【相馬堅一区議】
- 新年度予算編成について
- デフレ経済と大震災・原発事故後の予算編成として位置づけが適切か問う
- 何らかの区民生活支援の経済的助成が必要ではないか
- 災害の備えと原発依存から脱却する自治体の取り組みについて
- 災害の備えと原発依存から脱却する取り組みが不十分ではないか
- そのための財源確保としてオリンピック基金などに四千億円の活用、荒川区も土地購入を最小限にとどめること
- 自然エネルギーの街、荒川を目指すことについて、また、放射能空気線量も含め定期的測定を実施すべき
- 子育て支援について
- 認可園を中心に増設し、緊急対策を求める
- 認可園と認証園との保育料差額を助成する制度の改善を求める
- 区立幼稚園増設や認可幼稚園の誘致の検討について
- 路上喫煙防止対策について
《質問》
私は日本共産党区議団を代表いたしまして、質問をいたします。
第一に、新年度予算編成の基本姿勢にかかわってお伺いいたします。
今回の予算編成は、デフレ経済のもとで東日本大震災と原発事故を経験した後の初の予算編成であり、その位置づけが適切なものになっているのか、まず伺いたいと思います。
共産党区議団が実施しています予算編成時期の区民アンケートも、ことしで二十回目になりました。ことしの特徴を紹介いたしますと、暮らし向きについて「変わらない」という方が三九パーセントいらっしゃいますが、「苦しくなった」が五三パーセント、「よくなった」という方が少しですが二パーセントいらっしゃいます。
苦しくなった方の原因は「給料・売り上げの減少」が二五パーセントで一番多く、「税・保険料の負担」も二五パーセントと肩を並べています。「医療・介護の負担」も一五パーセント、一番深刻な「失業・倒産」に遭った方も一〇パーセントいらっしゃいました。「子育て費用の負担」八パーセントとなっています。
国民平均所得は、消費税五パーセント増税前の九十年代中盤と比べますと、十五年間に百十万円も減少しております。可処分所得の低下で自営業者の売り上げも減退し、デフレ経済のもとで、税と保険料の連続値上げの影響、痛みが区民の声として示されております。
新年度の区民負担増を見ますと、子育て世代は年少扶養控除の廃止・縮小で約一万四千世帯で四億円の負担増、子ども手当も崩壊であります。高齢者、自営業者は、国保料の引き上げで五千五百万円、後期高齢者の医療値上げで七十五歳以上、約二万人は一億七千万円の負担増であります。六十五歳以上の四万六千人も介護保険料六億円の負担増になります。現役世代も協会けんぽも年金保険料も引き上げですから、世代を超えた税と保険料の負担増であります。
さらに、税と社会保障の一体改革として、年金の引き下げが連続的に待ち受けております。地震の復興財源は、所得税七・五兆円と住民税増税〇・六兆円が中心で、その一方で、法人税をまず五パーセント下げた上で、三年間でもとに戻すということをしようとしております。実際、所得税・住民税増収を主に大企業の減税に回す結果になりかねません。さらに、食費も生活費も一律に消費税を二段階で一〇パーセント増税計画であります。この改革の前提に、国家公務員の給与を七パーセント引き下げようとしており、最終消費者の勤労者の収入を官民挙げて引き下げスパイラルに乗せるものであります。一千万人を超える年収二百万層の不安定雇用やワーキングプアも企業と株主利益を優先して放置しております。
国民の中には、次世代への負担増を回避するために、今、我慢をしよう、消費税増税もやむなしと考える方もいますが、それでも新聞社調査で、消費税増税反対が六割台に上り、賛成は三割台に後退しております。それは、現状の暮らしの実態が限界に近いからだと思います。
今、民主党政権が進める庶民課税の強化は、もともと自公政権時代を引き継ぐものでありますが、この道は国民が求めた変化、自公政治からの転換を真っ向から否定するもので、結局到底国民の理解を得られるものではありません。八ッ場ダムの建設再開や大型道路計画、一兆六千億円を超えるF35戦闘機の大量購入などは、「コンクリートから人間」「生活第一」を掲げた公約も吹き飛んでおります。四年間は消費税を上げないとした公約も同様であります。
民主党のマニフェスト崩壊についての設問に、やむを得ないが一七パーセント、当然の結果というのが一八パーセントといった答えもありますが、四八パーセント、大半が国民の信頼を損なったとして怒りを表明しています。そして「これからの展望は」という設問に対して、「明るい」は四パーセント、「どちらとも言えない」が二八パーセント、「不安」が六八パーセントと放射能問題も含め、圧倒的多数が今後の混迷と不安を感じております。
