【横山幸次区議】
- 震災復興に逆行し、区民の暮らしに打撃を与える消費税大増税、社会保障解体につながる社会保障制度改革推進法について
- 原発ゼロの立場を自治体の首長として区長に求める。
- 人間らしく暮らせる地域社会について
- 介護保険で必要なサービスが利用できないのではないか
- 区としてサービス上乗せや低所得者層への経済的支援の検討をすべき
- 憲法二十五条の生存権を守る生活保護制度の運用を求める
- 保育園の待機児対策について
- 南千住、日暮里をはじめ、待機児童ゼロに向けた対策は
- いじめ問題の隠ぺいを生まない学校、教師、地域が一体に取り組める環境をつくること
- 住民の命と健康及び財産を守る目標を明確にした地域防災計画を
- 荒川区のものづくり支援について
- 新製品開発支援とつなぎ融資創設、創業支援融資の改善や損失補てん融資を
- MACCコーディネーターの常勤化や増員など体制強化を
- 専用相談室の整備を
《質問》
私は、日本共産党荒川区議会議員団を代表して質問します。
通常国会では、民自公三党密室談合によって、二〇一四年八パーセント、二〇一五年一〇パーセントに引き上げる消費税大増税が、社会保障と財政再建のためとして強行されました。しかし、成立した後も、反対の世論は引き続き大きくなっています。
八月の地方公聴会では、今回の増税に各地の経済界から、恐ろしい状況になる、価格据え置きの強要、個人商店が残れないなど、景気悪化への懸念が、また批判が相次ぎました。また、被災地からは、復興と生活再建の足を引っ張るなど怒りの声が上がっています。
また、この合意による消費税増税には、公共事業に税金をつぎ込む打ち出の小づちとも言えるような仕掛けがつくられ、自民党二百兆円、民主党百六十兆円、公明党百兆円など、金額先にありきの公共事業投資が次々と打ち出されました。
一方、被災者の医療・介護減免特別措置は九月で取りやめ、余りにも冷たい仕打ちではないでしょうか。やることが逆立ちをしています。
今回の消費税増税は、二年後の二〇一四年に景気動向を見て判断するとしており、国民の増税反対の声がその間の各種選挙を通じてさらに広がれば、増税中止に追い込むことも可能であります。区民の暮らしと区内産業を守るためにも、荒川区から増税中止を求める声を上げるときだと思います。
加えて、社会保障を自己責任と民間保険型の受益と負担の均衡に置きかえ、「国民皆保険の堅持」という言葉も消えた「社会保障解体宣言」とも言える社会保障制度改革推進法が強行されました。具体化はこれからですが、自治体としての対応も厳しく問われます。
震災復興に逆行し、区民の暮らしに打撃を与える消費税大増税、社会保障解体につながる社会保障制度改革推進法についての認識を伺います。
きょうで東日本大震災・原発事故から一年六カ月となりました。原発事故による約十六万人をはじめ、東北三県全体で約三十四万人以上の方々がいまだに避難生活を強いられています。
これから東北地方は短い秋を迎えた後、厳しい冬を迎えます。復旧・復興も進まず、被災者の生活再建の道筋、展望がまだ見えていません。原発事故の避難者は、除染も進まず、多くの方がふるさとに帰る展望すら見えないのです。復旧・復興こそ、政治がその力を傾注するときです。
原発事故は、他の災害とは違う全くの異質の惨状をつくり出しました。この現実を忘れるわけにはいきません。大地震、津波と福島原発事故によって、放射能汚染にさらされた自治体は今、どうなっているでしょうか。
南相馬市では、大地震と津波によって市の面積の一〇パーセントが消失、七月末現在の数字ですが、これまでの死者、九百四十七人と言います。しかし、内訳は、原発事故による屋内退避と避難指示で捜索が中断、瓦れきの下で捜索もままならず、餓死した方も含めての六百三十六人であります。残りの方は、助かった命が緊急避難、長距離移送、長期避難などが原因で亡くなられた、いわゆる関連死された方、市が認定された方々であり、今後もふえることが予想されています。
一度は助かった命が原発事故で犠牲になったのです。今も二十キロ圏内は、戻っての生活は禁止です。震災前約七万人を超えていた人口は、現在市内居住者約四万五千人、うち一万人は市内の仮設住宅や民間借り上げ住宅での生活であります。二万人近くが住民票を残しての市外・県外避難です。
一方、復旧・復興は大幅におくれています。除染を一刻も早く行うべきでありますが、最終処分地が決まらないため、仮置き場さえ決まっていません。津波被災者の集団移転や災害公営住宅は、具体化はされたものの、予測した戸数ほど希望者はなく、原発事故も収束せず、廃炉も遠い先になるため、この地に住宅を求めてよいのかと悩みに悩んでいると言われています。
