区議会だより

2008年第2回定例会

2008年 第1回第3回第4回



【横山幸次区議】

  1. 高齢者の命とくらしを守るために
    1. 区長として高齢者の医療、介護の抑制を図る「社会保障構造改革」への認識を問う。また「後期高齢者医療制度」の廃止を政府に対して求めるべき。
    2. 「高齢者プラン」策定にむけて、これまでの首都大学と共同で行った調査などを生かすとともに、低所得者の利用抑制や要介護者のサービス利用実態など調査・分析し施策に反映させること。
    3. 最低生活費を割り込む高齢者からも年金天引き含めて介護保険料、国保・後期高齢医療保険料を徴収することは、生存権の侵害であり、やむを得ない滞納で医療介護難民を生むことにもなり、免除制度を検討すること。
  2. 子どもの貧困の連鎖を断ち切るために
    1. 「子育て支援需要調査」に基づき区事業の改善をどう図るか問う
    2. 義務教育無償の原則に近づけるため「学校給食」「教材教具」などの公費負担あり方を検討すること。
    3. 低所得の子育て世帯に対する生活支援として家賃助成などを検討すること。
  3. 教育環境の整備にむけて
  4. 地域経済活性化に向けて
    1. 「産業振興センター」設置を具体化すること。
    2. 区内の産業集積を生かす一環として、企業、個人を問わず今後に引き継ぐべき技術、技能を掘り起こし、後継者を全国に求め、養成中の費用を支援すること。
    3. 区内での起業、創業事例を成功、失敗などその内容含めて把握し、今後の支援策に生かすこと。
  5. 都営住宅の建替え問題について
    1. 居住室面積が国の最低居住水準を下回る都営住宅建替え「型別供給基準」の見直しを求めること。
    2. 都営住宅の建替えにあたっても「集合住宅の建築及び管理に関する条例」を適用すること。
  6. 京成線高架下の整備について
    1. 区民の多大な犠牲の上で生まれた高架下の活用方法として、自転車・バイク駐車場設置に向けて京成電鉄へ要請の現況を問う。
    2. 自転車・バイク駐車場の整備にあたって京成電鉄、東京メトロ、東京都、商業施設などに応分の費用負担を求め、快適な空間確保をはかること。

《質問》

 私は、日本共産党区議団を代表して質問します。
 自公連立政権のすすめる「構造改革路線」によって、国民は、格差と貧困の拡大にさらされ、痛めつけられてきました。2002年頃から景復は回復基調などと言われましたが、増大したのは大企業の役員報酬と株主の配当、労働者の賃金は減少、景気回復で減るはずの生活保護受給も増加の一途です。老年者控除廃止、公的年金控除の縮小、低所得高齢者の住民税非課税限度額の廃止、定率減税廃止など庶民増税、社会保障削減による医療・介護の負担増やサービスの切り下げが相次ぎました。いま年間通じて働いている人で年収200万円以下が1000万人を超え、国民生活基礎調査によると平均所得以下の世帯が6割以上、200万円未満の世帯が2割近くに及んでいます。こうした背景に、1999年の労働者派遣法原則自由化、2003年の製造業への派遣自由化による非正規労働の拡大にあったことは明らかです。いまや若者達の将来への希望さえ奪う社会になっているのではないでしょうか。まさに国民には、痛みに次ぐ痛みの連続です。
 4月1日に実施された後期高齢者医療制度は、こうした「構造改革路線」の医療分野での総仕上げとして導入されました。しかしこの制度への国民の怒りと怨嗟の声は、日を追う毎に広がっています。それは、沖縄県議選でもハッキリと示されました。
 国民が怒っているのは75才という年齢で医療を別枠にして差別し、医療費削減の標的にして限りない負担増と医療内容も差別する「姥捨て山」制度です。名称を「長寿」に変え、均等割の9割減額などの見直しですむ問題ではありません。荒川区の老人クラブをまわりましたが「博善社への片道切符だ」となげいておられました。米寿も喜寿も喜べない、長生きを喜べない国にしていいのでしょうか。若い人に迷惑をかけられないから、高齢者も負担しなければと言う方もいらっしゃいました。子や孫を心配する高齢者に我慢をさせる前に削るべきムダがあるはずです。姥捨て山からみんなでお年寄りを背負って、引き返そうではありませんか。
 2015年まで医療費削減目標3兆円の内2兆円、25年まで8兆円削減目標の内5兆円を75才以上の高齢者の医療費削減と負担増で捻出する一方で、大企業の減税や米兵の娯楽費まで含めた「思いやり予算」、大型公共事業や軍事費などのムダにいっさい手を付けず聖域扱いです。挙げ句に、財源問題を持ち出し「消費税増税しかいない」などいっそうの国民負担を求める考えを示しています。
 政府の進める「社会保障構造改革」は、結局、ギリギリの生活をしている高齢者にまで繰り返しの負担を求めるなど弱者切り捨てです。区長は、毎年社会保障費を2200億円削減するなど、政府の進める高齢者医療や介護の抑制をねらった「社会保障構造改革」についてどうお考えでしょうか。認識をお聞かせ下さい。
 また、後期高齢者医療制度の廃止を区長として政府に対して強く求めるべきだと考えますが、見解をうかがいます。
 介護保険について、所得階層別の介護認定の現状を示していただきました。この数字は、6月の介護認定状況を昨年度の賦課で計算したもので実際と多少の誤差はありますが、傾向は明瞭です。要介護者・要支援の占める割合は、生活保護と老齢福祉年金受給者の第一段階で、この所得階層全体の27%程度、世帯全員非課税で年収80万円以下の第二段階で全体の25%程度となっています。世帯全員非課税で年収80万円以上の第三段階で16%、本人は非課税で課税されている家族と一緒に住む第四段階は約15%となっています。ところが、第5段階から第8段階の要介護認定では、各段階の8%から9%であり、2倍以上の開きがあります。これだけ見ても、低所得による経済的格差、貧困が健康や身体状況に大きな影響を与えていることがハッキリと読みとれます。荒川区は、所得階層別の利用状況など調査をしていません。私どもは以前から、低所得層での経済的理由によるサービス抑制を問題にし、所得階層別のサービス利用状況の調査、分析の必要性と対策を求めてきました。
 介護保険制度になって、高齢者介護の実態を区として直接掌握することがなくなりました。あがってくるのは、数字の固まりとしての「介護保険料」「介護サービス」の量であり、その変動です。区民の中で、真に必要なサービスが提供されているのか、されてない実態があるとすれば、その原因は、何か、経済的理由なのか、それとも家族の考えなのかなどつかむことから、生きた支援策が出てくるのではないでしょうか。
 来年に向けて「高齢者プラン」の改定があります。所得階層別のサービス利用実態などの分析を行うべきです。「高齢者プラン」策定にむけて、これまでの首都大学と共同で行った調査などから高齢者の生活実態などリアルに掘り下げるとともに、低所得者の利用抑制や要介護者のサービス利用実態など調査・分析し施策に反映させることを求めます。お答え下さい。
 保険料滞納者への資格証明証の発行、保険証の取り上げで医療から排除さる問題が、5月11日のNHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス」で放送されました。国保料を払いたくても払えず、緊急入院でも入院費が払えないからと、病院を抜けだし再入院も手遅れで命を落とす、機能しない生活保護など、この国のセーフティーネットの底抜け状態をリアルに取り上げた番組でした。
 荒川区では、毎年1000世帯前後に国保の窓口10割負担の資格証明証を出しています。その中には、高齢者のいる世帯が約100程度、子どもを扶養している世帯も含まれています。
 日本医療政策機構の実態調査では、低所得者に受診抑制が顕著という結果が2年連続あらわれました。今後、70歳〜74歳窓口原則2割負担になれば、いっそうひどくなることが予測されます。
 この7月から後期高齢者医療の保険料納付、10月からは年金天引きです。これまでも暮らせない年金から介護保険料が天引きされていましたが、加えて医療保険料のダブル徴収です。また65歳以上の国民健康保険加入者も年金天引きがはじまります。とりわけ、最低生活費を割り込む高齢世帯は、生活そのものを切り下げるしかありません。現実に、所得階層で世帯全員非課税の1段階から3段階の方は、14,000人以上に上っています。家族全員非課税で80円万以下の収入のかただけでも、7,000人を超え貯金の取り崩しなどでギリギリの生活です。介護保険料は、無年金か18万万円以下の年金の方は普通徴収です。毎月、無年金で約2000人が保険料の滞納を余儀なくされ、介護保険サービスの利用をあきらめています。当然、後期高齢者医療制度の保険料も滞納の可能性があります。介護も医療も保険証の取り上げが、問題になってくるでしょう。年金も収入もない方からも保険料を求める仕組みがそもそも間違っています。低所得の階層で医療、介護など社会保障から排除され「医療、介護難民」を生み出すことになりかねません。こうした事態を許さないため荒川区として何ができるのか真剣に考えるときです。
 最低生活費を割り込む高齢者に対する介護保険料、国保・後期高齢医療保険料などの納付義務は、生存権の侵害であり、滞納者をつくり医療介護難民を生むものです。低所得者の実質的な免除制度を検討することを再度求めます。

《答弁》

【区長答弁】
 社会保障制度及び後期高齢者医療制度についてのご質問にお答えいたします。
 我が国においては、昭和三十六年、国民健康保険事業が全国の区市町村で実施され、国民皆保険制度が開始されました。その後、高度経済成長の下、医療保険の給付率の改善や年金水準の引き上げなど、社会保障制度の拡充が行われてまいりました。
 しかしながら、経済の低成長化や急速な少子高齢化等に伴い、社会保障制度全般にわたる課題が生じてきております。
 第一に、高齢化の進展に伴う給付費の増加によって、現役世代の負担が年々重くなっているため、給付と負担のバランスや世代間の不公平の是正が求められていることであります。
 第二は、医療や年金、介護等の社会保障関係費が、国の一般歳出の半分を占め、巨額な財政赤字の下で、負担が将来世代に先送りされていることであります。
 第三は、日本の社会保障制度は、労使折半で保険料を負担する方式を基本としているため、社会保障制度を充実する場合には、個人及び企業の負担の増加が不可欠になる点であります。
 私は、こうした諸課題を解決し、我が国の社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとしていくためには、給付と負担のバランスや世代間・世代内の負担のあり方などを見直しする制度改革は避けられないと考えております。
 ただし、私は、基礎自治体の長として、社会保障制度の改善に当っては、次の二点が極めて重要であると考えております。
 第一は、後期高齢者医療制度の発足に当っても強く主張してまいりましたが、国と自治体や自治体間の負担の公平性についてであります。国が負担すべきものは負担し、自治体や国民の負担が過重にならないこと、また、特定の自治体に負担が偏らないことであります。今後とも、特別区長会の場などで、こうした観点から意見を申し述べてまいります。
 第二は、制度の枠にとらわれずに、地域の創意工夫を生かし、区民福祉の向上のための施策を実施していくことであります。これまでも、障害者自立支援法の施行に伴う負担軽減策等を行ってまいりましたが、今後の制度改革に当たりましても、区として何ができるのか、あるいは、何をすべきなのかを積極的に検討してまいる所存でございます。
 続いて、後期高齢者医療制度についてお答えいたします。
 この制度は、高齢者と現役世代の負担を明確化するなど、従来の老人保健制度の問題点を改善し、国民皆保険制度を維持していく目的で実施されたものであると承知しております。
 一方で、先ほど申し上げましたように、財源負担や保険料設定などに改善すべき点があったため、その是正を強く求め、実現を図ったところであります。
 本年四月の制度開始以来、制度廃止も含め、各方面から様々な意見や批判が寄せられております。私は、制度を廃止し、老人保健制度に戻しても、問題は解決しないと考えております。
 最も重要な点は、本制度のメリットとデメリットを改めて検証し、デメリットについては改善を図っていくことであります。
 区民や議員の皆様からのご意見を踏まえ、私が本部長を務める後期高齢者医療制度対策本部において、制度の内容や周知方法等についての議論を進め、国に対して積極的に意見を申し述べてまいります。

