区議会だより

2012年第2回定例会

2012年 第1回第3回第4回



【小林行男区議】

  1. 区として原発ゼロ、自然エネルギーのまちを目指すことについて
    1. 基本姿勢を内外に表明すること。
    2. エネルギー対策や放射能測定などの総合調整を行う部署の設置すること。
    3. 環境基本計画を大震災と原発事故、放射能汚染による環境破壊に対応したものに見直すこと。
  2. 増税と負担増から区民生活を守る取り組みについて
    1. 子ども手当の廃止、年少扶養控除の廃止・縮小に伴う住民税の負担増を子育て世代に還元すること。
    2. 認可園との保育料の差額補助を定額補助に限定せず、差額補助の選択制に
    3. 国保料、後期医療保険料、介護保険料の減額制度などの実施を
    4. 消費税増税は暮らしと経済に深刻なダメージを与えると思うが区長の認識は
    5. 総合的な区民生活相談窓口の体制強化を行うこと。
  3. 知的障がい者の学習支援について
    1. 専門的教員の加配や特別支援学級を担当するカウンセラー配置し、巡回回数をふやすこと。
    2. 特別支援学校高等部の新卒者の学びの場を提供すること。
    3. 区内作業所での学びなどの取り組みを支援すること
  4. 地域防災計画を地域コミュニティを生かし区民実態に合わせて見直すこと。
  5. ひろば館などの改善について