また、二十キロ圏外でも、医療、教育、交通の課題が山積しています。一自治体の例でありますが、原発事故は住民に何世代も超えて、長期にわたる苦しみを与え続け、津波被害の復旧をも阻害しています。
五十基という原発の存在は、地震国日本のどこで同様の原発事故が起こっても不思議でない状況をつくり出しています。原発が住民の命を守る地方自治体の責務と全く相いれない存在であることは、明らかではないでしょうか。
浪江町の馬場町長は、「浪江町民二万一千人が流浪生活を強いられています。なりわいは崩壊し、地域や家族は離散しています。憲法で保障された幸福追求権、生存権、財産権は私たちにはないのでしょうか」と痛恨の思いで原発の放棄を訴えております。
また、東海村の村長は、「経済的利益と命あるいは生活というものを等価交換してはいけない」として、原子炉の廃炉、脱原発を明確に打ち出しました。執行機関、議会を問わず、住民の命と暮らしを守る自治体に身を置き、その責務に真摯に向き合えば、原発の存在は容認できません。
原発ゼロの立場に立つことができなければ、住民の命、暮らしを守る自治体の首長として、その資格そのものが問われると私は考えます。西川区長の認識を伺います。
二〇一一年度決算がこの議会で示されました。この決算年度の予算は、三・一一以前に編成しましたが、大地震と原発事故を受け、いや応なく予算執行については、その優先順位の見直しが求められました。決算の特徴は、約二十三億円の決算剰余金、経常収支比率、公債費比率、基金残高、起債残高など、いずれを見ても、防災まちづくりや区民の暮らし応援に重点的に予算を配分することも可能な状況であります。
三・一一以降、家具転倒防止などの補正予算は組まれたものの、大地震や原発事故に伴う予算執行の抜本的な見直しはなく、従来どおりでありました。放射能測定実施や測定器の購入、耐震化、家具転倒防止、太陽光発電補助など抜本拡充、複合施設の先送りも視野に入れた見直しなど、決断が求められたと申し上げたいと思います。
次に、だれもが人間らしく暮らせる、また生きていけることのできる地域社会をつくる問題であります。
まず、介護保険について伺います。
「介護の社会化」として始まった介護保険も既に十二年が経過いたしました。介護保険制度の欠陥である「保険があっても介護がない」、この状況を抜本的に改善するべきでありますが、政府は、介護サービスの削減と給付の抑制、保険料・利用料の引き上げを繰り返してまいりました。給付が伸びれば、保険料が値上げされる、この悪循環を立ち切るためにも、政府に介護給付費の国庫負担金を引き上げること、介護職員処遇改善交付金は介護報酬とは別枠で交付することが必要だと思います。
さて、区内では最近一定規模の敷地面積があれば、介護施設か三階建ての建売住宅が次々に生まれています。認知症のグループホームもふえます。しかし、月々の費用は居住費、食費、一割の介護保険料などを含めると、月十五万円から二十万円近くかかります。特養ホームも個室がよいと思うのでありますが、非課税者でも十万円、課税者は十三万円から十五万円です。四月から入所が始まった特養ホームは、個室ユニット型は定員八十人のところ、申し込みは百数十名ですが、利用料が安い多床室は定員二十名に対して三百五十名、倍率十八倍、こういったことになっています。ホテルコストの導入による利用料の引き上げが原因ではないでしょうか。
在宅の方はどうでしょう。病院からの退院がふえています。訪問介護を週に何回か入れないと、在宅での介護、生活が困難な方もふえています。しかし、荒川区では、高い利用料の支払いが難しく、必要なサービスが受けられない低所得層が多いと現場の方々もおっしゃっています。また、この四月からの生活援護の時間短縮で、事業所によっては調理の時間がとれず、弁当購入や配食サービスに変更で利用者負担がふえたり、一時間半・九十分のサービス供給を四十五分の二回に分けて行うなど、移動時間も保障されないヘルパーも大変ですが、利用者もゆっくり支援が受けられず、大変になっています。
こうした中で、介護保険の利用料の引き上げ、生活援助の時間短縮など、高い保険料を払っても必要なサービスは受けられない。この十二年間、介護保険の改悪が続いているという認識を区長はお持ちでしょうか、お伺いいたします。
先日、介護保険課の主催で和光市の東内さんの講演が行われましたが、荒川区の実態に即して、自治体としてどのような独自サービスを行うかが問われたのではないでしょうか。