公共事業の無駄を削り、不要不急の事業を見直し財源を確保すること、二百兆円を超える大企業の内部留保を吐き出し、消費者である勤労者の可処分所得をふやすために正規雇用と賃金を引き上げること、同時に、力のある大企業に応分の税金を納めてもらい、富の再配分機能を果たす当たり前の税制に戻して、デフレを脱却し、国民生活と自然エネルギー拡充など新しい社会のあり方に予算を投入すべきであります。消費税増税を求める大企業の労働者を使い捨てにする自由、市場原理主義から切りかえが求められています。
そこで自治体としても、今、デフレ下、給与所得、売り上げ減少、年金削減の中で、年少扶養控除廃止・縮小をはじめ、所得税増税、住民税増税、国保料、後期高齢者医療、介護保険料の値上げ、消費税増税、これらは回避する努力をすべきと考えるものですが、区長の見解をお伺いしたいと思います。
また、何らかの生活支援の経済的助成が必要だと思います。我が党は、今予算審議に当たりまして、七十五歳以上の負担軽減策として、生きがい奨励金五千円、低年金者、無年金者の介護保険料対策としての手当月額二千六百円から四千三百円支給、年少扶養控除廃止・縮小の影響緩和として、高校生まで医療費を無料化したいと提案いたします。積極的な見解を求めたいと思います。
《答弁》
【区長答弁】
相馬堅一議員の御質問にお答えしたいと思いますが、冒頭から極めて否定的な御質問で、お答えする元気も大分なえてまいりましたけれども、二つぐらいしか賛成していただけないのでありますが、相馬議員の御議論を伺っていると、ちょっと違うんじゃないかと、御提案のあった給付の問題は、乗数効果は全くないですよ。それから、かつて財政に余剰があったときには、あなたたちはもっと使えとおっしゃったじゃないですか。今度はその財政が大変だから、大型建設になるようなものは控えろとか、そういうような御議論は経済学の原理に反すると私は思いますけれども、乗数効果というのは、どこで使おうと公共投資をすることによって、それが経済に成果を上げてくる。だから、地方公共団体が小さくても公共投資をやるということが、総和の上で国の経済を支える。だから国も財政支援をする。こういう原理を全く無視されて、何をやっちゃいけない、かにをやっちゃいけない、ただ、いろいろな生活支援をやれ、こういう御指摘でございますけれども、私は限られた時間の中でございますから、今、言われた中で、特にこの社会保障については、やはり抜本的な改革が必要で、私の持論でありますが、消費税を福祉目的税にきっぱり決めて、そしていやしくも二段階で上げて、上がってくる消費税が国家財政の赤字の穴埋めに使われるという、そういうことはさすがに国民は許さないと。社会福祉の目的税にきっぱり使ってみて、実際にそれによって介護保険料が下がったり、また今回のような後期高齢者医療費の補助が、国や東京都から大きく出たために、そんなに値上げしないで済む。こういう事態もあるわけでございますから、私はそういう観点から御議論をお願いしたいし、今ここで先生がおっしゃったことは、国の共産党の皆様にも、東京都の方々にもぜひ強く伝えていただいて、そういう方向で御活躍いただきたい。今ここで、いろいろなことをおっしゃられましたが、私どもとしては、ただいま先生の仰せになったことを一〇〇パーセント実施するという気は全くありませんし、できないと私は思っております。
後のことについては、関係理事者から御答弁を申し上げます。
《質問》
第二に、一月十七日阪神・淡路大震災から十七年目、また、三月十一日東日本大震災から早くも一年がたとうといたしております。二つの地震の間には、中越地震や洪水をはじめ、全国で繰り返され、自然災害の死者は数万人に上っております。南海、東南海、関東直下型地震の連続的な発生予測も今世紀中に集中しております。また、東大地震研究所がマグニチュード七以上が四年間に七〇パーセントの発生確率、中央防災会議でも三十年以内であります。その上に放射能汚染への対応が加わってまいります。
しかし、新年度の予算を見ますと、その深刻さに比して災害の備えと原発依存から脱却する地方自治体の取り組みが不十分ではないかと感じました。基本的な認識をお伺いいたします。
区民アンケート調査では、直下型地震に「備えている」と答えた人は五パーセント、「ある程度備えている」という方が五二パーセントで、「備えていない」という人が四三パーセントとなっております。
現に多くの人命を失い、ここまで地震の危険が切迫している中で、四割以上の方が備えていないということは、どう理解をすればいいのでしょうか。老朽・木造住宅にお住まいの方で家屋の倒壊のおそれを感じながらも、高齢のために、あるいは経済的に耐震補強を自力では行えない、区の補助があっても負担が大きいとあきらめている方も多いのではないかと思います。
また、高層住宅でも、家具転倒防止の必要性を感じながらも未対応のお宅もあるでしょう。発災後の水、簡易トイレ、食料の備蓄、あるいは上下の移動手段などなど、個人で、あるいは集合住宅ごとに備えをすれば、かなりの対応ができるものもあるでしょうが、その手法がわからない、そういう方もいると思います。