《質問》

 私は、日本共産党荒川区議団を代表して質問をいたします。
 野田首相は、大飯原発の再稼働を政治決断いたしました。経済産業省の前で再稼働反対のハンストに参加した瀬戸内寂聴さんが報道されておりました。
 「野田首相は、『私の責任で』と言いました。だけど、事故が起きたときに何ができるのでしょうか。仮に命を差し出したとしても、被災者はうれしくないでしょう。軽々しい発言です。福島県飯館村に訪ねたときに、人の話なんか聞きたくないという感じで、マッサージをしてあげるとポツポツと口を開き、『政府は私たちのことを考えてくれない』と言いました。津波でまちごと流れてしまった地域は悲惨ですが、復興の望みがあります。原発事故で放射能を浴びた地域は、その望みがない。だから怖いんです。国民は節電もし、原発ゼロを受け入れる準備も進めています。国民の再稼働反対の声に耳を傾けるべきです」とおっしゃっています。それが国民大多数の気持ちではないでしょうか。
 福島原発事故の原因究明もなく、大飯原発の安全対策も、避難計画もこれから、新たな規制機関もなく、根拠のない安全神話だけを復活させ、経済活動が混乱すると国民を脅かし、一部の原子力村の力に押されて再稼働に進むことは、絶対に許されません。
 昨年の事故から一年数カ月、政府と関西電力は一体何をやってきたのでしょうか。短い時間とはいえ、原発の制御不能の危機を認識し、自然エネルギーへの移行に踏み出していれば、かなりのことができたはずであります。東電や原発推進をしてきた政府や企業が改めてその責任を痛切に自覚して、新たな道に踏み出すことが必要であり、原発ゼロへの決断が求められているのです。
 一九七九年のスリーマイル、八六年のチェルノブイリ、そして今回の福島と三十三年間に三回の過酷事故が繰り返されました。チェルノブイリ事故も、自国で起きた福島でさえ教訓にできない政治家に未来を託せません。最も身近で住民の命、財産を守る自治体とその議会が、未来を託す子どもたちに責任が問われていると痛感をするものであります。
 東海村の村上村長は、「再稼働に向けたプロセスは茶番劇であきれた。国はまた安全神話をつくってしまった」と述べ、脱原発を目指す首長会議に参加し、都内でも世田谷区長、武蔵野市長などもそこに合流をしております。多摩市では、昨年十一月、多摩市平和都市宣言を改定し、核兵器廃絶と原発から自然エネルギーへの転換の基本姿勢を明らかにいたしました。また、いまだ収束しない福島第一原発への危惧から、杉並区や葛飾区では独自の担当部署を発足され、定期的な空間放射線量の測定や引き続き除染対策、食品の放射性物質の定期検査などを進めています。
 そこで、第一に、区として原発ゼロ、自然エネルギーのまちを目指すことを内外に表明していただきたいのです。答弁を求めます。
 その基本姿勢の上に、エネルギー対策や放射能測定などの総合調整を行う部署の設置を求めます。お答えください。
 現在、荒川区環境基本計画の三年ごとのローリング、見直しを行っておりますけれども、大震災と原発事故を受けて、抜本的な見直しが必要なはずであります。現に東京都は、環境審議会に基本問題の諮問を行い、昨年見直しをしています。ところが、区は小幅な修正、施策の部分修正にとどめ、環境基本計画の放射能の「ホ」の字も書き込もうとしないのでは、区の基本姿勢が問われていると思います。
 そこで、区の基本姿勢と見直しの中の環境基本計画を大震災と原発事故、放射能汚染による環境破壊に対応したものに見直すように求めたいと思います。答弁を求めます。
 次に、増税と負担増から区民生活を守る取り組みについて伺います。
 この間、市場原理主義と規制緩和、雇用破壊とセーフティーネットが崩される中で、自民党政治から民主党政権に国民はかじを切りました。しかし、今、国民は拒否したはずの増税と痛みを押しつけられようとしています。
 民主党・野田内閣は、最低保障年金制度の創設、後期高齢者医療制度の廃止など、やると言ったことはやらずに、やらないと言った消費税の増税というマニフェスト破りを事実上の大連立、与野党三党談合の上に、二十一日の採決をめぐって、国民そっちのけの党利党略が連日報道されており、国民はあきれ果てています。断じて許すことはできません。ただでさえ長期にわたる景気低迷、働く人の所得が年々減り続けており、区内のゼネコンも倒産に追い込まれています。
 子ども手当がなくなっても、その財源づくりのための年少扶養控除廃止・縮小によって、昨年は所得税増税、ことしは住民税増税の通知が届き、「昨年の三倍になった」、子どもが三人だと十万円近い値上げと、ファミリー世帯の怒りの声もあります。そして、来年には復興増税で所得税が値上げ、繰り返される厚生年金保険料の値上げが続きます。これ以外にも、東京電力の家庭向け料金を平均一〇・二八パーセントという理不尽な大幅値上げをしようとしております。
 今や子育て世代の貧困率は一二・七パーセント、母子家庭に至っては四八パーセントにも及ぶと言われています。そして、入園を希望しても、認可保育園に入れない子どもたちがことしも三百人を上回りました。これでは少子化に拍車をかけるのではないでしょうか。
 子育て世代に心を寄せて、区民生活を守ることに力を尽くさなければ、自治体の役割が問われます。そこで、子ども手当の廃止、年少扶養控除の廃止・縮小に伴う住民税の負担増を子育て世代に還元できる施策を行うことを求めます。お答えください。
 また、本年度から認可園に入れず認証保育園等に通う子どもたちの保育料負担軽減策として、認可園との保育料差額の補助が実施されます。歓迎するものでありますが、昨年からの認証保育園の持ち上がり児については、従来の定額補助にとどめ、今回の差額補助が適用されません。保護者の所得によって定額補助受給額が減額やなくなるケースへの対策をとったものでありますけれども、一方、八割の世帯は差額助成を受けられないことになってしまいます。同じ園で新入園児と持ち上がりで所得が同じでも補助額が違うのは、いたずらに混乱を招きます。事実、父母から区の担当部署にも切実な声が寄せられているようであります。
 認可園に入れなかったことへのせっかくの区の対策ですから、すべての世帯が喜ばれるように制度設計をすべきと考えます。認可園との保育料の差額補助実施に当たり、持ち上がり児についても定額補助に限定せず、差額保持の選択も可能にすることを求めたいと思います。答弁をお願いします。
 高齢者の皆さんのところも大変であります。年金の切り下げが始まり、今後三年間で二・五パーセントも削減、後期高齢者医療保険料、介護保険料の大幅引き上げ、六月には住民税の通知に続き、これらの保険料通知が御家庭に届けられています。
 介護保険料をとってみれば、基準額の人で月五千七百九十二円、二十三区で一番高い保険料となっています。年金がどんどん減って不安が募るばかり、何を削れというのかとの悲痛な声が寄せられています。改めてしっかりした支えが必要となってきています。
 国保料、後期医療保険料、介護保険料の値上げに対して、必要な減額制度など拡充することを求めたいと思います。答弁をお願いします。
 一体改革として、デフレ経済でさらに深刻な区民実態がありながら、政府は二〇一五年までに消費税の一〇パーセントへの増税、年金の減額、医療・介護の保険料値上げなどで総額二十兆円もの負担増を押しつけようとしております。
 そもそも、消費税は低所得の人ほど重くのしかかる逆進性を抱えています。だから、政府も給付つき税額控除などと言わざるを得ません。また、中小企業の多くが消費税を価格に転嫁できない。中小業者に身銭を切らせ、経営を悪化させる。さらに赤字でも消費税の納税が求められるものであり、ある商店の方は、一〇パーセント増税は商店街のお店の半分はだめになるのではと懸念しています。地域経済にも深刻な打撃を与えることは明白であります。
 東日本の被災地の復興の足かせにもなると思います。我が党は、無駄の削減と応能負担の原則に基づき、大企業と富裕層に応分な負担を求め、まともな雇用で国民所得をふやしていくことで消費税増税に頼らない別の道を提案しております。
 区長、増税と負担増が続く中で、消費税増税は暮らしと経済に深刻なダメージを与えると思うが、区長の認識を伺います。御答弁ください。
 次に、区民の大変さに寄り添った区民を支える区民生活相談についてであります。
 今、年金通知は、金額が減るばかり、区役所から郵便物は値上げの通知か督促状、開封するのが怖い、そういう人たちもふえております。税務課や国保課に相談しに来るのには勇気の要ることであります。一歩踏み出して区役所に来た住民の相談にどう乗るかが問われていると思います。
 例えば、国民健康保険料の滞納で相談に来た区民に対して、分割納付を約束していただくことにとどめず、滞納の話から、どうやって暮らしているのか、他の解決すべき問題はないのか、就学援助など必要な使える制度の利用はされているのか、精神的に病んでいないかなど、他の部署のことも含めて、その方の全体像をつかめるような聞き取りが必要であります。そして、生活福祉課、障害者福祉課、高齢者福祉課など、きちんと連携がとれるようにしていただきたいと思います。
 とりわけ生活保護受給者の急増の中、メディアでの不正受給キャンペーンが続いています。必要な人に申請の機会を奪うことは、あってはなりません。今でさえ、受給資格がある生活水準の人が実際に受給している割合は、欧州諸国の七、八割に比べ、日本はわずか一、二割と言われております。この改善こそ求められています。どの相談窓口でも住民に心を寄せて、まるごととらえ、各部署との連絡調整を密にして、総合的に対処できるよう、区民生活相談窓口の抜本的体制強化を行うことを求めます。お答えください。
 次に、知的障がい者の学習支援について伺います。
 知的障がい者の就学の場として、普通学級、区内小中学校の支援学級、そして区外の特別支援学校があります。それぞれの障がいの程度や家庭状況などで親御さんが選択することになります。特別支援学級は、二〇一〇年、汐入小学校に増設して五校に、中学校は二〇〇三年に尾久八幡中学に増設して二校になっており、現在六十八名の小学生、四十四名の中学生が学んでおります。
 特別支援学校は、学区域が決まっていて、尾竹橋通りを境に、王子第二と墨田に分かれますが、小学部三十名、中学部に十五名通っております。高等部は、普通学級や特別支援学級、特別支援学校からの進学で、墨田特別支援学校に二十二名、王子特別支援学校に二十名が在籍しています。
 全国でも、東京でも生徒は急増しております。墨田特別支援学校では、この十年間に百名を超え、増設に次ぐ増設であります。王子特別支援学校でも、これまで百九十名台がことしは二百二十一名であります。教室が足りなくなる、職員室もランチルームも満杯状態であります。荒川区にも特別支援学校を誘致する必要があると改めて申し上げておきたいと思います。
 さて、区内の小中学校支援学級は、八名に担任教員一名と補助教員一名を配置することになっています。教員免許法では、支援学級の教諭は特別支援学校の免許が必要ですが、当分の間、小中の免許状のみでよいとする規定が続き、全国的にも担任教諭の特別支援学校教諭免許保有率は三〇パーセントのようであります。区内の担当教諭の保有率はゼロです。普通学級を担当していた教員が急に特別支援学校の担任になることもあり、戸惑うこともあるようであります。
 文部科学省は、現職教員が大学や教育委員会の認定講習等で特別支援学校教員免許の取得を促進することが必要だとしておりますけれども、現場を持ち、毎日遅くまで勤務の中では難しいことであります。
 学習指導要領の改定で個別の支援計画作成も求められております。また、近年、ADHD、LD、高機能自閉症など障がいの状態も多岐にわたっております。教員の不安と悩みなど、早い時期に解決できるような支えが必要だと思います。区として、専門的教員の加配の検討や特別支援学級を担当するカウンセラーを配置して、巡回回数をふやし、特別支援学級担任の負担軽減を進めるべきです。お答えください。
 次に、お兄さんのように大学に行ってみたい、もっと学んでから社会に出たいという願いにこたえる施策の充実であります。
 学校教育法では、高等部に専攻科などを置くことができると規定しておりますが、高等部の満員状態の中で難しいのが現状であり、関西を中心に自立支援法の自立支援訓練事業として、特別支援学校高等部の新卒者を対象に、二年間、事実上の専攻科のカリキュラムを組んで、学びの場を提供している取り組みが広がっています。荒川区でも検討する課題にしてほしいと思います。
 荒川区では、特別支援学級・学校卒業後の生涯学習の場として、「さくら教室」があります。一九六六年から四十五年間、利用者からも、御家族からも大変喜ばれております。宿泊学習の再開の要望もあります。生涯学習の場として事業の拡充を求めたいと思います。お答えください。
 荒川の民間作業所でも、作業だけでなく、青年たちの成長を目指し、畑づくりや調理実習、和太鼓などの独自活動に取り組んでいるところもあります。学び支援の独自予算をつけ、区内作業所での取り組みを支援すること、答弁を求めます。
 次に、東京都は、四月、首都直下地震の新たな想定を発表いたしました。今回の想定では、新たに元禄型関東地震や立川断層帯地震も想定対象にするなど、一定の改善は見られるものの、東日本大震災を受けて、最大の被害を想定したものには、残念ながらなっておりません。
 荒川区の場合は、前回想定と同じ、東京湾北部地震マグニチュード七・三、震度六強、風速は前回十五メーターでしたが、今回は風速八メーターと設定しています。震度七という最悪の想定はありません。それにもかかわらず、人的被害では、冬の夕方六時台で風速十五メーターの前回で死者三百三十八人、負傷者三千三百二十六人から今回風速八メーターで死者四百二十二人、負傷者四千四百八十四人という厳しい想定になっています。
 一方、建物被害・全壊の場合ですが、二万八千百五十七棟から一万二千七百三十八棟に、この中で倒壊建物を含む地震火災による全壊は一万九千七百九棟から五千五百二十一棟に激減しています。単純にいえば、この六年間で木造住宅の耐火・耐震化が約四倍近く進んだ計算になります。しかし、実態との関係では、この数字に違和感を持つのは、私だけではないはずであります。
 今回の想定も参考にして、さらに最悪の事態を想定し、最も荒川区内の事情を熟知した区が独自の生活域や人口、福祉施設も含めた公共施設のありよう、耐震化などの地域別建物の属性、防災施設の距離など、区民生活の実態を踏まえた独自の想定を行い、地域防災計画の修正を行うべきであります。
 荒川五・六丁目など、木造密集地域等を多く抱え、複雑に入り組んだ生活域になっている荒川区であります。また、耐震工事や家具転倒防止の助成メニューをつくっても、一向に実績が上がっておりません。さまざまな数字の違いはあれ、引き続き荒川の防災の最大の課題が、建物の耐震化など被害の軽減、減災、予防対策にあることは明らかであります。
 こうした問題を含めて、地域防災計画の見直しに当たっては、実効ある減災・予防を重視して、地域コミュニティを生かして、区民実態に合わせて施策の改善を図ることを求めたいと思います。お答えください。
 最後に、ひろば館などの改善について伺います。
 ひろば館は、高齢者の皆さんも多く利用されています。トイレが和式のままで使いにくい、節電で蛍光灯が間引きされ、壁紙などが汚れていると目が疲れるなどの声も寄せられています。改善は急務です。とりわけ、東尾久地域には、いまだふれあい館の具体的な建設の見通しが立っておりません。予算特別委員会でも質疑をさせていただきましたが、土地の取得という難しい問題もあります。そうしたことを考慮すれば、建設・開館に至るまで、あと最低五年はかかるということでありました。
 東尾久地域のひろば館のトイレの改修をはじめ、必要な改善を優先して進めること、お答えください。
 また、アクト21もふれあい館化が言われています。男女平等推進センターとしての機能や直営のひろば館の運営などの検討は十分する必要があると思いますが、三階の会議室や地下ホールは貸し出し施設であり、その料金は夜間でホール七千三百円、第一会議室三十人規模で二千七百円であり、ひろば館の三倍の料金です。建設当時、グレードの高い施設なので使用料の高いのは当たり前とされましたが、今や新築のふれあい館の会議室と遜色ないのではないでしょうか。そこで、アクト21の会議室、ホールの貸出料はふれあい館並みに引き下げることを求めたいと思います。お答えください。
 これで一回目の質問とさせていただきます。(拍手)