和光市では、低所得者のサービスの利用を保障するために、所得階層に応じて全額から三〇パーセントの四段階に分けた利用料助成事業や、グループホームやケアハウスなどの家賃助成を行っております。介護保険だけでは高齢者を支え切れないこの実態を私たちは身近に見ています。
日本共産党区議団は、重介護手当や介護保険料減免などを提案してまいりましたが、残念ながら横出しや上乗せの検討は一向に行われてまいりませんでした。そこで改めて、介護保険の中で必要なサービスが受けられない部分に区として上乗せや低所得者層への経済的支援の検討をすべきと考えますが、認識を伺います。
今、所得の減少、失業の増加、一層の非正規雇用の拡大など、あらゆる階層で貧困と格差は拡大し続けています。ことしに入って相次いだ孤独死、孤立死など、最後のセーフティーネットである生活保護をはじめ、社会保障制度が機能しないために起こる悲劇も後を絶ちません。また、孤立死や孤独死の問題は、決して高齢者だけの問題ではありません。
こうした中、一部の政治家やマスコミによる生活保護バッシングによって、扶養の義務づけ強化を実施する動きが強まっています。
不正受給を口実にして繰り返された受給抑制は、かつての荒川区でも起こりました。自殺の問題、闇の北九州方式による餓死事件、最近では札幌市白石区の姉妹餓死事件など、繰り返し悲惨な状況をつくり出してきました。こうした事例を忘れてならない、そんなふうに思います。
今、国民年金だけが収入の高齢者をはじめ、貧困が拡大しています。このもとで、最後のセーフティーネットである生活保護の扶養を強化するなど、受給抑制を進めることは、保護が必要な人を遠ざけることになってしまいます。また、前近代的な扶養義務強化は、共倒れの危険をも引き起こすことにつながります。改めて、憲法二十五条の生存権、生活保護法の趣旨に基づく生活保護制度の運用、とりわけ申請権を保障することを強く求めたいと思います。
次に、待機児童の問題であります。
ことし四月、認可保育園の不承諾四百十八名、昨年比で四十一名増加であります。第二次審査でも不承諾約三百八十名のうち、フルタイムで働いている指数二十以上は約百名に上りました。指数二十以上でも入れないということは、区としても責任が果たせていないことを示しているのではないでしょうか。
働きたくても働けない、安心できる保育環境が十分確保されないなど、子育て世代の暮らしと子どもの成長にとって、状況は大変厳しくなっていると思います。来年はどうなるのか、子育て世代から不安の声も広がっています。
西日暮里六丁目で営利企業が計画した認可園も、建物所有者の都合で立ち消えになってしまいました。区が責任を持つのではなく、企業任せでよいのか、問われた事態であります。
日暮里地域では、マンション建設による小学校への転入もふえ、保育需要が当然増加することも目に見えています。保育を確保することは、区の最低限の責務であると思います。
あと半年しかありませんが、来年四月、南千住、日暮里をはじめ、待機児童ゼロに向けた対策を現時点でどうお考えなのか、認識を伺います。
大津市立中学校の男子生徒のいじめによる自殺問題、大きな社会問題となっています。いじめを把握していない、自殺とは因果関係は不明、そして隠ぺい的な対応、なぜこうしたことが横行しているのでしょうか。
荒川区では、先日、文教・子育て支援委員会で、ことし夏のいじめ調査で、小学校二十七件、中学校十二件との報告がありました。重要なことは、特色ある学校などで選ばれる学校づくりや教師の評価方法、さらに学力テストによる目標達成などが至上命令になっていないのかということであります。教師の多忙化によって、気になる子どもに時間をかけられるのか。原因にメスを入れることが大事です。いじめや問題に地域と一体で解決するために立ち向かうのではなく、「選ばれる学校」にすることが最優先では、本末転倒です。この間も風評によって申し込みが激減した学校では、その対応に追われることが問題となってきました。予断抜きの検証と対策が必要です。
いじめを含めた数値目標化や学校選択、また、教員評価など、学校、教師や子どもを競争に駆り立てる手法を見直し、いじめ問題の隠ぺいを生まない学校、教師、地域が一体に取り組める環境をつくることを求めます。
次に、防災対策、まちづくりについて伺います。
現在、地域防災計画の修正作業が行われていますが、原子力事故等への対応は修正の対象になっておりません。区は、国の被害想定が出ていないので修正に含めることができないと言っています。しかし、国の想定を待つまでもなく、原子力発電所事故対策計画を新たに加え、放射線量等の測定体制整備や除染基準及び除染マニュアルの整備などを定める自治体もあります。
