあたりましても、単に金銭的な給付を増やすだけでは解決に至るものではないと考えております。
 私は、このような複雑に絡んだ子どもの貧困問題を発生させる原因を、一つ一つ丁寧に解きほぐし、適切な解決方法を追求していくことにより、子どもたちが未来に向かって夢や希望を抱けるような地域社会を築いていきたいと考えております。
 これまで、検討委員会では、例えば、専門相談員による相談体制の充実、あるいは関係機関との連携強化、不安や問題を抱えた保護者のグループミーティングの実施など、具体的な施策の検討に入っております。区といたしましては、早期に有効な対策が打ち出せるよう、さらに、全庁をあげて取り組んでまいります。
 同時に、貧困の連鎖等の根本的な問題につきましては、十月に設立する自治総合研究所において、専門家の協力を得ながら、多角的な視点で調査研究を進めてまいります。
 貧困にあえぎ、不安と隣り合わせに生きている子どもたちに温かい手を差し伸べることは、私たちの未来社会に対する重大な責務であり、この問題について更に真剣に取り組んでまいります。

【教育委員会事務局次長答弁】
 教材教具の公費負担及び就学援助に関するお尋ねにお答えいたします。
 義務教育におきましては、公費負担を原則としつつも、ドリルなど専ら個人が所有するものや使用するものなどにつきましては、保護者の負担とされております。しかし、特に経済的に就学が困難な家庭につきましては、これまでも生活保護や就学援助等の制度により、保護者の負担軽減を図ってきたところでございます。
 このうち、就学援助につきましては、学校教育法の規定に基づき実施しているもので、教材教具費をはじめ、就学に必要な費用の一部を援助することにより教育の機会均等を図ろうとするものでございます。
 本区では、その認定基準を、昨年度に、生活保護基準の一・二倍に緩和し、制度の充実を図ったところであります。
 教育委員会といたしましては、現時点で更なる認定基準の見直しや、給付内容等の見直しを行う考えはもっておりませんが、昨今の経済状況の悪化からくる失業や、病気等による家計の急激な変化に対して、特別な審査を行うなど、各々のご家庭の実態に即して柔軟な対応に努めてまいりますので、ご理解を賜りますようお願いいたします。
 就学援助の支給時期を早めることにつきましては、認定審査の基となる前年度の所得が判明いたしますのが、例年六月十日前後となっております。四月に仮認定などを行った場合、所得が判明した時点で認定取り消しとなるケースも考えられる状況となり、支給時期を早めることは、現行制度上では難しいと考えております。
 また、保護者の皆様に就学援助の制度の内容を分かりやすくお知らせすることにつきましては、大事なことと考えておりますので、今後とも努力してまいりたいと考えております。

【教育委員会事務局次長答弁】
 学力向上のための調査に関するご質問にお答えいたします。
 教育委員会では、すべての子供たちに確かな学力を確実に身につけさせていくことが、学校教育の責務であると考え、平成十四年度から本区独自の学力向上のための調査を実施し、各学校での指導の充実・改善に生かしております。
 この調査は、子供たちに学習内容がどれだけ身についているかを把握する学習到達度調査と、学習意欲や態度がどれだけ養われているかを把握する学習意識調査で構成しています。
 平成二十年度からは、基礎学力を図る問題に加えて、小学校五・六年生及び中学生においては、問題解決能力を問う問題を新たに実施しました。これにより、実生活の様々な課題解決の場面や想定される課題解決の場面において、身に付けた知識・技能等を活用し、解決を図る力を客観的に把握することが出来るようになりました。
 本調査の実施により、各学校においては、子供たちの状況を明確にし、指導方法の工夫・改善を図り、教員の指導力の向上に努めるなど、大きな成果につながっております。
 教育委員会といたしましては、今後も区独自の学力向上を図るための調査を実施し、子供たちの学力向上に努めてまいる所存でございます。