《答弁》

【区長答弁】
 小林行男議員の御質問の中から、私がお答えするのに適当なのは、地域防災計画の見直しだろうというふうに思いまして、ほかのことは担当理事者からお答え申し上げますので、御理解いただきたいと思います。
 東京都は本年四月、ただいまるる御説明がございましたので、時間の関係もありますから、御協力申し上げる意味で細かいことは言わないようにいたしますが、ただいまおっしゃったように、荒川区内では、震度六強の揺れとなる地域が全体の九三パーセント、地震発生が冬の夕方六時ごろになりますれば、死者は四百人を超えて、負傷者は四千五百人発生するという、ただいまおっしゃったとおりであります。
 重要なことは、全壊する建物数が約一万三千棟に上ると、また、電気、ガス、上下水道、通信も含めて、いわゆるライフラインが甚大な被害を受けると。先ほど北城議員の御質問の中にもありましたが、特に上下水道、ジョイントをいかに早く改善するかということを東京都に強く申し入れているわけでございますが、大変気の遠くなるような長い時間がかかるということで、これはもっと強力に言っていかなきゃいけないというふうに思います。
 現在、荒川区地域防災計画の修正作業を行っておりまして、これについても、今、小林議員から、より厳密な検討を加えて、実効あるものにせよという趣旨のお話がございました。私ども、災害対策本部の組織運営の強化でございますとか、避難所運営体制の整備でございますとか、また、地域防災力をどう強化していくかとか、さらには、災害に強いまちづくりを全般的に、先ほど来申し上げているとおり、地域限定型の新法も目の中に入れて、減災に向けた取り組みを進めているところでございます。
 申し上げるまでもなく、地域防災力の向上を図るためには、自助、共助による取り組みが何より重要でございまして、区といたしましては、これまで町会・自治会を中心に結成していただいております防災区民組織の活動に対しても、継続的な御支援を充実してまいりたいというふうに思います。
 今年度新たに防災資機材購入経費の助成を実施させていただいております。さらに、災害時に発生する火災に対して、あらゆる手段を講じて延焼を阻止すべく、町会・自治会の皆様に御協力いただき、二万個の防火用バケツの充実と水利の充実をあわせて行っていきたいと思いますし、実施しているところであります。
 災害に強いまちづくりでは、先ほど来申し上げておりますが、木造密集地域の解消を一日も早く実現して、東京都が実施する「木造密集地域不燃化十年プロジェクト」における不燃化特区の先行実施に向けて、現在、着実に準備を進めているところでございます。
 こうしたことに加えまして、私たちが住むこの首都東京を災害に強いまちにしていくための国家プロジェクトに対して取り組んでいただいておりますが、こうしたことにつきましても、私はそれなりの努力をいたしておりまして、新たな法律の制定を提案いたしたところであります。この案が今国会に法案として提出される運びになったと伺っております。
 震災時に一人の犠牲者も出さないためには、区民や地域が主体の自助、共助と、私ども行政が担う公助が互いに手を携えて取り組んでいくことが必要だと思います。
 私は区長として、迫り来る首都直下地震に備え、今後も国に対して、東京都に対して、強く働きかけるとともに、区の防災体制の充実強化や防災まちづくりの推進に向けて、区民の皆様の絶大な御参加をお願いする、そういう方向で全力で取り組み、防災に強い荒川区を積極的につくっていきたいと思っております。
 これ以外の御質問につきましては、関係理事者から御答弁を申し上げます。

【環境清掃部長答弁】
 「子どもたちの命と健康を守る荒川区政に」に関する御質問のうち、まず、原発ゼロ、自然エネルギーのまちを目指すことを内外に表明することについてお答えいたします。
 東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故以降、電力不足への対応とともに、再生可能エネルギーへの転換など、エネルギーのあり方についての議論がさまざまなされているのは承知しているところでございます。
 自然エネルギーの導入につきましては、限られたエネルギーの有効活用、電力不足への対応はもとより、地球温暖化への対応の観点からも不可欠であると考えております。このため区では、荒川区低炭素地域づくり計画などに基づき、省エネルギー化の推進、再生可能エネルギーの導入促進、エコ助成の拡大などを重点施策として推進しているところでございます。
 区といたしましては、御質問にありますような意見表明を行う考えはございませんが、再生可能エネルギーの導入に関しましては、本年度も引き続き積極的に取り組んでまいります。
 なお、東日本大震災に伴う原子力発電所の事故で生じた放射性物質への対応につきましては、他自治体の取り組みなど御質問にございましたが、これまで西川区長が特別区長会会長として、国及び東京都に観測体制の強化や安全基準の策定などを強く要請した結果、モニタリングポストの増設や給食用の牛乳の検査に関する厚生労働省の通知など、多くの対策が具体化されております。また、区といたしましても、区が示したガイドラインに基づく放射線量の測定や給食の検査等を実施し、必要な対応と情報提供を行い、区民の皆様の不安解消に向け、適切に対応してきたところでございます。
 次に、環境基本計画の修正に関する御質問にお答えいたします。
 荒川区環境基本計画は、区の基本構想、基本計画に基づき、区における環境政策を総合的に示した計画でございます。荒川区環境審議会は、環境基本計画に関することのほか、環境の保全に関する重要な事項を調査・審議していただく機関でございます。
 環境基本計画につきましては、平成二十年度から十年間の計画期間となっておりますが、個別の施策につきましては、三年を目安に見直しを行うこととしております。このため、本年度は個別の施策や重点取り組みなどの見直しにつきまして、環境審議会にお諮りし、現在御審議をいただいているところでございます。
 東日本大震災に伴う環境への影響につきましては、環境審議会におきまして、各委員の皆様からさまざまな御議論が熱心になされた上で、放射性物質への対応は環境基本計画とは別に取り扱うとの方向性が示されているところでございますので、そのような方針により引き続き対応してまいりたいと考えております。

【総務企画部長答弁】
 区の組織に関する御質問にお答えいたします。
 区ではこれまで、その時々の区政の課題等に的確に対応するため、組織改正を行ってまいりました。平成十八年度には子育て支援部を設置し、また、今年度はより災害に強いまちづくりへの推進を目指し、都市整備部と土木部を統合し、防災都市づくり部を設置したのも、このような認識からでございます。
 放射能対策等の担当部署の設置につきましては、環境清掃部、子育て支援部、教育委員会事務局等が十分に調整し、密接な連携を図りながら、適切に対応しておりますので、新たに担当部署を設置する必要はないと考えております。

【子育て支援部長答弁】
 最初に、子育て世代への支援についての御質問にお答えいたします。
 子ども手当については、名称が児童手当に変更されたものの、支給額は従前と同様であります。一方、区は、これまでも現下の厳しい経済環境や雇用情勢のもとで、子育て世帯が子どもを産み育てやすい地域づくりに努めていかなければならないと考え、保育園待機児童の解消や放課後子どもプランの拡大、在宅育児家庭の支援などに全力で取り組んでまいりました。加えて、このたびの年少扶養控除等の廃止による保育園保育料等への影響を遮断する措置を講じ、子育て家庭の負担増加を抑制しました。
 今後も引き続き、社会経済状況の変化や子育て世帯のニーズを的確に把握し、子育て支援策の充実に努めてまいる所存でございます。
 続いて、認証保育所等利用者への保育料負担軽減補助についての御質問にお答えいたします。
 新たな補助制度は、認可保育園を利用した場合の保育料との差額を助成することにより、保護者の負担軽減と不公平感の解消を図るものでございます。
 新制度へ移行するに当たり、既に認証保育所等を利用している方に差額方式を適用した場合、補助を受けることができなくなったり、補助金額が少なくなったりする保護者が発生いたします。また、定額補助制度については、収入の多寡を要件としておらず、補助を受けられない人が生じることのない制度にしておりました。
 区といたしましては、こうした点を踏まえ、既に補助を受けている方については、定額補助制度を継続することとし、差額補助制度については、新たに認証保育所を利用する方について適用することといたしました。議員御提案の定額補助と差額補助を選択可能にする制度につきましては、実施困難であると考えております。

【福祉部長答弁】
 私から二点の御質問にお答えいたします。
 初めに、保険料の減額についての御質問にお答えいたします。
 まず、国民健康保険料でございますが、保険料の算定に当たり、出産育児一時金や葬祭費、未収保険料補てん分等として一般財源を繰り入れており、その額は平成二十三年度では約二十五億円に及んでおります。また、保険料の賦課方式変更の際、経過措置を実施することにより、被保険者の方々の負担を緩和しております。
 次に、後期高齢者医療保険料でございますが、東京都後期高齢者医療広域連合では、約二百六億円を財政安定化基金に積み立て、これを二年間にわたり財源として充当することにより保険料の軽減を図っているところであります。これに加え、区市町村においても、特別対策として、二年間で約二百三億円を引き続き保険料軽減策として支出することを決定しております。
 また、介護保険料でございますが、介護保険制度は、負担と給付の公平の観点から、所得段階に応じてすべての方に介護保険料を御負担いただくことが原則となっております。区では、低所得者の負担を軽減するため、きめ細かな保険料段階設定と独自の介護保険料の軽減策を実施してまいりました。
 以上、申し述べましたとおり、国民健康保険、後期高齢者医療保険及び介護保険については、既に軽減措置を実施していることから、さらなる負担軽減の措置を講じることは適切ではないと考えております。
 次に、知的障がい者が通所している福祉作業所への新たな財政支援についての御質問にお答えします。
 福祉作業所においては、知的障がい者が定時に通所することにより、生活習慣が確立するとともに、他の利用者とのかかわりによりコミュニケーション能力が向上し、社会性を高める場となっております。また、日ごろの作業のほかに、それぞれの福祉作業所におきまして、施設公開を行うことなどを通して、地域住民との交流による社会性の向上に取り組んでおります。
 区は、これらの各種イベントを開催するに当たり、職員が運営に参画するとともに、障害者大運動会には補助金を交付し、その活動の支援を行っているところでございます。引き続き、福祉作業所を支援しながら、障がい者の社会参加を推進してまいります。御理解をお願いいたします。