今、東海地震の想定震源域にある浜岡原発を廃止するために力を尽くすことを明確に打ち出すことや、浜岡原発での原子力緊急事態の発生を想定して、その影響から区民の命、財産を守るための計画または指針を策定することが必要です。また、放射能の測定、区民への周知、必要な除染、避難者の受け入れなど、新たにつけ加えるべきだと思います。
原発事故で広範囲に放射線核種が飛散し、海洋汚染も広がった実態も踏まえ、原子力災害について、原発事故に対応した内容に修正を行うことを求めたいと思います。
南海トラフによる大地震と津波による死者三十二万人というショッキングな被害想定が出されました。同時に、この報告では、建物の耐震化と家具の転倒防止の実施などで、建物倒壊による死者を八万二千人から一万五千人、初期消火などの徹底で火災による犠牲者を一万から三百人に大きく減らせるとの報告内容も出されています。
今回の修正は、相変わらず応急対策中心だと私は思います。災害予防の部分はほんのわずかです。既に述べたように、災害は減災対策予防によって大幅に被害を減らすことができます。荒川区でも簡易なものも含め、耐震化、家具転倒防止の徹底で人命と財産の被害を大幅に減らすことができます。それによってこそ、復旧、そして復興、生活再建も迅速に行えます。あわせて、コミュニティの崩壊を阻止して、再生、そして土地利用も含めた乱開発の防止、商店街活性化、医療・介護・福祉のネットワーク、介護施設のより一層の充実なども防災対策として盛り込むべきだと考えています。
以上の観点から、災害を予防する対策を重点的に、住民の命と健康及び財産を守るための減災目標と達成期間を明確にした実効ある計画への修正を求めたいと思います。
この問題の最後に、規制緩和による建て詰まり、新たな三階建て木造密集地域の出現の問題です。
区の市街地整備指導要綱では、六棟または六戸以上の戸建て、面積三百五十平米以上の宅地開発などの場合、宅地区画面積を六十平米以上にすることを定め、事業者に求めています。ところが、最近、この指導要綱を無視して、それ以下の区画面積で建設されている開発現場を目にします。しかも、建物の間も基準ギリギリの五十センチ、本当にその間隔なのかと疑問の場所もあります。自宅の建て替えと比べると、一目瞭然です。しかも、区の担当者の方に確認すると、指導はしたが、最後まで指導に応じなかったようであります。
経済効率優先で、市街地の秩序ある整備、生活環境の向上と公共公益施設との調和という区の考えを無視するなど、このままでは防災などのまちづくりにも大きな影響が出るのではないでしょうか。そのため、現在の市街地整備要綱について、実効性の上がる内容を加えて条例化を急ぐとともに、現在進行中の開発行為について、防災、安全、景観などへの配慮を強く求めるべきだと思います。
最後に、ものづくりへの支援です。
荒川区のものづくりの現状はどうなっているでしょうか。統計数字と私たちが町で直感的に感じる限り、区内のものづくり企業は近年減少の一途であります。二〇〇四年から二〇〇九年の五年間で区内工業・工場は三千三百五十一から二千四百六十三、約一千件の減少。その時点から既に三年を経過した現状はどうなっているでしょうか。
ものづくりについて、参考になる興味深い研究を拝見いたしました。元航空高専教員で現在千葉商科大学の鈴木孝男教授は、一九八七年から始まった東京都信用金庫協会の会員企業表彰制度の表彰企業約二千社を調査し、企業内容を分析しています。その分析結果をまとめた論文では、「表彰企業のうち、城東地域の製造業、特に機械・金属関係の表彰後のパフォーマンスがすぐれている」としています。中でも荒川区、葛飾区の表彰企業の比率が高く、実績が良好であるとの指摘をされています。その理由として、城東地域という古い産業集積地域における中小企業は、かつての職人が持っていた自主裁量権が創造性の発揮、あるいはイノベーション、つまり新しい品質、生産方法などの創出という形で現代的に進化しているとも評価をしています。
鈴木孝男教授は、調査した約二千社企業中二二・四パーセントが、その後イノベーションを発生させ、荒川区、葛飾区が上位を占めていると分析しています。
区内のものづくり産業の集積をどう生かし、発展させるか、正念場だと感じています。個々の事業主の皆さんの努力が前提ではありますが、中小零細が中心の区内ものづくり企業では、おのずと限界があるのです。すぐれた技術やパフォーマンスなどを引き出す行政の支援体制が大きなかぎを握るのではないでしょうか。
経営者の方からもお聞きしますと、さまざまな申請手続への支援、補助金を使いやすくしてほしい、新製品の販路拡大はどうすればいいのか、もっと今の体制で支援ができるのだろうか、新製品をつくっても売る先が見つけられない、さまざまな御要望が出されています。こうした多様な要望にこたえる支援の強化が求められます。