【福祉部長答弁】
 高齢者プラン策定についてのご質問にお答えいたします。
 区では、高齢者のだれもが、住み慣れた家庭や地域で個人として尊重され、自らの意思と選択に基づく自立した生活を、いきいきと営むことのできる生涯健康都市を実現するため、本年度、平成二十一年度から二十三年度までの三年間の第四期荒川区高齢者プランを策定することとしております。
 プランの策定に当りましては、第三期高齢者プランの進捗状況を検証するとともに、高齢者や要介護者の生活状況、介護保険サービス等の利用意向、また、介護保険サービス事業者のサービス供給量等を把握し、今後の高齢者保健福祉及び介護保険事業に反映させていくことが重要であると認識しております。
 このため、第四期高齢者プラン策定の基礎データとするために、高齢者の生活状況調査、要介護等高齢者の実態調査、介護保険サービス事業者に関する調査を実施することとしております。これらの調査結果、特に、高齢者や要介護者の生活実態とニーズを詳細に分析・把握した上で、第四期高齢者プランを策定してまいる所存であります。
 なお、ご質問にございました首都大学東京健康福祉学部との共同調査につきましては、昨年十一月、主に閉じこもりや認知症に関連する要因を解明し、新たな施策の展開を図る目的で、高齢者等の生活実態調査を実施したものでありますので、第四期高齢者プランの策定にも活用してまいりたいと考えております。

【福祉部長答弁】
 高齢者の保険料についてのご質問にお答えいたします。
 高齢者の皆様の保険料は、介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料とも所得に応じて算定するものであり、いずれの保険料も、低所得の方については、軽減措置がとられております。
 介護保険料については、八段階ある所得段階のうち、第一、第二段階の保険料率は基準額の二分の一、第三段階は基準額の四分の三になります。また、一定の要件に該当する第三段階の方を対象として、区独自の保険料軽減制度を実施しております。
 国民健康保険料及び後期高齢者医療保険料につきましては、世帯の所得が一定額以下の場合は、均等割額を所得に応じて七割、五割、二割減額することとなっております。
 このように、低所得者の保険料については一定の軽減措置がとられていること、また、保険制度は被保険者が応分の負担をすることにより皆で支えあうことを前提とした制度であることから、災害により重大な損害を受けたとき、事業の休廃止により収入が著しく減少したとき等を除いて、保険料の免除を行うことは望ましくないものと認識しております。

《質問》

 次に、子どもの貧困についてうかがいます。
 OECD経済協力開発機構が行った調査報告によりますと、その国の可処分所得の中央値の半分を貧困ラインとして、これ以下の収入しかない家庭で暮らしている子どもの割合を貧困率と規定しています。2000年の段階で日本の場合、夫婦子ども一人で手取り年収240万円です。その指標で見ると子どもの貧困率は、14・3%で他のOECD諸国と比べて高くなっています。さらに非正規雇用の拡大など状況は、いっそう悪くなっています。
 OECDによると、日本の子どもの貧困率がじわじわと上がり続け将来はOECD諸国の平均12・2%の2倍、実に4人に1人にまで高まる危険があるとしています。また「学校教育や塾の費用の高さを考慮すると、貧しい家庭の子どもは不十分な教育しか受けられず、それ故成長の可能性が阻まれがちで、貧困が次の世代に引き継がれる危険にさらされている」「日本の子どもの貧困率の増大の一つとして母子、一人親の中での貧困が広がっている事を重大視している」と警告しています。
 政府としてこの警告を重く受け止め本格的な対策が必要ですが、社会保障構造改革は、生活保護母子加算削減廃止、児童扶養手当縮減などなど、このいちばん弱い部分を切り捨てるものとなっています。
 荒川区の就学援助は、昨年度まで生活保護の1・1倍だったにもかかわらず小中学生の三分の一、三人に一人が受給するまでに増加しています。最低生活を割り込む階層が、高齢者とともに子育てをしている世帯に多いことも重大です。
 荒川区は、子ども医療費の無料化、妊婦健診助成の拡大、保育料の軽減など子育て支援を広げてきましたが、この貧困層の広がりの中でいっそうの対策が必要と考えます。
 子育て支援需要調査を見ると、一年間の教育費の平均は約25万、給食費52,000円、その他実費約53,000円、合計で年約35万円となっています。
 また一人親家庭は、15%にのぼり、一人親になって一番困ったことはやはり「経済的不安」であり、その要望は「都営住宅への入居や家賃補助」「児童扶養手当・育成手当の増額」等、財政的支援です。NHKのワーキングプア特集でも母子家庭のことが取り上げられましたが、昼夜二つのパートをかけもち、帰宅は毎晩夜中の2時、睡眠時間も4、5時間、「あと十年頑張れば子どもは巣立つでしょう。しかしその時は私の体はぼろぼろ」と語っていたのが胸を打ちました。
 こうした子育て世代の実態を示す「子育て支援需要調査」に基づき区事業の改善を今後はどう行っていくのかお答え下さい。
 相次ぐ値上げで暮らしが大変な中、学校給食費も値上げです。給食の原材料費は保護者負担の考え方ですが、それでよいのでしょうか。
 また、私費負担となっている教材教具についても憲法の義務教育無償の原則からすれば、この部分への公費のあり方も当然検討すべき課題ではないでしょうか。港区では、今年度からは補助教材の全額公費負担を行い、ワークブック、資料集、ドリルなど年間で小学校一人78,000円、中学校で一人15,000円から18,000円程度の保護者負担が軽減されると言います。さらに理科実験セットや家庭科エプロンづくり材料費など学習材料の補助も一人年間4,000円を限度に行っています。
 せめて、義務教育無償の原則に近づけるため「学校給食」「教材教具」などの公費負担あり方を検討することを求めます。
 合わせて低所得の子育て世帯に対する生活支援として家賃助成などを検討すべきです。お答え下さい。

《答弁》

【子育て支援部長答弁】
 「子育て支援需要調査」に寄せられている、区民からの意見や要望に対する対応についてのご質問にお答えいたします。
 「子育て支援需要調査」は、家庭内における子育ての状況や子育て支援に対する要望を把握することを目的として、昨年十月に実施したものでございます。
 本調査から、子育て世代では、荒川区での居住年数が五年未満である方が半数近くにのぼること、子育てについての悩みがある保護者が少なくないこと、子育てに関する情報提供が求められていること、ひとり親家庭に対するきめ細かな支援策が求められていることなど、施策展開に当って参考とすべき事項が多く得られたところであります。
 この調査結果を踏まえ、区では、本年度におきまして、二十四時間、電話による相談ができる「あらかわキッズコール二十四」の実施、「あらかわ区報キッズ」の発行、子育て専用ホームページの開設、子育て支援モニター制度の創設など、数多くの新規事業の展開を図っているところでございます。
今後とも、子育て世代の方々のご意見、ご要望に対応した、効果的できめ細かな子育て支援施策の推進に努めて参ります。

【教育委員会事務局次長答弁】
 次に、義務教育における公費負担のあり方に関するご質問にお答えします。
 義務教育に要する経費負担の考え方につきましては、公費負担を原則としつつ、利益が個人に還元されるもの等につきましては、個人の負担としております。
 こうした考え方に基づき、区立小・中学校では私費会計という形で、教材費や給食費等を保護者から徴収しておりますが、経済的に修学が困難な家庭につきましては、生活保護や就学援助等により経済的な支援を行うことで、教育の機会均等と義務教育の円滑な実施を図っているところであります。特に就学援助では、今年度から認定基準を緩和することにより、制度の充実を実現したところであります。
 さらに、学校給食につきましては、先にご報告をさせていただいたとおり、この度、外部の有識者も含めた検討会を設置し、その中で、学校給食の充実とあわせて公費負担のあり方についても検討してまいる予定でございます。

【子育て支援部長答弁】
 子育て世帯に対する生活支援についてのご質問にお答えいたします。
 荒川区におきましては、子育てに関する負担の軽減を目的に、子ども医療費助成の中学生までの拡大や認証保育所保育料の助成などの支援策を実施して参りました。さらに今年度におきましては、区立幼稚園入園料の廃止、私立幼稚園入園料補助の拡大、第三子以降の保育園保育料無料化など、全国でもトップクラスの子育て支援策を実施いたしているところでございます。
 区といたしましては、今後とも、子育て世帯が、安心して子どもを生み育て、子育てに楽しさと喜びが感じられるよう、さまざまな生活支援策を推進して参ります。
 なお、お尋ねのありました、家賃助成につきましては、すでに低家賃の公営住宅が整備されていること、単なる現金給付的な施策は望ましくないこと、子育て世帯に限らず、すでに生活保護制度の中で住宅扶助が実施されていることなどの理由から、低所得の子育て世帯に特化した家賃助成制度を創設することは困難であると考えておりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。

《質問》

 次に、教育環境整備についてうかがいます。
 いま区内小中学校で、汐入小学校をはじめ40人目いっぱいのクラスが出現しています。現在40人になった学級は、汐入小2年3クラス、尾久西小2年1クラス、諏訪台中2年3クラスにのぼっています。すでに汐入小2年では、転入によって41人クラスまで生まれています。それでなくとも今日小学校低学年の学級運営や学習指導は大きな困難を抱えています。こうした現状から子どもの学習環境を守るため、小人数学級は待ったなしではないでしょうか。
 破綻した新銀行東京に400億円出す一方、少人数学級には予算を付けない。東京都は、全国で唯一教員の増配置の弾力的運用を認めていません。当然年度途中で子どもの人数の変動があってもクラス分割ができる訳ではありません。現場の声を聞き、必要な対応が求められます。
 小中学校で40人以上のクラスが生まれている現状について、教育上どう考えているのか見解をうかがいます。

《答弁》

【教育委員会事務局次長答弁】
 次に、学級編成に関するご質問にお答えします。
 区立小・中学校における学級編制につきましては、法律に基づき、一学級の児童・生徒の人数を四十人と定めた東京都教育委員会の学級編制基準により、あらかじめ東京都教育委員会と協議したうえで、その同意を得て行うことになっております。
 したがいまして、本区におきましては、都の基準に基づき、一学級四十人の学級編制を行っており、年度途中の新たな児童生徒の転入により、四十人を超える学級が生じることもございます。
 しかし、教育委員会といたしましては、学級の人数にかかわらず充実した教育が行われるよう、東京都教育委員会から区に加配されている教員を配置したり、少人数に分かれて学ぶ習熟度別学習やティーム・ティーチングを全ての小・中学校で実施するなど、きめ細かな指導に努めております。さらに、今年度は新たに「算数大好き事業」として、小学校一、二年生の三十人以上の学級に、区の講師を配置し、少人数指導を行っております。
 教育委員会といたしましては、今後とも学級の人数や規模にかかわらず、教育の成果が十分あらわれるよう、多様な支援策を工夫し、学校教育の充実を図ってまいります。

《質問》

 次に地域経済活性化についてうかがいます。
 荒川区が首都大学などと連携してはじめたMACCプロジェクトの参加企業によって試作品、新商品づくりがはじまりました。
 昨年の新製品づくりをめざす首都大学と共同実施の「高齢者のニーズ調査」は、全国からも注目されて、担当の教授も講演に忙しいようです。また、産学公連携のためコーディネーターを配置しました。この方は、技術経営、経営革新などを専門分野としてインキュベーションマネージャーなど多彩な経歴をお持ちです。区内の事業主と大学の間に立ったアドバイスは、新たな発想を生み、あるいは、SGマークなど安全性確認などの知識や、産業技術高専に耐久性調査を依頼するなど具体的な生きた成果に結びついているようです。
 元気をなくした区内小零細企業に、新たな意欲を喚起し新商品づくりと実際に売れる商品を生み出すところまで進展しています。
 NHKや民放などにも登場した、町屋のパイプベンダーの専門会社がMACCに参加する中で製造した、自立杖フェレットは、この二ヶ月余りで80本を超える注文を受けています。
 メイドイン荒川の製品が、メガヒットを飛ばす日が来ることを期待したくなります。そこまでいかなくとも、社会や区民に役立つ製品の誕生は、確実なヒットを重ねるものであります。実際、80本の杖の製造は、さまざまな部品の調達や塗装、梱包材などにも波及して、区内企業に動きを作りだしています。直接的に小零細企業が一つでも二つでも元気になることでさらに地域の元気も拡大します。
 このように直接区内事業者を支援するコーディネーターの成功は、きわめて象徴的です。現在、非常勤コーディネーターは二名体制ですが、地域経済を活性化させれば区民生活にも還元されるものであり、必要な専門家の育成と配置に財政支出を渋ってはなりません。
 合わせて、地域産業支援の総合相談窓口、技術支援や検査機器の提供、異業種交流や製品開発などの場を提供する、拠点施設としての支援センターの設置が必要であります。
 長年の懸案である、人と場を提供する産業支援センターの具体化について答弁を求めます。
 次に、事業者が元気になれば後継者も生まれます。しかし、区内企業や事業者の現実は70%が後継者なしと言われています。区内企業の零細とは言え産業集積を生かしていくために、区内の技術・技能の掘り起こし、後継者育成のための養成中の財政支援なども検討することを求めます。
 最後に、区内のこの間の起業、創業の実態とその成功、失敗などの特徴点の把握と分析を行い、産業振興策の改善、充実に役立ててはどうでしょうか、見解をうかがいます。