【区民生活部長答弁】
 私からは、まず初めに、消費税に関する御質問にお答えいたします。
 「社会保障と税の一体改革」に伴う消費税改正法案につきましては、民主、自民、公明三党による合意がなされ、今国会における採決に向けて、現在、鋭意調整が行われているとの報道がなされております。
 立法における検討は、基本的には国においてなされるべきものであり、特に税制改正は、国民生活とも密接に関連することから、国として責任を持った慎重な議論が行われることを期待してございます。
 一方、本格的な高齢社会を迎え、将来を見据えて安定的に財源を確保していくという視点も大変重要なことであると考えております。
 区といたしましては、引き続き、国の動向を注視するとともに、基幹自治体として、必要に応じて適切な対応を図ってまいります。
 続きまして、区民生活相談窓口の体制強化に関する御質問にお答えいたします。
 現在、区では、区民相談所をはじめ、お年寄り何でも相談や仕事生活サポートデスク、職業・内職相談等、四十を超える相談窓口で区民の皆様の御相談に幅広く対応しているところでございます。一例として、区民相談所では、一般相談から法律相談、交通事故相談等に至るまで、年間約九千件に上る御相談を受けてございます。また、それぞれの相談窓口では、職務に精通した職員や専門相談員が御相談者の立場に立って懇切丁寧に対応するとともに、税や保険料の納付相談でおみえになった方で失業や生活困窮の方などには就労支援課や福祉関係の窓口につなぐなど、必要に応じて他の部署と連携し、相談内容の本質的な解決に結びつくよう努めているところでございます。
 今後とも、相談をされる方々の置かれた状況を十分に把握し、区のみならず、他機関の相談窓口とも連携協力しながら、よりよい方向に解決していけるよう、相談体制のさらなる充実に努めてまいります。
 次に、家具類の転倒防止助成事業につきましては、事業実施に当たり、区報や掲示板、町会・自治会等を通して周知に努めるとともに、申請手続の簡素化を図るため、町会・自治会での取りまとめや民生委員、ヘルパーなどによる代理申請も可とするなどの対応も行ってございます。さらに本年度からは、高齢者向けのふれあいいきいきサロンにおいて説明会を地域ごとに実施するなど、対象者を特定した上で助成事業のPRに努めているところでございます。
 今後は、さらに消防署や消防団等の御協力もいただきながら、個別訪問による防災点検、防災指導なども実施してまいる予定でございます。
 次に、東尾久地区のひろば館の改修工事についての御質問にお答えいたします。
 区では、これまでも和式から洋式トイレへの改修をはじめ、空調機の取りかえや門扉、階段などの塗装、畳やじゅうたんの張りかえ工事など、ひろば館の適切な維持管理に努めているところでございます。今後とも改修工事や補修工事等、きめ細かく対応してまいります。
 最後に、男女平等推進センターアクト21のホールや会議室の使用料金に関する御質問にお答えいたします。
 ホールや会議室等区施設の利用料金につきましては、当該施設の維持管理に必要な経費をもとに、利用区分や面積等に応じて部屋ごとに原価計算を行った上で適正に設定しており、さらに施設の設置目的ごとに減免規定を設けてございます。
 翻って、男女平等推進センターは、女性の社会的地位の向上及び社会参画を促進し、男女平等社会の実現を図るとともに、区民の相互交流及び自主活動の場を提供することにより、区民生活の向上に寄与することを目的として、平成八年に設立いたしたものでございます。
 同センターは、設立より十五年を経過し、この間、女性団体や地域の方々をはじめ、多くの団体の方々に年間を通して御利用いただいてございます。
 区といたしましては、今後とも同センターの円滑な運営に取り組むとともに、区民の皆様の相互交流や自主活動の場として、同センターがより充実した機能を果たすことができるよう、ふれあい館としての活用も視野に入れながら、必要な対応に努めてまいります。

【教育委員会事務局教育部長答弁】
 まず、知的障がい特別支援学級についての御質問にお答えいたします。
 特別支援学級につきましては、東京都教育委員会が児童数、生徒数に基づいた教員の定数を定め、教員の配置をしております。専門性の高い教員を加配するということは、制度上できないものと考えております。教育委員会といたしましては、配置されている教員をOJTや校外での研修により、その専門性を向上させ、各校における特別支援教育を充実させていく取り組みを進めております。
 また、特別支援学級へのスクールカウンセラーの巡回につきましては、小学校に区の「心理専門相談員」が週一日、学校を巡回して相談活動を行っております。また、中学校には都が配置した「スクールカウンセラー」が週一日常駐するとともに、区の心理専門相談員が学校の要請に応じて巡回相談活動を行っております。
 教育委員会といたしましては、今後とも特別支援学級からの要請に応じて心理相談を実施するなど、児童・生徒を支援してまいります。
 続いて、特別支援学校高等部を卒業された方の生涯学習の場と事業の拡充を進めるべきとの御質問にお答えいたします。
 区では、特別支援学級卒業生や都立特別支援学校の区内在住の卒業生及び在校生、また、区内知的障がい者関連施設等利用者である区内在勤者の心身障がい者を対象とし、心身障がい者青年教室「さくら教室」を実施しております。教室では、社会人として必要な自主性や協調性を養うとともに、社会性や教養を身につけることを目的としており、近年、受講生もふえております。平成二十二年度からは、受講生からのアンケートをもとに、スポーツクラブを新設し、クラブ活動の選択肢もふやしたところであります。
 御質問の特別支援学校高等部を卒業した方の生涯学習の場と事業の拡充につきましては、今後も受講生やボランティアの方々の御意見をお伺いしながら、事業の拡充に努めてまいります。

【防災都市づくり部長答弁】
 建物の耐震化に関する御質問にお答えいたします。
 首都直下地震が想定される中、安全なまちづくりを進めていくためには、建物の耐震化は大変重要なものと議員同様認識しているところであります。
 区といたしましては、東京都が創設した「木密地域不燃化十年プロジェクト」を活用するなどし、これまで以上に耐震補強や建て替えによる耐震化を促進してまいります。
 また、あわせて、延焼遮断帯を形成する都市計画道路やまちなかにオープンスペースを確保する都市計画公園の整備などを重点的、集中的に取り組み、密集市街地の改善を目指してまいります。御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

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2012年第1回定例会

2012年 第2回第3回第4回



【相馬堅一区議】

  1. 新年度予算編成について
    1. デフレ経済と大震災・原発事故後の予算編成として位置づけが適切か問う
    2. 何らかの区民生活支援の経済的助成が必要ではないか
  2. 災害の備えと原発依存から脱却する自治体の取り組みについて
    1. 災害の備えと原発依存から脱却する取り組みが不十分ではないか
    2. そのための財源確保としてオリンピック基金などに四千億円の活用、荒川区も土地購入を最小限にとどめること
    3. 自然エネルギーの街、荒川を目指すことについて、また、放射能空気線量も含め定期的測定を実施すべき
  3. 子育て支援について
    1. 認可園を中心に増設し、緊急対策を求める
    2. 認可園と認証園との保育料差額を助成する制度の改善を求める
    3. 区立幼稚園増設や認可幼稚園の誘致の検討について
  4. 路上喫煙防止対策について