ものづくり企業支援としてつくられたMACCは、この間、一定の成果も上げてきました。今後の活動が期待されます。直接支援に当たるコーディネーターは現在四名、会員企業九十社に新製品開発支援や制度利用に際してのコーディネートから書類作成まで、活動内容は多岐にわたっているとお聞きいたしました。これからが大事なときです。
しかし、残念ながらコーディネーターは非常勤であり、週四日勤務ですが、相談は時間に関係ありませんし、就業後の会議もあります。あらゆる要請に対応するための一層の体制強化が必要です。
また、創業支援について、一定実行がふえているようでありますが、手続に行ったが、事前審査に余りにも時間がかかり過ぎ、結局、東京都の創業融資で借りることにしたなど、改善を求める声も聞こえてきます。新製品開発や事業活動の新たな展開、共同化、販路拡大、創業しやすいなど、ものづくりの環境づくりのために思い切った対策や改善をすべきことは多くあると感じています。
こうした状況から、以下、三点の実施を求めたいと思います。
第一に、新製品開発の補助金の全額前渡しと完成に至るまでのつなぎ融資創設、創業支援融資についても、事前手続時間の短縮、支援体制強化など改善を求めます。あわせて、区のあっせん後、信用保証協会の保証が受けられない場合であっても、一定の条件のもとで区の損失補てんで融資実行ができる制度の創設を求めたいと思います。
第二に、当面、MACCコーディネーターの常勤化や増員など、ものづくり支援体制を抜本的に強化することを求めます。
最後になりますが、現状では物理的に踏み込んだ相談ができる専用相談室は事実上ありません。産業経済部四階の研修室などの活用も視野に、企業の秘密などが守られ、相談ができる環境整備を強く求めたいと思います。
以上で第一回目の質問を終わります。(拍手)
《答弁》
【区長答弁】
横山幸次議員の御質問の中から、待機児童に関しまして、私からお答えを申し上げます。
都市部におきましては、就労前児童人口の増加や景気の低迷、就労意識の変化等の影響によりまして、保育サービスの利用を希望する保護者が大幅に増加し、保育所待機児童が多数発生しております。
東京都全体では、本年四月における就学前児童人口は六十一万人を超え、認可保育園の入園申込者数が五年前の平成十九年度と比較して三万人以上ふえております。
荒川区でも、就学前児童人口に占める保育サービス利用児童数の割合が四二・九パーセントと、二十三区中で最も高いこともございまして、認可保育園の入園申込者数は年々増加をいたしている状況にございます。
こうした状況を見据え、私は、安心して出産や子育てができる環境の整備と、次代を担う子どもたちが明るくすこやかに育つ社会の構築が喫緊の課題であると考え、子育て支援施策の充実を区政の最重要課題の一つに位置づけ、特に保育施設の整備につきましては、重点的に取り組んでまいりました。
とりわけ、南千住地域におきましては、汐入こども園や南千住保育園の開設、南千住駅前保育所の開設支援、また、本年七月には南千住七丁目保育園を開設することで、認可保育園の定員を大幅にふやすとともに、しおいり保育室の開設や認証保育所の誘致、保育ママの増員によりまして、保育サービス供給量の拡大に努力をしてまいりました。
また、本年四月には日暮里駅前保育園の開設を支援し、日暮里地域における保育需要の増加に対処するとともに、認証保育所の保護者に対して、保育料補助制度を拡大・拡充することで、保護者の負担軽減と待機児童数の減少を図ることといたしました。
こうした取り組みによりまして、平成十六年度以降、これまでに千二百人以上にも及ぶ保育利用定員の増加を実現いたしまして、本年四月における待機児童数は四十六人と、二十三区の中で三番目に少ない区となったところであります。
ちなみに、一番少ないところが千代田区、二番目が北区、三番目が荒川区であります。
今後も、来年四月には、定員二百人規模の夕やけこやけ保育園を日暮里地区に開設するなど、保育需要を適切に把握し、引き続き保育施設の整備に努めることで、待機児童ゼロを実現し、この荒川区がより一層子育てしやすく、お子さんたちが笑顔で過ごせる、そんな町になるように力を尽くしてまいる所存でございます。
これ以外のお尋ねにつきましては、関係理事者から答弁を申し上げます。
【総務企画部長答弁】
社会保障制度改革推進法に係る御質問にお答えします。