備えていないという方の思いの中には、いろいろな考え方もあるかもしれませんが、何をどう備えていいのか、そして、それをどう実行すればよいのか、考えあぐねている方が多いと思います。これを自己責任の世界として放置するのではなくて、区として、可能な支援策、備えの充実を図るべきだと思います。地震は天災でも、実情がわかっていて手だてが打たれなければ、被害は人災であります。
そこで、家庭、マンション、職場で必要な「地震の備え」のガイドラインを具体化して、木密地域や高層住宅向けなど、実態に即した内容で啓発パンフレットを作成すること、あわせて「防災への備え」の支援策を具体化することを求めます。
次に、これらの施策を実行するための財源確保についてであります。
新年度予算は過去最高の昨年を下回るものの八百七十七億円と、ここ十年間でも大型の予算であります。歳入では、財政調整交付金は対前年比二十三億円の減を見込んでいますが、一方、年少扶養控除の廃止・縮小による四億円の区民税収入増、あるいは基金取り崩し六十六億円を見込んで、尾久八幡中の建て替え二十六億円、特養ホーム七・六億円、地域密着施設とグループホーム二つで九億円、軽費老人ホーム二・二億円、花の木ハイム冷暖房改修、石浜・夕やけこやけふれあい館などなど建設が続きます。必要な施設であっても、今後事業の優先順位を明確にして財政執行に当たることが必要であります。
被災地の痛みを教訓として、地震、洪水、津波など、天災から命と財産を守るハード、ソフト両面を取り組みを最優先すべきときであります。
新年度は、区への事務事業移管が実施されます。これに伴う経費を都区協議において財調算定に反映させるべきだったと思います。小中学校建て替えや乳幼児医療費負担など、従来から区側の需要算定に入れるように要求していたはずで、今回の都区協議において、それらも含めて調整率を区側に上乗せするように求めるべきだったと思うのであります。しかし、報道によると、これらの要求を引き下げたと言われています。一方、東京都はオリンピック基金などに四千億円をはじめ一兆円を超える基金を積み立てて、外環道建設や大規模施設などに予算を支出しようといたしております。
本来、都区財政調整の財源、固定資産税と法人住民税などは、区側の固有税であります。都区間の協議に当たって区民生活と今、地震に備える財源確保に力を注ぐことを改めて求めるものであります。見解を伺います。
あわせて荒川区は、ここ数年で百億円近い土地を購入してきました。これ以上は、土地購入を必要最小限にとどめるべきであります。また、大規模施設建設、三河島北、西日暮里駅前再開発など、国・都の補助金が出るからよしというのではなく、国・地方を挙げて、公共事業の優先順位を考え、凍結すべきものは凍結すべきであります。特に荒川二丁目の複合施設は、新年度一億円の設計予算がついていますが、建設時期を再検討すること、図書館建て替え中心に規模を縮小すべきであります。これで五十億円規模の建設費を二十億円から三十億円支出を抑制し、区民生活に回すことが可能ですし、国・自治体を挙げて、税金の使い方の優先順位を転換すべきときではないでしょうか。見解をお伺いいたします。
次に、自然エネルギーの街、荒川を目指すことについて、質問をいたします。
区民アンケートでは、荒川区のこの間の取り組みについて、「評価できる」「まあまあ評価できる」という声も多いのですが、やはり「測定が遅い」という記載が多数ありました。また「これからの対策で必要なものは」という問いに、「放射能の除染」が三四パーセント、「自然エネルギーの普及」が三割、「学校給食などの測定」を求めるものも一五パーセントなどとなっております。
福島第一原発二号機の下部温度計は八十度近くを測定しており、冷温停止状態とする政府の見解でも二十度の測定誤差を考えると、百度を超える可能性があり、保安規定に反して注水量をふやし、あげくに温度計が壊れていると言い出しました。再臨界の危惧が持たれる事態であります。そもそも「冷温停止」というのは、事故のない原発を想定しているものであり、事故の「収束宣言」は間違いであります。
また、汚染地域の除染計画と避難基準について線引きを行ったことで、新たな混乱をもたらしています。自然値を上回る放射能をまき散らかした東電と、原発推進と安全神話による人災を招いた国の責任を明確にしなければなりません。いまだに政府は原発に依存し、運転再開しようとしています。原発ゼロに向けて、地方自治体から姿勢を内外に明らかにしていただきたいと思います。
区の新年度予算では、再生可能エネルギー拡充策は、区の施設に太陽光パネルを乗せ、五十キロワット/アワー拡大するもの、民間住宅への助成や思い切った公共施設での予算拡大はないようであります。