《質問》

 私は日本共産党区議団を代表いたしまして、質問をいたします。
 第一に、新年度予算編成の基本姿勢にかかわってお伺いいたします。
 今回の予算編成は、デフレ経済のもとで東日本大震災と原発事故を経験した後の初の予算編成であり、その位置づけが適切なものになっているのか、まず伺いたいと思います。
 共産党区議団が実施しています予算編成時期の区民アンケートも、ことしで二十回目になりました。ことしの特徴を紹介いたしますと、暮らし向きについて「変わらない」という方が三九パーセントいらっしゃいますが、「苦しくなった」が五三パーセント、「よくなった」という方が少しですが二パーセントいらっしゃいます。
 苦しくなった方の原因は「給料・売り上げの減少」が二五パーセントで一番多く、「税・保険料の負担」も二五パーセントと肩を並べています。「医療・介護の負担」も一五パーセント、一番深刻な「失業・倒産」に遭った方も一〇パーセントいらっしゃいました。「子育て費用の負担」八パーセントとなっています。
 国民平均所得は、消費税五パーセント増税前の九十年代中盤と比べますと、十五年間に百十万円も減少しております。可処分所得の低下で自営業者の売り上げも減退し、デフレ経済のもとで、税と保険料の連続値上げの影響、痛みが区民の声として示されております。
 新年度の区民負担増を見ますと、子育て世代は年少扶養控除の廃止・縮小で約一万四千世帯で四億円の負担増、子ども手当も崩壊であります。高齢者、自営業者は、国保料の引き上げで五千五百万円、後期高齢者の医療値上げで七十五歳以上、約二万人は一億七千万円の負担増であります。六十五歳以上の四万六千人も介護保険料六億円の負担増になります。現役世代も協会けんぽも年金保険料も引き上げですから、世代を超えた税と保険料の負担増であります。
 さらに、税と社会保障の一体改革として、年金の引き下げが連続的に待ち受けております。地震の復興財源は、所得税七・五兆円と住民税増税〇・六兆円が中心で、その一方で、法人税をまず五パーセント下げた上で、三年間でもとに戻すということをしようとしております。実際、所得税・住民税増収を主に大企業の減税に回す結果になりかねません。さらに、食費も生活費も一律に消費税を二段階で一〇パーセント増税計画であります。この改革の前提に、国家公務員の給与を七パーセント引き下げようとしており、最終消費者の勤労者の収入を官民挙げて引き下げスパイラルに乗せるものであります。一千万人を超える年収二百万層の不安定雇用やワーキングプアも企業と株主利益を優先して放置しております。
 国民の中には、次世代への負担増を回避するために、今、我慢をしよう、消費税増税もやむなしと考える方もいますが、それでも新聞社調査で、消費税増税反対が六割台に上り、賛成は三割台に後退しております。それは、現状の暮らしの実態が限界に近いからだと思います。
 今、民主党政権が進める庶民課税の強化は、もともと自公政権時代を引き継ぐものでありますが、この道は国民が求めた変化、自公政治からの転換を真っ向から否定するもので、結局到底国民の理解を得られるものではありません。八ッ場ダムの建設再開や大型道路計画、一兆六千億円を超えるF35戦闘機の大量購入などは、「コンクリートから人間」「生活第一」を掲げた公約も吹き飛んでおります。四年間は消費税を上げないとした公約も同様であります。
 民主党のマニフェスト崩壊についての設問に、やむを得ないが一七パーセント、当然の結果というのが一八パーセントといった答えもありますが、四八パーセント、大半が国民の信頼を損なったとして怒りを表明しています。そして「これからの展望は」という設問に対して、「明るい」は四パーセント、「どちらとも言えない」が二八パーセント、「不安」が六八パーセントと放射能問題も含め、圧倒的多数が今後の混迷と不安を感じております。
 公共事業の無駄を削り、不要不急の事業を見直し財源を確保すること、二百兆円を超える大企業の内部留保を吐き出し、消費者である勤労者の可処分所得をふやすために正規雇用と賃金を引き上げること、同時に、力のある大企業に応分の税金を納めてもらい、富の再配分機能を果たす当たり前の税制に戻して、デフレを脱却し、国民生活と自然エネルギー拡充など新しい社会のあり方に予算を投入すべきであります。消費税増税を求める大企業の労働者を使い捨てにする自由、市場原理主義から切りかえが求められています。
 そこで自治体としても、今、デフレ下、給与所得、売り上げ減少、年金削減の中で、年少扶養控除廃止・縮小をはじめ、所得税増税、住民税増税、国保料、後期高齢者医療、介護保険料の値上げ、消費税増税、これらは回避する努力をすべきと考えるものですが、区長の見解をお伺いしたいと思います。
 また、何らかの生活支援の経済的助成が必要だと思います。我が党は、今予算審議に当たりまして、七十五歳以上の負担軽減策として、生きがい奨励金五千円、低年金者、無年金者の介護保険料対策としての手当月額二千六百円から四千三百円支給、年少扶養控除廃止・縮小の影響緩和として、高校生まで医療費を無料化したいと提案いたします。積極的な見解を求めたいと思います。

《答弁》

【区長答弁】
 相馬堅一議員の御質問にお答えしたいと思いますが、冒頭から極めて否定的な御質問で、お答えする元気も大分なえてまいりましたけれども、二つぐらいしか賛成していただけないのでありますが、相馬議員の御議論を伺っていると、ちょっと違うんじゃないかと、御提案のあった給付の問題は、乗数効果は全くないですよ。それから、かつて財政に余剰があったときには、あなたたちはもっと使えとおっしゃったじゃないですか。今度はその財政が大変だから、大型建設になるようなものは控えろとか、そういうような御議論は経済学の原理に反すると私は思いますけれども、乗数効果というのは、どこで使おうと公共投資をすることによって、それが経済に成果を上げてくる。だから、地方公共団体が小さくても公共投資をやるということが、総和の上で国の経済を支える。だから国も財政支援をする。こういう原理を全く無視されて、何をやっちゃいけない、かにをやっちゃいけない、ただ、いろいろな生活支援をやれ、こういう御指摘でございますけれども、私は限られた時間の中でございますから、今、言われた中で、特にこの社会保障については、やはり抜本的な改革が必要で、私の持論でありますが、消費税を福祉目的税にきっぱり決めて、そしていやしくも二段階で上げて、上がってくる消費税が国家財政の赤字の穴埋めに使われるという、そういうことはさすがに国民は許さないと。社会福祉の目的税にきっぱり使ってみて、実際にそれによって介護保険料が下がったり、また今回のような後期高齢者医療費の補助が、国や東京都から大きく出たために、そんなに値上げしないで済む。こういう事態もあるわけでございますから、私はそういう観点から御議論をお願いしたいし、今ここで先生がおっしゃったことは、国の共産党の皆様にも、東京都の方々にもぜひ強く伝えていただいて、そういう方向で御活躍いただきたい。今ここで、いろいろなことをおっしゃられましたが、私どもとしては、ただいま先生の仰せになったことを一〇〇パーセント実施するという気は全くありませんし、できないと私は思っております。
 後のことについては、関係理事者から御答弁を申し上げます。