【子育て支援部長答弁】
 まず始めに、待機児解消についてのご質問にお答えいたします。
荒川区では、待機児解消の実現に向けて、これまで、はなみずき保育園や汐入子ども園の開設、私立保育園の分園設置など、認可保育園の新設や大改修により大幅な定員増に努めるとともに、認証保育所の誘致開設や保育ママの増員等により、保育サービスの充実に努めてまいりました。
 今後とも、南千住保育園の移転・新築による定員の大幅増や(仮称)第三日暮里保育園の新設など、必要な保育施設の整備に努めるとともに、様々な手法を活用しながら保育供給量の拡大を図り、待機児解消の実現に向けて計画的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、南千住東部地域における保育園設置に関するご質問にお答えいたします。
 南千住東部地域においては、0歳から2歳の低年齢児を中心に保育需要が大変高くなっており、民間事業者の協力を得て必要な保育サービスの確保に鋭意努めているところです。
区といたしては、今後とも、保育が必要な子どもたちが質の高い保育サービスを受けることができるよう、保育定員の拡大に努めてまいりたいと考えております。

【子育て支援部長答弁】
 町屋ひろば館の児童館事業および「中高生の居場所」づくりについてのご質問にお答えいたします。
 町屋ひろば館は、平成二十四年にふれあい館に移行する予定としておりますが、ふれあい館への移行後も、指定管理者が独自の特色を生かしつつ引き続き魅力ある児童事業を実施できるよう、区として必要な指導助言に努めてまいります。
 また、「中高生の居場所」につきましては、青少年の健全育成の観点からも学校や家庭以外で活動できる場所が必要であると認識しております。新設される町屋ふれあい館の多目的室ではヒップホップダンスやミニバスケットなど、中高生にとっても使いやすく魅力ある設計になっており、これまで以上に多くの中高生の利用が見込まれるところです。
 区といたしましては、今後も児童館事業の充実を図るとともに、中高生を含めた子どもたちが、明るく健やかに成長できる環境整備に取り組んでまいります。