また、消費電力を家庭、事業所、まち単位、地域単位、荒川全体で見える化を図り、あわせて自然エネルギーの拡大を図っていくことが近未来の姿であろうと思います。福島にお世話になってきた首都の我々が生活も見直し、新たな社会のあり方に本気で転換したいものだと思います。
そこで、家庭のスマート化も一気に進む可能性もあります。区本庁舎にも太陽光パネルを乗せるようですから、公共施設の消費電力も見える化を一気に進めることができると思います。荒川区内の電力消費量とともに、地域単位で見るとすると、変電所単位の消費電力を明らかにすればスマート化も可能だと思います。東電にも情報を開示させ、対策をとる必要があります。
また、東京ガスを見学させてもらいましたが、南千住三丁目の研究施設で、太陽光パネルを五つのメーカーのものを七百六十六平米、百七キロワット/アワー発電しておりました。そのほか真空方式の熱収集機、あるいはエネファームなどと組み合わせてコジェネを使って実験を行っています。この中で一部の熱源を隣地の特養ホーム、サンハイムに送っていますが、使い切れずに余っているようであります。実験的な範囲ですが、こういった地域貢献、地域のスマート化に結びつく取り組みをもっと本格化、多様化できないかと感じます。さまざまな事業者、家庭での取り組みの機運を自治体が結合し、促進させて荒川区が自然エネルギーと被災地支援のまちとして歩んでいきたいものだと思います。
そこで第一に、荒川区内の消費電力を変電所、地域単位で見える化を図り、家庭への普及とともに区庁舎のスマート化を実施することを求めます。
あわせて、区内消費電力六万六千キロワット/アワーのうち、太陽光パネルや小水力発電など、その他再生可能エネルギー活用の目標を設定していただきたいと思います。あわせて自然エネルギー活用のPPS事業者育成の研究にも着手することを求めます。
放射能測定では、子どもたちの成長を見守る父母の声に率直に答える必要があります。
十四日から始まった区の給食の放射能測定は、四十ベクレルを測定下限値に設定したシンチレーション式で実施いたしました。四十ベクレル以下だと検出せず、不検出としてホームページに載っています。このような測定方法、測定下限値を高く設定して、それ以下の数値を明らかにしないということはすべきではありません。測定精度を確保し、ありのままの測定値を明らかにすべきだと思います。福島原発の実情と他の原子力施設の存在を考えると、一回切りの測定では理解が得られません。空気線量も含め定期的測定を実施することを求めたいと思います。
《答弁》
【区民生活部長答弁】
私からは、災害への備えに関する御質問にお答えいたします。
東日本大震災以降、各地域の防災訓練では、若い方々を含めて多くの区民の皆さんが積極的に訓練に参加されるようになり、本年度実施いたしました第三十六回荒川区政世論調査におきましても、今後、特に力を入れてほしい区の事業についてお聞きしたところ、地震などの防災対策が第一位になるなど、区民の防災に対する関心は、昨年の東日本大震災以降、確実に高まっていると認識いたしております。
区におきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、地域防災計画の抜本的な見直しを行い、地域防災力の強化を含め七十項目にわたる取り組みを盛り込んだ計画の修正方針を取りまとめたところでございます。このうち区民の防災意識の普及啓発につきましては、地域防災力の強化を図る上で基本となる極めて重要な課題として、防災講演会や研修会の実施を掲げております。実施に当たりましては、防災全般といった内容ではなく、高齢者や主婦、サラリーマン、学生など年齢や生活状況等に配慮するほか、木造住宅や高層住宅など居住形態に応じた内容とすることを現在検討してございます。
特に、木造住宅に居住する方々に対しては、これまでも区が鋭意取り組んでまいりました老朽建築物の建て替え補助や、簡易耐震診断、耐震補強工事や耐震建て替え工事への補助などの制度につきましても、わかりやすく説明いたしたいと考えてございます。
さらに、講演会や研修会の受講後も、参加者が自主的に防災対策に取り組むことができるよう、使用する資料やテキストは、基礎的な内容に重点を置くほか、必要に応じて防災グッズなども紹介してまいりたいと存じます。
このほか修正方針では、高層住宅における防災対策の推進として、高層住宅特有の課題に対応した防災マニュアルの作成や非常用備蓄の推進などの取り組みを盛り込んでございます。
区といたしましては、すべての区民の皆様が災害から我が身を守るため、防災対策に自主的かつ積極的に取り組んでいただけますよう、防災意識の徹底に全力で取り組んでまいります。
【総務企画部長答弁】
初めに、都区財政調整制度いわゆる財調にかかわる需要額の算定等についての御質問にお答えいたします。
まず、地域主権改革に伴う権限移譲事務の財調への反映についてでございますが、都区間の協議の結果、権限移譲により、特別区の事務となる項目のうち、現行事務処理特例交付金で算定されている項目につきましては、需要額に算定されることとなっております。