《質問》

 第二に、一月十七日阪神・淡路大震災から十七年目、また、三月十一日東日本大震災から早くも一年がたとうといたしております。二つの地震の間には、中越地震や洪水をはじめ、全国で繰り返され、自然災害の死者は数万人に上っております。南海、東南海、関東直下型地震の連続的な発生予測も今世紀中に集中しております。また、東大地震研究所がマグニチュード七以上が四年間に七〇パーセントの発生確率、中央防災会議でも三十年以内であります。その上に放射能汚染への対応が加わってまいります。
 しかし、新年度の予算を見ますと、その深刻さに比して災害の備えと原発依存から脱却する地方自治体の取り組みが不十分ではないかと感じました。基本的な認識をお伺いいたします。
 区民アンケート調査では、直下型地震に「備えている」と答えた人は五パーセント、「ある程度備えている」という方が五二パーセントで、「備えていない」という人が四三パーセントとなっております。
 現に多くの人命を失い、ここまで地震の危険が切迫している中で、四割以上の方が備えていないということは、どう理解をすればいいのでしょうか。老朽・木造住宅にお住まいの方で家屋の倒壊のおそれを感じながらも、高齢のために、あるいは経済的に耐震補強を自力では行えない、区の補助があっても負担が大きいとあきらめている方も多いのではないかと思います。
 また、高層住宅でも、家具転倒防止の必要性を感じながらも未対応のお宅もあるでしょう。発災後の水、簡易トイレ、食料の備蓄、あるいは上下の移動手段などなど、個人で、あるいは集合住宅ごとに備えをすれば、かなりの対応ができるものもあるでしょうが、その手法がわからない、そういう方もいると思います。
 備えていないという方の思いの中には、いろいろな考え方もあるかもしれませんが、何をどう備えていいのか、そして、それをどう実行すればよいのか、考えあぐねている方が多いと思います。これを自己責任の世界として放置するのではなくて、区として、可能な支援策、備えの充実を図るべきだと思います。地震は天災でも、実情がわかっていて手だてが打たれなければ、被害は人災であります。
 そこで、家庭、マンション、職場で必要な「地震の備え」のガイドラインを具体化して、木密地域や高層住宅向けなど、実態に即した内容で啓発パンフレットを作成すること、あわせて「防災への備え」の支援策を具体化することを求めます。
 次に、これらの施策を実行するための財源確保についてであります。
 新年度予算は過去最高の昨年を下回るものの八百七十七億円と、ここ十年間でも大型の予算であります。歳入では、財政調整交付金は対前年比二十三億円の減を見込んでいますが、一方、年少扶養控除の廃止・縮小による四億円の区民税収入増、あるいは基金取り崩し六十六億円を見込んで、尾久八幡中の建て替え二十六億円、特養ホーム七・六億円、地域密着施設とグループホーム二つで九億円、軽費老人ホーム二・二億円、花の木ハイム冷暖房改修、石浜・夕やけこやけふれあい館などなど建設が続きます。必要な施設であっても、今後事業の優先順位を明確にして財政執行に当たることが必要であります。
 被災地の痛みを教訓として、地震、洪水、津波など、天災から命と財産を守るハード、ソフト両面を取り組みを最優先すべきときであります。
 新年度は、区への事務事業移管が実施されます。これに伴う経費を都区協議において財調算定に反映させるべきだったと思います。小中学校建て替えや乳幼児医療費負担など、従来から区側の需要算定に入れるように要求していたはずで、今回の都区協議において、それらも含めて調整率を区側に上乗せするように求めるべきだったと思うのであります。しかし、報道によると、これらの要求を引き下げたと言われています。一方、東京都はオリンピック基金などに四千億円をはじめ一兆円を超える基金を積み立てて、外環道建設や大規模施設などに予算を支出しようといたしております。
 本来、都区財政調整の財源、固定資産税と法人住民税などは、区側の固有税であります。都区間の協議に当たって区民生活と今、地震に備える財源確保に力を注ぐことを改めて求めるものであります。見解を伺います。
 あわせて荒川区は、ここ数年で百億円近い土地を購入してきました。これ以上は、土地購入を必要最小限にとどめるべきであります。また、大規模施設建設、三河島北、西日暮里駅前再開発など、国・都の補助金が出るからよしというのではなく、国・地方を挙げて、公共事業の優先順位を考え、凍結すべきものは凍結すべきであります。特に荒川二丁目の複合施設は、新年度一億円の設計予算がついていますが、建設時期を再検討すること、図書館建て替え中心に規模を縮小すべきであります。これで五十億円規模の建設費を二十億円から三十億円支出を抑制し、区民生活に回すことが可能ですし、国・自治体を挙げて、税金の使い方の優先順位を転換すべきときではないでしょうか。見解をお伺いいたします。
 次に、自然エネルギーの街、荒川を目指すことについて、質問をいたします。
 区民アンケートでは、荒川区のこの間の取り組みについて、「評価できる」「まあまあ評価できる」という声も多いのですが、やはり「測定が遅い」という記載が多数ありました。また「これからの対策で必要なものは」という問いに、「放射能の除染」が三四パーセント、「自然エネルギーの普及」が三割、「学校給食などの測定」を求めるものも一五パーセントなどとなっております。
 福島第一原発二号機の下部温度計は八十度近くを測定しており、冷温停止状態とする政府の見解でも二十度の測定誤差を考えると、百度を超える可能性があり、保安規定に反して注水量をふやし、あげくに温度計が壊れていると言い出しました。再臨界の危惧が持たれる事態であります。そもそも「冷温停止」というのは、事故のない原発を想定しているものであり、事故の「収束宣言」は間違いであります。
 また、汚染地域の除染計画と避難基準について線引きを行ったことで、新たな混乱をもたらしています。自然値を上回る放射能をまき散らかした東電と、原発推進と安全神話による人災を招いた国の責任を明確にしなければなりません。いまだに政府は原発に依存し、運転再開しようとしています。原発ゼロに向けて、地方自治体から姿勢を内外に明らかにしていただきたいと思います。
 区の新年度予算では、再生可能エネルギー拡充策は、区の施設に太陽光パネルを乗せ、五十キロワット/アワー拡大するもの、民間住宅への助成や思い切った公共施設での予算拡大はないようであります。
 また、消費電力を家庭、事業所、まち単位、地域単位、荒川全体で見える化を図り、あわせて自然エネルギーの拡大を図っていくことが近未来の姿であろうと思います。福島にお世話になってきた首都の我々が生活も見直し、新たな社会のあり方に本気で転換したいものだと思います。
 そこで、家庭のスマート化も一気に進む可能性もあります。区本庁舎にも太陽光パネルを乗せるようですから、公共施設の消費電力も見える化を一気に進めることができると思います。荒川区内の電力消費量とともに、地域単位で見るとすると、変電所単位の消費電力を明らかにすればスマート化も可能だと思います。東電にも情報を開示させ、対策をとる必要があります。
 また、東京ガスを見学させてもらいましたが、南千住三丁目の研究施設で、太陽光パネルを五つのメーカーのものを七百六十六平米、百七キロワット/アワー発電しておりました。そのほか真空方式の熱収集機、あるいはエネファームなどと組み合わせてコジェネを使って実験を行っています。この中で一部の熱源を隣地の特養ホーム、サンハイムに送っていますが、使い切れずに余っているようであります。実験的な範囲ですが、こういった地域貢献、地域のスマート化に結びつく取り組みをもっと本格化、多様化できないかと感じます。さまざまな事業者、家庭での取り組みの機運を自治体が結合し、促進させて荒川区が自然エネルギーと被災地支援のまちとして歩んでいきたいものだと思います。
 そこで第一に、荒川区内の消費電力を変電所、地域単位で見える化を図り、家庭への普及とともに区庁舎のスマート化を実施することを求めます。
 あわせて、区内消費電力六万六千キロワット/アワーのうち、太陽光パネルや小水力発電など、その他再生可能エネルギー活用の目標を設定していただきたいと思います。あわせて自然エネルギー活用のPPS事業者育成の研究にも着手することを求めます。
 放射能測定では、子どもたちの成長を見守る父母の声に率直に答える必要があります。
 十四日から始まった区の給食の放射能測定は、四十ベクレルを測定下限値に設定したシンチレーション式で実施いたしました。四十ベクレル以下だと検出せず、不検出としてホームページに載っています。このような測定方法、測定下限値を高く設定して、それ以下の数値を明らかにしないということはすべきではありません。測定精度を確保し、ありのままの測定値を明らかにすべきだと思います。福島原発の実情と他の原子力施設の存在を考えると、一回切りの測定では理解が得られません。空気線量も含め定期的測定を実施することを求めたいと思います。

《答弁》

【区民生活部長答弁】
 私からは、災害への備えに関する御質問にお答えいたします。
 東日本大震災以降、各地域の防災訓練では、若い方々を含めて多くの区民の皆さんが積極的に訓練に参加されるようになり、本年度実施いたしました第三十六回荒川区政世論調査におきましても、今後、特に力を入れてほしい区の事業についてお聞きしたところ、地震などの防災対策が第一位になるなど、区民の防災に対する関心は、昨年の東日本大震災以降、確実に高まっていると認識いたしております。
 区におきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、地域防災計画の抜本的な見直しを行い、地域防災力の強化を含め七十項目にわたる取り組みを盛り込んだ計画の修正方針を取りまとめたところでございます。このうち区民の防災意識の普及啓発につきましては、地域防災力の強化を図る上で基本となる極めて重要な課題として、防災講演会や研修会の実施を掲げております。実施に当たりましては、防災全般といった内容ではなく、高齢者や主婦、サラリーマン、学生など年齢や生活状況等に配慮するほか、木造住宅や高層住宅など居住形態に応じた内容とすることを現在検討してございます。
 特に、木造住宅に居住する方々に対しては、これまでも区が鋭意取り組んでまいりました老朽建築物の建て替え補助や、簡易耐震診断、耐震補強工事や耐震建て替え工事への補助などの制度につきましても、わかりやすく説明いたしたいと考えてございます。
 さらに、講演会や研修会の受講後も、参加者が自主的に防災対策に取り組むことができるよう、使用する資料やテキストは、基礎的な内容に重点を置くほか、必要に応じて防災グッズなども紹介してまいりたいと存じます。
 このほか修正方針では、高層住宅における防災対策の推進として、高層住宅特有の課題に対応した防災マニュアルの作成や非常用備蓄の推進などの取り組みを盛り込んでございます。
 区といたしましては、すべての区民の皆様が災害から我が身を守るため、防災対策に自主的かつ積極的に取り組んでいただけますよう、防災意識の徹底に全力で取り組んでまいります。