社会保障と税の一体改革の検討に当たりましては、本年八月、国会におきまして、社会保障制度改革推進法及び関連法案が可決され、公布されたものでございます。この法律は、安定した財源を確保しつつ、受益と負担の均衡のとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため、子育て支援、年金・医療等、雇用関係、障がい者施策及び税制の多岐にわたる制度改革を定めたものであり、その必要性・重要性については一定の理解をしているところでございます。
区民生活に最も身近な基礎自治体として、今後の社会保障制度の総合的かつ集中的な改革につきましては、国と地方の緊密な連携及び協力が図られるよう、社会保障制度改革推進法で設置される社会保障制度改革国民会議の審議を注視してまいりますとともに、必要なことにつきましては、さまざまな機会を通じまして、国や都に対して意見を強く申し述べてまいりたいと考えております。
なお、東日本大震災に際しましては、区は避難者受け入れや節電、放射能対策などに予算の執行段階でも積極的に対応いたしますとともに、平成二十四年度予算につきましても、震災対策等に思い切った予算配分を行ったところでございます。
【環境清掃部長答弁】
原発ゼロの立場に関する認識への御質問についてお答えいたします。
政府におきましては、原子力発電の方針も含むエネルギー環境戦略の策定に向け、原発ゼロ、一五パーセント、二〇から二五パーセントの三つの選択肢を示し、世論調査などを踏まえ、去る九月四日に開催されたエネルギー環境会議では、原発ゼロとする場合の課題や二〇三〇年度に向けた再エネ・省エネの課題と克服策等が検討され、今週中にも政府のエネルギー環境戦略が取りまとめられる予定とされています。
原発に対する認識については、平成二十三年第二回定例会におきまして、区長から、「原発は過渡的なエネルギー源であるという世論が起こっていることは間違いないと思う。自然由来のエネルギーを主流にしていく時代は、そう遠からず来るだろうと思うし、それに向かって自治体は十分対応可能な努力ができると思っている」との答弁をしております。
区といたしましては、区長の力強いリーダーシップのもと、東日本大震災直後から他の自治体に先駆け、区民の皆様の御協力をいただきながら、節電をはじめとした省エネルギー対策や太陽光発電など、再生可能エネルギーの利用促進に向け、さまざまな工夫をしつつ、積極的に取り組んでいるところでございます。
【福祉部長答弁】
初めに、介護保険制度の改正に関する御質問にお答えいたします。
介護保険制度は、平成十二年度のスタート以来、高齢者の自立の支援と尊厳の保持という基本理念のもと、見直しや改正を重ねながら、介護を社会全体で支える仕組みとして定着してまいりました。区においても、介護保険サービスの基盤整備を行い、その充実を図ってきたところでございます。
このたびの報酬改定は、介護職員の処遇改善の確保、物価の下落傾向、介護事業者の経営状況等を踏まえたものであり、利用者にも一定の負担をいただく必要があるものと考えております。
また、御質問の生活援助の時間区分の変更につきましても、掃除や調理などの生活援助サービスの利用実態等を踏まえたものであり、適切なケアマネジメントを行うことで必要なサービスが受けられなくなることはないものと考えております。
今回の介護報酬の改定を含む制度改正につきましては、高齢者が住みなれた地域で生活し続けることを可能にする地域包括ケアの推進に向け、在宅サービスの充実や医療と介護の連携強化等の課題の解決を図るために行われたものと認識しております。
区といたしましても、同様の見地から、第五期荒川区高齢者プランに基づき、地域包括ケアシステムの構築に向け、取り組んでまいる考えでございます。
次に、区の負担による介護保険サービスと低所得層への支援策についてお答えいたします。
サービス利用者に対しては、高齢者の自立支援と尊厳の確保という介護保険制度の基本理念のもと、適正な要介護認定と適切なケアマネジメントにより、必要なサービスが提供されていると考えております。
また、介護保険サービスと密接不可分の関係にある見守りや配食などの生活支援サービスについては、介護保険制度の地域支援事業や区独自事業による高齢者のニーズや地域の社会資源を踏まえ、整備を進めてきたところでございます。
今後につきましても、単身世帯や認知症高齢者の増加など、高齢者のニーズの変化をとらえ、介護保険サービスとともに、地域支援サービスの充実強化を図ってまいります。
次に、低所得者への介護保険料の負担やサービス利用料負担に対する支援についてお答えいたします。
介護保険料につきましては、低所得者の負担を軽減するため、所得段階に応じてきめ細やかな段階設定をするなど、区独自の介護保険料の軽減を図っているところでございます。