次に、小中学校の建て替えや乳幼児医療費負担につきまして、算定要求を協議の場から引き下げたという事実はございません。なお、小中学校の建て替えにつきましては、かねてより重要な行政需要として問題意識を持っており、かつ二十三区共通の課題として認識しているところでございます。小中学校の建て替え等の投資的経費をはじめ、区として算定すべきと考える需要につきましては、引き続き次年度以降の協議におきまして、都区間の合意が実現するよう力を注いでまいります。
最後に、都の基金の積み立てにつきましては、東京都の財源において行ったものであり、財調の財源を損なうものではありません。区といたしましては、二十三区で協力し、さらなる財源確保に向けて、財調財源の配分につきましても、都に拡充を求めてまいります。
次に、再開発や複合施設等に関する御質問にお答えいたします。
荒川区都市計画マスタープランでは、区内の主要な交通結節点である駅周辺を、都市の顔となる「拠点」として位置づけております。三河島駅北地区や西日暮里周辺地区につきましても、区にとりまして大変重要な日暮里拠点の一つであり、再開発による計画的な土地利用を行うこととしております。再開発事業により、地域の防災性が高まることはもとより、都市型住宅や店舗、オフィスなどの都市機能が集積され、魅力ある市街地空間を形成し、さらなる区の発展を目指してまいります。
公共施設の建設におきましては、区民の真の財産となるよう、区ではこれまでも、複数の目的を持つ施設を併設させる等により、効果的、効率的な整備を行ってまいりました。施設の機能をあわせ持つことによりまして、単独で設置した場合と比較して、建設費や継続的にかかる維持管理費、事業運営費などトータルコストの抑制も可能となってまいります。
荒川二丁目に建設予定の複合施設は、これまで課題となっておりました接道などの条件から、現在地での建て替えが困難で老朽化が進んだ荒川図書館の建て替えに伴う新たな図書館、荒川区出身ですぐれた作家・吉村昭氏の功績を顕彰するとともに、創作の原点を知ることで奥深い文学の世界に触れ、荒川区の魅力を内外に発信する(仮称)吉村昭記念文学館、さらには、子どもたちの夢や生きる力をはぐくみ、地域ぐるみの子育て支援の拠点といった三つの機能を、有機的に結びつけることによりまして、単独設置ではなし得ない、新しい多様な事業展開のスタイルを創出することが可能となります。
整備に当たりましては、これまでも議会はもとより、多くの区民の皆様から求められる機能等について御意見をいただいており、引き続き、十分に御意見等を伺いながら、だれもが利用しやすい、利用したくなるような施設としてまいる所存でございます。
また、本複合施設は、今後、半世紀以上にわたり、多くの区民の皆様に利用していただくことから、整備に当たりましては、施設が十分な機能を発揮できるよう、用地のポテンシャルは最大限に活用すべきであり、規模の縮小は考えておりません。
なお、こうした事業の実施におきましては、国庫補助等を最大限に活用し、財源確保に努めております。
区ではこれまでも、行政需要の動向や財政状況、緊急性など、さまざまな観点からその必要性を見きわめた上で、用地取得や再開発事業、あるいは公共施設整備などを推進してまいりました。
今後も、財政状況等を十分に勘案した上で、必要な行政需要に適切に対応してまいる所存でございます。
【環境清掃部長答弁】
自然エネルギーの街、荒川を目指してに関する御質問のうち、まず、荒川区内の電力消費量について見える化を図り、家庭に普及させるとともに、区庁舎のスマート化実施することについてお答えいたします。
東日本大震災に伴い発生した、東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、電力不足への対応や再生可能エネルギーへの転換が求められる中、電力消費の見える化を図っていくことにつきましては、節電などの取り組みがそのまま数値としてあらわれ、その効果を実感することができるため、取り組みの検証とともに、一層の節電行動につながっていくことが期待できるものと認識しており、地域の省電力や低炭素型の地域づくりに有効であると考えております。
既に、区役所本庁舎をはじめ、サンパール荒川や荒川総合スポーツセンターなどでは、電力使用量をリアルタイムで把握することが可能な電力計測設備を備えております。昨年の夏の時期におきましても、日中、電力使用量が増大する時間帯を中心に、施設の電力使用状況を常時監視しながら、組織的な節電対策に取り組んだところでございます。
家庭における電力の見える化につきましては、家庭全体の電気使用量などがわかる「省エネナビゲーター」や電化製品ごとの電気使用量がわかる「ワットメーター」などの区民向けの貸し出し事業を実施しており、新たな費用負担を伴うことなく、電力の見える化を実感していただいたところでございます。