【総務企画部長答弁】
 初めに、都区財政調整制度いわゆる財調にかかわる需要額の算定等についての御質問にお答えいたします。
 まず、地域主権改革に伴う権限移譲事務の財調への反映についてでございますが、都区間の協議の結果、権限移譲により、特別区の事務となる項目のうち、現行事務処理特例交付金で算定されている項目につきましては、需要額に算定されることとなっております。
 次に、小中学校の建て替えや乳幼児医療費負担につきまして、算定要求を協議の場から引き下げたという事実はございません。なお、小中学校の建て替えにつきましては、かねてより重要な行政需要として問題意識を持っており、かつ二十三区共通の課題として認識しているところでございます。小中学校の建て替え等の投資的経費をはじめ、区として算定すべきと考える需要につきましては、引き続き次年度以降の協議におきまして、都区間の合意が実現するよう力を注いでまいります。
 最後に、都の基金の積み立てにつきましては、東京都の財源において行ったものであり、財調の財源を損なうものではありません。区といたしましては、二十三区で協力し、さらなる財源確保に向けて、財調財源の配分につきましても、都に拡充を求めてまいります。
 次に、再開発や複合施設等に関する御質問にお答えいたします。
 荒川区都市計画マスタープランでは、区内の主要な交通結節点である駅周辺を、都市の顔となる「拠点」として位置づけております。三河島駅北地区や西日暮里周辺地区につきましても、区にとりまして大変重要な日暮里拠点の一つであり、再開発による計画的な土地利用を行うこととしております。再開発事業により、地域の防災性が高まることはもとより、都市型住宅や店舗、オフィスなどの都市機能が集積され、魅力ある市街地空間を形成し、さらなる区の発展を目指してまいります。
 公共施設の建設におきましては、区民の真の財産となるよう、区ではこれまでも、複数の目的を持つ施設を併設させる等により、効果的、効率的な整備を行ってまいりました。施設の機能をあわせ持つことによりまして、単独で設置した場合と比較して、建設費や継続的にかかる維持管理費、事業運営費などトータルコストの抑制も可能となってまいります。
 荒川二丁目に建設予定の複合施設は、これまで課題となっておりました接道などの条件から、現在地での建て替えが困難で老朽化が進んだ荒川図書館の建て替えに伴う新たな図書館、荒川区出身ですぐれた作家・吉村昭氏の功績を顕彰するとともに、創作の原点を知ることで奥深い文学の世界に触れ、荒川区の魅力を内外に発信する(仮称)吉村昭記念文学館、さらには、子どもたちの夢や生きる力をはぐくみ、地域ぐるみの子育て支援の拠点といった三つの機能を、有機的に結びつけることによりまして、単独設置ではなし得ない、新しい多様な事業展開のスタイルを創出することが可能となります。
 整備に当たりましては、これまでも議会はもとより、多くの区民の皆様から求められる機能等について御意見をいただいており、引き続き、十分に御意見等を伺いながら、だれもが利用しやすい、利用したくなるような施設としてまいる所存でございます。
 また、本複合施設は、今後、半世紀以上にわたり、多くの区民の皆様に利用していただくことから、整備に当たりましては、施設が十分な機能を発揮できるよう、用地のポテンシャルは最大限に活用すべきであり、規模の縮小は考えておりません。
 なお、こうした事業の実施におきましては、国庫補助等を最大限に活用し、財源確保に努めております。
 区ではこれまでも、行政需要の動向や財政状況、緊急性など、さまざまな観点からその必要性を見きわめた上で、用地取得や再開発事業、あるいは公共施設整備などを推進してまいりました。
 今後も、財政状況等を十分に勘案した上で、必要な行政需要に適切に対応してまいる所存でございます。

【環境清掃部長答弁】
 自然エネルギーの街、荒川を目指してに関する御質問のうち、まず、荒川区内の電力消費量について見える化を図り、家庭に普及させるとともに、区庁舎のスマート化実施することについてお答えいたします。
 東日本大震災に伴い発生した、東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、電力不足への対応や再生可能エネルギーへの転換が求められる中、電力消費の見える化を図っていくことにつきましては、節電などの取り組みがそのまま数値としてあらわれ、その効果を実感することができるため、取り組みの検証とともに、一層の節電行動につながっていくことが期待できるものと認識しており、地域の省電力や低炭素型の地域づくりに有効であると考えております。
 既に、区役所本庁舎をはじめ、サンパール荒川や荒川総合スポーツセンターなどでは、電力使用量をリアルタイムで把握することが可能な電力計測設備を備えております。昨年の夏の時期におきましても、日中、電力使用量が増大する時間帯を中心に、施設の電力使用状況を常時監視しながら、組織的な節電対策に取り組んだところでございます。
 家庭における電力の見える化につきましては、家庭全体の電気使用量などがわかる「省エネナビゲーター」や電化製品ごとの電気使用量がわかる「ワットメーター」などの区民向けの貸し出し事業を実施しており、新たな費用負担を伴うことなく、電力の見える化を実感していただいたところでございます。
 また、南千住地域において、東京ガスと荒川区が事業協力して行っている特別養護老人ホーム「サンハイム荒川」への熱融通を含む「スマートエネルギーネットワーク」の取り組みは、経済産業省の「分散型エネルギー複合最適化実証事業」として補助を受け、地域全体で電気ばかりでなく熱も含めて、エネルギー利用効率を最大化しようとするものでございます。今後も引き続き実証を進め、得られた知見を活用や普及に生かしていく必要があると考えております。
 次に、区における再生可能エネルギーの活用につきましては、「荒川区低炭素地域づくり計画」に基づき、重点施策として省エネルギー化の推進・再生可能エネルギーの導入促進を掲げ、エコ助成の拡大を図るなど、地域全体で積極的に推進しようとしているところでございます。
 また、太陽光発電設備への助成件数につきましても、着実に増加しており、区の地域特性を踏まえながら、地域での一層の創エネルギー拡大を図ってまいります。
 今後、建設を予定しております区施設につきましても、昨年三月に策定した「荒川区公共施設環境配慮指針」に基づきまして、計画段階から導入を図ることとしております。
 PPS(特定規模電気事業者)につきましては、既に、小学校一校、中学校二校において、PPSから電力供給を受けておりますが、今後、経費の抑制といった意味も含め、さらに導入の拡大を図ってまいります。
 なお、自然エネルギーを活用したPPSの育成の観点におきましては、環境配慮契約法に基づき、区が契約を行う際には、二酸化炭素排出係数や自然エネルギーの導入量などを加味した環境配慮基準を設けるなど、事業者におけるさらなる自然エネルギーの導入推進に向けて誘導してまいります。
 次に、放射線量の測定に関してお答えいたします。
 放射線量の測定に当たっては、当初より、統一的な基準の策定などを特別区長会として、国や都へ要請してまいりました。
 こうした要請を受け、平成二十三年十月二十一日に、国が「当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針」及び、放射線測定に関するガイドラインを示しました。こうしたことから区では、十一月七日より、専門機関である首都大学東京に委託し、小学校、中学校、幼稚園及び保育園等、公園、児童遊園等の百九十五施設、八百四十四カ所において放射線量の測定を実施いたしました。その結果、ガイドラインが示す文部科学省への通知等の目安である、地上一メートルで毎時一マイクロシーベルト以上の値はございませんでした。
 これらの結果は、区報特集号、ホームページなどでお知らせしているとともに、区役所情報提供コーナー、各図書館、区民事務所などにおきましても、測定結果の一覧が閲覧できるようになっております。
 現在、都内では文部科学省、東京都健康安全研究センターなど、専門機関によります空間放射線量の測定が引き続きが行われており、毎日結果が公表されております。これらの専門機関が測定したいずれの数値も健康に影響の及ぼす量ではございません。また、文部科学省が行った航空機モニタリング調査の結果につきましても、問題のある値ではございませんでした。
 したがいまして、現時点では、定期的に放射線量の測定を行う状況ではないものと判断しております。
 区といたしましては、今後とも放射線の状況に注視しつつ、専門家の御意見なども踏まえ、適切に対応してまいります。

【教育委員会事務局教育政策担当部長答弁】
 学校・保育園給食の放射性物質測定検査についての御質問にお答えいたします。
 食材につきましては、国におきまして食品衛生法の規定に基づく暫定規制値を超える放射性物質が検出されたものの出荷を制限しており、現在、国、産地の都道府県でしかるべき取り組みがなされております。
 加えて、東京都や牛乳等の製造メーカーでも測定調査を実施しているところでございます。
 そのため、市場で流通している食材は安全であり、給食の安全性は確保されていると認識しておりますが、今回、念のためにデータで安全性を確認することを目的に、学校・保育園等の給食の放射性物質測定検査を実施することとしたものでございます。
 こうしたことから、区内の小中学校、汐入こども園、公立・公設民営・私立の各保育園、認証保育所、認定こども園の全施設におきまして、牛乳を含む調理済みの給食について、それぞれ一回、文部科学省が目安として示した、キログラム当たり四十ベクレルを基準として検査を実施することにより、所期の目的であります給食の安全性を確認できるものであり、定期的に測定検査を行う必要はないものと考えているところでございます。
 なお、現在、実施中の測定検査の結果でございますが、二月十三、十四の両日にそれぞれ十件、二日間で計二十件の測定検査を行いまして、いずれの給食におきましても不検出という結果でございました。
 この結果につきましては、区のホームページ及び各学校、保育園等で公表しておりますので、よろしくお願い申し上げます。