《答弁》

【副区長答弁】
 産業振興センター設置についての質問にお答えします。
 区では、産業振興懇談会での提言を踏まえ、平成十八年度から二か年にわたり、産業振興施設の必要性、施設に求められる役割、機能、設置場所、配置プラン、事業コストなどについて調査研究を行ってきました。
 その調査研究においては、産業振興施設には、区内産業の総合的な支援拠点としての役割と新産業創造促進拠点としての役割の二つが求められ、そして、その内容として、ワンストップサポートセンターとしての機能、インキュベーションセンターとしての機能、ビジネス交流センターとしての機能の三つが必要となるとされています。
 これらの機能を持つ施設の設置場所としては、東尾久周辺地区、南千住周辺地区、西日暮里周辺地区が考えられ、土地の制約条件、人の流れ、交通アクセスの利便性などを考慮すると、現時点では、西日暮里周辺地区が相応しいのではないかとの方向性が示されています。
 産業振興施設については、土地取引のチャンスが突然訪れる可能性があること、国等の関係機関の補助制度の活用の可能性もあることなどから、これらに係る情報の収集に努めるとともに、こうしたチャンスにも即応できるようにして参りたいと考えています。
 今後、事業コストなどにも考慮し、議会や関係機関等のご意見等もさらにお聞きしながら、産業振興基金の活用も視野に入れ、施設の設置に向けた検討を深めて参りたいと考えています。

【副区長答弁】
 技術・技能の掘り起こしと後継者養成への支援についての質問にお答えします。
 急速にグローバル化が進展する中、日本のモノづくり産業が生き残っていくためには、経済発展が著しいアジア諸国などに真似のできない先端技術に加え、我が国製造業の強みの源泉であるプレス、めっき、鋳造、金型設計などの高度な基盤的技術や卓越した技能を円滑に受け継ぎ、これを発展させていくことが極めて重要であると認識しています。
 こうした技術・技能を受け継いでいただく後継者づくりの支援については、何よりも、現在の技術・技能を活かしたモノづくりが、グローバルな経済競争環境の中で将来的にも事業として成り立つことが肝要であります。このため、MACCプロジェクトを中心とした産業振興施策の推進により、技術・技能のさらなる高度化、企業の経営革新や経営基盤の強化を支援して参りたいと考えています。
 また、後継者の養成についても重要なテーマでありますので、この中で積極的に取り組んで参ります。本年度からは、「若手経営者・後継者の会」を設置し後継人材の育成に力を入れるほか、大手・中堅企業との連携を視野に「区内製造業技術力スクリーニング調査」を実施し、技術力のある企業の発掘にも努めて参ります。
 なお、養成中の費用を直接支援することについては、第一に、どのような技術・技能を対象とするのか、第二に、最低でも一〇年はかかるといわれている技術・技能の習得に対し、いつまで助成するのか、第三に、技術・技能の習得の効果をどのように検証するのか、などといった検討すべき課題が存在していることから、既に取り組んでいる自治体の事例を把握し、その効果を検証するなどしつつ、引き続き調査研究して参りたいと考えています。

【副区長答弁】
 起業、創業事例を把握し、今後の支援策に活かすことについての質問にお答えします。
 区内の事業所・企業数が減少する中、地域経済の活性化のためには、既存企業の経営基盤を強化する一方で、創業や起業を促進する環境を整備することが重要であると認識しています。
 このため、区においては、@全国に先駆けた創業支援施設である「西日暮里スタートアップオフィス(NSO)」の運営、A区の融資制度の中で最優遇の金利での「創業支援融資」の斡旋、B女性起業、店舗開業、会社設立などの目的別にコースを設けた起業家支援塾の開催、C専門相談員による創業相談などの事業を実施しています。
 これらの事業を実施する中で、支援策を利用した事業者に対してフォローアップ調査を実施するとともに、企業相談員による個別訪問などにより、起業、創業実態の把握に努めています。また、起業家支援塾においては、起業、創業に係る成功・失敗の事例を数多く紹介しています。
 区としましては、今後とも、業務連携をしている中小企業基盤整備機構や東京都中小企業振興公社などの創業支援部門との連携を密にし、きめ細かく起業、創業に係る事例を把握して、支援策の立案に活かして参りたいと考えています。

《質問》

 次に、都営住宅の建替え問題についてうかがいます。
 いま荒川区内では、これまで荒川2丁目都住が移転完了、西尾久8丁目も建替えのため移転完了、今後町屋8丁目都住が建替えのため移転する計画になっています。そこでは、東京都が進める建替えに伴う「型別供給」基準が大きな問題となっています。
 この数年間で東京都は、建替え後の住宅供給のあり方を改悪し、各家庭の状況抜きに新築住宅への移転では、2人世帯の場合37uの2K、6畳の畳と3畳半程度の板の間の部屋以外は絶対に認めない基準をつくったのです。いま、建替えに伴って移転する世帯は、高齢のひとりないし2人世帯が多くを占めています。そのため、都の進める型別供給基準で行くと、ほとんど1DK、2Kという狭小な住宅ストックに変わってしまいかねません。加えて収入基準引き下げなど実施されると若い人の入居が将来的に不可能な、しかも数百戸単位の事実上高齢者中心の集合住宅群に変わってしまいます。
 区は、ワンルームマンションを規制する内容の条例を制定しました。周辺環境の悪化や狭小な住宅ストックでなく、家族向けを50u以上にすることを求めています。しかし、今後建替えでできる都営住宅は、家族向け2人世帯で37uの2Kしか認めないというものです。3人世帯も2DK47uです。区の基準に明らかに反しているではありませんか。都営住宅といえでも区の基準をキチンと適用させるべきです。
 また2Kタイプは、国の決めた最低居住条件すら確保しているかどうか怪しいものです。国の基準は、2人で居住室を10.5畳としています。専用面積は、達していますが居住室は、どう見ても9.5畳程度しかありません。
 居住室面積が国の最低居住水準を下回る現行の都営住宅建替え「型別供給基準」の見直しを都に求めるべきです。
 また、都営住宅の建替えにあたっても「荒川区集合住宅の建築及び管理に関する条例」を適用して良好な居住環境整備をすすめるべきです。お答え下さい。

《答弁》

【都市整備部長答弁】
 都営住宅の建替えにおける「型別供給基準」の見直しに関するご質問にお答えします。
 国においては、住生活基本法の施行に際し、居住室面積の大きさだけではなく、浴室やキッチン等を含め住戸全体として必要な面積を確保する観点から、住戸専用面積を居住水準の指標とする基準の改正を行いました。
 東京都の「型別供給基準」もこの基準を満たしております。
 また、居住区分につきましても、家族構成だけではなく、車椅子を使用する方の世帯においては、この基準によらないことができるという特例事項が定められているなど、一定の配慮がなされております。

【都市整備担当部長答弁】
 都営住宅の建替えにあたっての条例適用に関するご質問にお答えいたします。
都営住宅の建設につきましても、「荒川区集合住宅の建築及び管理に関する条例」が適用されております。
 ただし、国又は地方公共団体の事業につきましては、協議により区長が認めた場合は、適用しないことができる規定となっております。
 これは都民のセーフティネットとしての都営住宅の設置目的に鑑み、半数以上を家族向け住宅にすることや駐車施設の設置に関すること、さらに、管理人室の設置に関すること、の三項目につきまして適用除外としているところでございます。
 なお、ご指摘の家族向け住戸五十平方メートルにつきましては、国の基準に基づき、四人家族を想定して定めたものでございます。

《質問》

 最後に、京成線高架下の活用整備についてうかがいます。
 京成線高架下の住民への立ち退きが言い渡されて、2年と9ヶ月を過ぎました。長年に渡って多くの区民が住み、営業の空間であり、下町特有のにぎわいも作り出してきました。耐震工事が終われば戻って暮らしたいと、裁判を行ってきた人たちの中で明け渡しという結論の出た方もいます。
 40数年間、親子二代で店を営んできた方は、結局廃業、生活の糧を奪われ不安を抱えての転居です。また、いまだに店舗が見つからず困っている方もいます。荒川を去ることになり、他地域のマンション暮らしになじめるだろうかと後ろ髪を引かれる思いで引っ越していった人など、区民の多大な犠牲で生まれた高架下の空間です。区民に役立つ活用がなければ、明け渡した方々も納得できません。これまでも高架下活用として自転車置き場としての活用の意見がありますが、自転車バイク駐車場として京成電鉄とどういった交渉を行っているのか、お聞かせ下さい。
 センター町屋自転車駐車場は、定期利用、一時利用もほぼ満杯に近い状況のようです。尾竹橋通りの歩道、赤札堂やセンター町屋、マクドナルド、イーストヒル町屋、また99ショップ前など放置自転車は増え、改善されていません。バイク置き場の要望も出ています。鉄道事業者や商業施設の設置者は、当然自らの責任で自転車等の駐車場設置する義務があります。この際、京成電鉄、東京メトロ、東京都交通局、商業施設設置者などに自転車駐車場整備について応分の費用負担を求め、快適な空間確保の責任を果たすべきではないでしょうか。そうした立場で、今後の折衝にのぞんでいただきたいと思います。お答え下さい。
 以上で第一回の質問を終わります。

《答弁》

【土木担当部長答弁】
 京成線高架下に自転車等駐車場を設置するための要請に関するご質問にお答えいたします。
 放置自転車は減少してきておりますが、依然として駅前に自転車が放置されており、歩行者の迷惑など様々な問題の原因となっています。特に、町屋・新三河島駅前の放置自転車を解消することは自転車対策の大きな課題であると認識しています。
 区は、この様な状況を解消すべく、耐震工事により空きスペースとなっている京成線高架下の一部を自転車駐車場として提供するよう、京成電鉄に対し強く要請しているところです。
 しかしながら、高架下を活用した自転車駐車場の設置について、京成電鉄は一定の理解を示しておりますが、現在、居住者と立ち退き交渉中であるため、未だ回答を得るに至っておりません。
 本件については、これまで他の会派からもご質問いただき答弁しているところですが、今後とも、引き続き京成電鉄に対し強く要請していきます。

【土木担当部長答弁】
 自転車駐車場の設置にあたっては、鉄道事業者等に応分の負担をさせるべきではないかというご質問にお答えいたします。
 放置自転車対策については、これまで多大な経費を投入して、自転車駐車場や自転車置き場を設置し、利用者の利便性の確保と駅前等の放置自転車の撤去に取り組んでまいりました。
 しかしながら、依然として放置自転車が絶えない状況です。
 放置自転車を解決するためには、鉄道事業者や集客施設設置者の積極的な協力が不可欠であることはいうまでもありません。
 今後とも、自転車に関する法律や条例に基づき、鉄道事業者等に自らの駐輪場の設置や用地提供などを含め、応分の負担を積極的に求めていきます。

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2008年第1回定例会

2008年 第2回第3回第4回



【小島和男区議】

  1. 逆進性の高い消費税増税について区長の認識を問う。
  2. 国の市場原理と規制緩和から区民のくらしと地方自治を守るために
    1. 介護保険料については、低所得者への免除制度を創設すること。
    2. 子育て世代の家賃補助について検討を開始すること。
    3. 障害者福祉サービス3%負担をなくすこと。
    4. 反復、継続雇用は正規で対応すること。
    5. 区の指定管理者について、いっせい調査を行い、区民サービスや労働条件などの実態を明らかにして、必要な対策を講じること。
    6. 都、区の要綱違反を繰り返した「じゃんぐる保育園」の事業継続に対する厳正な処置と保育の改善状況を問う。
    7. 区内保育園の質の確保に区立・社会福祉法人等の協力体制をつくること。
    8. 6園の保育園給食調理民間委託は中止すること。
  3. 日暮里・三河島の街づくりについて
    1. 日暮里駅前再開発の教訓を三河島駅南北の再開発計画にどう生かすのか。区の見解を問う。
    2. 下御隠殿橋中央に、横断歩道を設置し、JR構内に車イス対応できるスロープ付きの階段を設置すること。また京成駅舎改造に合わせた南口設置、JR日暮里駅南口にかかる「もみじ橋」のバリアフリー化を行うこと。
    3. 快速運転している京浜東北線について、区として日暮里駅停車をJRに働きかけること。
    4. JR三河島駅に、エレベーターと下りエスカレーターを早期に設置するようJRに働きかけること。
    5. 国の公共事業補助を見直して、公共住宅建設の事業補助に切りかえることについて。
  4. 教育施策充実について
    1. 「習熟度別学習」を全面的な検証を行い、学校現場の判断で、多様な学習指導方法が実施できるよう見直しを行うこと。
    2. 小学校の低、中学年の英語科の中止について
    3. 「小中学校校舎整備計画」の策定にあたっては、学校選択制の見直しと少人数の学級編成を視野に入れた計画にすること。