また、南千住地域において、東京ガスと荒川区が事業協力して行っている特別養護老人ホーム「サンハイム荒川」への熱融通を含む「スマートエネルギーネットワーク」の取り組みは、経済産業省の「分散型エネルギー複合最適化実証事業」として補助を受け、地域全体で電気ばかりでなく熱も含めて、エネルギー利用効率を最大化しようとするものでございます。今後も引き続き実証を進め、得られた知見を活用や普及に生かしていく必要があると考えております。
次に、区における再生可能エネルギーの活用につきましては、「荒川区低炭素地域づくり計画」に基づき、重点施策として省エネルギー化の推進・再生可能エネルギーの導入促進を掲げ、エコ助成の拡大を図るなど、地域全体で積極的に推進しようとしているところでございます。
また、太陽光発電設備への助成件数につきましても、着実に増加しており、区の地域特性を踏まえながら、地域での一層の創エネルギー拡大を図ってまいります。
今後、建設を予定しております区施設につきましても、昨年三月に策定した「荒川区公共施設環境配慮指針」に基づきまして、計画段階から導入を図ることとしております。
PPS(特定規模電気事業者)につきましては、既に、小学校一校、中学校二校において、PPSから電力供給を受けておりますが、今後、経費の抑制といった意味も含め、さらに導入の拡大を図ってまいります。
なお、自然エネルギーを活用したPPSの育成の観点におきましては、環境配慮契約法に基づき、区が契約を行う際には、二酸化炭素排出係数や自然エネルギーの導入量などを加味した環境配慮基準を設けるなど、事業者におけるさらなる自然エネルギーの導入推進に向けて誘導してまいります。
次に、放射線量の測定に関してお答えいたします。
放射線量の測定に当たっては、当初より、統一的な基準の策定などを特別区長会として、国や都へ要請してまいりました。
こうした要請を受け、平成二十三年十月二十一日に、国が「当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針」及び、放射線測定に関するガイドラインを示しました。こうしたことから区では、十一月七日より、専門機関である首都大学東京に委託し、小学校、中学校、幼稚園及び保育園等、公園、児童遊園等の百九十五施設、八百四十四カ所において放射線量の測定を実施いたしました。その結果、ガイドラインが示す文部科学省への通知等の目安である、地上一メートルで毎時一マイクロシーベルト以上の値はございませんでした。
これらの結果は、区報特集号、ホームページなどでお知らせしているとともに、区役所情報提供コーナー、各図書館、区民事務所などにおきましても、測定結果の一覧が閲覧できるようになっております。
現在、都内では文部科学省、東京都健康安全研究センターなど、専門機関によります空間放射線量の測定が引き続きが行われており、毎日結果が公表されております。これらの専門機関が測定したいずれの数値も健康に影響の及ぼす量ではございません。また、文部科学省が行った航空機モニタリング調査の結果につきましても、問題のある値ではございませんでした。
したがいまして、現時点では、定期的に放射線量の測定を行う状況ではないものと判断しております。
区といたしましては、今後とも放射線の状況に注視しつつ、専門家の御意見なども踏まえ、適切に対応してまいります。
【教育委員会事務局教育政策担当部長答弁】
学校・保育園給食の放射性物質測定検査についての御質問にお答えいたします。
食材につきましては、国におきまして食品衛生法の規定に基づく暫定規制値を超える放射性物質が検出されたものの出荷を制限しており、現在、国、産地の都道府県でしかるべき取り組みがなされております。
加えて、東京都や牛乳等の製造メーカーでも測定調査を実施しているところでございます。
そのため、市場で流通している食材は安全であり、給食の安全性は確保されていると認識しておりますが、今回、念のためにデータで安全性を確認することを目的に、学校・保育園等の給食の放射性物質測定検査を実施することとしたものでございます。
こうしたことから、区内の小中学校、汐入こども園、公立・公設民営・私立の各保育園、認証保育所、認定こども園の全施設におきまして、牛乳を含む調理済みの給食について、それぞれ一回、文部科学省が目安として示した、キログラム当たり四十ベクレルを基準として検査を実施することにより、所期の目的であります給食の安全性を確認できるものであり、定期的に測定検査を行う必要はないものと考えているところでございます。
なお、現在、実施中の測定検査の結果でございますが、二月十三、十四の両日にそれぞれ十件、二日間で計二十件の測定検査を行いまして、いずれの給食におきましても不検出という結果でございました。