また、サービスの利用料など、利用者の負担につきましても、所得段階に応じて、高額介護サービス費や高額医療、高額介護合算制度により負担を軽減するほか、施設に入所する低所得者についても、食費等の負担限度額制度など区独自の補助事業を実施しております。
区といたしましては、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らしていくことができるように、引き続き適切なサービスの提供に努めてまいります。
最後に、生活保護制度についての御質問にお答えいたします。
生活保護制度は、憲法二十五条の「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という規定に基づき、生活に困窮するすべての国民に対し、必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長する制度でございます。
本年度における生活保護の相談件数は、四月が二百十件、マスコミにおいて生活保護に関する報道が増加した五月は二百四十六件、六月二百十件、七月二百十九件と、依然として高い水準で推移しております。
生活保護の相談があった場合には、国の定めた実施要領に基づき、相談者の状況を把握し、他方、他施策の活用及び生活保護制度等の説明を行い、保護申請の意思を確認し、申請する旨の意思が明らかになったときは、これをすべて受理しているところでございます。
保護申請を受理した後は、申請世帯への家庭訪問、資産調査、病状調査などを実施し、保護の要件を満たしているときには適切に保護の徹底をしております。さらに、高齢や疾病等で来所が困難な方に対しては、地域の民生・児童委員や医療機関からの情報提供などにより、ケースワーカーによる訪問調査を実施し、保護の徹底を行っております。
区といたしましては、今後とも法の規定に基づき、生活保護が最後のセーフティーネットとして機能するよう適切に運用してまいります。
【教育委員会事務局教育部長答弁】
いじめ問題についての御質問にお答えいたします。
教育委員会では、毎年学期ごとに実態調査を行い、いじめが解消していないケースについては、指導主事等を派遣するなどした結果、最新の調査で認知いたしました三十九件のいじめにつきまして、八割が解消し、残りの二割につきましても、鎮静化した上での経過観察中となってございます。
学校と地域及び家庭が一体となり、いじめ問題に取り組む環境をつくることは、いじめの未然防止や早期発見、早期対応といった観点から極めて重要でございます。このため、各学校では、地域や家庭と一体となった学校経営を進めるために、学校公開週間、地域や家庭への学校評価アンケート、学校評議員による学校関係者評価を行うほか、学校だよりによる情報提供やおやじの会などPTA活動の充実を進めております。
教育委員会といたしましては、今後も学校と地域及び家庭の関係を深めながら、いじめ問題などの解決に取り組んでまいります。
なお、学校選択制については、学校に活力を与えるものとして、また、教員評価システムにつきましては、教員の資質向上を図る制度として、ともに適切に機能しているものと認識してございます。
【区民生活部長答弁】
防災対策、まちづくりについての御質問のうち、まず初めに、原子力災害についての御質問にお答えいたします。
現行の荒川区地域防災計画では、原子力事故等への対応につきまして、放射性物質の運搬中に事故が発生した場合における応急対策を定めております。
地域防災計画は、災害発生による具体的な被害を想定した上で、必要な対策を定めることを基本としており、原子力発電所の事故に伴う被害想定につきましては、原子力技術に関する高度な専門的知見が必要であり、被害規模も広域的なものとなることから、本来的に国が行うべきものであり、区といたしましては、国が示す被害想定やこれを受け、東京都が定める基本方針を踏まえて対応する必要があると考えてございます。
先月、国は、南海トラフ巨大地震の被害想定を公表いたしましたが、今後、この想定に基づき、津波浸水地域にある原子力発電所の被害についても示されることが見込まれます。
原子力発電所の安全性につきましては、国の責任において確保されるべきものであることから、区といたしましては、引き続き国の動向を注視しつつ、適切に対処してまいります。
続きまして、減災についての御質問にお答えいたします。
現行の荒川区地域防災計画におきましても、具体的な減災目標を掲げるとともに、目標達成に向け、建物の耐震化や不燃化の促進、家具類の転倒落下防止の推進など、災害予防を中心に総合的な対策を定めているところでございます。
