区政の焦点と日本共産党

07年度一般会計予算に反対討論



photo日本共産党を代表して、07年度一般会計歳入歳出予算原案に反対、修正案に賛成の討論を行います。
 新年度828億円の財政規模は、定率減税全廃、住民税・税率10%のフラット化により18億円の税収増、調整三税の都区配分割合見直しで3%の増、好調な法人住民税の税収の伸びも反映したものであります。さらに昨年度も45億円の剰余金を繰り入れ、年度当初で249億円の基金を持つものであります。
 このような財政状況の背景には、高齢者・年金生活者への増税や連動した保険料の負担増、とりわけ、国民年金からも介護保険料天引き、年金のない高齢者の方が、家賃を払い光熱水費を払えば、国保、介護保険料も滞納せざるを得ない事態であります。この我慢を前提に、生活保護費の生活扶助基準の切り下げが行われ、子育て世帯も3割が就学援助対象所得、区内の青年層の所得も200万から300万円が平均であります。
 このような区民実態のもとで新年度住民税フラット化は、年所得700万円超える区民のわずか4.5%の方には総額10億円、一人平均27万円の減税なのであります。
 この税収増18億円は、高額所得者に10億円減税しながら、方や低所得・中堅所得の区民の28億円の負担増との差し引きによるものであります。消費税もそうですが、本来富の再配分を目的とする税制を、低所得者により多くの負担を求める逆進性を強めることがよくもできるものだと信じ難いのであります。
最低限、このような連続した区民、とりわけ低所得・年金生活者への負担増による税収増をどう区民に還元するのか自治体の予算編成に問われているのだと思います。
 あわせてこのような財政余力が作られた背景であります。
第一にこの間の、職員削減と委託・アウトソーシング・指定管理者の拡大によって、低賃金・不安定雇用が自治体のあらゆる仕事に拡大してきました。また、過当競争が続く一般競争入札と超低落札の結果は、巡視契約など法定賃金まで割り込む異常事態であり、他の請負契約なども例外ではありません。
第二に介護保険導入を契機に削減された福祉施策とその財源であります。
老人福祉手当、敬老金、福祉電話基本料金補助、高齢者場外者家賃補助、シルバーカー支給、安全杖の交通災害掛金などなど、子供たちにも23区一番厳しい就学援助や卒業アルバム代補助など、削減、廃止が行われてきました。これらの事業は、暮らせない国民年金でやりくりしている高齢者やいくつになってもがんばって働いている区民、それに月額78000円に切り下げられた生活保護の生活扶助費でくらしている区民への、自治体としての限定的でも暮らしを支える心のこもった福祉事業であったのです。これによっていくらかは人間らしい暮らしに近づけてきた支えていたのであります。これがなくなって財政余力がでてきているのであります。

本予算編成は、子ども医療費の中学生までの年齢拡大や認証保育園への保育料補助、学校図書館の司書配置など区民の切実な実態と長年のわが党区議団の粘り強い条例提案など、諦めないとり組みがやっと実ったものとして、多いに評価するものであります。
しかし、一方で、格差と貧困を作り出す自公政権の元で、生活最低費を割り込む中で我慢を強いられる高齢・青年・ファミリー世帯などの区民にたいしてもっとあたたかな手だてが求められるものであります。
 私どもは、このような観点から2条例を提案いたしました。合わせて、議員の費用弁償の廃止も御願いして予算修正も提案致しました。第一に重介護度の方への介護激励手当で有ります。
第二に介護保険料の生活保護基準以下の高齢者に対する事実上の免除であります。
わが党の総括質疑をはじめとして再三の生存権を保証する立場からのこれらのきわめて切実で限定的な提案に対して、区は、真に必要な弱者に対しての施策に限定するとし、高齢者全般に渡る経済給付は行わない。とわが党の提案をばらまきとまで言って否定されました。
しかし、例えば年収120万円、月10万円以下で貯蓄300万円以下の世帯の介護保険料を免除するのに約7000万円程度と見積もっていますが、まさに、年金天引きの介護保険料の負担感に悲鳴をあげている高齢者が圧倒的です。生活最低費を割り込む「真に必要な方」に手をさしのべる提案であると再度申し上げておきます。
 そのほか、本会議でも福祉電話の復活など数百万円規模で可能なものや火災警報機設置にともなって安全な暖房器具の提供や暖房費の助成の検討もやる気がない。また、高齢者の半額入浴カード事業も検討もしない。
 子育て世代へのアルバム代助成や就学援助の緩和も検討することもされようとしません。
  わが党は、このような暮らしと命を支援するきわめて切実な提案が顧みられない事態に強く異議を申し上げるものですが、子ども医療費の年齢拡大ができたように、区民の切実な実態がある以上、けっして、諦めるものではありません。貧困と格差を拡大する政治のもとでも自治体が区民生活の防波堤になること。必ず、切実な暮らしに求められる施策を実現するために、さらにねばりつよく、あきらめることなく力を尽くすことを表明しておきます。

 また、マンション開発が相次ぐ元で、学校足りない、幼稚園、保育園、学童保育も足りないなど区の計画性と開発者責任のあいまいに放置される事態を看過できません。保育園の定員30%増し入園や他区の幼稚園に通園する事態、汐入小学校も新年度、場合によっては、いよいよ一年生が5クラス対応の可能性も出てきています。一度しかない子供たちの保育・教育の支援が問われるのであります。   高齢者・障害者の家賃助成の廃止は、せめて一代限りでつづけるか、最低限、覚悟家庭がどうなるのか実地に調査をして相談にのるべきであり、これからでも出来る。ことですから再度申し上げておきます。
小児救急や病後児保育にも小児医師の不足が重たくのしかかっています。区の努力もさらに求めます。
また国保滞納者の資格証明書発行は、「払えないから諦めて区の窓口にも来ない…」ケースもあるのであります。せめて、国が許容している高齢者・原爆被害者などなど同様に子どもがいる世帯への10割窓口負担は、さけるべきであります。新年度、中学生まで医療費が無料になると多くの家庭で喜ぶ中で、資格証明書発行の子どもを抱えた22世帯でのお子さんは、少ないケースとはいえ、無料化の対象にもならないことを考えると、体の健康だけでなく、心のケアも必要になりかねません。
実態調査を拒否しているのも許せない。
貧困や家庭の事情があっても、子供たちにその貧困を引き継がせていいものではないと信じます。これは、学校給食費の未払いなどの問題も同様であります。
 貧困が次世代に引き継がれる社会は、安定性を欠く社会です。どの子も尊重され、成長の機会を阻まれることのない医療や教育、保育の場を提供巣ことが社会の安定をつくるのではないでしょうか。
障害者福祉では、3%負担減額を評価し、さらに900万円の障害者負担をとりのぞくことを求めます。
教育行政では、学テストの個人情報も守れない、いよいよ少人数学級の実施を全て否定するのは、全国で石原都知事だけになっています。
 ldなど子供たちに特別手だてが必要なクラスに運営に振り向ける教員の財源はあります。習熟度にあくまでこだわるのではなく、必要なところから少人数クラスの実施に区が踏み切ることに消極的であってはなりません。
 東京都も住民税と分を生活保護基準以下所得を免除することを言っていますが、他区自治体でもさまざまな痛みを軽減する新規事業を検討しています。
 縷々申し上げました。区民生活の格差と貧困への手だてを今後も提案し、おおもとにある弱者に増税と負担増をもとめ、人間らしい生活を脅かす政治を根本から転換するために力をつくることを申し上げて討論と致します。

(更新:2007/03/31)