この結果につきましては、区のホームページ及び各学校、保育園等で公表しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
《質問》
第三に、子育て支援についてであります。
保育園の入園通知、不承諾通知が来週からいよいよ発送されます。不承諾者数は三百数十人に上り、昨年と比べても増大するような気配であります。南千住地域では、現在建設予定の七丁目保育園のすぐ隣のマンション二百十五戸だけでなくて、これをつくっている伊藤忠系列の業者が千住間道、南千住一丁目にも七十六戸のマンション建設の話が持ち上がっております。中小マンションが増加している日暮里地域、また南千住でも引き続き保育園需要の拡大が続いていきます。しかし、しおいり保育室を来年度一年限りとしているようであります。保育の質を担保しつつ認可園を中心に増設が必要です。あわせて日暮里、南千住で、引き続き保育園需要にこたえる緊急対策も含めて求めたいと思います。お答えをお願いいたします。
区は、新年度、認可園に入園できず、認証保育園を利用する乳幼児については、保育料の差額を所得対応で助成することとしています。この考え方については賛成であります。あわせて、認可園から漏れたお子さんは認証園だけではありません。無認可保育室、保育ママ利用も含めて、統一的な制度としていただくことを求めておきます。積極的な答弁を求めます。
また、西日暮里六丁目冠新道商店街の中にあるマンションを取り壊し、保育園を建設、運営は株式会社が建物を賃貸して行うという認可園の計画が報告されております。
子どもたちの成長のときは一回だけの時期であります。それだけに、その保育の責務を認識した保育事業者の姿勢がとりわけ重大であります。
荒川区は、この間じゃんぐる保育園という儲け主義で、虚偽の報告や保育体制で補助金を支出した経験もあり、現在でも対応が問われています。この教訓から認証保育園誘致に当たっても、区はプロポーザルを行うなど関与してまいりました。
今回の株式会社の保育園参入計画についても、同様に、区として他の社会福祉法人なども含め、よりよい事業者選定のために、必要な方式を導入して保育の質の担保に力を注ぐことを求めたいと思います。お答えください。
また、四歳以上になれば、保育園か幼稚園に一〇〇パーセント近くが通園して、集団生活を営みます。もちろん在宅保育と交流サロンなどの支援も重要であります。しかし、現在の荒川区の幼稚園通園では、半数の八百人が他区へ、区内でも大変な狭き門でバス通園が日常化しています。身近な地域で学校同様に幼児教育、保育ができる環境の整備は自治体の基礎的な責務ではないでしょうか。再三にわたって、この問題も取り上げてまいりました。しかし、来年度以降さらに廃園も計画されています。アンケートでは、貨物ヤード、セメントサイロの跡地活用などの意見も出てきております。そこで必要に応じて、区立園の増設や学校法人の誘致の支援も検討すべきだと思います。その後の検討と対応についてお答えをいただきたいと思います。
《答弁》
【子育て支援部長答弁】
子育て支援についての御質問のうち、最初に、保育園の増設についてお答えいたします。
荒川区における認可保育園への入園申込者数は、乳幼児人口の増大などの影響により、近年増加を続け、昨年四月においては、五年前の平成十八年度と比較し、四百人近くも増加している状況でございます。
こうした状況を踏まえ、区では、昨年四月、南千住駅前保育所の開設支援や旧南千住五丁目ひろば館を活用した認証保育所の開設、さらに、緊急対策として区直営のしおいり保育室を整備し、保育利用定員の大幅な拡大を図ってまいりました。この結果、昨年四月一日現在の待機児童数は、三十九人にまで減少いたしました。
平成二十四年度には、南千住七丁目保育園を開設し、日暮里駅前の私立認可保育園の開設を支援いたします。また、二十五年度には、(仮称)東日暮里三丁目保育園を開設するとともに、西日暮里六丁目の私立認可保育園の開設を支援し、二カ年で五百人近い定員を拡大する予定でございます。
今後も、保育需要を的確に把握し、適時適切な対応を図ってまいる所存でございます。
次に、保育料の差額助成の御質問にお答えいたします。
認証保育所の保育料は、保護者の所得によって定まる認可保育園の保育料と異なり一律となっているため、認証保育所を利用している保護者の大部分が認可保育園を利用した場合と比べ、高い保育料を負担しております。認可保育園の保育料の月額は平均約一万八千円、認証保育所の保育料の月額は約五万円から七万円となっております。
このため、保護者の経済的な負担軽減を図り、不公平感を解消するため、新年度より認可保育園との差額を助成することといたしました。
御質問のうち保育ママなどの保育料にかかわる差額助成につきましては、今後、検討してまいりたいと存じます。