《質問》

 私は、日本共産党区議団を代表して4項目の質問を致します。第一に、消費税増税問題についてであります。
 福田首相は、「社会保障国民会議」を発足させて年金、医療など社会保障全般について、給付と負担のあり方の議論を行うこと。あわせて、基礎年金の国庫負担引上げのために消費税増税に踏み込んだ結論を秋までに出し、09年度以降に消費税増税を実行に移すとしています。
  また、地方法人特別税の創設によって東京都や愛知県などから4千億円あまりの法人事業税を他自治体に譲与させることを決めました。
  地方への抜本的税源委譲を行わずに地方交付税を削減し、法人課税の都市間の偏在を改善しないまま、地方財源を政府が振り分ける仕組みは、あまりに乱暴であります。しかも与党税制大綱では、この措置も消費税増税までの暫定措置だとして、言わば地方自治体に消費税増税を迫るテコにするもので、地方自治蹂躙の許しがたい手法だと思います。
 西川区長は、消費税を福祉目的税とすべきとかねてから主張されています。しかし、消費税は、食費など日常生活費まで税金をかける弱者への痛みの税金です。
 消費税導入時からこれまで、消費者・国民から約200兆円近く徴収し高齢者のためといいながら、実際は、法人税率引き下げの大企業減税の穴埋めに大半が投入されています。しかも前回総選挙時に定率減税の廃止や年金課税強化で基礎年金の国庫負担割合引上げを行うと言った与党の公約は守られず、国民は2兆8千億円の負担増、社会保障予算に回ったと見られるのは、6800億円と4分の1であります。
 福田内閣は、今回もまた、年金の国庫負担率引上げを消費税増税の理由にしていますが、この公約はすでに実現されていなければならないのであります。
 西川区長、構造改革による貧困と格差の拡大、原油価格の高騰、物価値上げなど、一段と厳しくなる区民生活に与える影響、さらに地方自治蹂躙の消費税率引上げなど自治体の長として容認できないと思いますが、改めて西川区長の見解を伺いします。

《答弁》

【副区長答弁】
 消費税に関する質問についてお答えいたします。
 消費税は、社会保障を始めとする公的サービスの費用をあらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う税として、平成元年に導入されたものです。現在、国税収入の約二割を占めており、安定的な基幹税の一つとして、社会保障給付の増加が見込まれる中、ますます重要視されております。
 これまで税率改正や地方消費税の創設等数々の改正が行われてきたほか、制度全般について様々な議論がなされてきました。昨年十一月の政府税制調査会の答申『抜本的な税制改革に向けた基本的考え方』においては、使途及び税率について、「社会保障財源としての位置付けをより明確にするとともに、将来世代に負担を先送りするのではなく、消費税率の引上げによって賄うことも選択肢の一つとして幅広く検討すべき」とし、また、所得に対する逆進性については、「一税目だけでなく、他税目や社会保険料、さらには社会保障給付等の受益全体を考慮すべき」としております。昨年十二月に閣議決定された『平成二十年度予算編成の基本方針』においても、「徹底した歳出改革等と合わせて、消費税を含む税体系の抜本的改革の実現に向けて取り組む」こととしており、今後、持続可能な社会保障システムの確立のための財源として、本格的な議論が予定されております。
 区といたしましては、区民の皆様の負担に直結する問題であると同時に、区の財政や福祉施策等にも大きな影響を受けるものでございますので、今後とも国における論議を注視してまいりたいと考えております。

《質問》

 第二に、新年度予算の基本姿勢と区民生活に応える予算の基本姿勢についてであります。
 新年度一般会計予算は、総額802億円と3年連続800億円を超えています。住民税率のフラット化で区民税17億円の増、法人2税が堅調で2年連続40億円の繰り越しで、基金は07年度末249億円、一方、区の起債残は08年度末で250億円程度に圧縮される見込みです。この区の財政力を、区民生活優先に活用すべきときであります。
 増税と負担増に加え投機マネーによる原油価格と穀物の値上げによる影響は、深刻です。昨年10月に小麦の売り渡し価格が10%値上げ、パン、麺類など食料品の値上げが相次ぎました。政府は、さらに今年4月から小麦30%値上げを決め、将来は、国際価格に連動させようとしています。
 原油価格上昇の影響で、ガソリンやプラスチックが値上げ、連動して生活必需品の値上がりも進んでいます。また、とうもろこしを原料とするバイオ燃料の需要拡大を受けて、家畜飼料の値上げが進み、酪農も深刻ですし、海外で作付面積が減った大豆価格も上がっています。
 町の声を拾うと、お豆腐屋さんは、大豆高騰と包装材の値上げで利幅が狭まっているものの、値上げに踏み切れるかどうか?思案のしどころ、キリンビールが2月から値上げしましたが、行きつけの酒屋さんには、「当分の間、従来の値段で販売します。」と張り紙が出ています。駆け込みで値上げ前の在庫を抱えた、踏ん張りですが、一時のことです。
 地域の商店や零細業者が、原材料や包装材値上げの嵐のなかで消費者に転嫁できず、ガマンをして価格を維持していること、薄い利幅をさらに薄くして、自らの身を削って我慢している状況です。
 私どもが今年も実施した区民アンケートでも「製造業ですが、単価引下げなどで苦しい」「生活が厳しく風呂や食事を我慢」など区民生活の実態が明確に現れています。予算委員会を通じて議論をしていきますが、このようなときに、区民生活に何ができるかを真剣に検討していただきたいと思うのです。
 新年度予算では、公立幼稚園全園で3歳児保育実施と入園料無料化、妊婦健診の14回の無料化・保育園などの第三子以降の無料化など子育て支援策が盛り込まれました。就学援助の基準緩和、障害者グループホームや就労支援、70才以上で非課税の高齢者に週一回ですが半額入浴の実施などを評価するものであります
 しかし、生活の基本を支える対策を求めたいのです。そこで伺います。
 第一に、最低生活費以下の所得でもかかってくる介護保険料が年金から天引されていますが、さらに今年10月からは65歳以上の国保料と後期高齢者の医療保険料も天引されます。そこに物価の値上がりです。生活保護基準程度あるいは以下の収入の高齢者の介護保険料は免除すべきです。せめて、年収120万円以下で預金が300万円を割り込んで不安な生活をされている高齢者の介護保険料免除の検討を求めます。お答え下さい。
 第二に、子育て世代・中堅所得の区民でも教育費・保育費・住宅費の負担が重くなっています。子育て支援策を区として一定進めてきた点は評価しますが、収入に占める住宅費の適正な負担「目あす」も検討し、家賃補助制度のあり方の検討を求めるものであります。 安心して住み、子育てできる区政を目指す対策を求めます。区の見解をお伺いします。
 第三に、障害者自立支援法の応益負担の解消をすべきです。新年度から障害者の小規模作業所が何カ所か法内施設に移行します。さらに2011年度中にはすべての施設が移行を迫られています。自立支援法の利用者負担が発生すること、これまでの東京都の補助はどうなるのか? 施設の運営にあたって不安な選択が求められています。
 生きるために必要な障害者の方の不可欠な福祉サービスが何故、応益負担なのでしょうか、この法律は物心両面にわたる負担をもたらしています。区が独自に負担を3%に軽減させた精神を生かして、「応益負担なし」を決断して不安を解消することを再度求めます。
 次に、構造改革路線のもとで区民サービス低下をもたらしている区政への不安定雇用や市場原理導入の影響についてであります。
 政府が導入してきた構造改革は、区施設の指定管理者制度の導入によるチェック機能低下、営利優先で保育の質の低下、継続的な業務まで非常勤職員化、派遣労働受け入れによるサービスの低下を引き起こしており、さらに自治体周辺にも拡大しています。
 さらに政府は、地方財政健全化法の施行など、一つ間違うと特別会計や企業会計を独立採算として、赤字の事業は切り捨てるか連続的な住民の負担増を求めることになりかねず、教育・保育・介護・医療などの分野まで自助・互助に済ませて、市場原理にゆだねる流れを大きくしかねません。これでは、自治体のあるべきすがたが問われます。
 そこで、第一に非常勤職員の増大について伺います。
 本来、正規職員の補完的な短期雇用が非常勤職員ですが、現状は、正規と同一労働で反復・継続している職種まで正規から非正規に置き換えています。民間以上に自治体労働でも激しくなっています。荒川区の正規職員1600人に対して再雇用・再任用を含めた非常勤職員と臨時職員を合わせた非正規雇用は合計約1000人と3対2の割合にまで及んでおり、派遣、委託、指定管理を考えると非正規雇用の比重はさらに高まります。
 学校給食では12年間も非常勤継続雇用の方、図書館でも9年の方もいます。区は、非常勤職員に主任クラス、総括係長級などと賃金設定を行いましたが、国からは、継続的雇用と判断される場合は非常勤の任用から逸脱すると指摘されています。確かに本来常勤職員を配置すべき職種で非常勤の待遇を一部改善したにしても限界があります。反復的に継続する労働については、正規採用をすることが本来の法の精神です。これを緩和してきた構造改革が根底にありますが、自治体としてこれ以上の不安定・低賃金雇用の拡大をすすめる道から転換すべきではないでしょうか。区の見解をお伺いします。
 第二に、指定管理者制度の見直しと一斉点検についてであります。
公の施設管理について法が改定され、事業そのものを含めて施設管理を委託する指定管理者制度が実施されました。
 保育事業など本来、営利になじまない分野にも営利企業の参入が始まり、さまざまな問題が発生しており、その実態と是非が問われています。
 総合スポーツセンターでは、三菱電機ビルテクノサービスによる共同体が指定管理者になりましたが、実際は、子会社の菱サ・ビルウェアに丸投げされ、さらに施設管理業務責任者のひとりは、ビルテクノの制服を着ながら、K社から派遣された職員が勤務していたようであります。丸投げに二重派遣ではないか、と総務企画委員会で指摘した際に、当初は問題を認識すると答弁しながら、その後は、大きな問題なしとしています。前藤沢区長の贈収賄の刷新を唱えて出発した西川区政ですが、前区長逮捕の舞台になった総合スポーツセンターのその後の指定管理の協定違反についても、厳しく自己点検する姿勢が欠如しているのではないでしょうか。
 透明な区政執行が問われます。また、問題の検証と改善策を区長先頭に示すべきではないでしょうか。指定管理者制度のもとで、労働法規や労働者福利が守られているのか、協定が守られているのか、問題点を洗い出す、現状総点検を行うべきであります。見解を伺います。
 第三に、営利企業の参入で、とりわけ深刻な事態になっている保育園の問題であります。
 株式会社日本保育支援協会が運営する認証保育園「じゃんぐる保育園」の問題を繰り返し指摘してきましたが、区の補助金要綱に違反して園児数に必要な職員が配置されず、園長も長期に不在、調理員の資格のない保育士に調理させるなど東京都から異例の文書指導を受けてました。区は、当面12月・1月の補助金を停止したようですが、認証の最低限の保育士配置基準も逸脱し、子どもたちの安全確保に反してきた事業者に、執行された補助金の処置が厳正に行われないとしたら、責任は重大です。乳幼児に大きな事故が起きてからでは遅いのです。現場の保育師さんの水際のがんばりにたよるだけでいいはずはありません。じゃんぐる保育園の事業者への厳正な処置と現に保育されている子どもたちへの保育の改善についてどのように対処し、いまの認識はどうなのか区の見解をお伺いします。
 今後、南千住保育園の建て替えなどにともなう、指定管理者の導入も予想されますが・営利企業への新園委託は、このような事態のもとで避けるべきであります。
 じゃんぐる保育園以外にも、認可保育園を運営する株式会社こどもの森でも2006年に園児数に見合った保育士が配置されていなかったことが、都から文書指導されています。荒川区の保育を支える認可・無認可、公私、幼保の別を問わず、区内の保育の「質」を担保するための区内事業者の協力をつくることが必要であると思います。
 保育園運営は認可区立園の設立を最優先とし、指定管理者園や認証保育園などの参入にあたっては、区内社会福祉法人の運営を優先すること、また、区内で保育事業を営もうとする事業者は、荒川区や区内社会福祉法人が行う荒川区の保育の質を担保する取り組みに協力を条件としてはどうでしょうか。区の見解をお伺いします。
 次に、荒川区は、保育園給食の民間委託による財政効率を非常勤栄養士も配置しても1園650万円の昇るとしてきましたが、入札は、必要な経験者を集めきれず、経験者を確保すれば、人件費がかかり、実際の経費は直営とほぼ同程度であることが委員会でも示されています。質を担保すれば安上がりにはならないのです。今回の6園一斉民間委託のプロポーザルの参加企業は当初22社。この中には、ひぐらし保育園と三河島保育園の給食を落札した企業2社も参加しています。しかし、この2社のうち1社は最終選考の10社にも入れず、もう1社も最終選考に残ったものの結局上位6社に両社とも残れませんでした。当初の一般競争入札によって、価格競争により、安い事業者に委託したことが問われています。
 政府が現業職員の退職不補充、民間委託を総務省通達で迫ってきていますが、現場の最先端まで事細かく口をはさみ自治体の自主性も認めず、市場原理最優先を押し付ける政府に従うのだとすれば、区民の幸せを作るシステムなどとは程遠いといわなければなりません。自治体としての自主性を発揮し、無理に無理を重ねる民間委託は中止すべきです。お答えください。