《質問》

 次に高齢者の介護・医療の負担軽減についてうかがいます。
 相次ぐ介護保険、医療の改悪によって、高齢者は、重たい負担と給付の切り下げに苦しんでいます。この分野の対策も待ったなしです。
 まずこの4月から実施された新介護認定方式には、軽度に判定されるケースが続出し批判の声が高まりました。荒川区でもその傾向は同じです。全国的な批判の声に、厚労省はは、10月に43項目の大幅見直しを行うとしています。当初から介護給付抑制を目的にしていたことは、日本共産党の国会での追及でも明らかになりました。この際、新介護認定方式は、白紙撤回すべきです。そして認定制度そのものを廃止して、すべての人に必要な介護を提供できる制度を根本的に見直すときに来ているのではないでしょうか。
 そのため当面、区として新介護認定方式による介護度の軽度化の実態を明らかにし、この方式を止めるよう国に求めるべきです。
 次に介護給付での区の独自支援の必要性についてです。
 最近、介護についてお話を聞く機会がありました。90代のご夫婦で、妻が要介護5、夫と息子さんで介護しておられる方です。介護する夫も要支援2で短時間しか立っていられません。息子さんも仕事があり日中介護はできません。朝は毎日身体介護でヘルパーさんがきています。日中は、週3回のディーサービスに通い、残りの4日はヘルパーさんが体位交換やおむつの取り替えで昼と夜間の2回きてくれます。それに車椅子とベッドの貸与。これで、保険内1割負担35,830円の他に2万円前後の自己負担があります。残り3日の夜間介護は、本人と息子さんで行っています。日中の食事作りや清掃ヘルパーさんまでは頼めず、食事もできたものですますことが、多いといいます。
 また、別のご家庭ですが、77才の夫と暮らす要介護5の74才の妻の場合です。訪問介護は、おむつ交換など毎日1回30分を午前、午後、夜3回、週2回の1時間の訪問看護と週1回の訪問入浴、ベッドレンタルです。夜間の訪問介護を入れると全額自己負担になるため、夜中のおむつ交換は全て夫がやっており、長く続けた自営の仕事も辞めざるを得なかったといいます。
 また介護度が軽い要支援1や2の方にもっと、必要な買い物、食事作りなどの支援が必要です。
 こうした、支給限度額の制限やサービス内容の制限によって必要な介護が受けられない要介護高齢者について区独自に必要な福祉サービスで提供すべきです。お答え下さい。
 また、介護職員の待遇改善は、よりよい介護サービスを提供する最大の保障です。ところが依然として介護職員の処遇改善は進んでいません。私どもへの相談でも、介護職場に勤める夫が、賃金が低すぎて生活できない、最初の契約と違って賃金が半分、勤務時間を減らされ、保険年金もないなど深刻な実態が寄せられました。処遇改善は待ったなしです。
 麻生内閣は、選挙前の駆け込みで景気対策として「介護職員処遇改善交付金」を補正予算に組み込みました。10月から介護職員の待遇改善策を作成して職員に通知した介護事業者に対し、介護報酬とは別に「介護職員処遇改善交付金」を支給するというものです。動機はどうであれ、賃金引上げのためには一般財源の投入がやはり必要なのです。期限が2年半の時限措置で、その後は介護報酬に盛り込まれれば介護保険料の引き上げにつながってしまいます。また介護職場は、介護福祉士など介護に直接携わる人だけでなく運転手や看護師、事務の方もいます。
 介護職員処遇改善交付金は期間限定をなくし、さらに介護現場で働く全ての職種が対象となるよう改善するよう国に求めるべきと考えます。お答え下さい。
 この間も介護疲れによる殺人など痛ましい事件が後を絶ちません。認知症の家族を抱えた場合のたいへんさは、一言で言い表せないご苦労です。また老老介護、認認介護の深刻な実態も伝わってきます。先ほどの例もその一つです。
 こうした老老介護、認認介護の実態把握とともに、見守りや散歩でのヘルパー派遣など福祉施策として実施し、少しでも負担の軽減を図るべきです。お答え下さい。
 この問題の最後に高齢者の医療費負担の軽減です。
 医療費の負担は、健康や命に直結するだけに最も高齢者にとって重たいものです。そもそも窓口負担が70才まで3割という国は、先進国で例がありません。70才になっても現役並みと見なされると3割です。しかも75才過ぎると後期高齢者医療制度で保険料も取られます。しかも医療費窓口負担を払う金がない場合、支援する公的な仕組み不十分で、結局食費など生活費を削るか受診を抑制するかの選択が残されているだけです。
 やはり医療費負担軽減に踏み出すべきです。高齢者の医療費負担軽減策について、「入院見舞金」の支給など直ちに検討していただきたい。お答え下さい

《答弁》

【福祉部長答弁】
 介護保険の新認定方式についてのご質問についてお答えいたします。
 本年四月より実施している介護保険の新認定方式の状況は、従前の認定方式と比較すると軽度に判定される傾向がみられます。
 こうした状況に対応するため、国においては「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」における検証結果に基づき、本年十月より、日頃の状態を重視するなどの要介護認定の方法に改めることとしております。
 区といたしましては、介護保険の実施主体として、十月より実施される新たな要介護の認定方法について、変更の趣旨を的確に捉え、区民の不安を招くことのないよう、認定調査員の研修を行い、一人ひとりの身体・生活状況など実態に即した介護認定に努めてまいります。

【福祉部長答弁】
 次に、要介護高齢者に対する区独自のサービスの提供についてのご質問にお答えいたします。
 介護保険制度は、国、都道府県、区市町村の公費と四十歳以上の方の保険料を財源として、全国で一律の基準に基づき、それぞれの利用者に対して必要な介護サービスを提供するものであります。
このため、区といたしましては、利用者のサービスの必要量に見合った介護認定を行うように努めるとともに、各介護サービス事業者に対しても、その方に対する適正なサービスを提供するよう指導しております。
 こうした取組を通じて、介護上必要なサービスは、介護保険において提供されていると認識しております。