次に、西日暮里六丁目の私立認可保育園についての御質問にお答えいたします。
事業者から私立認可保育園の設置にかかわる相談があった場合は、地域の保育需要や中小企業診断士による財務診断結果、当該事業者の運営実績を総合的に評価するとともに、当該事業者が運営している保育園の状況を調査し、設置の可否を判断しております。
西日暮里六丁目の私立認可保育園につきましても、十分な評価と調査を実施したところであり、事業者をプロポーザル方式により選定する必要はないと考えております。
次に、幼稚園についての質問にお答えいたします。
近年、区内の私立幼稚園が新たな入園募集を中止したことなどの影響により、区内の私立幼稚園等に通う児童が減少し、区外の私立幼稚園等に通う児童が増加しております。
昨年五月一日現在では、幼稚園児数二千二百五十二人のうち、区立幼稚園の児童の割合が二七パーセント、区内の私立幼稚園等の割合が三三パーセント、そして、区外の私立幼稚園等の割合が四〇パーセントとなっております。
区では、区内の身近な幼稚園にお子さんを通わせたいという保護者の要望にこたえるため、区立幼稚園の定員の弾力的運用により、三歳児の募集人数をふやしております。
私立幼稚園については、園の設置者に対して、教育環境や施設の整備に対する補助金を交付し、園の安定した運営を支援しております。また、閉園を予定している園の設置者に対しては、園の継続や、施設を引き続き幼稚園として他の法人に貸し付けていただくことを要請してまいりましたが、困難な状況にあります。
さらに、私立幼稚園の誘致についても検討しているところでございますが、幼稚園の設置に必要な用地の確保が難しい状況にあります。引き続き、用地に関する情報の収集に努めるなど、私立幼稚園の誘致について検討してまいる所存でございます。
《質問》
最後に、路上喫煙防止対策についてであります。
アンケートの自由記載の中で、比較的多数の声が駅前をはじめ路上での喫煙についての苦情と徹底した区の対応を求めるものがあります。私も再三にわたって、南千住駅前の喫煙防止の啓発活動と取り組みを求めてまいりました。吸うのが恥ずかしくなるような目立つ、徹底した横断幕などの宣伝物を常時掲出することや、指導員の配置と喫煙防止活動方法の開拓なども必要かと思います。
この際、見るべき成果が上がるように、南千住をはじめ、各駅と路上での喫煙防止の本気の対策を求めます。対応方を御説明をいただきたいと思います。
以上で一回目の質問を終わります。(拍手)
《答弁》
【環境清掃部長答弁】
最後に、路上喫煙防止対策の取り組みについてお答えいたします。
平成二十一年六月一日から改正施行いたしました、まちの環境美化条例では、人通りの多い場所で喫煙により引き起こされる迷惑で危険な行為を防止するため、南千住、三河島、新三河島、町屋、日暮里、西日暮里の六駅周辺を路上喫煙禁止地区とし、終日指定地区内での喫煙を禁止としております。
区では、改正条例施行直後から、各指定地区内におきまして、スピーカーによる呼びかけや啓発チラシの配布などの方法により、喫煙者に注意喚起を行うなど路上喫煙禁止啓発指導パトロールを実施しております。
そのほか、路上喫煙禁止を周知するリーフレットを二万枚ほど配布するとともに、区報及び区報特集号でのたび重なる広報活動、また区営掲示板や町会掲示板ばかりでなく、電車やバスの中にもポスターを掲出してまいりました。駅構内には大きな横断幕を張るとともに、路上喫煙禁止路面標示ステッカーを指定地区全域に四百枚以上貼付いたしまして、さまざまな周知徹底策を行っております。特に、南千住駅につきましては、改札を出た道路のガードパイプに、常時路上喫煙禁止であることを示す横断幕も掲出しておるところでございます。
さらには、区内の企業にも個別に説明に伺い、協力を呼びかけるとともに、毎年五月から六月の環境美化推進期間には、町会や有志の方々にも御協力をいただきまして、駅前においてキャンペーン活動を行うなど、継続して啓発活動を実施しております。
これらの結果、本年一月に行いました歩きたばこなどの調査におきまして、喫煙率は〇・二三パーセントとなっており、平成十六年と比較して十三分の一程度まで減少しており、一定の効果を認めているところでございます。本年二月末には、これまでの四倍程度の大きさの路上喫煙禁止路面ステッカーの貼付を南千住駅、日暮里駅、西日暮里駅、町屋駅の改札口近くにおいて予定しており、区内全域でのさらなる周知徹底を図ってまいります。区といたしましては、今後とも、さまざまな工夫を凝らし、路上喫煙防止に努めてまいります。
また、多くの人が集まる場所での喫煙につきましては、喫煙をされない方への配慮が不可欠でございます。関係部とも連携し、事業者に対して啓発を行ってまいります。
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