《答弁》

【区長答弁】
 公的サービス等への市場原理の導入や規制緩和についてのご質問にお答えいたします。
 近年、我が国では、経済のグローバル化などに伴い、様々な規制緩和が推進されており、公的サービスの部門でも市場化テストや指定管理者制度等の導入が進められております。
 一般的に、行政は組織の肥大化や非効率な事業執行に陥りやすい傾向があり、これに歯止めをかける観点から、民間活力の導入を進めることは、有効な手段であると言われております。
しかし、こうした中にあって、一部の不心得な企業の参入により、問題が生じていることも事実であります。
 仮にこうしたことにより、不適切な事実が生じた場合、これに対し厳正に対処し、是正を指導していくことが、区民の生活と最も密接な行政機関である基礎自治体、すなわち、区の責務であると考えます。
 このような考えのもと、区といたしましては、今後も、公的サービスに民間活力を活用するにあたっては、事業運営や施設管理等について、万が一にも過ちや不正が起こることのないよう、これまで以上に厳しい事前審査や、事後の適切なチェックを行うことにより、区民の皆様の安全を守り、行政サービスの向上を図ってまいりたいと考えております。

【福祉部長答弁】
 低所得者への介護保険料免除について、お答えいたします。
区では、現在、基準額の四分の三を負担していただく第三段階の中で、収入が百二十万円未満かつ貯蓄が六十万円未満の方について、介護保険料を基準額の二分の一にする、という軽減策を講じております。
 また、平成十八年度から、標準的には六段階の保険料区分を八段階に設定し、区民の皆様に、より能力に応じた形での保険料のご負担をお願いしております。
介護保険制度は、すべての国民が互いに支えあうことを理念とし、その能力に応じた負担をしていただくことが基本となっている制度でございます。また、一般財源を繰り入れての減免は適当でないとされています。
 所得の低い方であっても、軽減策等を講じた上で、一定のご負担をいただくことが必要であると認識しております。

【子育て支援部長答弁】
 子育て世代に対する家賃助成制度についてのご質問にお答えいたします。
 荒川区におきましては、子育て世代が、安心して子育てができ、永く住み続けたいと実感できるよう、さまざまな角度から、支援策を講じているところでございます。このため、子育て世代に焦点をあてた住宅施策のあり方も重要な課題であると捉え、現在策定中の「荒川区住宅マスタープラン」におきまして、子育て世代への対応策も視野に入れながら、慎重に検討を重ねているところでございます。
 しかしながら、子育て世代を対象とした家賃助成制度につきましては、すでに低家賃の公営住宅が整備されていること、単なる現金給付的な施策は望ましくないこと、定住策としての効果が必ずしも明確ではないことなどの理由から、制度を創設することは困難であると考えております。

【福祉部長答弁】
 次に、障害者自立支援法に関する利用者負担等のご質問にお答えいたします。
 区では、障害者自立支援法の施行の際には、障害福祉サービス利用時の負担軽減並びに通所サービス利用における食事代の負担軽減など、全国の自治体に先駆けて荒川区独自の激変緩和策を実施してまいりました。
 一方、国におきましては、障がい者や事業者の置かれている状況を踏まえ、昨年十二月に「障害者自立支援法の抜本的な見直しに向けた緊急措置」を決定し、利用者負担の見直しとして、所得の低い障がい者や障がい者を抱える世帯等については、本年七月から、さらなる負担軽減策の実施を予定しております。
 区といたしましては、国の動向を注視しつつ、今後とも区民一人ひとりの状況に応じたきめの細やかな対応を図ってまいりたいと考えてございます。

【管理部長答弁】
 継続して雇用している非常勤職員は正規雇用で対応すること、との質問にお答えいたします。
 区政が、「区民を幸せにするシステム」として、基本構想に掲げる「幸福実感都市」の実現を目指していくためには、今後一層大きくなっていく区民の期待に応えて、サービスの向上とより効率的な執行体制の確立とを、併せて実現していくことが必要であります。
 そして、その担い手である職員集団が、意欲と活力に満ち、総体として、その能力を発揮していくことが重要だと考えております。
 そのためには、常勤職員の育成とともに、柔軟な勤務形態のもとに、様々な分野で優れた能力を持つ、非常勤職員の効果的な活用が、大きな鍵を握るものと考えております。
 区では、こうした認識に立って、非常勤職員が常勤職員と同様に区政の第一線を担う者として改めて位置づけるとともに、その職責に見合った制度としていくために、採用、職務、報酬、研修など、処遇全般にわたる非常勤職員制度の見直しを行ってきたところでございます。
 今後とも、常勤、非常勤、それぞれの特色を生かした職員体制を築き、区政を担う職員集団としての総合的な強化に努めてまいります。

【総務企画部長答弁】
 指定管理者に関するご質問についてお答えします。
 区では、平成十六年度から、区の施設について順次指定管理者制度を導入し、現在では、四十五の施設を指定管理者により管理運営しております。
 指定管理者制度は、民間事業者の有するノウハウを活用し、住民サービスの向上を図ることを主たる目的としております。
 そのため、指定管理者には、一定の裁量権が委ねられ、経営努力を発揮してもらうことが期待されているとともに、あわせて、公共施設の管理代行者として、公共サービスの一翼を担う立場としての責務が求められております。
 一方、施設の管理者たる区は、指定管理者に対して公の施設の適正な管理を確保するため、法令順守はもとより、管理運営の業務が確実に履行され、よりよいサービスが提供されているか等をチェックすることが求められているものであります。
 これまでも、区は、選定の段階から、指定管理者に対して、こうした基本的考え方を明らかにし、基本協定並びに年度協定を締結するとともに、定期的に報告を求め、履行状況を確認してまいりました。また、利用者サービスの向上を図るため、施設の利用者へのアンケートを実施し、実態把握に努めております。
 さらに、指定管理者との連絡会を設け、全体会議には、区長自らが出席し、法人並びに各施設の責任者に対し、区の考え方や方針の周知徹底を図るとともに、担当者レベルにおいても日々の情報交換を緊密に行うことにより、区と指定管理者が一体となって施設の管理運営にあたっております。
 ご質問にありました件につきましては、一部の業務を指定管理者から第三者へ委託することを認めておりますが、このケースでは、区への事前の承認手続きがなされていないことが判明いたしました。また、二重派遣につきましては、そのような事実はございませんでした。これらの件については、指定管理者に指導し、改善を行ったところでございます。
 あわせて、区の全ての指定管理施設を対象に、手続きの漏れや適正さを欠く運営が行われることのないよう、事務手続きの徹底や専門家の力を借りたチェック機能の強化を図るため、区の指定管理者制度運用方針の改正作業を進めているところでございます。
 区といたしましては、今後も、指定管理者制度をより効果的に活用し、区民サービスの一層の向上に努めてまいります。

【子育て支援部長答弁】
 じゃんぐる保育園の運営等を巡る問題につきましては、区議会をはじめ区民の皆様に大変ご心配をおかけしておりますが、区としても真に遺憾であり、断固たる姿勢をもって対応して行く所存でございます。
 同園の運営等を巡っての問題は、@園長ほか保育従事職員の配置が要綱に定める基準を満たしていないこと、A年間指導計画が作成されておらず、保育日誌の記録内容も不十分であること、B保育室における乳児と幼児とのスペースの区画の仕方、更に、C調理室の手拭タオルを職員が共用しているなど衛生管理が不十分であることなどでございます。
 これらの問題への対応について、現在、都区が連携して当たっておりますが、認証保育所については、都と区の役割分担がございます。東京都は保育所開設にあたっての認証の権限を有し、それに基づく指導監督や立入調査等を行います。また、区につきましては、都の行う調査、指導に立ち会うとともに、保育所の運営費等に対する補助金を交付し、さらに、保育所と身近にある立場から日常的保育内容について助言、指導を行うこととなっております。
 今回の事例につきましても、こうした東京都及び区のそれぞれの役割分担に基づき、個別にあるいは連携して、立入調査や改善指導を実施してきたところでございます。
 そうした結果、現時点までに、先ほど掲げた問題につきましては、一定の改善が見られたところでありますが、なお未改善の点もあり、引き続き改善指導等を強めているところでございます。
 また、補助金を交付している区といたしましては、今回の都と区による調査結果等により要綱に反する事実が明確になった場合には補助金を返還させることも含め厳正に対応してまいりたいと存じます。
 いずれにいたしましても、きちんとした保育所運営がなされ、子どもたちが安全で快適に保育されるよう引き続き指導監督に全力を尽くしてまいります。

【子育て支援部長答弁】
 保育園に関する区立・社会福祉法人等の協力体制についてのご質問にお答えします。
 現在区内二十六の保育園の中で、十一園が私立保育園又は公設民営園であり、経営主体は、株式会社であるものが一園、他は社会福祉法人であります。
 区としましては、これら十一園に対し、良質な保育サービスが継続的、安定的に提供することを常に求めているところであります。
 そのため、十一園の園長をメンバーに連絡会を設け、区との連携体制を構築し、こうした運営の考え方の周知徹底を図っております。加えて園長相互間で主体的な協力体制も敷かれています。
 また、公設民営園の各指定管理者に対しましては、指定管理業務の確実な履行に対する報告及び確認、実績審査などを実施するとともに、個別に巡回指導なども行い、きめ細かく運営の指導に当たっております。
 ご質問にありました、はなみずき保育園につきましては、保育士の入れ替わりが多いことや異年齢児保育に対しまして、保護者の皆様からご心配の声がありましたが、指定管理者に対して指導し、改善を図ったところでございます。また、東京都の指導検査で改善を要する事項とされました調理員の配置の問題につきましてもすでに改善されております。
 いずれにいたしましても、区といたしましては、設置主体に係わらず、荒川区の保育園として、子どもたちが安全で快適に保育されるよう、その応援・指導体制、協力体制の充実強化を図ってまいります。

【子育て支援部長答弁】
 保育園等の給食調理業務の民間委託についてお答えいたします。
 区立保育園及びこども園における給食調理業務の民間委託につきましては、栄養士を配置することと相まって、食育の推進、アレルギー児対応の強化、給食内容の充実など、給食サービスの向上を図るとともに実施体制の効率化を図ろうとするものでございます。現在、調理業務の委託を実施している二か所の園につきましては、所期の目的どおり給食サービスの向上が図られております。
 こうした保育園給食調理業務の委託は、国も認めているところであり、区といたしましても責任をもって業務上必要な注意を果たし得る体制や契約内容により、給食の質の確保について万全を期しているところでございます。また、今年四月からの受託候補者の選定にあたりましては「プロポーザル方式」を取り入れ、厳正に審査し、十分な準備を進めているところでございます。
 今後につきましても、保護者、受託事業者、保育園・保育課が連携を図り、子どもたちにとって安全で安心な、そして、おいしく楽しい給食を提供するため、日々の衛生管理、調理指導はもとより履行状況の確認、検証及び評価を実施しながら、順次、給食調理業務の委託を進めて参りたいと考えております。