【福祉部長答弁】
 介護職員改善交付金についてのご質問についてお答えいたします。
 介護職員処遇改善交付金につきましては、国の経済危機対策のひとつとして、介護サービス事業者へ資金を交付することにより、介護職員の処遇改善をさらに進めていくことを目的として実施されるものであります。
 現在、介護サービス事業者による交付金の申請が始まったところであり、区といたしましては、区内介護サービス事業者の今後の申請状況や区内事業者職員の処遇改善の状況を注意深く見守り、必要があれば特別区部長会などを通じて国や東京都に対して意見を申し述べて参りたいと考えております。

【福祉部長答弁】
 次に、介護の実態把握とヘルパー派遣についてのご質問にお答えいたします。
 昨年、第四期高齢者プラン策定の基礎資料とするため、「要介護等高齢者実態調査」を実施いたしました。その調査結果から、夫婦のみの世帯が二十%を超え、また、七十歳以上の介護者が三割を占めるなど、高齢者が高齢者を介護する実態を把握しているところでございます。
 こうした実態を踏まえ、区では、在宅生活の支援や地域密着型サービスの推進、法人立特別養護老人ホームの誘致など、介護保険サービスの基盤整備が喫緊の課題であると認識し、現在、そうした施策の推進に全力で取り組んでいるところであります。
 ご質問の見守りや散歩の付き添いを行うヘルパーの派遣につきましては、現在、社会福祉協議会が地域の方々のご協力をいただき、高齢者や障がい者等に対して、家事援助サービスや介護・見守りサービスなどの在宅福祉サービスを提供しており、こうした事業の活用による対応を図ってまいりたいと考えております。

【福祉部長答弁】
 高齢者の医療費負担軽減についてのご質問にお答えいたします。
 わが国の医療費が年々増加している現状から、医療保険制度を維持していくために被保険者一人ひとりが応分の負担をしていただくことが必要であると認識しております。
 ご質問の高齢者の医療費負担軽減策については、七〇歳から七十四歳の被保険者の方々の一部負担金の割合について、二割から一割とする特例措置が実施されております。
 また、医療保険及び介護保険の自己負担の合計額が著しく高額になる場合、高額医療・高額介護合算制度による負担軽減策が開始されたところであります。
 さらに、国民健康保険及び後期高齢者医療制度では、低所得者の方々の保険料軽減が講じられております。
 一方、ご提案の入院見舞金の支給につきましては、在宅で療養されている方々との公平性に欠けることや一律に現金給付することが適当ではないことなどの課題があるため、その実施は困難であると考えております。

《質問》

 次に、スポーツセンターの食堂又貸し疑惑についてうかがいます。
 総合スポーツセンターの食堂は、2年前、公募で最高点をとったA社に自販機10台設置許可もつけて貸し付け、その会社が営業していることになっていました。ところが、来年3月31日までの契約期間終了を前に、突然辞退届を出して8月31日で撤退するといってきました。これだけでも契約違反で、公共施設を預かっているという責任すらが感じられない異常な事態だと思います。同時に、重要なことは、我が党斉藤邦子区議が委員会で明らかにしましたが、このA社が、自らは運営せず第三者に施設を又貸しして使用料をとっていた疑惑が出てきた問題です。思い返すと、二年前といえば、スポーツセンターの指定管理者が、下請けに業務を丸投げしていた問題を我が党が取り上げ、その問題解明と再発防止など区が対策を講じた時期と同じです。似たようなケースが同じ施設内で二度も三度も起こること事態が問題です。また、区の特別職、幹部職員も参加した選定委員会の評価が高得点であり、評価のあり方、評価の信頼性そのものが問われる事態でもあります。関係者からの事情聴取など事実解明と責任の所在を明らかにすることは、区の最低限の責任です。
 スポーツセンターの食堂又貸し疑惑問題の徹底解明を行うとともに、この際、区のすべての指定管理者、業務委託について調査を行い公表することを求めます。