《質問》

 第三に、子育て支援についてであります。
 保育園の入園通知、不承諾通知が来週からいよいよ発送されます。不承諾者数は三百数十人に上り、昨年と比べても増大するような気配であります。南千住地域では、現在建設予定の七丁目保育園のすぐ隣のマンション二百十五戸だけでなくて、これをつくっている伊藤忠系列の業者が千住間道、南千住一丁目にも七十六戸のマンション建設の話が持ち上がっております。中小マンションが増加している日暮里地域、また南千住でも引き続き保育園需要の拡大が続いていきます。しかし、しおいり保育室を来年度一年限りとしているようであります。保育の質を担保しつつ認可園を中心に増設が必要です。あわせて日暮里、南千住で、引き続き保育園需要にこたえる緊急対策も含めて求めたいと思います。お答えをお願いいたします。
 区は、新年度、認可園に入園できず、認証保育園を利用する乳幼児については、保育料の差額を所得対応で助成することとしています。この考え方については賛成であります。あわせて、認可園から漏れたお子さんは認証園だけではありません。無認可保育室、保育ママ利用も含めて、統一的な制度としていただくことを求めておきます。積極的な答弁を求めます。
 また、西日暮里六丁目冠新道商店街の中にあるマンションを取り壊し、保育園を建設、運営は株式会社が建物を賃貸して行うという認可園の計画が報告されております。
 子どもたちの成長のときは一回だけの時期であります。それだけに、その保育の責務を認識した保育事業者の姿勢がとりわけ重大であります。
 荒川区は、この間じゃんぐる保育園という儲け主義で、虚偽の報告や保育体制で補助金を支出した経験もあり、現在でも対応が問われています。この教訓から認証保育園誘致に当たっても、区はプロポーザルを行うなど関与してまいりました。
 今回の株式会社の保育園参入計画についても、同様に、区として他の社会福祉法人なども含め、よりよい事業者選定のために、必要な方式を導入して保育の質の担保に力を注ぐことを求めたいと思います。お答えください。
 また、四歳以上になれば、保育園か幼稚園に一〇〇パーセント近くが通園して、集団生活を営みます。もちろん在宅保育と交流サロンなどの支援も重要であります。しかし、現在の荒川区の幼稚園通園では、半数の八百人が他区へ、区内でも大変な狭き門でバス通園が日常化しています。身近な地域で学校同様に幼児教育、保育ができる環境の整備は自治体の基礎的な責務ではないでしょうか。再三にわたって、この問題も取り上げてまいりました。しかし、来年度以降さらに廃園も計画されています。アンケートでは、貨物ヤード、セメントサイロの跡地活用などの意見も出てきております。そこで必要に応じて、区立園の増設や学校法人の誘致の支援も検討すべきだと思います。その後の検討と対応についてお答えをいただきたいと思います。

《答弁》

【子育て支援部長答弁】
 子育て支援についての御質問のうち、最初に、保育園の増設についてお答えいたします。
 荒川区における認可保育園への入園申込者数は、乳幼児人口の増大などの影響により、近年増加を続け、昨年四月においては、五年前の平成十八年度と比較し、四百人近くも増加している状況でございます。
 こうした状況を踏まえ、区では、昨年四月、南千住駅前保育所の開設支援や旧南千住五丁目ひろば館を活用した認証保育所の開設、さらに、緊急対策として区直営のしおいり保育室を整備し、保育利用定員の大幅な拡大を図ってまいりました。この結果、昨年四月一日現在の待機児童数は、三十九人にまで減少いたしました。
 平成二十四年度には、南千住七丁目保育園を開設し、日暮里駅前の私立認可保育園の開設を支援いたします。また、二十五年度には、(仮称)東日暮里三丁目保育園を開設するとともに、西日暮里六丁目の私立認可保育園の開設を支援し、二カ年で五百人近い定員を拡大する予定でございます。
 今後も、保育需要を的確に把握し、適時適切な対応を図ってまいる所存でございます。
 次に、保育料の差額助成の御質問にお答えいたします。
 認証保育所の保育料は、保護者の所得によって定まる認可保育園の保育料と異なり一律となっているため、認証保育所を利用している保護者の大部分が認可保育園を利用した場合と比べ、高い保育料を負担しております。認可保育園の保育料の月額は平均約一万八千円、認証保育所の保育料の月額は約五万円から七万円となっております。
 このため、保護者の経済的な負担軽減を図り、不公平感を解消するため、新年度より認可保育園との差額を助成することといたしました。
 御質問のうち保育ママなどの保育料にかかわる差額助成につきましては、今後、検討してまいりたいと存じます。
 次に、西日暮里六丁目の私立認可保育園についての御質問にお答えいたします。
 事業者から私立認可保育園の設置にかかわる相談があった場合は、地域の保育需要や中小企業診断士による財務診断結果、当該事業者の運営実績を総合的に評価するとともに、当該事業者が運営している保育園の状況を調査し、設置の可否を判断しております。
 西日暮里六丁目の私立認可保育園につきましても、十分な評価と調査を実施したところであり、事業者をプロポーザル方式により選定する必要はないと考えております。
 次に、幼稚園についての質問にお答えいたします。
 近年、区内の私立幼稚園が新たな入園募集を中止したことなどの影響により、区内の私立幼稚園等に通う児童が減少し、区外の私立幼稚園等に通う児童が増加しております。
 昨年五月一日現在では、幼稚園児数二千二百五十二人のうち、区立幼稚園の児童の割合が二七パーセント、区内の私立幼稚園等の割合が三三パーセント、そして、区外の私立幼稚園等の割合が四〇パーセントとなっております。
 区では、区内の身近な幼稚園にお子さんを通わせたいという保護者の要望にこたえるため、区立幼稚園の定員の弾力的運用により、三歳児の募集人数をふやしております。
 私立幼稚園については、園の設置者に対して、教育環境や施設の整備に対する補助金を交付し、園の安定した運営を支援しております。また、閉園を予定している園の設置者に対しては、園の継続や、施設を引き続き幼稚園として他の法人に貸し付けていただくことを要請してまいりましたが、困難な状況にあります。
 さらに、私立幼稚園の誘致についても検討しているところでございますが、幼稚園の設置に必要な用地の確保が難しい状況にあります。引き続き、用地に関する情報の収集に努めるなど、私立幼稚園の誘致について検討してまいる所存でございます。

《質問》

 最後に、路上喫煙防止対策についてであります。
 アンケートの自由記載の中で、比較的多数の声が駅前をはじめ路上での喫煙についての苦情と徹底した区の対応を求めるものがあります。私も再三にわたって、南千住駅前の喫煙防止の啓発活動と取り組みを求めてまいりました。吸うのが恥ずかしくなるような目立つ、徹底した横断幕などの宣伝物を常時掲出することや、指導員の配置と喫煙防止活動方法の開拓なども必要かと思います。
 この際、見るべき成果が上がるように、南千住をはじめ、各駅と路上での喫煙防止の本気の対策を求めます。対応方を御説明をいただきたいと思います。
 以上で一回目の質問を終わります。(拍手)

《答弁》

【環境清掃部長答弁】
 最後に、路上喫煙防止対策の取り組みについてお答えいたします。
 平成二十一年六月一日から改正施行いたしました、まちの環境美化条例では、人通りの多い場所で喫煙により引き起こされる迷惑で危険な行為を防止するため、南千住、三河島、新三河島、町屋、日暮里、西日暮里の六駅周辺を路上喫煙禁止地区とし、終日指定地区内での喫煙を禁止としております。
 区では、改正条例施行直後から、各指定地区内におきまして、スピーカーによる呼びかけや啓発チラシの配布などの方法により、喫煙者に注意喚起を行うなど路上喫煙禁止啓発指導パトロールを実施しております。
 そのほか、路上喫煙禁止を周知するリーフレットを二万枚ほど配布するとともに、区報及び区報特集号でのたび重なる広報活動、また区営掲示板や町会掲示板ばかりでなく、電車やバスの中にもポスターを掲出してまいりました。駅構内には大きな横断幕を張るとともに、路上喫煙禁止路面標示ステッカーを指定地区全域に四百枚以上貼付いたしまして、さまざまな周知徹底策を行っております。特に、南千住駅につきましては、改札を出た道路のガードパイプに、常時路上喫煙禁止であることを示す横断幕も掲出しておるところでございます。
 さらには、区内の企業にも個別に説明に伺い、協力を呼びかけるとともに、毎年五月から六月の環境美化推進期間には、町会や有志の方々にも御協力をいただきまして、駅前においてキャンペーン活動を行うなど、継続して啓発活動を実施しております。
 これらの結果、本年一月に行いました歩きたばこなどの調査におきまして、喫煙率は〇・二三パーセントとなっており、平成十六年と比較して十三分の一程度まで減少しており、一定の効果を認めているところでございます。本年二月末には、これまでの四倍程度の大きさの路上喫煙禁止路面ステッカーの貼付を南千住駅、日暮里駅、西日暮里駅、町屋駅の改札口近くにおいて予定しており、区内全域でのさらなる周知徹底を図ってまいります。区といたしましては、今後とも、さまざまな工夫を凝らし、路上喫煙防止に努めてまいります。
 また、多くの人が集まる場所での喫煙につきましては、喫煙をされない方への配慮が不可欠でございます。関係部とも連携し、事業者に対して啓発を行ってまいります。

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