《質問》

 第三に、日暮里駅、三河島駅の街づくりについてお伺いします。
 ひぐらし3地区の再開発では、総事業費447億円、補助金は130億円になりました。
しかし、当初の国際交流都市、世界の玄関口、コンシェルジェ日暮里などの掛け声にふさわしい街づくりになったでしょうか。地域活性化はどうだったのでしょうか。多額の税金が投入された日暮里駅前再開発について、区として教訓とすべきことは何か真剣に考えるべきであります。また、三河島駅前南地区の33階建て、120mの再開発ビルが、総工費138億円、補助金32億円投入される計画ですが。この再開発に日暮里駅前での生かすべき教訓はあるのでしょうか。それは何か、是非、区の見解をお伺いします。
 交通バリアフリー法が2000年5月に公布され、わが党区議団は、日暮里駅の交通バリアフリー法指定に手を上げるよう求め、区も早速対応しました。その結果、基本計画の策定と日暮里駅構内のバリアフリー化や尾竹橋通りなど歩道の段差解消工事、JR日暮里駅東口からエスカレーター開設に続き、エレベーター開設、また、舎人ライナー日暮里駅もバリアフリー化されています。さらに、障害者トイレの設置、北口改札口コーンコースも広く、明るくなったことは喜ばれていますが、必要な改善で残された課題があります。
 再開発ビルは3階部分のペデストリアンデッキで舎人ライナーと接続しますが、しかし、西地区ビルはJR日暮里駅の目の前ながら車椅子の方が行こうとすれば、下御院殿橋が横たわり、3階から1階に降りて、JR日暮里駅東口構内のエレベターを経由しないJR日暮里駅に限り行き着けない構造です。
 西地区のテナントは、2階は「がらがら」、中央地区も5階のテナントがきまっていません。結果的に、入りやすい1階・3階以外はテナント誘致も苦戦です。
 谷中方面からJR駅に入るには、階段だけでスロープもエスカレーターもなく、南口の階段は昔のままで、京成との連絡口の設置はできる構造になっていると言うもののそれはいつのことか…、ひぐらし3地区と京成3層化工事補助だけで税金が220億円出されています。再開発、日暮里舎人ライナー工事、京成駅総合改善事業が終了してから手をつけるのは、至難のことでしょう。このさい、バリアフリーの取り残しは絶対に許されません。
 懸案の下御隠殿橋の中央に横断歩道を設置しJR日暮里駅に接続できるスロープ付階段設置を合わせて行うこと。南口の京成日暮里駅接続と「もみじ橋」のエスカレーター設置など階段の付け替えなどを、関連事業の終結までに、関係事業者への最大限の働きかけをおこない、やりきるという決断をすることを求めます。区の見解をお伺いします。
 あわせて京浜東北線の快速運転が区内の2つの駅を通過しています。この時期に、ライナー事業者・東京都や接続する京成などとも協力してJRに対して日暮里駅停車を強く申入れることを求めます。見解をお伺いします。
 次に、JR三河島駅のバリアフリー化についてであります。地域住民の皆さんが、エレベーターと下りエスカレーター設置の早期実現を求め、昨年700筆を超える陳情をJRに提出しました。その際、エレベーターについては、荒川区と協議しながら早期に設置したいと回答を得ています。下りのエスカレーターについては、JRは今後、勉強してみたいとしています。日暮里駅周辺再開発の教訓を踏まえ、近隣商業者や鉄道利用者への最低限の利便性改善に、荒川区としてJR三河島駅のエレベーターと下りエスカレーター早期実現の決意を示していただきたいと思います。見解をお伺いします。
 次に、現在の再開発への公共事業補助見直しについてであります。国の再開発に対する補助制度を見直し、公共住宅建設に対する補助制度に切り替えるよう求めるべきと思います。見解をお伺いします。

《答弁》

【都市整備部長答弁】
 三河島駅南北の再開発計画に関するご質問にお答えします。
 日暮里駅周辺地区では、区の「商業・情報核」として、日暮里・舎人ライナーの導入を契機に三地区段階的かつ連鎖的な街づくりを進めてまいりました。
 平成二十年三月には、新線の開業に合わせ、西地区に引き続き中央地区のビルも竣工し、地域に人々があふれ賑わいが創出されてまいります。
 再開発ビルには、公共性の高い施設として、西地区には女子医大東医療センターの日暮里クリニック、中央地区には荒川都税事務所を導入してまいりました。
 また、併せて連絡デッキや公共駐輪場などを整備し、地域に貢献する街づくりを進めてきたものと認識しております。
 区ではこうした認識のもと、三河島駅前地区の再開発におきましても、南地区では、魅力ある駅前環境を形成する敷地内の約八百uの駅前広場、尾竹橋通りにはバスベイ、地域の放置自転車対策に寄与する公共駐輪場の整備を行う予定でございます。
 北地区につきましても、広場の整備を始め地域にふさわしい公共施設の導入を検討するなど、日暮里駅前に引き続き地域に喜ばれる再開発事業を実施し、まちの活性化に結びつけていく所存でございます。

【都市整備部長答弁】
 次に、日暮里駅周辺のバリアフリー化に関するご質問についてお答えいたします。
 下御隠殿橋のほぼ中央部に横断歩道を設置することにつきましては、交通管理者との協議を終え、現在、年度内の設置を目指して手続きを進めております。
 バリアフリー化の観点からは、横断歩道の設置に併せて、駅に接続する階段とスロープを整備することが必要不可欠であることから、既にJR東日本と協議を始めているところでございます。
 また、京成駅舎改造に合わせた南口設置につきましては、これまで議会から再三要請を受けて、区としても京成電鉄に対して要望しているところでございます。
 京成電鉄からは、地元要望により南口を設置する場合は、地元負担が必要といわれており、現時点では難しい状況でございます。
 次に、「もみじ橋」のバリアフリー化につきましては、橋の周辺にエスカレーター・エレベーターを設置するスペースが確保できないため、困難な状況にございます。

【都市整備部長答弁】
 京浜東北線快速電車の日暮里駅停車に関するご質問にお答えいたします。
 日暮里地域は、日暮里・舎人ライナーや成田空港と三十分台で直結する成田新高速鉄道の開業、さらに、ひぐらしの里三地区での市街地再開発事業とも相まって、益々発展が期待されているところであります。
 このような中で、快速電車の日暮里駅停車は、日暮里地区をさらに、多くの人々が集う活気と魅力にあふれた街としていくためにも必要と認識しておりますので、引き続きJR東日本に対しまして要請してまいります。

【都市整備部長答弁】
 JR三河島駅バリアフリー化のご質問にお答えいたします。
 現在、三河島駅では平成十年十二月に上りのエスカレーターが設置されたのみで、依然としてバリアフリー化が進んでいないのが現状でございます。
 区では、こうした状況を改善するため、かねてよりJRに対し、早期にエレベーター、下りエスカレーターの設置を強く要望をしてきたところでございますが、昨年十一月にJRと区で、エレベーター、エスカレーターの設置に向け具体的な協議を開始したところでございます。
 その結果、JRからは、平成二十二年までに、エレベーターと多機能トイレの設置を完了させるとの回答を得ているところでございますが、下りエスカレーターの設置につきましては、現在、社内で検討中とのことでございます。
 区といたしましては、今後、この協議をさらに進め、早期にバリアフリー化を実現させるよう努めてまいります。

【都市整備部長答弁】
 国の公共住宅建設補助制度に係るご質問にお答えします。
 議員ご質問の公共住宅建設などについての補助制度は、地方公共団体が主体となり、公共住宅の建設等を計画的に推進するための支援制度として、平成十七年度に地域住宅交付金制度が創設されております。
 この制度は、地域における住宅政策を自主性と創意工夫を活かしながら総合的に進めるためのものであり、補助率を比べましても、日暮里の再開発事業などと同等以上となっておりますので、ご理解の程、よろしくお願いいたします。

《質問》

 第四に、教育についてであります。
 習熟度別学習についてですが、基礎学力向上に役にたったのか検証を求めたいと思います。教育委員会としても算数は、少人数教育を新年度実施するとのことでありますが、習熟度別学習に固執するのでなく、少人数教育をはじめ学校現場の判断で、多様な学習方法が実施できるよう改善すべきであります。お答え下さい。
 次に、小学校の英語科が実施されて5年がたちます。小学校1年生からの英語科が何をもたらしたか、検証すべき時です。中教審でさえ小学生の英語科は、「小学校5年生から」として、英語に親しむことを中心においています。英語免許もない小学校の先生たちに数時間の講習で授業を実施して正規科目として、評価まで行うこにしましたが、この弊害があらわれていると思います。危惧されていた通り、中学生の英語嫌いが増大されているのではないでしょうか。学力テストの結果でも英語科の到達度は、50%を切るような状況で、習熟度授業でもこれを取り返すことはできていません。
 少なくとも小学校低学年、中学年については、英語科を止めるべきです。お答え下さい。
 最後に、教育委員会は、「小中学校校舎整備計画」を策定するために、新年度に老朽化した学校のコンクリート調査を行うことにしていますが、今後、建替えの対象になる小中学校は、25校になるようであります。校舎整備計画策定に際しては、学校選択制の見直しと少人数の学級編成を視野に入れた計画にするよう求めます。見解をお伺いします。
 以上で、第一回目の質問を終わります。

《答弁》

【教育委員会事務局次長答弁】
 教育施策に関する質問にお答えします。
 平成十四年度より、一人一人の子どもに確かな学力を身につけさせることを目的とし、本区では全国に先駆けて小学校三年生以上の算数・数学と英語について習熟度別学習を実施してきました。その結果、これまでの「学力向上のための調査」において、基礎学力の確実な定着という成果が見られています。
 さらに、来年度は「算数・数学大好き推進事業」を立ち上げ、学習進度の差やつまずきをできるだけ回避し、分かる喜びを実感させるため、小学校の一、二年生の算数に少人数指導やティームティーチングを取り入れる予定です。
 現在検討されている新しい学習指導要領でも、これまで以上にきめ細かな学習指導が求められておりますので、学校現場と連携を深め、児童・生徒の発達段階に適切に対応した効果的な学習指導方法のあり方を研究して参りたいと考えております。

【教育委員会事務局次長答弁】
 小学校英語教育に関するご質問にお答えします。
 本区では構造改革特別区域の認定を受け、平成十六年度より区内全小学校、全学年で週一回の英語の授業を行っており、今年度で四年目を迎えております。
 この間、本区独自の「英語科指導指針」を策定し、英語を使って、コミュニケーションを楽しむことを英語教育の目標として、担任教師が英語教育アドバイザーや外国人指導員とともに英語に慣れ親しむ授業を作り上げてまいりました。
 特に低・中学年では、英語を使って外国人と身のまわりのことについて会話をしたり、自分の気持ちを素直に伝える活動などに重点をおいております。その結果、外国人講師に積極的に、自然な美しい発音で話しかける子どもが各校で見られるようになっています。小学校低・中学年の時期の子どもは英語の音声を聞き取ったり、模倣する能力が高く、英語を英語のまま理解することができ、本区が目指す「実践的コミュニケーション能力の育成」において大変効果があるものと認識しております。
 なお、本区ではこれまでの英語教育の成果と課題を検証し、小中一貫英語教育の一層の充実を図るための検討委員会を今後設置する予定でございますので、ご理解の程よろしくお願いいたします。