区では、現在、地域防災計画の見直し作業を進めておりますが、その中におきましても、計画の実効性を高めるため、それぞれの対策ごとに目標の達成に向けた取り組みの期間を明示する予定でございます。さらに、区では、町会・自治会を中心とした地域コミュニティによる地域防災力向上の取り組みとして、防災隣組事業を展開するとともに、木造住宅密集地域の整備を促進するため、東京都から不燃化特区先行実施地区の指定を受けるなど、ソフト、ハード両面から東京都全体をリードする形で震災予防対策を積極的に推進しているところでございます。
区といたしましては、新たな地域防災計画におきまして、減災に向け、こうした先進的な取り組みを盛り込むとともに、震災時には一人の犠牲者も出さないという固い決意のもと、今後とも防災対策に全力で取り組んでまいります。
【防災都市づくり部長答弁】
市街地整備指導要綱に関する御質問にお答えいたします。
荒川区におきましては、秩序あるまちづくりを推進するために、用途地域や容積率、建ぺい率をはじめとした都市計画による規制を行うとともに、特定の課題に対応するため、集合住宅条例や景観条例などを制定してまいりました。
市街地整備指導要綱は、昭和五十二年の制定以来、これまでその時代の要請に応じる形で数々の改正を行ってきたところでございます。最近では、宅地開発に伴い新たな道路をつくる際に必要な手続から逃れようとする、いわゆる開発逃れを防ぐための改正を行ってまいりました。
今後も、社会状況の変化に応じて指導要綱を適宜見直すとともに、開発事業者への指導を適切に行ってまいります。
【産業経済部長答弁】
ものづくりへの支援についての御質問のうち、まず、新製品・新技術開発補助の資金繰りについてお答えいたします。
区では、荒川区経営革新等支援事業におきまして、新製品・新技術の開発を通じて、経営革新に取り組む事業を支援するため、補助率二分の一、限度額を二百万円として補助を実施しております。補助金の交付は、事業実施終了後に提出していただく実績報告書及び経費を支払った領収書の確認をもって補助金額を確定し、補助金を交付しているところでございます。
また、補助金交付までの期間の資金繰りにつきましては、荒川区中小企業融資制度において、新製品・新技術開発費用を対象として、「新分野進出等支援融資」のメニューを用意しておりますので、今後も本融資の活用促進に向け、積極的なPRをしてまいります。
次に、創業支援融資の事前手続の時間短縮や支援体制の強化についてお答えいたします。
融資あっせん後、開業計画書の内容に不備等がある場合には融資を受けられなくなることも考えられることから、区では、開業計画の作成支援に重点を置いております。このため、一定程度の時間を要しております。また、支援体制の強化につきましては、必要に応じて金融機関のOBを増員するなど、創業時の相談にきめ細やかに対応しております。
次に、信用保証協会の保証が受けられない場合の損失補てんや融資支援についてお答えいたします。
区では、各企業の責任において発生した損失を補てんする制度については、適正な企業状況の審査や資金回収に係るコストなど、現状では課題があることから、実施は困難であると考えております。
次に、ものづくり体制の強化についてお答えいたします。
MACCコーディネーターは、意欲あるものづくり企業に対して、経営課題の解決、アイデアの創出、事業収益性の分析、技術課題の解決、デザイン・知的財産権の戦略、試作品の製品化、販路開拓などの支援を行い、経営面から技術面までの課題に対して、ワンストップできめ細やかな対応をしているところでございます。
また、MACCコーディネーターは、平成十九年に一名配置して以来、必要に応じて順次増員を行い、現在四名の体制によりきめ細かく企業支援に当たっております。
MACCコーディネーターの体制の強化につきましては、外部の専門家や金融機関をはじめとする関係機関の人材等の活用を含め、総合的な検討を行ってまいります。
最後に、企業秘密にかかわる相談に応じる際の相談環境の整備についてお答えいたします。
現在、企業の相談に応じる環境としましては、仕切りのある窓口や融資専用の相談室を設けております。また、必要に応じて会議室及び研修室を活用するなど、企業秘密に関する事項にも対応できるよう、環境を整えているところでございます。
今後も区内中小企業のきめ細かい相談に応じるために、適切な環境で相談に応じてまいります。
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