《答弁》

【教育委員会事務局次長答弁】
 荒川総合スポーツセンターの食堂に関するご質問にお答えします。
 荒川総合スポーツセンター内の食堂につきましては、平成十九年四月から、有限会社朝日屋に対して、荒川区行政財産の使用を許可してまいったところでございます。
 ご懸念されている件につきましては、現在、関係者から事実関係について事情聴取を行っております。調査結果がまとまり次第、すみやかに区議会にご報告する所存でございます。

【総務企画部長答弁】
 指定管理業務並びに業務委託の履行に関する調査の実施及び公表に関するご質問にお答えいたします。
 平成十六年度に導入した指定管理者制度の施設は、現在、四十七を数えるまでになりました。指定管理者制度は、民間事業者の活力を行政サービスに活用することを目的として導入したものであり、これまで、開館日の拡大や開館時間の延長、新たなサービスの実施等、着実にサービスのレベルアップにつながっております。
 指定管理業務につきましては、各施設の所管課において、定期的に打合せ等を行い、日常的な管理運営状況の把握に努めているほか、毎年度ごとに履行状態を審査しております。この間、議会のご意見等も踏まえ、その審査体制の強化・充実を図ってきたところであり、昨年度からは、外部専門家による財務・労務管理の審査を開始するなど、全庁的に適切な運営に努める体制づくりを行ってきたところです。今後もこうした体制の下で、指定管理業務の履行状態を適切に把握するとともに、その内容の公表については、今後検討してまいります。
 なお、業務委託につきましても、契約の定めに基づき、検査等を通じて、引き続きその適切な執行に努めてまいります。

《質問》

 最後に新型インフルエンザの対策です。
 シーズンでない夏季においても全国的に異常な新型インフルエンザの流行が見られました。荒川区でも、発症が確認されすでに学級閉鎖などの対応を行う事態にも達しています。秋から冬にかけて大流行も予測されている中で、最大限の対策をとることが区に求められています。とりわけ、発熱外来が廃止されたもとで、患者を受け入れる第一線である区内医療機関への支援が欠かせません。インフルエンザ薬の確保や検査キットの不足など現場で何が起こっているのかつかみ必要な支援を行うべきです。またワクチン接種は、定期接種と同様の保障など制度を整備することも、国に働きかけることが必要です。
 こうした状況をふまえ、新型インフルエンザについて区として今後の見通しを明らかにするとともに、区内関係医療機関の状況把握を早急に行い、必要な支援をおこなうことを求めます。また区民への周知は、いっそう徹底して行うことを求めます。
 以上第1回目の質問を終わります。

《答弁》

【健康部長答弁】
 新型インフルエンザ対策に関するご質問にお答えいたします。
 はじめに今後の見通しでございますが、このたびの新型インフルエンザの動向には、他の自治体に先駆けて対策を講じてきた区といたしましても強い危機意識を持っております。
 今後、十月上旬にかけて、流行のピークが訪れると見込まれています。この秋冬の第一波の流行での都内の患者は、二百四十万人から三百六十万人、入院患者も三万六千人から九万人に昇ると予測されており、このまま推移した場合、医療に支障を来たしかねない状況も考えられるところでございます。
 ご質問の医療機関の状況把握と支援でございますが、国の指示に基づき、入院患者の増加への対応や重篤化しやすい妊婦や基礎疾患のある方への適切な医療提供体制の確保のため、現在、区内の病院を対象に新型インフルエンザに対応できるベッド数や人工呼吸器の数等に関する調査を行っておりますので、この結果をふまえ、区民に情報提供してまいります。また、医療機関への支援につきましては、発熱外来用の陰圧テントの貸し出しやマスクの提供など、必要な対応を図っております。
 最後に区民への周知でございますが、区では、四月以降、様々な機会を捉え、区民への情報提供に努めておりますが、区民一人ひとりの感染予防対策がこれまでにも増して求められることから、今後の更なる啓発に努めてまいります。ご理解のほどお願い申し上げます。