【安部キヨ子区議】

  1. 区民の命と健康を守る医療制度について
    1. 75才以上の後期高齢者医療制度で保険料滞納者に10割負担を科せる資格証明書は発行しないこと。
    2. 後期高齢者制度の保険料の減額対象は、世帯収入ではなく一人一人を対象に減額を行なうこと。
    3. 後期高齢者医療制度の包括医療による差別医療は見直し必要な医療が受けられるよう区長として政府に要望すること。
    4. 都立駒込病院の運営はPFI方式の民間運営ではなく医療に格差がない地域医療に必要な都立直営で運営を行なうよう東京都に要請すること。
  2. 介護保険制度にともなう改善について
    1. 日中独居高齢者への介護サービス切り捨ての是正を、厚生労働省通達に基づいてすみやかに実施すること。
    2. 「住民税・所得税の控除が受けられる障害者控除認定を申請してください」の案内をすべての介護保険利用者に送付すること。
  3. 学童クラブ一層充実のために
    1. 大規模学童クラブは適正規模の改善に、とともに3瑞小学校・一日小学校など学童クラブの設置をすること。
    2. 学童クラブでの障害児対応は6年生まで拡充すること。
  4. 地球にやさしい環境のための地方自冶体の取り組みについて
    1. 区内のCО2削減目標と計画を明らかにすること。また、公共施設のCО2削減をしめすこと。
    2. 区内の大気汚染調査と改善計画をたてること。
    3. 歩きたばこを止めようキャンペーン実施すること。
    4. 工業用水の利用継続と必要な対策について東京都に働きかけること

《質問》

 私は日本共産党区議団として一般質問を行ないます。
 第一に区民の命と健康を守る医療制度についてです。
 後期高齢者医療制度がいよいよ4月実施を迎えようとしています。厚生労働省は、負担の公平化・透明化を図ること、総医療費の抑制を図ることを目的として、看取りや最後の瞬間までの重要な医療行為が必要な、75才以上の高齢者を、後期高齢者とネーミングして全ての高齢者が強制的加入させられます。また、保険料は世帯ではなく、ひとりひとりにかかり、年金から天引きされます。さらに保険料見直が2年ごとに行われ、確実に値上げが続きそうです。
 老人保健法では、高齢者の医療の必要性・重要性から保険料滞納時も保険証の返還と資格証明書の発行は行わないことになっていましたが、新制度では、一定期間の保険料滞納を理由に75才以上の方の保険証返還と資格証明書の発行が行われることになります。 保険給付の範囲も限度額を決めた定額制で医療の制限になると危惧されています。
 その内容が伝わるほどに「年寄りは早く死ねと言うことか」と不安の声が広がっています。日本共産党は国に向けて制度の中止撤回を求めるとともに、高すぎる保険料をはじめ制度の見直しを求めてきました。区長はじめ、自治体・議会の努力もあって一定の見直しを出来たことは喜びたいと思いますが、根本的な問題もあり、何点か質問します。
 第一は保険証の返還と資格証明書の発行です。滞納が発生するのは、月1万5千円以下の年金の方や無年金の低所得の方です。これらの方々の滞納は、生活費や住居費まで切りつめても払えないような事態が多いのではないでしょうか、平均余命まで跡数年の大先輩たちに、不安を与え、医者にも行けないような処遇はさけて行かなければなりません。資格証明書の発行は行わない区の決断を求めます。見解を伺います。 
 第二は軽減措置についてです。広域連合での議論の成果として、均等割37800円の7割・5割・2割減額と一般税源も投入して、所得割についても二年間に限り4段階で減額することになりました。
 しかし、保険料は一人ひとりなのに均等割りの減額は、世帯の所得で見ることにされ、同じ年金額なのに均等割減額を受けられる人と受けられない方がでます。一定の年金収入のあるご主人との夫婦世帯、息子・娘の扶養になっている同居世帯ですが、家族と一緒にいることが喜べないような仕組みは良くありません。均等割り減額も一人ひとりの所得で決めるようにすべきと思います。答弁を求めます。
 第三は受ける医療の内容についてです。4月からの診療報酬の改定について中央社会保険医療協議会が答申を出しました。
 後期高齢者の方の医療内容は、糖尿病や高血圧、関節障害等、慢性疾患の診察は一つの医療機関を決め、診察、検査は限度額を決めた定額性になります。高齢者がが慢性疾患で長期間通院するケースが多く、複数の病院で同じ検査や投薬が行われることは、改善すべきですが、しかし定額医療で果たして、必要な医療を受けられるのか、医療機関は、75歳以上の高齢者には検査などしないで済ますようなことにならないか危惧されます。
 しかも長期療養病床を2012年までに38万床から15万床に削減する計画が進んでいて、入院がしづらいというか、転院を迫られている方が多いのです。あわせて回復のむずかしい患者の終末期医療について、過剰医療を行わないような診療報酬にするという制度も導入されます。もちろん延命治療を望まない方もいるでしょう。
 しかし、過剰な医療などあるのでしょうか?最後まで人間らしい医療行為が病院でも在宅必要だと思います。後期高齢者医療の包括医療などを見直し75歳以上の方も必要な医療が受けられるよう関係機関に要望することを求めます。お答えください。
 次に荒川区民にとっても貴重な病院である都立駒込病院について伺います。
 東京都は営利企業主導のPFI方式を導入し、三菱商事に駒込病院の改築とその後の運営を20年間にわたってまかせる契約を結びました。今、政府の主導もあって地域の公営医療機関の再編・ネットワーク化と経営効率化を理由に営利企業の参入が全国で進んでいます。しかし、高知県をはじめ経営の悪化や医療行為の中断などの事態も引き起こしています。
 PFI方式では、東京都は元利金の返済と病院運営契約金を長期に渡って支払うものですが、企業は、医療行為に関連した、患者の給食、清掃、医療事務などを一手に引き受け収益をあげることになります。都民の命を守る駒込病院の役割が果たせるか心配です。
 全国初の本格的PFI方式として注目を集めた「近江八幡市立総合医療センター」は、実施後わずか一年半で赤字化し、新たな再建計画が必要になりました。また高知医療センターでは贈収賄事件も起こり、「病院が赤字でも運営企業は黒字・経営内容が闇の中へ」と報道されました。
 財界は、「日本産業プロジェクト協議会」も立ち上げ、自治体病院のPFI化や独立行政法人化について大きなビジネスチャンスだとしています。今後、さらなる規制緩和を求め、病院経営全体の株式会社参入が進むとしたら区民・都民の医療はどうなるのでしょうか。
全国の先行例でも問題点が露呈しており、このまま駒込病院のPFI導入をすすめてはならないと思います。
 都立駒込病院は、120年の歴史があり、がん・感染治療だけではなく総合病院として近隣地域の中核病院です。荒川区内の病院や診療所などから紹介状で駒込病院を受診されている方も多いのです。この計画をしっている都民は少ないと思いますが、圧倒的には今の運営を充実することを希望しているのではないでしょうか。
都立駒込病院の運営はPFI方式の民間運営ではなく都立直営で運営を行なうよう東京都に要請すること求めます。お答えください。

《答弁》

【区長答弁】
 医療制度についてのご質問にお答えいたします。
 急速に少子高齢化が進展する中で、我が国の医療制度を将来にわたり持続可能なものに変革していこうという目的で、本年四月から、新たな後期高齢者医療制度がスタートいたします。
 本制度につきましては、昨年から、被保険者が負担する保険料を主な論点として、議会の皆様と様々な議論を行ってまいりました。その間、私は、特別区長会や広域連合協議会の場などにおいて、高すぎる保険料の引き下げを一貫して主張してまいりました。
 議会の皆様から、制度是正の意見書が提出されたこともあり、本年一月二十四日に開催された広域連合協議会において、法定の保険料軽減措置と広域連合独自の特別対策に加え、「さらなる低所得者対策」を実施することが決定されました。
 この結果、後期高齢者医療制度の一人当たりの実質平均保険料は、年額八万九千三百円となり、当初の試算と比較して、大幅に引き下げられました。
 現在、四月のスタートに向け、準備作業を急ピッチで進めるとともに、区民の皆様に対する制度の周知に努めているところでございます。
 何より肝要な点は、新たな制度を滞りなく運用し、区民の皆様に無用なご不安やご心配をかけないことであると認識しております。全庁一丸となって、制度の円滑な運用に努めてまいります。

【福祉部長答弁】
 後期高齢者医療制度における資格証明書の発行についてのご質問にお答えいたします。
 後期高齢者医療制度においては、被保険者間の公平性と制度の安定性を確保するため、保険料を支払うことができない特別な事情がないにもかかわらず、保険料を滞納している被保険者には資格証明書を発行し、償還払いにより給付が行われます。
 災害や盗難、被保険者または生計を一にする親族の病気・負傷、世帯主が事業を廃止または休止した場合など特別な事情がある場合は、資格証明書は発行いたしません。
 この資格証明書について、保険者である広域連合は、交付審査委員会を設け、交付基準の厳格かつ慎重な運用を行い、機械的に発行することのないよう慎重に対応するとしております。

【福祉部長答弁】
 次に、後期高齢者医療制度における保険料の減額基準についてのご質問にお答えいたします。
 後期高齢者医療制度におきましては、所得が一定以下の被保険者について、均等割保険料を軽減することとなっております。
 軽減割合は、七割、五割、二割とされており、同一世帯内の被保険者及び世帯主の総所得金額等に基づいて判定が行われます。
 こうした保険料の軽減制度につきましては、法令の規定に基づき実施するものであるため、個人単位の所得で減額判定することは困難であります。

【福祉部長答弁】
  後期高齢者医療制度における医療の提供についてのご質問にお答えいたします。
後期高齢者医療制度における医療の提供については、昨年十月に社会保障審議会の特別部会により診療報酬体系の骨子が取りまとめられております。
 外来医療については、主治医が、患者の病歴や他の医療機関での受診状況の把握及び基本的な日常生活の能力等について総合的な評価を行い、療養や生活指導で活用すること、また、専門的な治療が必要な場合には、適切な医療機関に紹介するなどの役割を果たすことが求められています。
 先日、中央社会保険医療協議会からその骨子に沿った診療報酬改定の答申が出されました。この答申には、後期高齢者医療の診療報酬が高齢者の心身の特性に応じた医療提供に資するものとなっているかという観点から、実施後の状況について検証を行うべきとの意見も付されています。
 区といたしましては、引き続き、国の動向を注意深く見守ってまいる所存であります。

【健康担当部長答弁】
 区民の命と健康を守る医療制度のご質問のうち、都立駒込病院の運営に関するお尋ねにお答えいたします。
 東京都では、築三十年を経過して老朽化の進んでいる駒込病院につきまして、医療環境の充実を図るため、全面的な建物改修を実施する予定でございます。
そして、現在の基盤機能を活用いたしまして、より専門性を高めて、がんと感染症医療のセンター機能を有する病院として整備を図るとともに、引き続き地域医療との連携にも努めていくこととしております。
 このたびの整備手法として導入される病院のPFI事業は、診療業務については都による直営を維持しつつ、ご質問の近江八幡市立総合医療センターや高知医療センターの例とは異なり、都が病院施設を所有したまま、民間事業者が老朽化した既存施設の改修と、維持管理や運営を行うRO方式によるものでございます。
 また、議員が懸念されているような、民間事業者が病院経営に参画するようなことは都としても想定していないと聞いているところです。
昨年十二月には、都と民間事業者との間で契約が締結されておりますが、区といたしましては、利用者が不安を抱かれることがないよう、都には適切な情報提供を働きかけてまいりたいと考えております。

《質問》

 次に介護保険制度の改善策についてです。
 第一に、日中独居高齢者への介護サービスについてです。
厚生労働省が昨年12月に「個別具体的な状況を踏まえないで同居家族がいることのみを判断基準として一律機械的にサービス給付の可否を決定している情報が寄せられている」として、「個々の利用者の状況に応じて適切に判断すること」という通達が出されました。荒川区もこの通達に基づいて実施するよう求めます。お答えください。
 次に介護保険要介護者が自冶体の認定を受ければ障害者手帳がなくても障害者に準じて所得税・住民税の控除が受けられる「障害者控除対象認定」についてです。
 区としてこの障害者控除対象認定については私どもの要望に答えていただき先日も区報に掲載された所です。認定件数は一桁の申請から掲載とともに05年62件・06年97件と控除を受けられる方が増えています。何故か、老齢者控除の50万円が無くなって増税で保険料にまで連動して皆さん大変だからです。せめて、使える控除の方法ぐらいは区として等しくお知らせして下さい。
 世田谷区では全対象の方にこのお知らせを出したことで一桁から3桁の申請になったそうです。足立区でも同様の通知を同封し全対象者に郵送しています。
 荒川区でも当事者が知らなかったという事にならないよう対象者全員にお知らせを送付することについてお答えください。

《答弁》

【福祉部長答弁】
 次に、日中独居高齢者への介護サービスについて、お答えいたします。
 平成十九年十二月二十日に、厚生労働省から、「同居家族等がいる場合における訪問介護サービスおよび介護予防訪問介護サービスの生活援助等の取扱について」の事務連絡がありました。
 介護保険制度の生活援助等は、単身又は家族等が障害、疾病、その他同様のやむを得ない事情により、当該利用者又は家族等が家事を行うことが困難である場合に行われることとなっており、個別具体的な状況を踏まえないで、同居家族等の有無のみを判断基準として、一律機械的に介護給付の支給の可否を決めることのないようにということを、あらためて徹底したものでございます。
 区におきましては、これまでも、介護保険制度の趣旨を踏まえ、生活援助について、個別具体的状況を確認しながら、介護保険上の必要性を明確にして行うよう指導してきたところでございます。
 今後とも、個々の状況に応じ、必要な方に必要な介護サービスが適切に提供されるよう努めてまいります。

【福祉部長答弁】
 次に、障害者控除認定についてのご質問にお答えいたします。
 所得税法施行令等の規定により、高齢者については、区市町村長が知的障害者または身体障害者に準じる者として認定した場合には、特別障害者や障害者の控除を受けることができます。
 このため、区では、介護保険の要介護認定を受けている高齢者を対象として、特別障害者または障害者の認定申請の受付を行っております。
 この障害者控除の認定に当たり、「要介護認定」と「障害認定」については、その判断基準が異なるものであり、要介護認定の結果のみをもって、一律に知的障害者または身体障害者に相当するのかどうかを判断することが困難であるため、介護保険の利用者全員に、制度の案内を送ることは適当ではないと考えております。 
 したがいまして、障害者控除制度の周知につきましては、これまでと同様に、区報やホームページ等により行ってまいる所存でございます。

《質問》

 第三は学童クラブの一層の充実についてです。
 働きながら子育てをする家庭にとって学童保育クラブは保育所と同じようにはなくてはならない事業です。
  学童保育クラブを増設してきましたが、その需要は高まる一方で2001年700名余が現在は1250名を超えています。保留児を出さない変わりにクラブの大模化も進すんでいます。
 子どもが具合が悪くても静養する場所がない、指導員の机すらないなど具体的問題も指摘されています。厚生労働省は2007年に「大規模学童クラブは子どもの情緒安定や安全確保の観点から」分割することが必要との方針を打ち出し、3年間の経過措置を持って71人以上への補助金打ち切り措置を決めています。学童保育事業の適正規模は共通認識になってきており、2010年を迎える前に分割して70人以下にすることが待ったなしの課題です。
 全国学童保育連絡会協議会の調査によりますと1年生から3年生、低学年の子が学童クラブで過ごす時間は夏休みは朝から行きますから年間1600時間と学校にいる時より長いのです。生活の場としての質的向上と安全確保の面から大規模クラブの改善に取り組むことを求めます。
 あわせて小学校区に対応する学童クラブがない第三瑞光小学校、1日小学校の学童クラブ設置を検討してください。第三瑞光小学校の子どもたちは南千住・南千住4丁目・汐入・二瑞小・汐入小各クラブ33名の子どもたちが、南千住地域のあちこちに分散しています。  1日小学校では新年度から放課後全児童対策を始めますが、全児童対策と保育に欠けるクラブの事業は性質も違います。早期設置計画をお答えください。
 次に障害児の受入についてです。荒川区は現在4年生までとなっています。昨年の5月1日現在では16カ所29名の児童を受け入れています。親御さんから5年6年になったらどうしたらいいのか。心配でならないとして現在通所している4年生の保護者から要望が出されていると聞いています。23区でも14区はすでに小学校卒業まで実施しています。その時々の対応ではなく6年まで制度として対象を拡大して頂きたいと思います。答えください。

《答弁》

【福祉部長答弁】
 学童クラブについてのご質問にお答えいたします。
 学童クラブへのニーズは年々増えており、区といたしましては、これまで教育委員会や学校と連携を図りながら学童クラブの増設に努めてきたところでございます。平成六年度には十三クラブ、定員四四六人であったところ、現在は二十四クラブ、定員一一六五人にまで拡大してまいりました。
 そうした状況の中、さらに定員を超える学童クラブもあり、区といたしましては、待機児童を出さないことを方針としているため、定員以上の受け入れを行う場合には、環境や職員配置に留意し、工夫を加えながら受入を行ってまいりたいと存じます。
 また、今後とも、子どもたちが安心してすこやかに放課後を過ごせるよう、国の放課後児童クラブガイドラインの趣旨も踏まえ、教育委員会や学校と連携をとりながら学童クラブの環境整備など、その充実に努めてまいります。
 なお、第三瑞光小学校・第一日暮里小学校等についてでございますが、第一日暮里小学校につきましては、平成二十年度から放課後子どもプランを実施してまいります。また、第三瑞光小学校につきましては、学校自体の児童数の伸びや施設の状況から、学童クラブの設置は難しい状況がございます。今後とも様々な視点から対応を検討してまいりたいと考えておりますのでご理解をお願いいたします。

【子育て支援部長答弁】
 学童クラブの障がい児の対応についてのご質問にお答えいたします。
 現在、学童クラブでは障がいのある児童につきましては小学校四年生まで受け入れております。しかし、保護者の就労状況の変化により、障がい児を持つ保護者も就労する例が多くなり、五年生以上になる児童の放課後の過ごし方を考える必要が生じてまいりました。
 五年生以上の障がい児を受け入れる場合、児童の身体的・精神的成長に合わせた指導プログラムの策定、職員配置と指導体制、専用スペース等の施設整備など、いくつかの課題が考えられます。区といたしましては、こうした課題の検討や先行して実施している他区の状況調査などを進めてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、障がいのある児童の受け入れにつきましては、福祉部・教育委員会と連携し、六年生までの受け入れ態勢の整備や、タイムケア事業などの他の制度を視野に入れた放課後対策を区全体で検討してまいりたいと存じますので、ご理解のほどお願いいたします。

《質問》

 次に地球にやさしい環境のための地方自治体の取り組みについてうかがいます。
 荒川区は環境先進都市として区長の所信表明でも「東京をリードする環境施策の発信を行い、水と緑に恵まれた生活環境の整備をめざす」として環境基本条例やみどりの基本計画の策定を新年度方針に盛り込みました。
 自治体については地球温暖化対策推進法で自らの事務・事業に関する温室効果ガスの排出抑制の実行計画を策定すると共にその実施状況を公表することが義務づけられています。
 また地域全体の総合的計画を策定し実施に努めることが求められ、昨年3月には環境省が自治体における温室効果ガス排出量算定手法や対策のあり方も示されています。
 大元から抑制することが一番ですが、自治体として行政部門、家庭からの排出抑制、事業者、運輸部門それぞれの数値目標もかかげ具体的に取り組むことが求められるのではないでしょうか。区内のCOの削減数値目標と計画を明らかにすること。また、手本となるべき公共施設のCО2削減を具体化すること。お答えください。
 次に大気汚染問題です。区内の小中学生のぜん息罹患率の高さを以前指摘致しました。全国でも7年連続で増加しています。大気汚染は私たちの健康を損なうだけでなく地球温暖化にもつながるなど、様々な問題点を含んでいます。大気汚染対策の実施計画とともに原因を明らかにする調査と改善計画を求めるものです。
 次に歩きタバコについてです。2月4日に報告された第32回荒川区世論調査で「日常生活の中で迷惑不快と感じること」の設問にタバコのポイ捨てや歩きタバコが第一位、47%です。たばこの火は700度と大変危険で、副流煙は子ども・妊婦などに悪影響です。周囲に不快感を与えているだけではなくマナーも問われます。「歩きたばこ止めようキャンペーン」をさらに効果が上がるように強化することを求めます。お答えください。
 最後に工業用水についてです。
 東京都の工業用水提供事業が廃止になる?と心配の声が出ています。工業用水道事業は、事業用水の地下くみ上げによる地盤沈下防止や環境、事業者支援として始まり、その後、都が再開発事業で建設した汐入地域の住宅や区の施設でもトイレ用水に使っています。普通の水道水を使うより格段に割安で水道代が約6分の1程度で済みます。廃止となれば配管の切替費用や水道代値上げになると不安がもたれています。特に白鬚西地区で東京都が誘導してきものとして、責任をもって継続すること、万一、事業変更などとなれば必要な対策を都が実施するよう区として働きかけることを求めます。
 これで第1回目の質問を終わります。

《答弁》

【環境清掃部長答弁】
 地球温暖化問題の対策として、「区内のCO削減目標」に関する質問にお答えいたします。
 区では、環境先進都市を目指して、地球温暖化対策にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 区内から排出されるCOの削減に向けて、区民や事業者への環境講座等を開催して意識啓発を行うほか、太陽光発電装置や屋上緑化などを設置する区内の住宅や事業所に対して、設置費用の一部を助成する「エコ助成制度」を実施し、CO等の環境負荷を減らす設備の普及を図っております。
 区の施設におきましても車両のハイブリッド化や、小学校への燃料電池装置の導入、北庁舎での駐車場の芝生化など、環境配慮設備を率先導入してまいりました。荒川区役所環境配慮率先行動計画では、本庁舎でのCO等の排出量を、確実に削減しており、成果をあげております。
 新年度に予定をしている「荒川区環境条例」の制定過程において、区内のCO削減目標や計画を包含するよう、検討してまいります。

【環境清掃部長答弁】
 区内の大気汚染調査と改善計画についてのご質問にお答えいたします。
 区内の大気環境調査は、東京都が環境基準の達成状況を把握するため、一般環境大気測定局を第六瑞光小学校屋上に設置して、二酸化硫黄、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、二酸化窒素、光化学オキシダント、気象などについて常時測定を行っています。十八年度の結果は、光化学オキシダント濃度を除き環境基準を達成しました。また、区独自には、浮遊粉じん及び金属成分等調査、酸性雨調査、遠くの山や建物などを目標となるものを直接目で見て、その見え方で大気環境を調べる眺望調査を行っています。
 次に大気汚染の改善計画についてでございますが、現在の汚染原因は、主に自動車の排出ガスによるものであり、大気汚染防止対策を進めるため、荒川区環境基本計画に基づき、「自動車利用の抑制」「低公害車の導入促進」などを実施してまいりました。
 さらに、区では日常生活での移動手段を環境の側面から見直しクルマに頼り過ぎない暮らしをすることで、公共交通の利用を増やし歩いて楽しいまちをつくることにより、COの削減を図る環境交通政策に取り組んでまいります。これは、荒川区における運輸部門でのCO排出量を、平成二十年、二十一年においてそれぞれ対前年比一パーセント削減する取り組みでございます。
 区といたしましては、今後も大気環境状況の把握と環境保全に鋭意取り組んでまいります。

【環境清掃部長答弁】
 歩きたばこ防止キャンペーンの実施についてのご質問にお答えいたします。
 歩きたばこは、吸い殻のポイ捨てで街を汚したり、高温のたばこの火種は、通行人の多い駅付近では、大変危険な行為であると認識しております。
 区では、「荒川区まちの環境美化条例」を平成八年に制定し、区と区民が協力して、美化活動を実践し、清潔で美しいまちをつくることを目指しています。
 現在の歩きたばこ防止キャンペーンにつきましては、毎年五月〜六月を重点的に区内の主要各駅前において、区民の方々のご参加もいただいて、キャンペーンを実施しております。
 また、横断幕や交差点付近に路面ステッカーを表示するなどの対策を講じるとともに、路面ステッカーの表示箇所を年々増設しております。
 今後も、美しい荒川区を目指して、積極的な啓発活動を様々な角度から検討してまいります。

【総務企画部長答弁】
 工業用水に関する御質問についてお答えします。
 東京都の工業用水道事業は、地盤沈下対策として、地下水揚水規制の代替水を供給するため、昭和三十九年に荒川区を含む江東地区で開始されました。
 現在の工業用水の利用は、昭和四十九年度のピーク時と平成十八年度を比べると、基本水量は三十五万?から三万?と十分の一以下に、契約件数は六百二十五件から二百四十八件と半分以下にそれぞれ大幅に落ち込んでおり、荒川区内で工業用水を利用している事業者等の契約件数は四十件程度と聞いております。
 東京都は、今後、工業用水道を安定的に給水するためには、老朽化した施設の改修が必要となるが、大規模な施設更新費用に見合うだけの需要が見込めない厳しい状況にあることから、廃止を含めた検討を行うと聞いております。
 区といたしましては、東京都の動向を注視し、区内企業への影響等を考慮し、区としての対応を考えてまいります。

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